リモートワークの導入や副業の容認など、都市部の企業を中心に“働き方改革”がますます進んでいます。働き方の自由度が増すことで注目されているのが「2地域居住」。都市に住む人が地方にも住居を構えて、2つの地域で生活するそのスタイルは、都会だけでなく自然溢れる環境での暮らしも手に入れたいと考える層から支持を得ています。

とはいえ、生活を大きく変える決断には不安がつきもの。まずは気軽に現地を訪れたり、経験者の話を聞いたりして、イメージを具体化するのが一番です。今、自治体では2地域居住体験ツアーを運営し、地域の魅力や暮らしのリアリティを感じることができる機会を提供しています。OnTrip JALでは、そんな各地の「2地域居住」の魅力を体験ツアーを通じて取材。さまざまなエリアの情報を、連載記事で紹介しています。

2地域居住についてもっと知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
https://ontrip.jal.co.jp/_tags/2地域居住

画像1: 旅が暮らしに変わる。注目の「2地域居住」体験ツアー 北海道・東川町編

今回ご紹介するのは、北海道・東川町。北海道のほぼ中央、人口約8,000人の小さな町です。大雪山連峰の主峰・旭岳(標高2,291m)を有し、大雪山の雪解け水が長い年月をかけてしみ込んだ地下水を生活水としており、全国的にも珍しく上水道がありません。そのおいしい水と肥沃な土壌を生かした米どころでもあり、水にこだわった味噌や豆腐なども名産品となっています。

また、木工などのアトリエやおしゃれなカフェなどが点在していたり、旭川空港からは車で約13分という好アクセスであったりと、移住を考えている方々から大きな注目を集める町です。

そんな東川町での暮らしはどんなものなのでしょう。2020年秋から東川町と東京で2地域居住を始めた石橋一平さん・祐香梨さんご夫妻に、東川町の魅力と2地域居住の楽しさについて伺いました。

わずか3時間半で景色が一変。仕事が多忙な夫婦が惚れ込んだ、旭岳のふもとの町

東京で働く石橋一平さん・祐香梨さんご夫妻インタビュー

画像1: 東京で働く石橋一平さん・祐香梨さんご夫妻インタビュー

テレビCMやミュージックビデオなどを制作する会社でプロデューサーとして働く一平さんと、ジュエリーのデザインおよび製作を行っている祐香梨さん。お二人とも東京で忙しい毎日を送っています。

実は本格的に2地域居住を行う前から、東川町には10年ほど通っていたそうです。

画像2: 東京で働く石橋一平さん・祐香梨さんご夫妻インタビュー

一平さん「バックカントリースノーボード(スキー場ではなく圧雪されていない自然の雪山で行うスノーボード)が好きで、毎シーズン12月から5月まで月1回、東川町に宿泊して旭岳に滑りに行っていました。旭岳の雪はすごく軽いんです。世界で一番いい雪なんじゃないかな。何度も通っているうちに東川町に友だちができてきて、ぼんやりと『この環境で過ごせたらいいな、いつか住みたいな』と思うようになりました」

そんな話をしていたところ、不動産業をしている知人からいくつか物件情報を見せてもらうことに。すると理想的なログハウスが見つかり、即決。2020年秋に購入に至りました。

祐香梨さん「私も東川町に一緒に行っているうちに惹かれるようになっていたので、2地域居住の話には大賛成しました。東京には東京の良さがありますが、やはりジュエリーを製作していてパッと目に入る景色に東川町の雄大な自然があったらいいなあ、と。東川町の家に工房を作って、1~2カ月間こもって製作できるようにすることが今のいちばんの目標です」

ドアtoドアで3時間半。思い立ったら行ける

一平さんは月の20日間ほどを東京で生活し、10日間ほどは東川町でリモートワークをしています。このリズムが、仕事も遊びもしっかり楽しむのにちょうどいいのだそうです。

画像: ドアtoドアで3時間半。思い立ったら行ける

一平さん「以前だったら2地域居住は無理でしたね。昼前に起きて仕事に行き、夜中まで打ち合わせや接待があって帰宅するのは朝方という生活でした。でも働き方改革が進んだことと、コロナ禍でリモートワークが導入されたことで生活スタイルがだいぶ変わり、東川町と東京の2地域居住が現実的になったんです」

石橋さんご夫妻の住まいは東川町の中心部からは少し離れていますが、歩いて3分の距離にスキー場やキャンプ場があり、5分も離れればゴルフ場があるという、アウトドア好きの一平さんには最高の立地。

一平さん「東川町にいるときは朝の5時半~6時には起きて、2時間くらい散歩したり走ったり、忠別湖でSUPをしたり、冬はスノーボードをしてから仕事。夕方6時くらいには仕事を終わらせて居酒屋に飲みに行く。体も精神も健康的な生活を送っています」

また、羽田−旭川間は飛行機で約1時間半、旭川空港からは車で約13分とアクセスがいいところも東川町の魅力です。

一平さん「東京の家から東川町の家までドアtoドアで3時間半~4時間くらい。『明日行こう』と思い立ったら行けるし、東川町にいるときに急な仕事が発生したとしてもすぐに帰ってこられるので安心。移動がまったくネックになりません」

祐香梨さん「忙しいときも、金曜日の最終便でポンと行って、月曜日に帰ってきてそのまま仕事に行くこともできます。2地域居住を始めて『北海道って近いんだな』と思いました」

2地域居住だから知り得た新たな一面も

スノーボードを楽しむために通っていたときは冬の東川町しか知りませんでしたが、2地域居住を始めて夏、春も滞在するようになり、「他の季節もめちゃくちゃいいんだと改めてわかった」と一平さんはうれしそうに語ります。

画像1: 2地域居住だから知り得た新たな一面も

一平さん「東川町で一番好きな景色は、家の裏から見る夕日。遮るものがなく最高です。もちろん山の景色も美しい。仕事でいろいろなところにロケで行きますが、東川町の景色には『こんなところがあるのか!』と感動しました」

祐香梨さん「旭岳の雪が解けた瞬間、色とりどりの高山植物が一気に咲き始めます。本州では見たことがないほど色が濃くてとても鮮やかな花なんです」

自然が美しいばかりではありません。東川町は1985年に「写真の町」宣言を行い、写真文化の醸成に力を入れています。また、日本五大家具の一つ旭川家具の約30%を生産している家具の町としても知られ、木工業が盛ん。職人が多く集まっています。

画像2: 2地域居住だから知り得た新たな一面も

祐香梨さん「文化的感度がとても高い町で、小学校の校庭に彫刻家・安田侃氏の作品が置かれていたり、『世界の名作椅子ベスト20』と題した展示を行ったりして、アート作品が日常に溶け込んでいて興奮しました。私もものづくりの仕事をしているということもあり、こうした刺激があるのはうれしいですね」

一平さん「職人が多いからか、こだわりが強い人が多いと感じます。居酒屋を営む友人にしても雑貨店を営んでいる友人にしても、ただ売れればいいわけではなく、自分が納得したいいものしか売らないというこだわりを持っています。おしゃれな店もたくさんあって、東京よりも洗練されている場所だと思います」

新型コロナウイルス感染拡大前は外国人も含めて観光客も多く、近年、移住者も増えており、地元の人たちには外部の人を受け入れるオープンな気質があるとも感じています。

画像3: 2地域居住だから知り得た新たな一面も

一平さん「人がすごく優しい。東川に通うようになったのは、『居酒屋りしり』というお店の大将と同い年で意気投合したことも大きな理由のひとつなんです。大将が『宿まで帰るのは寒いから泊まっていきな』と、お店の小上がりにお布団を敷いてくれて、朝起きたらおにぎりを用意してくれて、『なんつうええ町やねん』と(笑)。それから『りしり』に飲みにくる人や山で滑っている人とつながって、地元の人たちや移住者とたくさん友だちになりました」

事前に通っていたからこそ、心配なく飛び込めた

東川町にすっかり溶け込んでいる石橋さんご夫妻。お二人にとって、2地域居住は東京での生活をリセットするものなのか、それとも東京の生活の延長線上にあるのか、どちらなのでしょうか。

画像1: 事前に通っていたからこそ、心配なく飛び込めた

祐香梨さん「時と場合によりますが、私は完全にリセットする感覚になる場合もあります。そういう意味では、2地域居住は新しいことをスムーズに受け入れられる人に向いているかもしれません」

一平さん「僕はどちらの地域でもナチュラルに過ごしています。もちろん東川町の自然に気持ちが洗われるというのはあるけれど、意識が大きく変わることはないかな。いる場所によって得られる感覚が違うから、それぞれの生活を楽しめる人に向いていると思います。ただ、その土地が合うか合わないか、居住する前に事前に体験したほうがいい。僕は10年間通う中ですでに友だちがたくさんいましたし、冬の厳しさもよくわかっていたので、なんの心配もなく飛び込めました。1週間、できれば1カ月くらいは暮らしてみてから決めたほうがいいと思います」

祐香梨さん「そうですね。現地の空気を肌で感じることはすごく大事だと思います」

2地域居住を始める前に、まずは何度か現地へ足を運んでみたほうがいいと口を揃えて話す石橋さんご夫妻。まずはそのきっかけとして、ツアーを利用してみるというのもいいでしょう。

一平さんも祐香梨さんも、東川町を語るときの表情がとても楽しそうで、いかに東川町を愛しているかがよく伝わります。お二人にとって東川町はどんな場所なのでしょうか。

画像2: 事前に通っていたからこそ、心配なく飛び込めた

祐香梨さん「インスピレーションを得られる場所。感性を磨ける場所です」

一平さん「食べ物はおいしいし、アウトドアには最高やし、人もいいし、幸せしかない場所ですね!」

2地域居住ツアーで楽しみたい、東川町の見どころ

石橋さんご夫妻のお話にもあったように、2地域居住を成功させる最大のポイントは、実際に居住を考えている土地へ足を運んで「現地について知ること」です。

東川町では、2地域居住を検討している方向けにジャルパックの体験ツアーを実施。ツアーでまわれるスポットの中から、見どころをご紹介します。

天然のミネラルウォーターが湧き出る「旭岳源水公園」

画像1: 天然のミネラルウォーターが湧き出る「旭岳源水公園」

東川町は道内唯一、上水道がない町として知られています。なぜなら、長い年月をかけて地中にしみ込んだ大雪山の雪解け水を、生活用水として利用できるから。「旭岳源水公園」は、そんな良質な水を誰でもくむことができる取水場を備えた人気スポット。源泉から引水している水はミネラルが豊富で、近隣市町村の人々が一年中訪れます。

画像2: 天然のミネラルウォーターが湧き出る「旭岳源水公園」

取水場から続く木道を歩くと、源泉から湧き出る水に出会えます。水温は取水場よりも1度ほど低い約5~6度。町内では、大雪旭岳源水のおいしさをそのまま味わえるペットボトル(ミネラルウォーター)も販売されています。自然が身近にある土地ならではの魅力です。

旭岳源水公園

住所北海道上川郡東川町ノカナン
電話0166-82-2111(東川町役場都市建設課)
webhttp://www.welcome-higashikawa.jp/water/

東川町を一望。季節ごとに変わるパノラマ風景を楽しめる「キトウシ展望閣」

画像1: 東川町を一望。季節ごとに変わるパノラマ風景を楽しめる「キトウシ展望閣」

東京ドーム約25個分の面積を誇るキトウシ森林公園。園内にある「キトウシ展望閣」は、標高360メートル。3階の展望台からは東川町を一望でき、春には桜や青々とした畑、秋には黄金色に輝く一面の稲穂や紅葉など、四季折々の美しい景色を見ることができます。

画像2: 東川町を一望。季節ごとに変わるパノラマ風景を楽しめる「キトウシ展望閣」

この展望閣は、東川町開基80年と全町圃場整備事業の完工を記念し、昭和49年秋に建築されました。1階と3階では町にちなんだ写真展が常設され、1年ごとに展示内容が入れ替わります。2階には貴重な郷土資料の一部が展示されています。地域の歴史と景観に触れられるスポットです。

キトウシ展望閣

住所北海道上川郡東川町西4号北43番地(キトウシ森林公園)
電話0166-82-2111(東川町役場)
webhttps://town.higashikawa.hokkaido.jp/tourist-information/

エコな校舎とセミオープン教室の未来型教育。地域ぐるみで子どもを育む「東川小学校」

画像1: エコな校舎とセミオープン教室の未来型教育。地域ぐるみで子どもを育む「東川小学校」

長い平家建て校舎が特徴の「東川小学校」。270mの廊下を中心に扉のないセミオープン教室が並び、異学年同士の交流が自然に生まれる造りになっています。敷地内の田んぼや畑、果樹園で児童が育てた作物は給食で調理され、1~6年生と教師全員が給食室で食事します。外国人教師や、町内の日本語学校の留学生など国際交流も盛んで、多様な文化・言語を学ぶ機会が多いのも特徴のひとつです。

画像2: エコな校舎とセミオープン教室の未来型教育。地域ぐるみで子どもを育む「東川小学校」

体育館上にはソーラーパネルが設置され、暖房には地熱ボイラーを利用。効率的な自然採光で環境に優しい設計になっています。校内の机・椅子やオブジェは、地元の木工所や作家が手がけたもの。東端には地域交流センターが併設され、学童の機能も備えています。ご家族での居住を考えている方も安心の教育環境が揃っています。

東川町立東川小学校

住所北海道上川郡東川町西4号北8番地
電話0166-82-2425

カフェ、ギャラリー、コワーキングスペースを備えた「gallery+café zen」

画像1: カフェ、ギャラリー、コワーキングスペースを備えた「gallery+café zen」

1階のカフェ「東川ミーツ」には町内産のお米や野菜、加工品などを使ったメニュー、焼き菓子、おみやげ品が充実。カフェの利用で、1・2階フロアをコワーキングスペースとして使うことができます。

画像2: カフェ、ギャラリー、コワーキングスペースを備えた「gallery+café zen」

施設内は町内の木工作家やメーカーの家具が並ぶ贅沢な空間。窓からは風情ある庭が一望でき、ゆったり心地よい時間が流れます。ギャラリーでは、町民の作品発表や企画展示会が随時開催されています。自宅以外の仕事環境が欲しいと考えていた方や、地元の人と触れ合ってお話を聞きたい方はぜひ立ち寄ってください。

gallery+café zen

住所北海道上川郡東川町南町3丁目3-2
電話0166-82-2520
webhttp://www.welcome-higashikawa.jp/members/gallerycafe-zen/

北海道東川町の2地域居住ツアー モデルコース

ジャルパックの2地域居住ツアーでは、有名な観光スポットだけでなく、小学校やコワーキングスペースといった地域の様子を垣間見られるスポットを、ご希望に合わせてご案内します。まずはツアーを利用して、東川町でのリアルな暮らしを体感してみてください。

日程内容
1日目旭川空港 → 移住担当者訪問(希望に合わせてアテンドを行います)
2日目旭岳源水公園 → キトウシ展望閣 → 町内散策
3日目gallery+café zen → 東川小学校 → 旭川空港
※上記はモデルコースです。ツアー行程は自由に組むことができます。

今の生活環境を失くすのではなく、新しい生活を手に入れる。そんな風に、2地域居住を考えてみてはいかがでしょうか。雄大な自然と、温かく感性ある人々が迎えてくれる北海道東川町なら、きっと理想的な2地域居住が実現できるはずです。

ジャルパックのお申し込みはこちら

画像2: 旅が暮らしに変わる。注目の「2地域居住」体験ツアー 北海道・東川町編

2つの街で暮らす新しい生活スタイル「2地域居住」をはじめる旅

2つの拠点をもつ新しいライフスタイル、2地域居住。地域担当者との橋渡しや下見ツアーのモデルコースをご紹介!

北海道東川町
https://town.higashikawa.hokkaido.jp/

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画像3: 旅が暮らしに変わる。注目の「2地域居住」体験ツアー 北海道・東川町編

旅が暮らしに変わる -2地域居住の魅力-

平日は都市部で仕事をし、週末は地方で豊かな自然に触れながら静かに暮らす。そんな魅力あふれる2地域居住を通じて、地域の魅力をお伝えします。

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