2005年に世界自然遺産に登録された「知床」。北海道の東部に位置し、北半球における流氷の南限とされるこの一帯には、独自の自然と生態系が息づいています。今回は美しき世界自然遺産「知床」の魅力と、その魅力をたっぷり味わえるおすすめの観光地や楽しみ方をご案内します。

知床(日本)
登録年:2005年
世界遺産の種類:自然遺産
登録基準:
●陸上、淡水域、沿岸および海洋の生態系、動植物群集の進化や発展において、進行しつつある重要な生態学的・生物学的過程を代表する顕著な例であること。
●学術上、あるいは保全上の観点から見て、顕著で普遍的な価値をもつ、絶滅のおそれがある種を含む、生物の多様性の野生状態における保全にとって、もっとも重要な自然の生育地を含むこと。
アクセス/ウトロへは女満別空港より約90km、車で約2時間、羅臼へは女満別空港より約121km、車で約2時間30分

知床は、流氷の海が育んだ独自の自然と生態系を持つ世界遺産

画像1: 知床は、流氷の海が育んだ独自の自然と生態系を持つ世界遺産

「屋久島」や「白神山地」、「小笠原諸島」と並び、世界自然遺産に登録される「知床」。自然遺産を構成するのは、オホーツク海に突きだした知床半島を中心とする総面積71,100ヘクタール(陸域48,700ヘクタール+海域22,300ヘクタール)もの広大なエリア。そこには美しい山や海、森、湖沼群などが点在し、独自の生態系が育まれています。アイヌ語で“突き出たところ”を意味する“シリエトク”に由来する名が物語るように、「知床」は人の手の及ばない遙かなる場所。それだけに、原始の自然が色濃く残されているのです。

画像2: 知床は、流氷の海が育んだ独自の自然と生態系を持つ世界遺産

「知床」の自然を形作る大きな要素のひとつが、冬の時期に海を埋め尽くす流氷の存在です。北半球における流氷の南限とされる知床の海は、流氷とともに運ばれる豊富な栄養分に満ちた海域。その豊かな海を求めて、アザラシやオオワシなどの動物がこの地を訪れています。また、豊かな海で育ったサケはやがて川に遡上し、ヒグマなどの山の動物の餌となります。さらにこれらの山の動物たちはやがて土に還り、知床の森を豊かにしていきます。海から山、そして森へ。流氷の海を起点とした生命のサイクルが「知床」の美しい自然を育んでいるのです。

手つかずの自然が織りなす圧倒的な景観と、この地で育まれた多種多様な動植物との出合い。「知床」には、ここでしか出合えない旅の魅力が満ちています。

「知床国立公園」で世界遺産の魅力、大自然を体感する

画像1: 「知床国立公園」で世界遺産の魅力、大自然を体感する

世界遺産「知床」の中核をなすのが、知床半島の中央部から先端の知床岬までと、周辺海域の一部を範囲とする「知床国立公園」。斜里町と羅臼町の2町にまたがるこの国立公園には、数多くの見どころが点在。斜里町にある「知床自然センター」や「知床五湖フィールドハウス」、羅臼町の「知床国立公園羅臼ビジターセンター」などを起点に、変化に富んだ美しい景観を楽しむことができます。

画像2: 「知床国立公園」で世界遺産の魅力、大自然を体感する

たとえば斜里町では、ぜひ「知床八景」と称される名所に足を運んでください。豊かな原生林に包まれた神秘的な5つの湖「知床五湖」や知床硫黄山の中腹から湧き出る温泉が滝となって流れ落ちる「カムイワッカ湯の滝」、ウトロ港の近くに位置する高さ60mもの絶景の巨岩「オロンコ岩」など、いずれも「知床」の奥深い魅力を感じさせてくれる美しいスポットでばかり。ウトロ港からは知床半島をめぐるクルーズ船も頻繁に催行しているので、海上から手つかずの大自然を眺めるのもおすすめです。

画像3: 「知床国立公園」で世界遺産の魅力、大自然を体感する

斜里町よりもさらに“果て感”の強い羅臼町にも、もちろん数々の名所が点在しています。日本百名山のひとつでもある「羅臼岳」や「知床連山」で登山を楽しんだり、絶景ドライブルートとして人気の「知床横断道路(冬期通行止め)」を走ったり、知床峠の駐車場から片道徒歩50分ほどでアクセスできる「羅臼湖」を訪れたり……。世界遺産「知床」ならではのワイルドな自然を、全身で体感してみてはいかがでしょうか。羅臼町は昆布やホッケなどの海産物がおいしいことでも有名なので、新鮮な魚介類に舌鼓を打つこともお忘れなく。

幻想的な美しさを湛えた湖や、豊かな緑に包まれた大いなる山々、そして知床の真っ青な海……。幅広い魅力を持つ世界遺産「知床」の魅力を心ゆくまで楽しむなら、斜里町と羅臼町の両方をめぐりながら、ゆっくりと時間をかけて旅をしてください!

知床ワイルドライフを楽しむネイチャーツアーに参加しよう

山の野生動物に出会えるガイドツアーはウトロや羅臼で

画像1: 山の野生動物に出会えるガイドツアーはウトロや羅臼で

ヒグマやエゾシカ、オジロワシやクジラ、シャチ……など、「知床」に棲む山と海の野生動物たち。彼らとの出合いもこの世界遺産を訪れる大きな目的のひとつ。野生動物たちの姿を間近に観察するなら、ウトロや羅臼で開催されるネイチャーツアーへの参加がおすすめ。「知床」の自然を知り尽くした熟練のガイドとともに大自然の中へと踏み出せば、この土地の魅力がより深く感じられるはずです。

画像2: 山の野生動物に出会えるガイドツアーはウトロや羅臼で

たとえば斜里町のウトロ周辺では、「知床」の自然をフィールドにしたトレッキングやカヤッキングのツアーが多数催行されています。知床五湖などを目指す半日~1日のツアーでは、ヒグマやエゾシカ、キタキツネ、エゾシカなどを観察できるチャンスも!もちろん四季折々の花々や鳥類との出合いも大きな魅力です。また、カヤッキングツアーに参加すれば、美しい断崖絶壁の半島が織りなす数々の名所をはじめ、頭上を飛び交う海鳥との出合いも楽しめます。

画像3: 山の野生動物に出会えるガイドツアーはウトロや羅臼で

羅臼町から観光船に乗って、海の野生動物たちに出会う

また、羅臼町では、ぜひとも知床の海をめぐるネイチャークルーズに参加してください。流氷に育まれた栄養豊かな海は、多種多様な生物たちの楽園。春から秋の時期には、クジラやイルカ、シャチなどの姿をはじめ、オットセイの姿を観察できることもありますし、冬場の流氷の海では、オオワシやオジロワシ、ゴマフアザラシ、トドといった希少な動物たちとの出合いが楽しめるのです。

画像: 羅臼町から観光船に乗って、海の野生動物たちに出会う

原始の自然が形作る美しいパノラマと、そこで暮らす野生動物たち。世界遺産「知床」を旅すれば、きっと「日本にもこんな大自然があったんだ!」という新鮮な驚きを感じられるはず。日本が世界に誇るワイルドな自然を、今年はぜひ体感してみてください。

画像: 世界遺産・知床の魅力を知る

旅ライター/吉原徹

世界遺産「知床」の隠れた楽しみといえば、なんといっても温泉。斜里町のウトロ周辺には、温泉を楽しめる宿泊施設が充実。また、羅臼町には「熊の湯」や「相泊温泉」、「せせき温泉」といった、絶景の露天風呂が点在しています。「知床」を訪れた際は、ぜひとびっきりの温泉で旅の疲れを癒してください!

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※2019年8月23日に一部内容を更新しました。

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

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