エネルギッシュな青空市場で旬の食材を愛でる
カンポ・ディ・フィオリ市場
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ローマ市内を流れるテヴェレ川の左岸に位置する、カンポ・ディ・フィオリ広場。この場所は1400年ころまで花の咲く野原だったため、「花(フィオリ)の野原(カンポ)」広場と名づけられました。
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カンポ・ディ・フィオリ広場では、古くからローマっ子の胃袋を支えてきた、ローマでもっともにぎやかな朝市が毎朝開かれています。野菜や果物、チーズ、オリーブオイルやカラフルなパスタ、スパイスなどの食材にはじまり、キッチン用品や洋服、革製品まで、ありとあらゆる品を扱う屋台がずらりと並びます。売り子も買い手も気さくに声を掛け合う、活気溢れる市場です。
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ずらりと並んだオリーブオイル。お土産にピッタリなものが、手ごろな値段で見つかるのも市場ならではのお楽しみ
屋台に並ぶ、色とりどりのみずみずしい野菜や果物を見ていると、イタリアの食の豊かさを感じます。午後にはすべて片づけてしまうのがもったいないほど、どの店も芸術的と呼べるくらい、美しく商品を並べています。
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カンポ・ディ・フィオリ市場 | ||
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定休日 | : | 日曜日、祝日 |
営業時間 | : | 7:00~14:00(店舗による) |
住所 | : | Campo dé Fiori |
路地裏の陶芸工房で、世界にひとつの食器と出会う
PICTA(ピクタ)
カンポ・ディ・フィオリ広場の周辺には、「かばん屋通り」や「上着屋通り」など、ユニークな名前の小路がいくつもあります。これは、職人たちの工房がこの界隈をにぎわしていた時代の名残。残念ながらいまでは数えるほどしか残っていない工房ですが、帽子屋通りの路地を行くと、陶芸家マリーナ・グラッツィアーニさんの小さな工房兼ショップ「PICTA(ピクタ)」に出会えます。
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帽子屋通りにひっそりと佇むピクタの入り口
小さな工房に居を構えて20年。イタリアの伝統的な手法で、制作を続けているマリーナさん。店の奥で、情熱を込めて一つひとつの絵柄を丁寧に筆描きし、窯で焼きあげています。
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気さくなつくり手の素顔が見られるのも工房スタイルならでは
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毎日使うお皿やコップなどの日用品に、家や窓、洗濯物、木や鳥など、身近にあるものを描くのがマリーナさんの作品の特徴です。図柄は繊細な絵筆のラインで、シンプルかつモダンに描き出されています。どれも世界でたったひとつしかない、オリジナルな作品です。
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ローマの街角の情景を描いたシリーズは、旅の思い出に買って帰りたくなる
定休日 | : | 日曜日、月曜日 |
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営業時間 | : | 10:00~19:30 |
公式HP | : | https://www.pictaporcellane.com/ |
住所 | : | Via dei Cappellai, 11 |
ローマ限定の香水ブティックで、エレガントな天然の香りに包まれる
FLUMEN profumi(フルーメン・プロフーミ)
ここ数年、「ニッチ・フレグランス」と呼ばれる香水が、欧米を中心に世界で注目されています。マス向けの大量生産品とは一線を画し、調香師個人のセンスに重きを置いた個性的なブランドが、数多く生まれているのです。
現代式製法の香水の発祥地イタリアも、ニッチ・フレグランスを牽引する国のひとつ。ローマの高級ブティックが並ぶコンドッティ通りに近く、スペイン階段を望む閑静なエリアにある「香りのブティック」FLUMEN(フルーメン)でも、特別な香りを提案しています。
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近くを通りかかるだけで、優雅な香りに思わず立ち止まりそうになる
エレガントという表現がぴったりな香りに、まさに包み込まれるような気分にさせてくれるフルーメンの香水。通常の倍以上の量のエッセンシャルオイルと、ビーツから抽出したアルコールという天然素材から生み出される上質な香りです。
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おすすめは、「MERAVILIOSO ISTANTE(素晴らしき瞬間)」と名づけられた香水。天然の華やかなバラの香りをベースに、優しいサンダルウッドの香りと甘いイランイランが美しいハーモニーを奏でます。ほかにも女性用の「DAMA(貴婦人)」や、男性用の「UTOPIA(理想郷)」など、コンセプトに基づいて調合されたユニークな香りが揃っているので、ぜひ自分に合ったものを探してみてください。ローマでのみ販売というこだわりも、旅の記念に最適です。
FLUMEN profumi(フルーメン・プロフーミ) | ||
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定休日 | : | なし |
営業時間 | : | 11:00~14:00、15:30~19:30 |
web | : | https://www.flumenprofumi.com/ |
住所 | : | Via della Fontanella di Borghese, 41 |
ダイアナ妃も訪れた老舗カフェで、エスプレッソを味わう
Antico Caffè Greco(アンティコ・カフェ・グレコ)
イタリア人の生活に欠かせない「カフェ」。単にコーヒーを飲むためだけではなく、ちょっとおしゃべりをする息抜きの場として、地元民は1日に何度も足を運びます。コーヒーが飲める店としては、ゆっくり座ってくつろげる「Caffè(カフェ)」のほか、気楽にカウンターで立ち飲みするスタイルの「Bar(バール)」もあります。
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アンティコ・カフェ・グレコの外観
ローマで本場のコーヒーを楽しむなら、スペイン階段のすぐ近くにある「Antico Caffè Greco(アンティコ・カフェ・グレコ)」がおすすめ。ダイアナ妃やケネディ大統領をはじめとし、数多くの著名人が訪れた、1760年創業の老舗です。
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店内には300点以上もの芸術作品が飾られている。アンデルセンやスタンダールなどの文豪が常連だったという、昔の時代にタイムスリップしたよう
小さなカップに、ほんの少しの濃厚なエスプレッソコーヒー。ここに砂糖をたっぷり入れて、苦みと甘みのコントラストを味わうのがイタリア流。この店ではエスプレッソに、チョコレートをコーティングしたコーヒー豆が一粒ついてきます。ちょっとしたものですが、これが格別の美味しさなんです。お土産にも購入できますよ。
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イタリアでは、夕食前に食前酒を楽しむ習慣があります。最近では、「アペリティーボ(食前酒)」と「チェーナ(夕食)」を合わせた「アペリチェーナ」が流行中。夕食前の時間限定で、ドリンク一杯とビュッフェ形式などの簡単な食事のセットが、10ユーロ前後の手ごろな値段で楽しめるカフェが増えています。
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アンティコ・カフェ・グレコのアペリチェーナ
アンティコ・カフェ・グレコでは、ワインやカクテルを注文すると、フォカッチャのピザやサンドイッチなどを盛り合わせた軽食が一緒に出てきます。けっこうなボリュームなので、小食な日本人にはこれだけで夕食になってしまうかもしれません。
Antico Caffè Greco(アンティコ・カフェ・グレコ) | ||
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定休日 | : | なし |
営業時間 | : | 9:00~21:00 |
web | : | http://www.anticocaffegreco.eu/ |
住所 | : | Via Condotti, 86 |
新名所! ローマのパノラマが広がる屋上テラスでアペリティーボを楽しむ
MadeITerraneo(メーディッテラーネオ)
トレビの泉近くのデパート「Rinascente(リナシェンテ)」では、上層階の地中海料理レストラン「MadeITerraneo(メーディッテラーネオ)」のバーで、本格的なカクテルのアペリティーボが楽しめると評判です。リナシェンテは老舗デパートチェーンですが、こちらの店舗は2017年秋にオープンしたばかり。いま話題のスポットです。
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メーディッテラーネオで楽しむアペリティーボ。カクテルを頼むとおつまみがついてくる
オシャレなローマっ子たちにまぎれ、開放的なオープンテラスでサン・ピエトロ大聖堂のクーポラを眺めていると、まさにローマにいるという実感がわいてきます。
テラスから望むローマの街もまた格別
若くしてミシュランの一つ星に輝いたシェフが腕を振るうメーディッテラーネオでは、アペリティーボだけでなく料理もおすすめです。イタリア料理に、スペインやギリシャ、モロッコなど地中海沿岸の国々のテイストをミックスした、日本ではなかなか出会えない味を楽しめます。
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リナシェンテの地下で公開されているローマ時代の水道橋
余談ですが、リナシェンテの地下では、古代ローマの「水道橋」を見学できます。水道橋とは古代ローマ帝国の時代、近隣の山の水をローマ市内に運ぶため、各地につくられたもの。リナシェンテのビルの建設途中で、なんとその一部が新たに見つかったのです。2000年前につくられた水道橋には、いまもトレビの泉へとつづく水が流れています。まさにローマならではの、古代と現代がミックスした新名所、必見です。
MadeITerraneo(メーディッテラーネオ) | ||
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定休日 | : | なし |
営業時間 | : | 10:00~23:00 |
web | : | http://www.madeiterraneo.com |
住所 | : | Via del Tritone, 61 |
古代ローマの遺跡や美しい教会、美術館など、見どころに溢れた街、ローマ。ブランド品でなくても素敵なイタリア製の靴やカバン、雑貨のショッピングも楽しいし、ピザにパスタにストリートフード、ワインやチーズも食べたいし。何度訪れても新鮮な発見があるローマには、今回の記事では紹介しきれなかった奥深い魅力がたくさんあります。ぜひ、地図を片手にどんどん歩いて、ローマの休日を堪能してくださいね。
鈴木奈保子
2001年よりローマ在住のWEBライター。ローマの旅行情報、イタリア料理、イタリア人のライフスタイルを中心に執筆している。イタリア語の一次情報に基づく正確な記事作成に定評がある。
人気都市を巡る アモ―レ!イタリア
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