麗しき“水”の風景を求めて、スロベニア・クロアチアへ

クロアチアの首都・ザグレブから「プリトヴィッツェ湖群国立公園」へ

バルカン半島に位置し、スロベニアやハンガリー、ボスニア・ヘルツェゴヴィナなどと国境を接するクロアチア。アドリア海に面し、人口およそ440万人が暮らす同国の首都・ザグレブは、古くから交通の要所として栄えた都市です。街の中心に位置し、多くの人々で賑わう「イェラチッチ広場」や高さ100mを超えるふたつの尖塔が目を引くネオゴシック様式の教会「ザグレブ大聖堂」などの見どころが点在する小さな首都には、「クロアチア自然史博物館」や「ザグレブ考古学博物館」などのミュージアムも数多く点在。どこかノスタルジックな雰囲気が漂う街の中で、のんびりと散策を楽しめます。

さて、そんなザグレブを起点に“水”の風景を楽しむなら、ぜひともバスで2時間少々でアクセスできる「プリトヴィッツェ湖群国立公園」を訪れてみてください。1979年に世界自然遺産に登録されたこの場所は、192平方キロメートルほどの広大な園内に大小16の湖と無数の滝が点在する国立公園です。透明度抜群の湖が階段状に連なる独特の景観は、石灰質の堆積物によって自然のダムが形成されたことで生まれたもの。透明度抜群の湖と無数の滝、そしてブナやモミの原生林が織りなす景観は、思わず息を呑むほど幻想的な美しさを湛えています。

園内の木道を歩けば、光の加減でエメラルドグリーンからコバルトブルーへと変化する水面の美しさに引き込まれてしまうはず。また、周囲の豊かな森には熊やオオカミなどの野生生物も暮らし、豊かな生態系を作り上げています。

雪解け水によって水量が増す初春、新緑の木々が輝く初夏、鮮やかな紅葉に彩られる秋など、季節ごとに移ろう風景を楽しめる「プリトヴィッツェ湖群国立公園」へは、ザグレブからバスやレンタカーでアクセスできるほか、日帰りツアーなども催行されています。クロアチアを代表する絶景を、ぜひその目で確かめてください。

スロベニアの首都・リュブリャナから「ブレッド湖」へ

中央ヨーロッパに位置し、イタリアやオーストリア、クロアチア、ハンガリーと国を接するスロベニア。国土の半分以上を深い森に覆われたこの国は、アルプス山脈からアドリア海まで、変化に富んだ地形に恵まれることでも知られています。スロベニアの首都・リュブリャナは、古くからスラブ文化とゲルマン文化、ラテン文化が交錯してきた都市。街の中心にはリュブリャニツァ川が流れ、「三本橋」や「龍の橋」、「肉屋の橋」など、美しい橋が架かっています。小高い丘の上に立つ「リュブリャナ城」から街を一望し、歴史的な町並みが残る旧市街をのんびりと歩く。リュブリャナでは、そんな穏やかな旅の時間を楽しめます。

首都・リュブリャナから美しい“水”の風景を目指すなら、ぜひバスで1時間〜1時間30分ほどの場所に位置する「ブレッド湖」へ。スロベニア北西部のユリアン・アルプスに位置する湖は、氷河の作用によって生まれた氷河湖。長さ約2,120m、幅約1,380mの湖の周辺には豊かな森が広がり、北岸には中世に建造されたブレッド城などの見どころが点在しています。また、湖の中心にはスロベニアで唯一の自然島であるブレッド島が浮かび、島には聖マリア教会をはじめとする美しい建物が建っています。かつて王族や貴族の別荘地として栄えた「ブレッド湖」は、その美しさから時に“アルプスの瞳”と称される場所。現在はスロベニアを象徴するレイクリゾートとして愛されており、国内外から多くの旅人が訪れています。おとぎ話のような風景が広がる湖畔を散策したり、ボートに乗って島に渡ったり、穏やかに流れるリゾートの時間を楽しんだり……。「ブレッド湖」でしか味わえない優雅な旅のひとときが、ここにはあります。

クロアチアの「プリトヴィッツェ湖群国立公園」と、スロベニアの「ブレッド湖」。首都から足を延ばして楽しむ麗しき“水”の風景は、きっとヨーロッパの旅の新たな魅力を教えてくれることでしょう。