西ヨーロッパのイベリア半島に位置し、国土の西と南を大西洋に面したポルトガル。大航海時代に栄華を極め、その後も独自の文化を育んできたこの国は、穏やかで郷愁に満ちた独特の魅力に包まれています。今回は、首都リスボンと第2の都市ポルトをめぐるポルトガルの旅へご案内します。

ノスタルジックでフォトジェニックなポルトガルの魅力

画像: ノスタルジックでフォトジェニックなポルトガルの魅力

ユーラシア大陸の最西端に位置し、日本の国土の4分の1ほどの面積におよそ1,045万人が暮らすポルトガル。北と東をスペイン、西と南を大西洋と接するこの国は、美しい海岸線やシーフード、音楽などの豊かな文化、そして穏やかな気質の人々に恵まれた場所。また、ヨーロッパ人として初めてインドへの航路を開拓したヴァスコ・ダ・ガマや史上初の世界一周を成し遂げたフェルディナント・マゼランといった英雄的な航海者を輩出し、15世紀半ばから17世紀半ばまで続いた大航海時代に繁栄を極めたことでも知られています。

現在でも首都リスボンやポルトガル北部の港湾都市ポルトを歩けば、大航海時代の交易によってもたらされた富によって建造された、数々の美しき歴史的建造物や街並みが点在。どこかノスタルジックでフォトジェニックな風景は、数世紀を経た今もなお世界中の多くの旅人を魅了しています。今回は、ポルトガルを代表するふたつの街・リスボンとポルトの魅力をご紹介します。

大航海時代の栄華を今に伝える 首都リスボンをめぐる

人口約53万人が暮らす首都・リスボンは、ポルトガルの政治や経済、文化の中心地。ヨーロッパの各都市からの直行便も数多く運航されているため、空の玄関口としてこの街を訪れる人も多いでしょう。リスボンの魅力は、ヨーロッパを代表する世界都市でありながら、大都市特有の喧噪や気取りを感じさせないことにあります。古くからイベリア半島最長のテージョ川の河口周辺に拓けたこの街には、古き良き時代を感じさせる美しい町並みと、素朴で穏やかな人々の笑顔が溢れています。

リスボンを旅するのなら、まず訪れたいのが大航海時代の栄華を今に伝える「ベレン地区」です。テージョ川の川辺に広がるこのエリアには、世界遺産にも登録される「リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔」などの見どころが点在。特に大航海時代に大きな功績を残したエンリケ航海王子やヴァスコ・ダ・ガマを称えるために16世紀に着工された「ジェロニモス修道院」は、海外交易によって得た巨万の富を誇示するかのような絢爛豪華な装飾が特徴のマヌエル様式の建造物。珊瑚や天球儀、海草など、大航海時代ならではのモチーフが随所に浮き彫りにされており、その緻密な美しさはため息がでるほどです。また、テージョ川を航行する船を見守るために16世紀に建てられた「ベレンの塔」も、同じくマヌエル様式を象徴する建造物です。このほかにも周辺には「考古学博物館」や「海洋博物館」、「発見のモニュメント」などの見どころが多数。「ベレン地区」をのんびりとめぐり、ポルトガルの歴史にふれてみてはいかがでしょうか。

このほか、リスボンには路地歩きが楽しい歴史地区「アルファマ地区」やセンスの良いショップやレストランが並ぶショッピング街「バイシャ地区」など個性豊かなエリアが多く存在しています。リスボンは別名“7つの丘の街”と呼ばれ、起伏が多いことでも有名。トラムやケーブルカーを使っていくつもの坂道をめぐるほどに、この街の魅力に気付かされるでしょう。また、リスボンの西、約28kmに位置する「シントラ」は、豊かな森に囲まれた王家の避暑地として知られる場所。「シントラの文化的景観」として世界遺産にも登録される風景を目指して、郊外へ足をのばしてはいかがでしょうか。

ポルトガルの国名の由来となった 北部の港湾都市ポルトへ

リスボンから列車に揺られて3時間ほど。ポルトガル北部のドウロ川の河口に位置する港町ポルトは、リスボンに次ぐ同国第2の都市。ローマ時代に貿易で栄え、ポルトガルの国名の由来ともなったこの街は、旧市街全体が「ポルト歴史地区」として世界遺産に登録されています。

「ポルト歴史地区」には数多くの見どころがありますが、まずはポルトの玄関口となる「サン・ベント駅」へ。“世界で一番美しい駅”とも称えられる駅の構内には、ポルトガルのモチーフにした2万枚ものアズレージョ(青い装飾タイル)で彩られており、まるで美術館のよう。「サン・ベント駅」のすぐ近くにある「コングレガードス教会」をはじめ、「ポルト大聖堂」や「アルマス礼拝堂」、「カルモ教会」などもアズレージョを初めとする壮麗な装飾が印象的なスポットです。お気に入りのアズレージョを探して旧市街を歩いてみましょう。また、「ポルト歴史地区」を一望するならドウロ川を見下ろす高台に建つ「ノッサ・セニョーラ・ド・ピラール修道院」の展望台に上ってみるのがおすすめです。

画像: ポルトガルの国名の由来となった 北部の港湾都市ポルトへ

歴史散策が楽しいポルトの街ですが、もちろん楽しみはそれだけではありません。ドウロ川流域をめぐるボートクルーズを体験したり、名物のポルトワインの産地を訪れたり、ポルトのご当地グルメ・トリッパを味わったり……。ポルト滞在の過ごし方は自由自在です。また、ポルトの約60km北東に位置する「ギマラインス」の街は、初代ポルトガル国王となったアフォンソ・エンリケスの生まれ故郷として知られる小さな町。ポルトガルの“はじまりの地”である町へのショートトリップを楽しんでみるのも一興です。

ポルトガルを代表するふたつの街・リスボンとポルト。大航海時代の栄華と地続きにあるこれらの街では、今も誇り高い人々がゆったりと穏やかな生活を営んでいます。決して派手ではないけれど、通うほどに好きになる。ポルトガルが持つ不思議な魅力を、ぜひ一度体験してください。

ひとことコメント

ユーラシア大陸最西端の「ロカ岬」や南西端の「サグレス岬」、ポルトガル本土最南端「アルガルヴェ」の美しい海岸線など、“果て”の国であるポルトガルには、一度は訪れたい絶景ビュースポットが数多くあります。

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