愛媛県の南西部に位置し、青く美しい海を有する自然豊かな町・宇和島市は真珠の一大産地。真珠の玉出し体験や、とり出した真珠を使ったアクセサリー作りが体験でき、お土産にすることができます。“質の良いものを長く大切に使う”。これは自分のためにも、ひいては社会にとっても心地よいものです。ひとりでも、友人と一緒でも楽しめる、宇和島の真珠旅をご案内します。

愛媛県・宇和島は、真珠の一大産地

画像: 愛媛県・宇和島は、真珠の一大産地

松山空港から車で約1時間。愛媛県にある宇和島は三重県の伊勢志摩、長崎県の対馬・壱岐と並び、真珠生産において全国でもトップクラスのシェアを誇っている地域です。

波が穏やかで真珠の養殖に適した水温、また真珠を育むアコヤガイの餌となる豊富な珪藻類を兼ね備えた宇和海で真珠養殖が始まったのは、1907年のこと。宇和島では、真珠養殖だけでなく母貝となるアコヤガイの養殖も行っている点が特徴で、2つの工程を1つの地域で並行して行うこのスタイルは、“愛媛方式”と呼ばれる全国でも珍しい生産体制です。

真珠はどうやってできるの?現地で体験してアクセサリーを持ち帰る

画像: 真珠はどうやってできるの?現地で体験してアクセサリーを持ち帰る

実際に体験をする前に、まずは「真珠ができるまで」について学んでみましょう。

真珠養殖は主に、以下の6ステップがあります。

実は真珠を育てる貝(母貝)を養殖する期間だけで、なんと約2年間。1つの真珠が生まれるまでにこれだけの年月がかかっていると知ると、より一層、愛着が湧きます。

  1. 真珠を育てる貝(母貝)の養殖
  2. 抑制
  3. 核入れ
  4. 養生
  5. 採珠
  6. 加工

(さらに詳しく知りたい方はこちらをチェック)

ここからは、この工程の一部を実際に体験できる施設をご紹介します。

「あこやひめ」:数ある中から選んだ1粒を自分で加工する

画像1: 「あこやひめ」:数ある中から選んだ1粒を自分で加工する

まずは真珠アクセサリーの製作体験ができる「あこやひめ」です。アクセサリーで使いたい真珠をゆっくり選べるため、真珠の色や形にこだわりたい人にぴったりです。

お店の方と相談しながら、ネックレス、ブレスレット、ピアス、イヤリング……などどんなアクセサリーを作るかを決めていきます。どのアクセサリーもベースの部分まで素材やクオリティにこだわったものを揃えています。

画像2: 「あこやひめ」:数ある中から選んだ1粒を自分で加工する
画像3: 「あこやひめ」:数ある中から選んだ1粒を自分で加工する

作るアクセサリーを決めたら、次は真珠決めです。

透明のカップに入った真珠の中から自分のアクセサリーに使う1粒を選びます。色や大きさ、形などでおおまかに分かれているので、出来上がりを想像しながら、好みの色や大きさのものをチョイス。生き物が育んだ無調色の真珠は、よく見れば一つ一つが全部違う表情でとてもキュートです。中には1時間以上かけてじっくりと1粒を選ぶ人も。

画像4: 「あこやひめ」:数ある中から選んだ1粒を自分で加工する

アクセサリーにする真珠が決まったら、専用の機械を使って穴を開けます。

画像5: 「あこやひめ」:数ある中から選んだ1粒を自分で加工する

開けた穴に金具を通せば、ブレスレットの完成。少し個性的な形をした真珠を選ぶのもオリジナリティが出るのでおすすめです。

あこやひめ 津島町本店

住所愛媛県宇和島市津島町高田2115-1
電話0895-49-5665
営業時間8:00~16:00
定休日土・日曜
webあこやひめ 津島町本店 公式サイト
体験予約3日前までにHPの予約フォームか電話で要予約

「土居真珠」:真珠ができる仕組みや見分け方を体験しながら学ぶ

画像1: 「土居真珠」:真珠ができる仕組みや見分け方を体験しながら学ぶ

次はおみやげ付き養殖場体験ツアーに参加できる「土居真珠」です。ブローチやイヤーカフなど珍しいアクセサリーを揃えており、自分へはもちろん、大切な人へのプレゼントにもおすすめです。

画像2: 「土居真珠」:真珠ができる仕組みや見分け方を体験しながら学ぶ

ここでは、真珠ができるまでの流れを聞くことができます。真珠の核はどんな貝からどのように作るのか、また、工房ではどんな作業が行われているのかを丁寧に教えてもらえます。

細胞貝から貝の体を覆っている薄い膜(外套膜)を切り取っているところや、それを核と一緒に母貝の体内に入れているところなども間近で見学できます。貝にメスを入れる瞬間は、まるで人間の手術のよう。繊細な作業に、見ているほうも思わず息を呑んでしまいます。

画像3: 「土居真珠」:真珠ができる仕組みや見分け方を体験しながら学ぶ
画像4: 「土居真珠」:真珠ができる仕組みや見分け方を体験しながら学ぶ

真珠養殖についての基本的な知識を学んだら、次はいよいよ真珠のとり出し体験です。長い桟橋の根元で、真珠をとり出す貝を1つ選びます。真珠が入っている場所を教えてもらい、指で軽く押すときれいな真珠が1粒。太陽の光をたっぷり浴びて、きらきらと輝いています。

画像5: 「土居真珠」:真珠ができる仕組みや見分け方を体験しながら学ぶ

とり出した真珠を握りしめ、次はアクセサリーの土台選びです。ブローチやピアス、ネックレスやブレスレットなど見ているだけでも楽しいバリエーションの豊かさ。片耳だけで自然に身に付けられる、イヤーカフを選ぶ人も多いそうです。今回はみかんの花をモチーフにしたブローチを選びました。

画像6: 「土居真珠」:真珠ができる仕組みや見分け方を体験しながら学ぶ
画像7: 「土居真珠」:真珠ができる仕組みや見分け方を体験しながら学ぶ

ここからはプロにバトンタッチ。アクセサリーを作ってもらっている間は、良い真珠の見分け方や真珠を作る貝の種類について学びましょう。真珠のクオリティを見分けるいくつかのポイントを参考にしながら真珠のネックレスを見比べてみると、その違いがわかるように。

画像8: 「土居真珠」:真珠ができる仕組みや見分け方を体験しながら学ぶ

店内の真珠商品や窓から見える穏やかな海を眺めているうちに、ブローチが完成しました。作ってもらったアクセサリーは化粧箱と紙袋に入れてもらえるので、そのまま贈り物にできます。

土居真珠

住所愛媛県宇和島市三浦西5121-9
電話0895-29-0011
営業時間9:00~17:00(日曜は10:00〜17:00)
定休日お盆、年末年始
web土居真珠 公式サイト
体験予約体験日の2日前までに電話・メール(mail@doi-pearl.co.jp)・公式サイトの予約フォームのいずれかから要予約

「ヤマシタパール」:漁船に乗って沖合へ真珠を迎えに行く

画像1: 「ヤマシタパール」:漁船に乗って沖合へ真珠を迎えに行く

最後は、漁船クルーズと真珠のとり出しを体験できる「ヤマシタパール」。真珠が育つ海に出て、船の上で真珠取り出し体験がしたいというアクティブな人はぜひこちらへ。

画像2: 「ヤマシタパール」:漁船に乗って沖合へ真珠を迎えに行く
画像3: 「ヤマシタパール」:漁船に乗って沖合へ真珠を迎えに行く

潮の香り、穏やかな海、そこにぽつぽつと浮かぶ島や半島……特等席のイスから見える景色はとにかく絶景です。宇和海の絶景を楽しんでいるうちに、たくさんのブイ(浮き)が見えてきました。真珠たちが育っている最中の養殖場です。

画像4: 「ヤマシタパール」:漁船に乗って沖合へ真珠を迎えに行く

母貝のネットを引き上げ、母貝がどのような構造になっているのか、どこで真珠ができているのかを説明してもらえます。

画像5: 「ヤマシタパール」:漁船に乗って沖合へ真珠を迎えに行く
画像6: 「ヤマシタパール」:漁船に乗って沖合へ真珠を迎えに行く

真珠をとる時は、貝から命をいただく時。感謝の気持ちを込めて、教えてもらった通りに探すと、中からきれいなクリーム色の真珠が出てきました。真珠をとり出した後は、自己責任のもとでそのアコヤガイの貝柱をいただくこともできます。ほんのり塩味で、美味です。

画像7: 「ヤマシタパール」:漁船に乗って沖合へ真珠を迎えに行く

沖から戻り、近くにあるヤマシタパールのショップへ。2階の工房で、自分がとり出した真珠をアクセサリーにしてもらいます(基本的にはすべてスタッフが製作を行いますが、工房で教えてもらいながら一緒にアクセサリー作り体験ができる別のプランもあります)。

待っている間は1階のショップで素敵な真珠のアクセサリーたちを見て時間を過ごすことができ、数々の独創性あふれる真珠アクセサリーたちに、思わず見惚れてしまいました。

画像8: 「ヤマシタパール」:漁船に乗って沖合へ真珠を迎えに行く

真珠のブレスレットが完成しました。海の上で母貝からとり出したばかりの、世界に1つだけの真珠ブレスレット。毎日身に付けたくなります。

ヤマシタパール

住所愛媛県宇和島市平浦1028
電話050-3590-3299
営業時間10:00~17:00
定休日火・水曜
※臨時休業あり
webヤマシタパール 公式サイト
体験予約漁船クルージングは電話にて要予約。集合は民宿「遊海」建物前(集合場所の住所:愛媛県宇和島市平浦995-3)。

1粒1粒が一点もの。“本物”を長く大切に使う

画像: 1粒1粒が一点もの。“本物”を長く大切に使う

昔から健康・円満・長寿・富など、さまざまな願いが込められ大切にされてきた真珠。時間をかけて丁寧に育てられた、本物の真珠が生み出すツヤや色合いは、見るたびに前に進むパワーをくれるお守りになること間違いなし。真珠の名産地・宇和島で美しい海を見ながら体験し、世界に1つだけの一生ものと出合う旅に出かけてみませんか。

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(参考)真珠ができるまで

画像1: (参考)真珠ができるまで

真珠養殖は、真珠を育てる貝(母貝)を養殖するところから始まります。母貝を仕入れた後、真珠の芯の部分にあたる核を挿入するのですが、その前にとても大切な「抑制」と呼ばれる工程があります。

抑制とは、密閉された通気性の悪いかごに母貝を詰め込み、程よく貝を弱らせる作業のこと。弱らせると聞くと心配な気持ちになってしまうかもしれませんが、実は仮死状態にすることで貝に麻酔のような効果を与え、核入れ時の母貝へのストレスを最小限にできるのです。人間が大きな手術の前に入院するのと同じようなものと考えるとわかりやすいでしょう。

画像2: (参考)真珠ができるまで

抑制期間が終われば、いよいよ、核入れへ。この作業には特に熟練の技術が必要で、一人前になるためには数年かかるとのことです。それでも、作業が早い職人さんは1日に1,000個もの核入れをこなすといわれています。

画像3: (参考)真珠ができるまで

核入れされたアコヤガイは、傷口が癒えるまでの約1カ月間、波の少ない湾内で養生した後、一つ一つチェックしてから沖に移されます。そして、沖出しをした後も1、2週間に1度は貝の状態のチェックや表面の掃除を行うなどの細かな管理が必要です。

アコヤガイから真珠をとり出すのは、水温が低くなり真珠が特に美しく輝く冬になってから。アコヤガイの貝殻は螺鈿(らでん)細工やボタンなどの材料となるため輸出され、貝柱は貴重な珍味として食卓に並びます。

画像4: (参考)真珠ができるまで

通常、とり出した真珠は大きさや美しさにより選別され、競りにかけられますが、中にはアクセサリーの加工まで自分たちで行っている生産者もいます。宇和島では、先ほどご紹介したスポットのように、玉出し作業の一部や真珠の加工を体験できる機会を用意しているので、ぜひ現地で体験してください。

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