島根半島の北方約60kmに浮かぶ島々、隠岐諸島。悠久の時を経て地球がつくり上げた雄大な自然美、世界的にもミステリアスで独特な生態系、そして古代から現代へと続く人の営み──これらの深いつながりを体感できる地として、ユネスコの世界ジオパークにも認定されています。また、古代より神々が宿る地とされてきた隠岐諸島では、配流となった都人の影響もあって高度な文化・風習も数多く育まれました。

豊かな自然のもと、独自の歴史・文化が育まれた隠岐諸島には、神秘的なパワースポットが数多くあります。その魅力を、「島後」と「島前」、それぞれのエリアごとにご紹介。隠岐諸島で“神々のパワー“を受け取って、英気を養う旅はいかがでしょう。

画像1: 島根・隠岐諸島でパワースポットを巡る。神々の歴史と雄大な自然に触れる島旅

神々が息づき、貴族が暮らした島。独自の歴史文化に触れる

画像: 神々が息づき、貴族が暮らした島。独自の歴史文化に触れる

隠岐諸島には大小合計180余の島がありますが、人が暮らしている主要な島は「島後」「知夫里島」「西ノ島」「中ノ島」の4つ。古事記によると、イザナギノミコトとイザナミノミコトが、淡路島、四国に次いで3番目に生んだ島といわれているのが「隠伎之三子島(オキノミツゴノシマ)」――現在の隠岐諸島です。「隠岐には主に4島あるのに、なぜ“三つ子”島?」と不思議に思う人もいるかもしれません。隠岐諸島の中で最大の島である島後を「親島」、知夫里島・西ノ島・中ノ島を「子島」とし、親島に率いられた三つの子島という意味だといわれています。まずは島の寺社を訪ね、神話の息吹と独自の歴史・文化を感じてみましょう。

【島後】玉若酢命神社

画像1: 【島後】玉若酢命神社

親島「島後」の玄関口・西郷港からバスで5分の場所にあるのが、島の開拓に関わった「玉若酢命(たまわかすのみこと)」を祀る玉若酢命神社(たまわかすみことじんじゃ)です。平安時代当時、朝廷から重要視された神社が記載されている「延喜式神名帳」にも名を連ねる由緒ある神社。隠岐最古の1793年に造営された本殿は、この地域独特の建築様式「隠岐造り」で建てられており、素朴な中にも荘厳な雰囲気を醸し出しています。

境内でひときわ存在感を放っているのが、推定樹齢2000年といわれる八百(やお)杉です。伝説では、不死となった八百比丘尼(やおびくに)が植えたとされています。大蛇が生きたまま閉じ込められたとの言い伝えも残っており、幹に耳を寄せると大蛇のいびきが聞こえるとか聞こえないとか……遥かなる時を生き続けてきた巨木からは、人を寄せ付けないような威厳と、温もりある大きな包容力を兼ね備えた不思議な魅力を感じます。

画像2: 【島後】玉若酢命神社

毎年6月5日に行われる神事「御霊会風流(ごれえふりゅう)」のうち、特に「馬入れ神事」は、狭い参道を馬と人が一気に駆け上がる勇壮な神事として知られています。かつては島前島後から48頭の神馬が参集しましたが、元禄時代に島前からの船が難破して人も馬も海中に没したことから、現在は島後8地区から8頭が集まります。8頭がそれぞれ6人の引き手と一体となって駆けるさまは迫力満点、必見の行事です。

画像1: 写真提供:隠岐の島町役場

写真提供:隠岐の島町役場

玉若酢命神社

住所島根県隠岐郡隠岐の島町下西713
電話08512-2-0571
アクセス西郷港より車で5分

【島後】隠岐国分寺

画像: 【島後】隠岐国分寺

同じ島後の最大の平野、八尾平野北部の丘陵地には、隠岐に流された後醍醐天皇の行在所(あんざいしょ)としても知られる隠岐国分寺があります。創建年代は不明ですが、741年の「国分寺建立の詔」が出されたころに、聖武天皇の命で建てられたとされています。当時、疫病の大流行や災害によって人々は非常に苦しんでいました。そこで聖武天皇は、仏教の力を借り、国を鎮めようと考えたのです。

この寺では平安時代から伝承されている民俗芸能「隠岐国分寺蓮華会舞」が毎年4月21日、奉納公演されています。芸能史的にも価値が高く、国の重要無形民俗文化財に指定されています。宮廷舞楽の流れをくむ貴重な舞、ぜひご覧ください。

隠岐国分寺

住所島根県隠岐郡隠岐の島町池田風呂前5
電話08512-2-2934
拝観時間8:30~17:30(3月~11月、※6月~9月は18:00まで拝観可)
定休⽇11月1日~3月20日(事前予約にて開門する)
拝観料金大人400円 小人200円 15名以上団体割引あり
アクセス西郷港より車で10分

※「隠岐国分寺蓮華会舞」は、新型コロナウイルスの影響により2021年は中止となります。「隠岐国分寺春季大法要(正御影供・四天王尊祈願祭)」は実施されます。

【島前】隠岐神社

画像1: 【島前】隠岐神社

奈良時代以降、天皇や貴族ら朝廷要人の「遠流(おんる)の地」とされてきた隠岐諸島。鎌倉時代、承久の乱の後に隠岐に遷られた後鳥羽上皇を祀るのが、島前・海士町にある隠岐神社です。春秋の例祭日には、後鳥羽上皇が詠んだ和歌「われこそはにゐじま守よ隠岐の海のあらきなみかぜ心してふけ」に楽と振りを付けた、承久楽が奉納されます。

竹灯籠の灯りに包まれた夜、神主の導きの下で厳かに御祈祷する「夜祈願」を体験することもできます(要予約。2021年3月現在、新型コロナウイルスの影響で予約は受け付けていません)。

画像2: 【島前】隠岐神社

隠岐神社

住所島根県隠岐郡海士町海士1784
電話08514-2-0464
アクセス菱浦港からバス10分、隠岐神社前下車
webhttp://www.okijinja.sakura.ne.jp/

「ご島地グルメ」で隠岐のソウルフードを満喫

暖流と寒流が流れ、豊かな山からの栄養分をたっぷり含んだ水が流れ込む、澄んだ海に囲まれた隠岐諸島。無数のプランクトンが繁殖し、幾種もの海藻や貝類にあふれる海には、さまざまな魚たちが季節ごとに回遊してきます。母なる海と、大地からの恵みをふんだんに使った「ご島地グルメ」は、豊穣の地に感謝しつつ共に生きてきた島の人々の日常でもあります。隠岐を堪能するには、食は欠かせません。

【島後】さざえ丼

画像1: 【島後】さざえ丼

海に囲まれた隠岐で、1年を通して豊富に獲れる魚介の代表格がサザエ。春から初夏が旬で、さまざまなメニューで食べられています。そんなサザエを気軽に、しかもたっぷりと味わいたい人におすすめなのが、さざえ丼です。

壮大な山に囲まれ、穏やかな海を望める絶景の地にある「ホテル海音里」では、2種類のオリジナルさざえ丼を味わえます。一つは、地元産のご飯に特製出汁で壺焼きにしたサザエを贅沢に2個載せた「さざえのつぼ焼き丼」。磯の香りと新鮮なサザエの甘みを堪能できる、まさにごちそう丼。あっという間に頂けてしまう一品です。

もう一つが、さっと茹でたサザエを特製出汁醤油につけて味わう「海音里のさざえ丼」。柔らかく旨みたっぷりの身は、刺身や壺焼きとはひと味違った上質な風味です。

画像2: 【島後】さざえ丼

ホテル海音里

住所島根県隠岐郡隠岐の島町南方1933-1
電話08512-5-3211
アクセス西郷港、隠岐空港から五箇方面(国道485号)へ車で約30分
webhttps://gokanosato.jp/

※2種類のさざえ丼は、時季によってサザエ以外の食材が変更になることもあります。

【島前】隠岐牛

島の恵みは魚介類だけではありません。ミネラルたっぷりの潮風と太陽を浴びて育った隠岐牛もぜひ口にしてほしい食材の一つです。ストレスのない環境と、一貫した飼育方法で愛情かけて育てられた隠岐牛は、通の舌をもうならせる絶品の黒毛和牛。正真正銘隠岐で生まれ育ったブランド牛のうち、4等級以上の雌牛のみ隠岐牛と認定されるため、一般市場にはほとんど出回っていない幻の一品なのです。その魅力をそのまま名前にしたかのような島前・海士町の店「島生まれ島育ち隠岐牛店」。自社でも生産をおこなう隠岐牛のさまざまな部位を最高の状態で楽しめます。

ランチでは、モモ・肩・バラの3種類の部位を味わえる「隠岐牛3品盛ランチ」や、ローストビーフにした隠岐牛がたっぷり載った「幻の贅沢丼」(夏季限定1日10食)、厚切りロースが楽しめる「隠岐牛極上ロースランチ」などが人気。箸でも切れるような柔らかさと、きめ細かくとろけるような甘みは、まさに絶品です。ディナーでは、すき焼きやしゃぶしゃぶで隠岐牛を満喫できます。

島に来たからこそ味わえる大自然のエネルギー。この地で生まれ育った牛の旨みは、やはりこの風土に身を置いたときに最大限に堪能できるような気がします。

画像: 【島前】隠岐牛

島生まれ島育ち隠岐牛店

住所島根県隠岐郡海士町大字福井1368
電話08514-2-1522(10:00~20:00)
営業時間飲食11:00~14:00(L.O.13:30)、17:00~21:30(L.O.20:45)
精肉店頭販売10:00~14:00、17:00~20:00
定休⽇水曜(臨時休業あり)
アクセス海士町・菱浦港より徒歩1分
webhttps://okigyu.com/

神話の時代から輝く、幻の絶景に会いに行こう

遥か昔はユーラシア大陸の一部だった隠岐諸島は、地殻変動によって少しずつ大陸から分離し、一時は海の底深くに沈んでいました。その眠れる大地が地表に現れるきっかけになったのが、火山です。約600万年前、島前と島後で起きた二つの激しいアルカリ火山岩の活動が、今の島の原型を造り出したのです。数百年、数千年も前の自然の活動の痕跡は、今も隠岐諸島の各地に残り、奇跡的な景色を生み出して現代人の心をとらえています。

【島後】ローソク島

画像: 【島後】ローソク島

火山時代の名残を象徴的に感じられるのが、島後北西の沖合に浮かぶ小島、ローソク島です。約500万年前に噴出してできた火山岩で形成された、まさに自然がつくり出した奇跡の造形物。高さ約20メートルの岩の頂点に夕日が重なると、まるでロウソクにあかりが灯ったかのように見えることから、この名が付けられました。晴天の波が穏やかな日に、島と夕日が醸し出す景観は、悠久の時と大自然が生み出した芸術の極みといっても過言ではありません。

ローソク島と日本海を一望できる展望台もありますが、何といってもおすすめは遊覧船からの景色。沈む夕日と、岩の頂点が重なってロウソクに火が灯る幻想的なカットは、海からしか望むことができません。隠岐に来たら、ぜひとも船に乗り、唯一無二の奇跡的な景色を堪能できるクルージングを楽しんでください。

ローソク島展望台

住所島根県隠岐郡隠岐の島町代
電話08512-2-0787(隠岐の島町観光協会)
アクセス西郷港から車で約50分
webhttps://www.town.okinoshima.shimane.jp(隠岐の島町観光協会)

※遊覧船の運航は、4~10月(要予約)。中学生以上3,000円、小学生1,500円、幼児無料。

【島後】油井前の洲

画像1: 【島後】油井前の洲

「油井前の洲(ゆいまえのす)」は、約2000万年前に日本海が湖だったころの地層が波と風に浸食され、できあがった波食棚です。夏場は水面下に沈んでいますが、海面が低下する冬季には、まるで浮き出たかのようにその姿を現します。美しさが特に際立つのが、沈みゆく夕日と、刻々と表情を変える空や奥に広がる海、そして遥かなる時を経て顔を見せた磯がシンクロする日没前後です。次々に移り変わる色彩のグラデーションは、圧倒的な美しさ。神秘的な絶景で有名な南米ボリビアのウユニ塩湖にも匹敵すると称される幻想的な風景です。

画像2: 【島後】油井前の洲

油井前の洲

住所島根県隠岐郡隠岐の島町油井
電話08512-2-0787(隠岐の島町観光協会)
アクセス西郷港から車で約50分
webhttps://www.town.okinoshima.shimane.jp(隠岐の島町観光協会)

【島前】国賀海岸

画像1: 【島前】国賀海岸

長い年月の風化や海食によって特異的な風景美をつくり上げてきた隠岐諸島の海岸線。中でも「隠岐一」とも称されるのが、島前・西ノ島町北西に位置する「国賀海岸」です。東西約7kmにわたって断崖、絶壁、洞窟が続いており、国の名勝、および天然記念物に指定されています。圧巻なのが257mの高さにそびえる国内最大級の海崖、「摩天崖(まてんがい)」。ほぼ垂直に切り取ったような大絶壁と、澄んだアクアマリンの海とのコントラストは、思わず息をのむほどの眺望です。

画像2: 【島前】国賀海岸

アーチ状の天然の岩の架け橋、「通天橋」も必見。海にせり出した巨大な岩石の中央部が海食作用によってえぐりあけられたもので、大自然が生む造形美の妙には改めて感嘆させられます。岩はよく見ると、赤、白、灰色などに彩られています。幾度となく繰り返されてきた噴火の跡を、地層の模様で楽しむことができるのです。

画像3: 【島前】国賀海岸

海岸線の一角には、イタリア・カプリ島の「青の洞窟」に勝るとも劣らない美しい天然のトンネル、「明暗の岩屋(あけくれのいわや)」があります。延長200mに及ぶ暗い洞窟を奥に進むと、降り注ぐ光とコバルトブルーの水面が醸し出す幻想的な世界が待ち構えています。天候の良い時にのみ、観光船で行くことができる稀有な地。運よく通り抜けられると幸運になるともいわれており、おすすめしたいパワースポットの一つです。

国賀海岸

住所島根県隠岐郡西ノ島町浦郷
電話08514-7-8888(西ノ島町観光協会)
アクセス別府港から西ノ島町営バス(国賀方面行)約20分
webhttps://nkk-oki.com/japan/ (西ノ島町観光協会)

※定期観光船の運航は、3月1~19日の土日と、3月20日~10月末。オープントップのNEW観光船は4~10月末。料金や運航時刻などは、西ノ島町観光協会のWEBサイトを参照。

画像4: 【島前】国賀海岸

日本海の離島、隠岐は、多様性に富んだ地形や地質、独特の歴史・文化、それに「ご島地グルメ」など、他に類を見ない魅力にあふれています。神々の島、隠岐諸島でゆったりと、スピリチュアルな旅を満喫してみませんか。

文:門脇奈津子

※この記事は2021年4月6日に一部内容を更新しました

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