雄大な吉野川や鳴門の渦潮、うみがめが訪れる海岸、日本三大秘境といった大自然が広がる徳島県。藍染めや大谷焼、阿波和紙といった伝統工芸が盛んで、県内各地に伝わる郷土料理もユニークです。同じ県でも地域によって町並みや自然の表情、食べ物など、そのあり方はまったく異なります。

この記事では、1泊2日でめぐる徳島の旅をご提案。前編は、日本三大秘境のひとつ・祖谷(いや)地区、山間部に伝わる郷土料理、そして徳島が誇る3つの伝統工芸などを紹介します。大谷焼の器や藍染めのバッグ作り、秘境クルージングなど、徳島らしい体験を存分に楽しんでください。

【1日目】旅の思い出を形にして。『大谷焼 元山窯』で陶芸体験

徳島阿波おどり空港から車で約20分。鳴門市の西部に位置する大麻町には、徳島の代表的な陶芸品・大谷焼の里があります。およそ240年の歴史を誇る大谷焼は、江戸時代後期に九州から来たお遍路さんによって陶芸の技術が伝えられたことが始まり。明治期には藍染めに使う“藍甕(あいがめ)”などの大物が多く作られ、発展しました。近年はその素朴な風合いを活かした個性溢れる食器や生活雑貨が作られ、県内外の陶器ファンを魅了しています。

画像1: 【1日目】旅の思い出を形にして。『大谷焼 元山窯』で陶芸体験

現在、大麻町には6軒の窯元があります。その中の一つ、10代目・田村栄一郎さんが率いる『大谷焼 元山窯』。アニメとコラボした作品づくりや、東京のテーブルウェア・フェスティバルの特別審査部門で入賞するなど、精力的に活動しています。

画像2: 【1日目】旅の思い出を形にして。『大谷焼 元山窯』で陶芸体験

店内には大物陶器から作家性が強い作品、流行のワンプレート皿まで種類豊富。藍や鳴門の海を思わせる美しい青色には定評があります。

画像3: 【1日目】旅の思い出を形にして。『大谷焼 元山窯』で陶芸体験

ピアスや指輪、ブローチなどの陶器アクセサリーも。つけ心地は軽く、やさしい質感がかわいらしいです。

画像4: 【1日目】旅の思い出を形にして。『大谷焼 元山窯』で陶芸体験

本店から少し離れた工房では、陶芸体験ができます。体験メニューは、電動ろくろ(お手軽コース2,100円~)、手びねり(湯呑サイズ2,000円~)、絵付け(800円~)の3種。大谷焼の伝統工芸士が在籍しており、丁寧に教えてくれるので初心者でも安心です。作った器は焼いて後日郵送してくれます(別途料金)。旅の思い出に、ぜひ世界に一つだけの器を作ってみてください。

大谷焼 元山窯 田村陶芸展示館
住所徳島県鳴門市大麻町大谷字中通り3-1
電話088-689-4039
営業時間9:00~17:00(体験は9:30~、11:00~、13:30~、15:30~)
定休日無休
予約方法電話 ※前日までの要予約

和の趣を残す古民家カフェ『Punta』で粋なイタリアンを味わって

2020年5月に、うだつの町並みに仲間入りしたイタリアンカフェ『Punta』。店名はプンタと読み、意味はイタリア語で“先端”。新しい風をうだつにもたらすという思いが込められています。

画像1: 和の趣を残す古民家カフェ『Punta』で粋なイタリアンを味わって

大谷焼 元山窯からは、西に向かって車で50分ほど。西山邸と呼ばれる築およそ100年の古民家を改装しており、六本木ヒルズにあるイタリア料理店『La Brianza』の奥野義幸シェフが料理・サービスなどの監修をしています。

画像2: 和の趣を残す古民家カフェ『Punta』で粋なイタリアンを味わって

ランチ・ディナーコースが用意されており、阿波とん豚や阿波尾鶏など徳島県産の食材を使用した料理も登場します。前菜、デザートと、味はどれをとっても絶品。一番初めに出てくる、ピザ生地に海藻を混ぜて揚げたナポリ料理“ゼッポリーネ”が抜群に美味で、出だしから感動すること必至です。

Punta ITALIAN/CAFE
住所徳島県美馬市脇町大字脇町39-1
電話0883-52-8137
営業時間ランチ11:00~14:30(13:30L.O.)、カフェ14:30~17:00、ディナー18:00~22:00(21:00L.O.)※日曜は~14:30(13:30L.O.)
定休日月曜

江戸時代の風情が残る『うだつの町並み』は見ごたえあり

江戸時代中期から明治にかけて、藍の集散地として栄華を極めた美馬市脇町にある『うだつの町並み』。国指定重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

画像1: 江戸時代の風情が残る『うだつの町並み』は見ごたえあり

明治時代頃のものを中心に、江戸中期から昭和初期の伝統的建造物が軒を連ねており、現存する最古のもので1707(宝永4)年のもの。

画像2: 江戸時代の風情が残る『うだつの町並み』は見ごたえあり

この町並みの大きな特徴は、日本家屋の屋根に取り付けられる防火壁“うだつ”が多く見られることです。これを造るには相当の費用がかかったため、藍商人をはじめ、財を成した商家にとって“うだつ”は財力のシンボルでした。

画像3: 江戸時代の風情が残る『うだつの町並み』は見ごたえあり

およそ430mある通りには、古民家を利用したカフェやおみやげ物店が点在。

画像4: 江戸時代の風情が残る『うだつの町並み』は見ごたえあり

中でも2020年5月にオープンしたばかりの『うだつ上がる』に注目を。「多様な生き方・暮らし方を営む人々が集うスクランブル交差点」として、築150年の古民家をリノベーションした複合文化施設です。

設計事務所をはじめ、雑貨・日用品スペースや書店、古着屋、カフェ&バー、ギャラリーなど、見どころが盛りだくさんです。

うだつの町並み
住所徳島県美馬市脇町大字脇町2
電話0883-52-2644
みんなの複合文化市庭- うだつ上がる
住所徳島県美馬市脇町大字脇町156
電話050-3433-8218
営業時間11:00~18:00
定休日水曜、不定休

伝統の技を体験! 『美馬市観光交流センター』で藍染めアイテムを作ろう

徳島を語るうえで欠かせないのが阿波藍。徳島は、藍染めの元になる藍染料「すくも」づくりの本場です。

画像1: 伝統の技を体験! 『美馬市観光交流センター』で藍染めアイテムを作ろう

先ほど紹介したイタリアンレストランPuntaのほど近くに位置する『美馬市観光交流センター』。その横にある藍染工房では、ハンカチ(1,010円~)、ストール(5,090円~)、エコバッグ(2,030円)などの藍染め体験ができます。持込品の藍染めもOK(市民1g20円、市民以外は1g30円)。

画像2: 伝統の技を体験! 『美馬市観光交流センター』で藍染めアイテムを作ろう

化学染料を使用しない“天然灰汁発酵建て”という昔ながらの製法で作られた染料を使用。藍に関する知識や模様の付け方などは、わかりやすくレクチャーしてくれるので、誰でもきれいな藍染めに挑戦できます。

画像3: 伝統の技を体験! 『美馬市観光交流センター』で藍染めアイテムを作ろう

模様の付け方やその時の気温や湿度などで、出る色が異なるので、二つと同じものは作れません。エコバッグ普及中の今、藍染めでオリジナルバッグを制作してお土産にするのもいいですね。

美馬市観光交流センター(藍染工房)
住所徳島県美馬市脇町大字脇町45
電話090-3188-3711
営業時間9:00~17:00(体験受付~15:00まで)
定休日第2水曜
予約方法電話 ※2日前までの要予約

ケーブルカーで登る『新祖谷温泉 ホテルかずら橋』の天空露天風呂

うだつの町並みから離れてさらに西へ、車で1時間ほど。日本三大秘境の一つ“祖谷渓”、吉野川の上流に位置する奇勝奇岩の名勝地“大歩危(おおぼけ)”に温泉が点在する大歩危祖谷温泉郷。大歩危温泉や祖谷温泉など、泉質の異なる温泉を楽しむことができて、四季折々の表情を見せる美しい自然も魅力です。

画像1: ケーブルカーで登る『新祖谷温泉 ホテルかずら橋』の天空露天風呂

『新祖谷温泉 ホテルかずら橋』では、ケーブルカーに乗って向かう天空の露天風呂が人気を集めています。

画像2: ケーブルカーで登る『新祖谷温泉 ホテルかずら橋』の天空露天風呂

標高400メートルほどの山の中。草木に囲まれ、光が差し込む庭は心地よく、まるで別世界に迷いこんだかのよう。目の前には美しい里山の風景が一面に広がっています。

画像3: ケーブルカーで登る『新祖谷温泉 ホテルかずら橋』の天空露天風呂

風呂上がりには、茅葺き屋根の無料休憩スペース「半兵衛の家」でひと休みを。正面に山を望む絶景の天空足湯も満喫してください。

新祖谷温泉 ホテルかずら橋
住所徳島県三好市西祖谷山村善徳33-1
電話0883-87-2171
営業時間10:30~17:00(16:00最終受付)
定休日不定休

【2日目】秘境ならではの絶景が満喫できる『祖谷のかずら橋』

2日目のスタートは、日本三奇橋の一つとして知られる『祖谷のかずら橋』から。冬場に厳寒な山野で採取した約5トンの“シラクチカズラ”を編み重ねて造られているダイナミックな橋で、3年ごとに架け替えが行われます。

画像1: 【2日目】秘境ならではの絶景が満喫できる『祖谷のかずら橋』

一歩一歩踏み出すたび、キシキシと音が鳴り、ユラユラと揺れるのでスリリング。しかし、橋の周りを囲む木々、木漏れ日、眼下には祖谷川の渓流と、すべて合わさって最高に絵になる景色が楽しめます。

画像2: 【2日目】秘境ならではの絶景が満喫できる『祖谷のかずら橋』

また、春は藤、夏は新緑、秋は紅葉に染まり、冬は雪景色と、いつ訪れても日本の四季の美しさを存分に堪能できます。

祖谷のかずら橋
住所徳島県三好市西祖谷山村善徳162-2
電話0883-76-0877(三好市観光協会)
営業時間4月~7月20日(7:00~18:30)、7月21日~8月(6:30~19:00)、9月(7:00~18:30)、10月~11月(7:00~17:30)、12月~2月12日(8:00~17:00)、2月13日~3月(8:00~18:00)
※令和3年1月~2月頃架け替え予定。
料金渡橋大人550円

『かずら橋夢舞台』でお土産探しや郷土料理を堪能して

『祖谷のかずら橋』を渡ったあとは、徒歩ですぐの『かずら橋夢舞台』へ立ち寄ってみては。

画像1: 『かずら橋夢舞台』でお土産探しや郷土料理を堪能して

大型駐車場やイベント広場、物産館、食堂からなる観光施設です。

画像2: 『かずら橋夢舞台』でお土産探しや郷土料理を堪能して

館内には、特産品を含め、たくさんのお土産品がズラリ。食堂『かずら橋亭』では名物・祖谷そばのほか、麺類や各種定食を提供しています。施設の前にアイスクリームなどの屋台が並ぶことも。

画像3: 『かずら橋夢舞台』でお土産探しや郷土料理を堪能して

祖谷の郷土料理“でこまわし”は必食。ジャガイモやそば団子、こんにゃく、祖谷の地方で昔から作られている岩豆腐を人形に見立てて串に刺しており、炭火でじっくり焼かれています。ジャガイモはほっこり、豆腐はしっとりとした食感で、田楽みその香ばしい風味がたまりません。ほかにもアマゴ(徳島ではアメゴと呼んでいる)やアユの焼き魚、焼きイモや焼きトウモロコシもあります。

かずら橋夢舞台
住所徳島県三好市西祖谷山村今久保345-1
電話0883-87-2200
営業時間9:00~18:00(12~3月は~17:00)
定休日無休

『フォレストアドベンチャー・祖谷』でエキサイティングな樹上体験を

ひと休みしたら、祖谷の大自然をさらに体感できる場所へ。「フォレストアドベンチャー・祖谷」は、傾斜地を利用した大迫力のアスレチック場。敷地面積はなんと約1ヘクタール(25メートルのプールが36個分!)あります。

画像1: 『フォレストアドベンチャー・祖谷』でエキサイティングな樹上体験を

アドベンチャーコース(大人4,100円)では、自然の森に設置された30個ほどのアクティビティを約2時間かけてクリアします。

画像2: 『フォレストアドベンチャー・祖谷』でエキサイティングな樹上体験を

最大高低差15メートルというロープ渡りや吊り橋渡りなど、どれもこれもスリル満点です。

画像3: 『フォレストアドベンチャー・祖谷』でエキサイティングな樹上体験を

コースの最後は、祖谷川を横断する高さ50メートル・長さ360メートルのジップスライド。かなりダイナミックですが見る景色がドンドン変わるので、祖谷の自然豊かな景色を満喫できるうえ、爽快感は抜群です。

サンダルやスカートはもちろんNG。動きやすい服装で訪れてください。

フォレストアドベンチャー・祖谷
住所徳島県三好市西祖谷山村村尾井ノ内379(祖谷ふれあい公園内)
電話080-6287-2105
営業時間アドベンチャーコース受付9:00~15:00、ジップラインは~16:30
定休日不定休 ※冬季(12月下旬~2月)は休業

自然が生みだした絶景を『大歩危峡観光遊覧船』から眺めて

吉野川の激流により、2億年余りの長い歳月をかけて作られた渓谷・大歩危峡。国指定の天然記念物で、雄大かつ繊細な岩場は季節や天候によって淡青だったり、淡緑だったりさまざまな彩りを見せてくれます。

画像1: 自然が生みだした絶景を『大歩危峡観光遊覧船』から眺めて

この大自然が生みだした造形美を間近で体感したいなら『大歩危峡観光遊覧船』がおすすめ。乗り場は複合施設『大歩危峡まんなか』にあります。通年運航しており、1名からでも気軽に乗船可能(大人1,200円)。所要時間は約30分です。

画像2: 自然が生みだした絶景を『大歩危峡観光遊覧船』から眺めて

船上から眺める岩肌は、険しさの中に美しさが感じられます。全国的にも珍しい含礫片岩(がんれきへんがん)という淡い青灰色の岩をはじめ、まるで彫刻のような奇岩・巨岩が次々と視界に現れます。

画像3: 自然が生みだした絶景を『大歩危峡観光遊覧船』から眺めて

乗船中は、ベテランの船頭さんが渓谷の見どころを詳しくガイドしてくれるので、解説に耳を傾けながら景色を堪能しましょう。

画像4: 自然が生みだした絶景を『大歩危峡観光遊覧船』から眺めて

川下りの途中に、アイガモやトンビなどの野鳥が遊覧船に近づいてくることも!

大歩危峡まんなか(大歩危峡観光遊覧船)
住所徳島県三好市山城町西宇1520
電話0883-84-1211
営業時間9:00~16:00(15:30最終出航)、土日祝9:00~17:00(16:30最終出航)
定休日無休(増水・強風・悪天候時は欠航。webサイト 要確認)

伝統技術を見学&体験できる『阿波和紙伝統産業会館』

徳島県では古くから和紙の製造が行われ、特に吉野川市で生産される和紙は総称して“阿波和紙”と呼ばれています。一枚一枚手すきで作り上げていく阿波和紙は丈夫で破れにくいうえ、やわらかくやさしい手触り。

画像1: 伝統技術を見学&体験できる『阿波和紙伝統産業会館』

吉野川市にある『阿波和紙伝統産業会館』では、阿波和紙の製造風景の見学や紙すき体験ができて、国内外問わずさまざまな人々が訪れています。

画像2: 伝統技術を見学&体験できる『阿波和紙伝統産業会館』

オリジナルの和紙を作ることができる紙すき体験(500円)は、職員さんが丁寧にアドバイスしてくれ、大人から子どもまで楽しく取り組めます。紙すきの後には、着色された色とりどりのパルプという紙の原料を使って絵付けを体験。好きな模様に仕上げることができます。作品はその日のうちに持ち帰ってOK。

画像3: 伝統技術を見学&体験できる『阿波和紙伝統産業会館』

1階のショップでは、便せんやお茶缶、せんすなど阿波和紙製のユニークな雑貨が並んでいます。友達や自分へのちょっとしたお土産として買って帰るのにおすすめです。

阿波和紙伝統産業会館
住所徳島県吉野川市山川町川東141
電話0883-42-6120
営業時間9:00~17:00
定休日月曜(祝日の場合は翌日)

徳島の旅・前編では、伝統工芸・郷土料理・絶景といった、古き良き徳島の魅力を凝縮した県西部をめぐるプランをご案内しました。徳島が遥か昔から守ってきた歴史と伝統に触れる、体験の旅に出かけてみてください。

■徳島の旅・後編はこちら

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