
西村 愛
2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。
隠岐国(隠岐諸島の旧国名)の歴史巡り。隠岐諸島と言えば歴史上、政変などにより身分の高い天皇や上皇などが配流された島。沢山のお祭りや島独特の文化があり、歴史を辿る旅も楽しいものです。立派な本殿を持つ神社を訪問し、おしゃれなコーヒーショップにも立ち寄ります。
正直驚いた!島にもあったおしゃれカフェ。こだわりのコーヒーと雑貨を楽しめる「スロボダ カフェ」
隠岐の島町の路線バスの発着場所でもある隠岐病院近くのカフェ「スロボダ カフェ(SLOBODA CF)」。日用品やギフト、インテリア用品などを扱うお店「あずま家具、サラダ館」の一角で営業する小さなカフェですが、とてもセンスが良くこだわりのお店です。
ハンドドリップ、エスプレッソマシン、サイフォン式など、色んなコーヒーを色んな淹れ方で提供してくれます。何よりも店長の石川さんが楽しそうに淹れてくれる姿がコーヒー愛に溢れています。
居心地の良い空間でバスの待ち時間も退屈しなそう、むしろ乗り遅れには気を付けなければなりません。
バス待ち時間にふらりと寄りたい、スロボダカフェ。
家具やインテリアショップの一角にある小さなカフェです。
シングルオリジン(単一農園)コーヒー豆や、生育方法から品質管理ができた豆が取り扱われています。
サイフォン、マシン、ドリップと、豆に合わせた抽出方法。
隠岐にUターンした石川さん。昨年2017年7月にこのカフェをオープンさせました。
アイスコーヒー、おしゃれです。テイクアウトも可能です!
お店のインスタグラムも雰囲気ある写真がいっぱい。「sloboda.cf」で検索。
樹齢約二千年!八百杉に守られた玉若酢命神社
愛の橋商店街からは自転車で10分程度で到着する「玉若酢命神社(たまわかすみことじんじゃ)」。到着すると大きな鳥居がまず見えて、その後太い太い幹を持つ樹齢およそ二千年と言われる巨大な杉の木「八百杉(やおすぎ)」が目に飛び込んできます。隠岐の島町では最古クラスで、国指定の天然記念物。なんとも必死に生きてきた姿を目の当たりにするとそれだけで心洗われる気分です。
また「玉若酢命神社」は数ある隠岐の島町の神社のなかで、最も古い社殿を持つ神社です。
本殿は先日大屋根の葺き替えが終わったばかり。隠岐造りという独特な形をしており、神々しいほどに金色に光り輝いていました。
はみ出る八百杉(やおすぎ)。奥は玉若酢命神社の拝殿。
拝殿に向かう階段です。段差が浅くなっているのはこの神社で行われる「馬入れ神事」のため。狭い参道を馬が駆け抜ける迫力ある神事とのこと。一度見てみたいですね。
立派な拝殿。この時ちょっと雨強めでした。
こちらの小さな建物は旧拝殿。ぱっと見は現拝殿の方が意匠も凝っていて大きいのですが、この旧拝殿は186年建立の古いもので、国指定重要文化財。
茅葺きの大屋根は葺き替えられたばかりで輝かんばかり!「隠岐造り」と呼ばれる様式を持つ本殿。
境内には湧き水があり、真ん中に社があります。この地下水は八百杉の下にも流れているそうで、それゆえ約二千年も生きてこれたのだというお話を伺いました。
杉の巨木「八百杉」。隠岐三大杉のひとつ。太い幹の中はすっかり空洞化したおじいちゃん杉ですが、今も必死に生きています。ごつごつとした木肌を目の前にするとその生命力の強さが伝わってきて、まさに神が宿っているかのよう。
玉若酢命神社の脇から裏山には古墳群があります。
玉若酢命神社は隠岐国の総社。ここをお参りすれば隠岐の全ての神様に詣でたことになると言われています。見ごたえのある神社でした。
緑深き寺、隠岐国分寺は後醍醐天皇のお住まいがあったといわれる場所
静かなお寺、隠岐国分寺へやってきました。ここは元弘の変で遠流となった後醍醐天皇の行在所跡とされ(諸説あり)、その旨の石碑も建てられています。
また国指定重要無形民俗文化財である「蓮華会舞」の伝承の場でもあり、本堂横の「蓮華会之館」では使われる面や舞の説明書きや舞台などがあります。
梅雨時の雨あがり、緑が美しい境内で歴史と文化に思いを馳せる時間となりました。
隠岐国分寺。2007年に本堂が焼失してしまい、再建された本堂が今の姿。
「国分寺」とは聖武天皇時代に各地に建てられたお寺のこと。隠岐国分寺も由緒ある場所で、国の史跡に登録されています。
鐘楼がありました。かつては三重塔もあったそうです。
緑が美しい境内でした。雨の日もいいものです。
後醍醐天皇の行在所跡石碑。後醍醐天皇は隠岐に流されてきた後、あの日本海の荒波の中を脱出したんですね。後醍醐天皇のお住まいは、西ノ島の黒木御所ではないかという説もあります。
「蓮華会舞」の資料館及び舞台。隠岐国分寺に伝わる民俗芸能。なんとなくお面がバリ舞踊みたいな感じで異国風なんです、一度見てみたいお祭りです。
港からは路線バスで15分くらいの距離です。古の情景や寺の姿を想像しながら見ると楽しいです。
後編はこちら
掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。