愛媛の中心地といえば、松山市。実は、そこから少し足をのばしたところにも、旅好きを満足させる観光スポットが点在しています。道後温泉やみかんだけではない、愛媛ならではの魅力満載の観光スポットを紹介していきましょう。
前編に続き、地元・松山のガイド誌を手掛ける編集者がナビゲート。後編は、松山市から車で約1時間~1時間30分の場所に位置する港町・八幡浜市(やわたはまし)と、歴史的な遺構も数多く残る宇和島市の魅力に迫ります。

前編はこちら

文・写真:タウン情報まつやま編集部

【八幡浜】中四国初登場! 珍しい源泉を持つ「八幡浜黒湯温泉みなと湯」

画像: 八幡浜市待望の温泉としてオープン!

八幡浜市待望の温泉としてオープン!

2016年に八幡浜市にオープンした「八幡浜黒湯温泉みなと湯」。こちらの温泉では中四国初の湧出と言われている、「モール泉」という珍しい温泉を堪能できます。

「モール」とは湿原(泥炭地)を意味する言葉で、ヨーロッパでは腐植物を含む泥炭を直接肌に塗る美容法を「モール浴」と呼んでいます。モール泉は泥炭などに由来する腐植物(フミン質)を含むアルカリ性の温泉のことで、モール浴に似た効果も期待できるのだそうです。

画像: モール泉を堪能できる内湯。露天風呂には潮湯も備えています

モール泉を堪能できる内湯。露天風呂には潮湯も備えています

地下950mから湧き出した、肌にしっとりとなじむ湯は、保湿・保温効果が高いと評判で、「美人の湯」や「子宝の湯」としても有名。旅の疲れも癒やされます。

八幡浜黒湯温泉 みなと湯
営業時間9:00~23:00(札止め22:30)
定休日無休
入浴料大人600円、子ども(3歳~小学校6年)200円
住所愛媛県八幡浜市北浜1-7-39
webhttp://yawa-minatoyu.jp/

【八幡浜】ブラックな商品が勢ぞろい! 八幡浜にある「黒い商店街」とは?

さきほど紹介した「みなと湯」は、その湯の色から施設の屋号にも「黒湯」と銘打っています。それにともない、八幡浜市内の新町商店街で2016年にスタートした企画が「黒い商店街」です。

画像: アーケードの中は一見すると普通の商店街。しかし、少し歩みを進めてみると…

アーケードの中は一見すると普通の商店街。しかし、少し歩みを進めてみると…

画像: 「黒い自動販売機」を発見!

「黒い自動販売機」を発見!

画像: 「黒いポスト」も!

「黒いポスト」も!

画像: さらには黒い観光案内板まで!

さらには黒い観光案内板まで!

そう、町の至るところに“黒いもの”が点在しています。黒いものは商店街アーケードだけでなく、商店街内のお店にも。商店街の各所に置かれている「ブラックリスト」には、黒い商品を取り扱うお店やスポットがまとめられています。

画像: 宮川菓子舗の「黒豆モンブラン」

宮川菓子舗の「黒豆モンブラン」

例えばこちらの「黒豆モンブラン」は、明治から続く老舗菓子店「宮川菓子舗」が販売している「黒い」メニューの一つです。中は豆乳クリームと求肥の餅が入っていて、下の生地はサックリ食感。商店街を訪れた観光客に人気です。

宮川菓子舗
営業時間9:00~19:00
定休日水曜
住所愛媛県八幡浜市新町4

他にも「黒いちゃんぽん」や「黒いイタリアン」など、お店によってユニークなグルメがそろっています。ぜひ商店街を散策してたくさんの黒いものを見つけてください。

【八幡浜】八幡浜の老舗店「ロンドン」で名物ちゃんぽんに舌鼓

八幡浜の町を歩いていると、あちらこちらにちゃんぽんの看板を見かけます。実は八幡浜ではちゃんぽんが名物で、「八幡浜ちゃんぽん」という一ジャンルも築き上げているほど。長崎などの麺文化と、八幡浜の食文化が合わさって生まれたとされる、独自の味わいを楽しめます。

最大の特徴はダシ。有名な「長崎ちゃんぽん」は豚骨をベースとしたスープですが、八幡浜のちゃんぽんは鶏ガラやいりこでとった、あっさりとした味わいに仕上がっています。

画像: 新町商店街アーケード内にある人気店

新町商店街アーケード内にある人気店

市内に数十店あるちゃんぽんを出すお店の中でも有名なお店がこちらの「ロンドン」。創業は昭和25年と、商店街の中でも古くから続くお店です。

画像: 野菜もたっぷりと盛られているのが嬉しいですね!

野菜もたっぷりと盛られているのが嬉しいですね!

人気のちゃんぽんは、黄金色に輝くやさしい味わいのスープがなんとも味わい深い一杯。この味を求めて県外から足を運ぶ人も少なくありません。また、ちゃんぽん以外のメニューも豊富にそろっており、特に酢豚は人気なのだとか。

ロンドン
営業時間11:30~20:30
定休日水曜、毎月8日
住所愛媛県八幡浜市新町1466

【八幡浜】「道の駅八幡浜みなっと」で南予の名物をお土産に

画像: 市街地からすぐそばの場所にあり、アクセスも良好!

市街地からすぐそばの場所にあり、アクセスも良好!

観光もグルメも楽しんだ後は、おみやげも手に入れたいところ。そんな人におすすめなのが、八幡浜フェリーターミナルのすぐそばにある道の駅みなとオアシス八幡浜みなっと。敷地内には複数の施設が並んでおり、南予(なんよ)の美味や名産が一挙に手に入ります。

画像: アゴラマルシェには地元の野菜や果物、加工品までずらり

アゴラマルシェには地元の野菜や果物、加工品までずらり

まず紹介するのは「アゴラマルシェ」。広々とした敷地の中には、八幡浜や南予の名産、加工品が所狭しと並んでいます。

画像: 特に注目したいのがこちらのみかんジュースの棚

特に注目したいのがこちらのみかんジュースの棚

愛媛県の柑橘類生産量は全国1位で、柑橘王国として有名ですが、特に八幡浜は多種多様な柑橘が育てられている、いわば柑橘王国の首都。こちらのジュース棚にはなんと100種類以上の愛媛県産柑橘ジュースが並んでいて、愛媛の柑橘の魅力を余すことなく味わえます。

また、実は「みなっと」は今年日本で初めて開催された「ダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバル日本大会」の舞台にもなった地。大会に出品されたマーマレードも店内で買うことができますので、こちらもお見逃しなく。

画像: 朝から多くの人が集う、活気のある魚市場

朝から多くの人が集う、活気のある魚市場

アゴラマルシェに隣接する「どーや市場」では、では港町にふさわしい威勢の良い声が飛び交っており、八幡浜港に水揚げされた新鮮な魚介類が朝からずらりと並びます。

画像: 様々な種類の焼き立てパンが並ぶパン工房

様々な種類の焼き立てパンが並ぶパン工房

その他にも石窯で焼き上げるパンが味わえるパン工房や、スイーツやフードなどのラインナップが豊富なカフェなど、様々な施設がそろっています。休憩処としての利用ではなく、ここを目的に訪れる人も多い人気の場所。八幡浜に立ち寄った際は、ぜひ訪れたいスポットです。

道の駅みなとオアシス八幡浜みなっと
営業時間8:00~18:00(施設により異なる)
定休日なし(施設により休みあり)
住所愛媛県八幡浜市沖新田1581-23

【宇和島】真鯛を使った絶品料理・南予鯛めしを食べに行こう!

愛媛県は鯛(マダイ)の養殖で全国1位であることをご存じですか? 養殖マダイの生産量が全国シェアでなんと55%と、大きな生産量を誇ります。その秘密は、宇和海沿岸のリアス式海岸など身のしまった鯛を育てられる好環境と、おいしい魚を育てる技術の高さにあります。そんな鯛の養殖が盛んな地・宇和島では、鯛の食べ方も豪快そのもの! どんな食べ方なのか、ご紹介しましょう。

画像: 宇和島など南予地方で鯛めしといえば…このメニューです

宇和島など南予地方で鯛めしといえば…このメニューです

今回取材にご協力いただいたのは、宇和島市の「ほづみ亭」。その日に水揚げされた魚介を使った海鮮料理をメインに、宇和島の郷土料理を提供してくれるお店です。観光で来られた方だけでなく、地元の人の支持も厚いことからも、郷土料理に定評があることがうかがえます。

写真は、そんなほづみ亭の一番の人気メニュー「宇和島鯛めし」です。新鮮な鯛の切り身をご飯にのせて甘辛いタレや卵黄と一緒に絡めて食べます。鯛とご飯を一緒に炊き上げる、中予地域の「鯛めし」と異なり、南予地方に残る贅沢な郷土料理。ほづみ亭では、鯛の切り身をタレ漬けすることで、一層深い味わいに仕上げています。さて、どのように食すかというと…

画像: 鯛の切り身が入ったタレと卵をよくかき混ぜて…

鯛の切り身が入ったタレと卵をよくかき混ぜて…

画像: 切り身をアツアツの白ご飯にのせたら、タレをまんべんなくかけましょう

切り身をアツアツの白ご飯にのせたら、タレをまんべんなくかけましょう

画像: はい、できあがり! お好みに応じて薬味をかけて召し上がれ

はい、できあがり! お好みに応じて薬味をかけて召し上がれ

プリプリの切り身は弾力があって食べ応え満点! ついついおひつのご飯をおかわりしてしまうほど、箸が止まらなくなってしまう絶品料理です。ぜひご賞味あれ。

【宇和島】季節限定で食べられるブリにも注目

おめでたい時に好まれる魚といえば、「鯛」ですが、実は「ブリ」もおめでたい場に欠かせない魚。なぜかというと、出世魚だからです。愛媛では70cm以下がヤズ、90cmまでがハマチ、そして90cm以上を超える大きさになるとブリと、大きくなるほど名前が変わるため、ブリも人気が高い魚なのです。

そして愛媛はそんなブリの養殖も盛んな地。特に瀬戸内海と太平洋が出合う戸島周辺は水深が深く、潮通しの良い宇和海でも有数の好漁場。速く激しい潮にもまれて育ったブリは運動量が豊富で、引き締まり甘みが乗った身は全国でも屈指の人気を誇ります。

画像: ブリ料理の代表といえば…ブリ大根! ほろほろの身と味が染み込んだ大根が絶品です(注:ほづみ亭では、夏場はブリのかわりにブリの仲間のカンパチを使ってのメニュー提供となります)

ブリ料理の代表といえば…ブリ大根! ほろほろの身と味が染み込んだ大根が絶品です(注:ほづみ亭では、夏場はブリのかわりにブリの仲間のカンパチを使ってのメニュー提供となります)

「寒ブリ」と呼ばれるだけあって、ブリが一番美味しい時期は秋から冬。養殖されているブリもその時期に出荷が最盛期を迎えます。

そして、愛媛県はブリの養殖に様々な挑戦をしています。その代表といえるのが「みかんブリ」と「チョコブリ」。ブリの養殖に使うエサに柑橘の果皮を混ぜることで、魚の生臭さが抑えられ、ほんのりと柑橘系の味・香りが漂います。さらに柑橘に含まれるビタミンや抗酸化成分により色が悪くなるのを防ぐ効果が出ているそう。また、エサにチョコレートを配合して飼育されたチョコブリは、ポリフェノールが持つ抗酸化作用が鮮度を長く保つ効果を発揮し、鮮やかな色合いが保たれます。

ほづみ亭
営業時間11:00~14:00、17:00~22:30
定休日日曜、連休最終日
住所愛媛県宇和島市新町2-3-8
電話0895-25-6590
webhttps://s401200.gorp.jp/

【宇和島】大迫力の熱戦にびっくり! 宇和島名物・闘牛大会

宇和島に来たらこれは見ておきたい!というのが「闘牛」です。闘牛といってもスペインのように、マタドールが牛を華麗にかわすというものではなく、1トンを超える牛同士が全力でぶつかり合うのです。専用の闘牛場で巨大な牛が「ガツン!」「ドスン!」という音とともにぶつかる様を間近で見ることができます。この迫力のとりこになったファンが数多くいるのも納得です。

画像: 巨大な牛のぶつかりあい!

巨大な牛のぶつかりあい!

南予地方の闘牛の起源は、17世紀後半頃に宇和海を漂流していたオランダ船を漁民が救助したことがきっかけ。その礼として贈られた2頭の牛がたまたま格闘したことから始まったとの口伝が残っています。土俵を設けた本格的な闘牛は享和年代(1801~1804年)に行われていたと古文書にも記されており、闘牛文化が綿々と受け継がれてきたことがうかがえます。

画像: 江戸時代から続く歴史ある伝統行事

江戸時代から続く歴史ある伝統行事

定期闘牛大会は1年に5回開催。それぞれに得意技を持つ牛同士の多彩な技と闘いぶり、ぜひ間近で感じてください。

宇和島市営闘牛場
料金入場料高校生以上前売2,500円、当日3,000円、中学生以下無料
開催時間11:00~14:00
定期大会開催日1月2日、4月第1日曜、7月24日、8月14日、10月第4日曜(中止の場合あり)
住所愛媛県宇和島市和霊町496-1
電話0895-25-3511(宇和島市営闘牛場)
0895-22-3934(宇和島市観光物産協会)

【宇和島】築350年。 現存天守12城に数えられる名城・宇和島城

宇和島の中心部に位置し、シンボルとして市民に親しまれているのが「宇和島城」。天守の美しさから別名「鶴島城」と呼ばれ、現存十二天守の一つに数えられています。

画像: 華麗で格式高い天守は太平の世に建立されたのを象徴するかのよう

華麗で格式高い天守は太平の世に建立されたのを象徴するかのよう

慶長6年(1601年)に築城の名手・藤堂高虎により建造された城の城郭は、上から見ると不等辺五角形をかたどっていて、随所に多彩な工夫が施されています。のちに伊達政宗の長子・秀宗が入城、2代宗利の時に大修理が施されました。現在の姿は大修理が完成した寛文11年(1671年)から保たれ、貴重な存在となっています。

画像: 天守からの景色。この景色と清々しい風を感じるために、城山と天守の急な階段を上る価値あり

天守からの景色。この景色と清々しい風を感じるために、城山と天守の急な階段を上る価値あり

画像: 在りし日の宇和島城の門や城下の光景のVR体験も

在りし日の宇和島城の門や城下の光景のVR体験も

城山の北登山口にある桑折(こおり)氏武家長屋門は宇和島市の指定文化財。本来は35mに及ぶ堂々たる姿でしたが、現在は間口15mほどが残されています。かつては天守に至るまでに多くの門があったそうですが、現在残っているのは上り立ち門(のぼりたちもん)のみ。宇和島城の歴史に想いを馳せるひと時が過ごせそうです。

画像: 武家長屋門。正面に駐車場もあるため、天守への登山にはここからが便利

武家長屋門。正面に駐車場もあるため、天守への登山にはここからが便利

城山は、約300年以上にわたって大きな火災などの災害を免れたため、巨木や珍しい植物の宝庫となっています。散策の楽しみの一つとしてぜひ注目してください。

画像: 様々な植物を発見しながらの散策がおすすめ

様々な植物を発見しながらの散策がおすすめ

宇和島城
営業時間開門6:00~18:30(11月~2月は~17:00)、天守9:00〜17:00(11月~2月は~16:00)
料金天守入場料 大人200円、小・中学生無料
住所愛媛県宇和島市丸之内1
電話0895-22-2832
webhttps://www.city.uwajima.ehime.jp/site/uwajima-jo/ujoushiro.html

歴史と伝統行事が色濃く残る宇和島と、南予の観光拠点となる道の駅やユニークな取り組みを行う商店街のある八幡浜。南予をめぐる旅は、「愛媛」というイメージを変えてくれる多様な楽しみを味わえます。瀬戸内側の愛媛とは少し趣が異なる、新しい出会いや発見の多い南予の地へ、ぜひ出かけてみてください。

※2020年1月15日に一部内容を更新しました。

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

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