阿波踊りで知られる徳島県徳島市を舞台に、四国最大級のフルマラソン大会『とくしまマラソン』が開催されていることをご存じですか? 2018年3月に行われた第11回大会には、国内外から12,000名以上が参加し、自然豊かな吉野川沿いのコースを思い思いに走り抜けました。今回は11月に参加申込を控えた『とくしまマラソン2019』と徳島市のシンボルである眉山、その周辺にある人気のグルメスポットなど、徳島市の魅力をたっぷりご紹介します。
文:重藤貴志

阿波踊り、郷土食を楽しみながら。開放的な吉野川沿いを走ろう

とくしまマラソン

2008年に明石海峡大橋の開通10周年を記念して始まった『とくしまマラソン』。年を追うごとに参加ランナーが増え続ける、日本陸上競技連盟公認のフルマラソンです。

画像: 吉野川沿いの土手を走るランナーたち

吉野川沿いの土手を走るランナーたち

徳島市には日本三大河のひとつに数えられる吉野川が流れています。『とくしまマラソン』の特徴は、この吉野川に沿って土手を走る、走りやすく気持ちのよいコース設定。岸には毎年、黄色い菜の花が風にそよぎ、コースのどこからでも徳島市のシンボル・眉山が見えるなど、美しい自然が身近に感じられるのも、人気の理由の一つといえるでしょう。

ユニークなのはマラソン中に本場の阿波踊りが観られること。さまざまな「連(阿波踊りのグループ)」が、太鼓、三味線や笛といった鳴り物に合わせて応援の踊りを披露。コース途中に設けられたエイドステーションでは、そば米雑炊や半田素麺など郷土色豊かなフードも振る舞われ、多くのランナーから好評を博しています。

画像: 踊り手たちの送る声援が走る力になる

踊り手たちの送る声援が走る力になる

画像: ゴールに設けられた「うどんお接待所」では、地域の方々が身も心も温まるうどんでランナーをおもてなし

ゴールに設けられた「うどんお接待所」では、地域の方々が身も心も温まるうどんでランナーをおもてなし

「本格的なフルマラソンはちょっと……」という方でも大丈夫! フルマラソン前日には、市内中心部の徳島中央公園を走る「ファンラン」が行われます。

「ファンラン」は、約4.2キロメートルの「一般の部」と、家族で参加できる約1.5キロメートルの「ファミリーの部」の2種類。タイムの計測はありませんが、給水、給食、応援ポイントなどが設けられ、フルマラソンさながらの体験ができます。

画像: 徳島中央公園を周回する「ファンラン」は家族で参加可能

徳島中央公園を周回する「ファンラン」は家族で参加可能

春風とともに阿波の道を全力で走り抜ける『とくしまマラソン』。2019年からは全国40か所のマラソン大会と連携してランナーをサポートするプロジェクト「MCC(マラソンチャレンジカップ)」への参加も決定しました。MCCからは、大会記録更新者に賞金が贈呈されるほか、初めてマラソンを完走した人や自己ベストを更新した人などに記録証が発行されます。

ますます多くの参加者が予想される第12回大会は、2019年3月17日(日)に開催予定。11月7日(水)にスタートする参加申込は先着順のため、インターネットから早めの申し込みをおすすめします。

『とくしまマラソン2019』
開催日2019年3月17日(日)9:00スタート
参加申込期間2018年11月7日(水)~11月21日(水)
※インターネットは2018年11月7日(水)22:00から申込受付開始
webhttps://www.tokushima-marathon.jp/

夜景100選にも選出。万葉の昔から愛されてきた徳島市のシンボル

眉山

『とくしまマラソン』のコースを見守る眉山は、徳島市のシンボル。東西南北どの方向から見ても、眉のように優美な形をしていることからその名がつけられました。古くは『万葉集』に収められた短歌の一首にも詠まれており、はるかな昔から人々に親しまれていたことがわかります。

画像: 徳島市の中心街に位置する眉山

徳島市の中心街に位置する眉山

高さ290メートルと決して高いとはいえない眉山ですが、市街地に横たわる存在感は圧巻。太陽が沈む頃ともなれば、なだらかな稜線のシルエットが美しく浮かび上がります。春は桜が咲き乱れ、秋は燃えるような紅葉に包まれるなど、季節の移り変わりに応じてさまざまな表情を見せてくれます。

画像: 夕闇に浮かび上がるシルエットは美しい眉の形を描く

夕闇に浮かび上がるシルエットは美しい眉の形を描く

眉山を登るルートのうち、おすすめは「眉山ロープウェイ山麓駅」から出発するロープウェイです。ゆっくりと上昇していくゴンドラから街並みに見惚れていると、あっという間に山頂まで到着。特に夜の山頂から眺めるパノラマビューは必見。四国一との呼び声高い、きらびやかな夜景が眼前に広がります。

画像: 夜の山頂から眺める徳島市街は「夜景100選」にも選出

夜の山頂から眺める徳島市街は「夜景100選」にも選出

眉山ロープウェイ
運転時間11月〜3月は9:00〜17:30、4月〜10月は9:00〜21:00(8月12日〜8月15日のみ22:00まで)
webhttps://awaodori-kaikan.jp/bizan-ropeway/
住所徳島県徳島市新町橋2-20(眉山ロープウェイ山麓駅)

風情ある庭を眺めながら、阿波名物「滝のやき餅」でひと休み

和田の屋 本店

「眉山ロープウェイ山麓駅」から北に歩いて約5分。多くの寺社仏閣が集まる寺町を抜けると、眉山北麓の「大滝山」に出ます。ここは藩政時代から昭和初期にかけて、市井の人々が集う行楽地、憩いの地でもありました。常慶院滝薬師を右手に、石段を登ったところにあるのが、阿波名物「滝のやき餅」で知られる甘味処「和田の屋 本店」です。

画像: 本店は国から登録有形文化財に指定された趣のある建物

本店は国から登録有形文化財に指定された趣のある建物

落ち着いた雰囲気の店内からは、小さな滝が流れ落ちる庭を眺めることができます。四季を通じて美しい場所ですが、冬から春にかけては、滝を囲むように「黄花亜麻」という黄色い花が可憐に咲くそう。20世紀初頭に徳島で暮らしていたポルトガル人の文筆家、ヴェンセスラウ・デ・モラエス氏が植えたもので、地元の人からは「モラエスさんの花」と呼ばれて親しまれています。

画像: 大きな窓からは風情のある庭が楽しめる

大きな窓からは風情のある庭が楽しめる

「滝のやき餅」は、阿波藩初代藩主の徳島城築城を祝って献上され、その味わいの良さから御用菓子になった歴史を持つ銘菓です。「こだわりは余計なものを一切使用しないこと」と教えてくれたのは専務の和田英美さん。

すっきりした甘さの餡は、眉山から湧き出る名水「錦竜水」で炊き上げた小豆、香ばしい皮はうるち米ともち米を石臼で挽いた天日干しの米粉。一枚一枚に押型で菊の紋をつけた後、熟練の職人が丁寧に心を込めて焼き上げていきます。

画像: 約400年の歴史を持ち「とくしま市民遺産」にも選ばれた「滝のやき餅」

約400年の歴史を持ち「とくしま市民遺産」にも選ばれた「滝のやき餅」

一番人気は焼きたての美味しさが引き立つ「滝のやき餅と抹茶」のセット。街の喧騒や日々の忙しさを忘れて、心身ともにゆったりと過ごしてみてはいかがでしょうか。

和田の屋 本店
営業時間10:00~17:00
定休日木曜日(正月・桜花見・お盆は営業)
webhttps://wadanoya.com/
住所徳島県徳島市眉山町大滝山5-3

クラフトビールでほろ酔い気分。川のほとりで一杯いかが?

麦酒工房 AWA新町川ブリュワリー

「和田の屋 本店」から東南に10分ほど歩いて到着するのは、新町川のほとりにある「麦酒工房 AWA新町川ブリュワリー」です。2013年にこの店をオープンしたのは、和食の料理人経験を持つ多田翔吾さん。オーストラリア滞在をきっかけにクラフトビールの魅力に目覚め、帰国後に醸造技術を習得されたそうです。

画像: 新町橋のたもと、野外ステージ前という気持ちのいいロケーション

新町橋のたもと、野外ステージ前という気持ちのいいロケーション

「飲み比べセット」では、3種類のクラフトビールがグラスで楽しめます。フルーティーな柑橘系の香りが特徴の「ペールエール」、紅茶のような香りと甘さの奥にある苦みが後をひく「ビター」、ローストした麦芽の香りとコクが印象的な「スタウト」。いずれも甲乙つけがたい美味しさです。

画像: 味はもちろん、色も香りもそれぞれに異なるクラフトビール。吉野川の地下水を仕込み水に用いている

味はもちろん、色も香りもそれぞれに異なるクラフトビール。吉野川の地下水を仕込み水に用いている

無濾過・非加熱ならではのきめ細やかな自然発泡の喉ごし、華やかな香りとコクは、できたてならではの贅沢な味わいです。レギュラー3種類以外にも、「すだちハニー」など季節ごとのクラフトビールがあるので、ぜひ試してみてくださいね。

また、ビールと相性抜群なフードも充実しています。人気の「地魚のフィッシュ&チップス」は、徳島で獲れた新鮮な白身魚を使った一品。クラフトビールを使った特製の衣はサクサクの口当たりです。

画像: 白身魚の種類は季節により異なる。取材時の地魚は高級魚として知られるハモ。揚げたては格別な美味しさ

白身魚の種類は季節により異なる。取材時の地魚は高級魚として知られるハモ。揚げたては格別な美味しさ

このほか、クラフトビールをベースにしたタレに漬け込み、炭火でこんがりと焼き上げる「阿波尾鶏のビアチキン」や、地元の野菜でつくった「自家製ピクルス」も要チェック! 徳島の恵みをお腹いっぱい味わうにはぴったりの一軒です。

麦酒工房 AWA新町川ブリュワリー
営業時間12:00~24:00
定休日月曜日
webhttps://www.awa-mugishu.com/
住所徳島県徳島市東船場町1-6 バルプラザビル1F

『とくしまマラソン』の舞台となる徳島市は、吉野川をはじめとして、大小138もの川が流れる水の都でもあります。今回ご紹介した市内中心部は散策にも最適。ぜひ、ご自身でさらなる徳島の魅力を発見してください。

重藤貴志(しげとう たかし)

東京出身・徳島在住のインタビュアー / ライター / コピーライター。屋号は「Signature」。グラフィックデザインやイラストレーションを軸に幅広い分野で執筆。主な仕事に誠文堂新光社『デザインノート』『イラストノート』シリーズ、玄光社『創作人』シリーズなど。全国各地からの依頼を受けて取材をする合間に、読書や料理、散歩や焚き火を楽しむ日々。

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