1996年に世界遺産に登録された「厳島神社」と「原爆ドーム」、そして2007年に世界遺産に登録された「石見銀山遺跡とその文化的背景」。3つの文化遺産をめぐる広島&島根の旅をご紹介します。

嚴島神社(日本)
登録年:1996年
世界遺産の種類:文化遺産
登録基準:
●人類の創造的才能を表す傑作である。
●ある期間、あるいは世界のある文化圏において、建築物、技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展における人類の価値の重要な交流を示していること。
●人類の歴史の重要な段階を物語る建築様式、あるいは建築的または技術的な集合体または景観に関する優れた見本であること。
●顕著で普遍的な価値をもつ出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または明白な関連があること(ただし、この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
アクセス/広島空港より約78km、車とフェリーで約1時間45分

原爆ドーム(日本)
登録年:1996年
世界遺産の種類:文化遺産
登録基準:
●顕著で普遍的な価値をもつ出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または明白な関連があること(ただし、この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
アクセス/広島空港より約53km、車で約55分

石見銀山遺跡とその文化的景観(日本)
登録年:2007年
世界遺産の種類:文化遺産
登録基準:
●ある期間、あるいは世界のある文化圏において、建築物、技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展における人類の価値の重要な交流を示していること。
●現存する、あるいはすでに消滅した文化的伝統や文明に関する独特な、あるいは稀な証拠を示していること。
●ある文化(または複数の文化)を特徴づけるような人類の伝統的集落や土地・海洋利用、あるいは人類と環境の相互作用を示す優れた例であること。特に抗しきれない歴史の流れによってその存続が危うくなっている場合。
アクセス/出雲空港より約67km、車で約1時間35分

1400年の歴史を持つ 美しき祈りの地 世界遺産・嚴島神社

画像1: 1400年の歴史を持つ 美しき祈りの地 世界遺産・嚴島神社

穏やかな瀬戸内海に浮かぶ“神の島”として、昔から人々の崇敬を集めてきた嚴島(宮島)。宮城県の松島、京都府の天橋立とともに“日本三景”のひとつにも数えられるこの島に鎮座するのが、1996年に世界文化遺産に登録された「嚴島神社」です。

画像2: 1400年の歴史を持つ 美しき祈りの地 世界遺産・嚴島神社

6世紀末の創建と伝えられる同社に、現在の社殿の規模が築かれたのは平安時代のこと。島の中心部にそびえる弥山を背後に建つ神社は、海を敷地に見立てた独創的な配置構成が印象的。潮が満ちると、社殿が海に浮かんでいるかのような美しい佇まいを見せてくれます。また、平安時代末期の建築様式を今に伝える寝殿造りの建築美も見どころのひとつ。総延長およそ270mの朱塗りの廻廊がつなぐ本殿や平舞台、高舞台などは、国宝にも定められています。さらに海面にそびえ立つ朱塗りの大鳥居や海に立つ能舞台などの重要文化財も見どころです。

原爆投下の記憶をつなぐ 平和のシンボル 世界遺産・原爆ドーム

画像: 原爆投下の記憶をつなぐ 平和のシンボル 世界遺産・原爆ドーム

広島市中心部を流れる元安川に面して建つ「原爆ドーム」は、人類史上初の原子爆弾の記憶を伝え続ける文化遺産です。もともとの建物は、チェコ人建築家ヤン・レツルが設計を手がけ、1915年に広島県物産陳列館として竣工した欧風建築。その美しい姿は、かつて広島の名所のひとつとして愛されていました。しかし、1945年8月6日、爆心地の北西約160mに位置していた美しい建物は、原子爆弾の激しい爆風と熱線により、無残な姿へと一変。鉄骨は剥き出しになり、壁は崩れ落ちてしまいました。

戦後、被爆時のままに維持されていたこの建物は、やがて「原爆ドーム」と呼ばれるようになり、1967年には被爆後の状況を保存するための第一回工事が実施されます。その後も保存工事が行われ、原爆の悲惨さや平和への願いを象徴する歴史遺産として、今も守り続けられています。「原爆ドーム」がある平和記念公園内には、広島平和記念資料館や原爆死没者慰霊碑なども。平和への祈りに満ちた世界遺産と、静かに向き合ってみてはいかがでしょうか。

世界に影響を与えた 銀鉱山と産業遺跡 世界遺産・石見銀山遺跡とその文化的景観

画像: 世界に影響を与えた 銀鉱山と産業遺跡 世界遺産・石見銀山遺跡とその文化的景観

1526年に九州の豪商・神屋寿禎(かみやじゅてい)によって発見された「石見銀山」は、1923年の休山までおよそ400年にわたって多量の銀が採掘された日本最大の銀鉱山。かつての日本は世界有数の銀の産出国で、16世紀半ば~17世紀前半の最盛期には“世界の銀のおよそ3分の1”を占めたともいわれています。そして、その大部分がこの石見銀山で採掘されたものでした。石見銀山の銀の質の良さはヨーロッパや東アジアでも広く知られており、世界の交易にも多大な影響を与えていました。

そんな石見銀山が世界遺産になったのは、2007年のこと。東西の文明交流への貢献や、環境に配慮した自然共生型の鉱山運営などが評価され、「石見銀山遺跡とその文化的背景」として文化遺産に登録されたのです。世界遺産を構成する資産は、旧温泉津町と旧仁摩町を含む太田市に点在する14もの場所。鉱山跡や銀の生産に携わった人々の居住地区、鉱山と港を結んだ輸送路、銀の積み出しが行われた港やその周辺の港町が対象となっています。常時一般公開する坑道跡・龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)を見学したり、銀山とともに発展した大森の街に点在する歴史的建築物を訪ねたり……。好奇心の赴くままに、世界遺産の魅力を楽しんでください。

3つの世界遺産をめぐる 広島&島根の旅へ

画像: 3つの世界遺産をめぐる 広島&島根の旅へ

広島と島根に点在する3つの世界遺産。それぞれに独自の個性を持つ文化遺産をめぐるなら、レンタカーを使った2泊3日の旅がおすすめです。

たとえば、1日目は出雲空港から旅をスタートし、まずは旅の精巧を祈願して出雲大社に参拝。午後には車を1時間30分ほど走らせて、ひとつ目の世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的背景」を見学。夜には温泉津にゆったりと温泉を楽しんでください。

2日目には中国地方を縦断して一路広島へ。石見銀山から広島市中心部へは車で2時間ほどの距離なので、午前中に出れば午後にはゆっくり「原爆ドーム」を見学できるはず。もちろん、夜ご飯にはお好み焼きや牡蠣などのご当地グルメをたっぷりとご堪能あれ。

さらに3日目はいよいよ「嚴島神社」へ。宮島口からフェリーに揺られること約10分で、宮島に到着。島内には「嚴島神社」だけでなく、五重塔や宮島ロープウェー、弥山(みせん)などの多彩な見どころが。また、宮島名物のあなご料理も、ぜひ楽しみたい旅の魅力です。

画像5: 中国地方の世界遺産をめぐる

旅ライター/吉原徹

世界遺産をめぐるなら、「嚴島神社」と「原爆ドーム」をおよそ45分で結ぶ「ひろしま世界遺産航路」を利用するのもおすすめです。また、夜の嚴島神社や大鳥居を見学できるナイトクルーズもロマンティックですよ!

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