1987年に世界遺産(文化遺産)に登録された「莫高窟」と「万里の長城」。50もの世界遺産が点在する中国でも、ひときわ壮大なロマンを感じさせる歴史遺産の魅力をご紹介します。

莫高窟
登録年:1987年
世界遺産の種類:文化遺産
登録基準:
●人類の創造的才能を表す傑作である。
●ある期間、あるいは世界のある文化圏において、建築物、技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展における人類の価値の重要な交流を示していること。
●現存する、あるいは既に消滅した文化的伝統や文明に関する独特な、あるいは稀な証拠を示していること。
●人類の歴史の重要な段階を物語る建築様式、あるいは建築的または技術的な集合体または景観に関する優れた見本であること。
●ある文化(または複数の文化)を特徴づけるような人類の伝統的集落や土地・海洋利用、あるいは人類と環境の相互作用を示す優れた例であること。特に抗しきれない歴史の流れによってその存続が危うくなっている場合。
●顕著で普遍的な価値を持つ出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または明白な関連があること(ただし、この基準はほかの基準とあわせて用いられることが望ましい)。

アクセス/敦煌空港より約16.6㎞、車で約21分

万里の長城
登録年:1987年
世界遺産の種類:文化遺産
登録基準:
●人類の創造的才能を表す傑作である。
●ある期間、あるいは世界のある文化圏において、建築物、技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展における人類の価値の重要な交流を示していること。
●現存する、あるいは既に消滅した文化的伝統や文明に関する独特な、あるいは稀な証拠を示していること。
●人類の歴史の重要な段階を物語る建築様式、あるいは建築的または技術的な集合体または景観に関する優れた見本であること。
●顕著で普遍的な価値を持つ出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または明白な関連があること(ただし、この基準はほかの基準とあわせて用いられることが望ましい)。

アクセス/「嘉峪関」へは嘉峪関空港より約19.8㎞、車で約37分

シルクロードに輝く美しき石窟「莫高窟」

画像1: シルクロードに輝く美しき石窟「莫高窟」

中国西部の甘粛省(かんしゅくしょう)に位置し、古くからシルクロードのオアシス都市として栄えた敦煌。その東南およそ25㎞の鳴沙山の東麓にあるのが、「雲崗石窟」、「龍門石窟」とともに“中国三大石窟”に数えられる「莫高窟(ばっこうくつ)」です。1987年に世界遺産(文化遺産)に登録された「莫高窟」は、文化遺産の登録基準となる6つの要素すべてを満たす世界でも数少ない場所。まさに、シルクロードの旅のハイライトともいえる文化遺産です。

画像2: シルクロードに輝く美しき石窟「莫高窟」

4世紀に仏教僧・楽僔(らくそん)によって拓かれ、その後約1000年にわたって造営が続いたといわれる「莫高窟」。古くから仏教芸術の聖地として大切に守られてきたこの場所には、断崖を掘って築かれた無数の石窟が造られてきました。現在は大小492の石窟が残され、その内部には極彩色の塑像や壁画が数多く安置されています。石窟に描かれた壁画は、すべてあわせると約25㎞もの長さになり、そのスケールの大きさから「世界画廊」と称されるほど。また、石窟内に安置される数多くの塑像も、インド仏教の影響を受けたものから、西アジア文化を彷彿とさせるもの、中国色の強いものなど、造られた時代に寄って実にさまざま。その奥深さこそが、「莫高窟」が、東西文化が交差するシルクロードに花開いた仏教芸術の聖地であることを物語っています。

画像3: シルクロードに輝く美しき石窟「莫高窟」

大小の石窟に安置された壁画や仏像はもちろん、「莫高窟」のシンボルともいえる9層構造の楼閣なども見どころ。また、近くの鳴沙山では、砂漠のオアシス・月牙泉を訪れるキャラバンツアーなども楽しむことができます。敦煌を拠点に世界遺産や砂漠をめぐる・・・。そんなシルクロードの旅を楽しんでください。

画像4: シルクロードに輝く美しき石窟「莫高窟」

万里の長城の西端に位置する要衝「嘉峪関」

画像1: 万里の長城の西端に位置する要衝「嘉峪関」

50もの世界遺産が点在する中国でも、もっとも有名な世界遺産といえるのが1987年に文化遺産に登録された「万里の長城」ではないでしょうか。紀元前221年に中国を統一した秦の始皇帝が北方からの侵略に対抗するための防御施設として建設し、その後明代(1368年〜1644年)まで修復・増築が繰り返されてきた「万里の長城」は、“人類史上最大の建造物”としてあまりに有名です。2012年の中国国家文物局の発表によると、総延長はなんと2万1196.18キロメートル!その圧倒的なスケールに、思わず言葉を失ってしまいます

画像2: 万里の長城の西端に位置する要衝「嘉峪関」

東は河北省から西は甘粛省まで、いくつもの地域をまたいで築かれた「万里の長城」には、数多くの見どころが点在しています。北京から日帰りで訪れることのできる「八達嶺(はったつれい)」などが有名ですが、シルクロードを旅するなら甘粛省の「嘉峪関(かよくかん)」は、ぜひ訪れておきたい名所。明代の長城の西端と考えられるこの場所には、古くから「天下の険しい関所」と称された防御施設。1372年から168年もの歳月をかけて建造された「嘉峪関」には、黄土を固めて造られた高さ10mを超える城壁や、重厚な城門など、往時の堅牢な建造物が今も残されています。

西はゴビ砂漠、東は酒泉盆地に囲まれた「嘉峪関」は、古くからシルクロードの要衝となってきた場所。周辺には壁画などが残る史跡も点在しているので、足を延ばしてみるのもおすすめです。

知られざる絶景の地「張掖丹霞地貌」へ

画像: 知られざる絶景の地「張掖丹霞地貌」へ

「莫高窟」から「嘉峪関」へは約370キロメートルと、車でおよそ4時間15分ほどの距離。敦煌空港から嘉峪関空港への空路を使えば、わずか45分のフライトで移動することができるので、せっかくシルクロードを旅するなら、個性の異なるふたつの世界遺産をめぐってみてください。さらに日程に余裕がある場合は、「嘉峪関」から車で3時間15分ほどの「張掖丹霞地貌(ちょうえきたんかちぼう)」を訪れてみるのもおすすめです。古くからシルクロードの要所として栄えた町「張掖」から50㎞ほどの場所に位置する「張掖丹霞地貌」は、赤い堆積岩が織りなす独特の地形が魅力の場所。世界遺産ではありませんが、マーブル模様の山肌が夕陽に染まる様子は圧巻で、知る人ぞ知る絶景の地として近年人気が高まっています。“東洋のグランドキャニオン”とも称される圧巻の風景は、シルクロードの旅の記憶を鮮烈に彩ってくれること間違いなし! 

画像: シルクロードの世界遺産へ

旅ライター/吉原徹

歴史ロマン溢れる世界遺産はもちろん、雄大な砂漠の風景やさまざまな文化が渾然一体となったエキゾチックな雰囲気もシルクロードの旅の醍醐味。現地を訪れたら、ぜひ砂漠ツアーやウイグル料理なども楽しんでください。夏の甘粛省はかなり暑くなることが多いので、日焼け対策や水分補給は万全に!

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