タイの伝統的な水かけ祭り「ソンクラーン」とは?

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ソンクラーンは4月のタイの旧正月をお祝いするお祭りで、毎年4月13~15日の3日間で開催され、水をかけあい、お祝いをします。タイ国民はもちろん、世界中から50万人以上がソンクラーンのためにやってくるのだとか。2023年にはタイが誇る伝統的なお祭りとして世界無形文化遺産に登録されたことから海外での人気は高まる一方。2025年もたくさんの人が参加すると予想されています。
タイの水かけ祭り(ソンクラーン)の歴史

写真提供:タイ国政府観光庁(TAT)
これだけ大きなお祭りですが、どのようにして生まれたのでしょうか? 実はもともと、水をかけあうお祭りではなく、厳かな伝統行事でした。
写真提供:タイ国政府観光庁(TAT)

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ソンクラーンが開催される時期は、タイの新年にあたります。新たな年を迎える際、仏像や仏塔、また年長者などの手に水をかけ、お清めをするという伝統的な風習がもともとのソンクラーンの儀式でした。しかし、それが近年になって大変身! 暑さを乗り切るために、水をかけあうようになりました。
タイの水かけ祭り(ソンクラーン)の過ごし方
現在は見知らぬ同士でも水をかけあう、というアクティブなイメージのあるソンクラーンですが、前述のように、はじまりは新年を迎えるための厳かな伝統行事。水をかけるだけでなく、伝統的な風習ももちろん残っています。
まず人々は故郷へ帰り、家を掃除し、日本と同じく新年を清い気持ちで迎えます。そして、寺院への参拝を行い、ここで仏像や仏塔に水をかけます。ここまで終えたら、水のかけあいがはじまるという流れです。水のかけあいは、後述するソンクラーンの大規模な会場だけでなく、街のいたる所で行われます。また新年のため、企業、個人経営の商店やレストランなどは長期休暇になります。
【2025】タイの水かけ祭り(ソンクラーン)はいつ開催される?
ソンクラーンはタイの旧暦に基づいて行われていたため、西暦が使われるようになってからは毎年変動していましたが、現在は政府により、毎年4月13~15日の3日間と定められ祝日になっています。年によっては休みが長くなるように、前後に祝日が追加されることもありますが、2025年は例年通りの開催日になります。
参加前に確認! ルールやマナー、注意したいことは?

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ここからは、ソンクラーンに参加する際のルールやマナーについて紹介します。新年を祝う賑やかなお祭りですが、最低限守っておきたいこと、自分の健康や所持品を守ることなどいくつか注意しておきたいことがあります。
ルール・マナー
ソンクラーンに「公式ルール」はないのですが、「暗黙のルール」とされるものはいくつかあります。
まず信仰の対象である僧侶、また治安を守る警察官には水をかけてはいけません。反対に、自分が意図せず水をかけられても怒ってはいけません。「やめてほしい」という気持ちで「ノー」ということはできますが、かけてくる人もいるのが現状です。あくまで、水をかける=祝福という意味なので、楽しむことが一番です。
注意したいこと
次に、ソンクラーンに参加する際に注意したいことを紹介します。
①スマホやカメラの防水対策
スマホやカメラなど機械類を持って外に出る際は、必ず防水対策をしましょう。この時期のタイは、ソンクラーンのメイン会場ではない場所でも水をかけられます。スーパーや露店で防水用のビニールケースなども売っていますが、心配な人はホテルに機械類は置いておくと安心です。また衣類が濡れるのが嫌な人はレインウェアなどを着るようにしましょう。
②体調管理
南国とはいえ水をかけられたままの状態で数時間過ごすと、体力が消耗します。ある程度余裕を持って切り上げるのがおすすめです。
③防犯対策
ソンクラーンでは、水をかける以外に、「ディンソーポーン」という泥灰土を水で溶いた物を顔に塗り、同じく人々を祝福することがあります。その際、スリをしたり女性に対してハラスメントをしたりする人がいることも。防犯対策をしておくよう心がけましょう。また、お祭りで気分が高揚している人が多いので、喧嘩などに巻き込まれないように注意しましょう。
④公共施設や個人経営の店はクローズしている
新年休暇にあたることから、博物館や美術館は閉館しています。また個人経営のレストランやショップも多くが休業しています。ただショッピングモールやファストフードチェーン、コンビニは開いているのでご安心を。
水かけ祭りの参加方法
「祭り」には「会場」とされる場所があるものですが、ソンクラーンは「国全体がお祭り会場」になるのが特徴。空港から一歩出た途端、タクシーに乗っていても水のかけあいが行われます。
とはいえ人々が大勢集まる「メイン会場」的な場所もあり、ホテルなどで開催される一部会場を除き、入場も無料です。また例外はありますが、会場の入り口というのも特にありません。
Masao Umemoto
Masao Umemoto
参加にあたり、用意する物はまず水鉄砲。小さなハンドガンタイプから大型のライフルタイプまで、さまざまな物がスーパーや露店で売られています。目に水が入るのが嫌な人は水泳用のゴーグルも準備しておきましょう。
また期間前後の飛行機や長距離バス、電車などはチケットが取りにくくなります。バンコク以外の場所へ移動するのであれば早めに予約をしておくと安心です。
タイの水かけ祭り(ソンクラーン)の地域ごとの特色

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バンコク市内でもさまざまな会場がありますが、それ以外の地方の会場にも特徴があります。自分に合った会場を選び、思い切り楽しんでください!
バンコク
カオサンロード:海外からも多数参加、ノリは最大級

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世界中からバックパッカーを中心とした観光客が集まるカオサンロード。ホテルや旅行会社、お土産店、オープンバーなどがずらりと並んでいます。中心となるカオサンロードからその周辺も、水かけの舞台になっています。ノリは最大級といわれ、昼間だけでなく、夜になっても賑やかで、カオサンロードのソンクラーンに参加するためだけに訪れる外国人観光客もいるほど。通り沿いにオープンバーがたくさんあることから、飲みながら更に盛り上がりたい人におすすめです。
シーロム:ビジネス街が水かけの舞台へ

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タイで最大級のビジネス街であるシーロム通り。ここも道路を歩行者天国にしてソンクラーンの舞台になります。その長さは、なんと約5km! 通りの上をBTS(高架鉄道)が走っていて、その連絡路と下の道路とで水のかけあいをするという、他ではできない経験もできます。BTSを利用して会場前まで行き来できるのも便利です。
セントラルワールド:比較的ルールもあり、初心者向け

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バンコク最大級のショッピングモールであるセントラルワールド。その建物の前にあるスペースもソンクラーン期間中は水かけの舞台に。有名企業がスポンサーとなる有名歌手のライブなどがあって、お祭り気分を更に盛り上げます。商業施設内のスペースということで、比較的、秩序があり初心者でも安心です。お酒の持ち込みも禁止されています。家族連れが多いのも特徴です。
バンコク近郊
パタヤ:ビーチリゾートではじけるなら

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バンコクから車で約2時間のビーチリゾートのパタヤ、ここもソンクラーン会場として有名です。ビーチロードやセカンドロードなどの主要道路、ナイトスポットのウォーキングストリートなど街の主要エリアすべてが水かけ会場になります。もちろんビーチでも水のかけあいが行われます。疲れたら浜辺のデッキチェアで休んでから、また遊ぶのも良し。この会場はソンクラーンが19日まで続くので、13~15日に参加できなかった人にもチャンスがあります!
アユタヤ:ゾウと水のかけあい

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世界遺産の古都・アユタヤ。そのため、他のエリアと比べ、伝統舞踊や文化イベントが開催されるなど、伝統や歴史をアピールしたソンクラーンが行われます。またゾウの保護施設があることから、水かけにゾウも参加します! 有名な仏像の頭部が木の根に埋まっている「ワット・マハタート寺院」などの周辺でも水かけが行われるので、遺跡見物を一緒にするのもいいでしょう。
※4月10日現在、アユタヤ歴史公園の参観はできますが、仏塔や柱などの構造物の安全確認のため、一部エリアに柵を設け入場規制をしております。
プラパラデーン(プラパラディーン):モーン族の伝統色が強い

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バンコクの隣にあるサムットプラーカーン県プラパラデーン(プラパラディーン)地区のソンクラーンは、タイの中でも最大級といわれています。この地区にはモーン族が古くから暮らしているため、モーン族ならではの文化をアピールしたパレードなどが繰り広げられます。また、ほかの地方と異なって開催期間が4月13日の1週間後の週末と決まっているのも特徴です。
北部
チェンマイ:伝統的なソンクラーンを味わえる

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写真提供:タイ国政府観光庁(TAT)
京都のような古都である北部チェンマイ。ここもアユタヤと同じように伝統を重んじたソンクラーンが行われます。旧市街には多くの遺跡が残っていて、そこがソンクラーンの会場になります。観光名所である「ターペー門」がイベントのメイン会場となり、パレードや伝統舞踊などが披露されます。また寺院で昔ながらのソンクラーンの儀式を体験するのも興味深いでしょう。
タイ全体がソンクラーン一色になるこの時期。南国ならではの楽しいお祭りにぜひ参加してみませんか?

写真提供:タイ国政府観光庁(TAT)
ソンクラーン(水かけ祭り)
開催場所 | : | タイ全土 |
---|---|---|
開催日 | : | 4月13~15日 |
web | : | タイ国政府観光庁(TAT)公式サイト |
記事協力:タイ国政府観光庁(TAT)
取材・写真:梅本昌男
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