インド第三の都市、ベンガルール。南インドのデカン高原に位置するこの街は、1年を通して涼しく穏やかな気候で過ごせる観光スポットとしての側面以外に、国内外の大手IT企業が拠点を置くスマートさを兼ね備え、新たなインド経済の「顔」としても急成長中です。吹く風が運んでくるのは、紅茶ではなく、コーヒーの香り。街を歩けば、伝統的なインドはもちろん、まったく新しいインドに出会うことでしょう。

そんなベンガルールに初めて出張するとなれば、日本人に便利なスポットやサービスはもちろん、気軽に足を運べる観光スポットも押さえておきたいところ。そこでベンガルール在住の日本人の方に、人気のおすすめ街歩きスポットや、出張や観光の合間にほっと落ち着けるカフェをご紹介してもらいました。

ベンガルールで日本人におすすめしたい観光スポット。まずは市内中心部の宮殿「ベンガルール・パレス」へ

画像: ベンガルールで日本人におすすめしたい観光スポット。まずは市内中心部の宮殿「ベンガルール・パレス」へ

ベンガルールを訪れたら、まず足を運びたいのは、市内中心部にある宮殿「ベンガルール・パレス」。19世紀末に建てられたチューダー様式(15世紀終わりから17世紀にかけてイギリスで発展した建築様式。ゴシックにルネッサンスのような装飾要素を施したのが特徴)の宮殿で、決して大きくはありませんが、季節の花々が咲く美しい庭園に囲まれ、周囲の喧騒から離れた静かな時間が流れています。

一歩中に入ると、豪華な広間があり、並んでいるのは、丁寧に作られた家具、象の足を模した置物や絵画、タイルなどの装飾品や繊細なデザインの食器。19世紀後半に建設され、イギリス提督の邸宅として、またインドの王族の執務宮殿としても使用されてきたという歴史を感じるものばかりです。

Bangalore Palace(ベンガルール•パレス)
住所Vasanth Nagar
電話番号+91 6360757500
開館時間午前10時から午後5時30分
定休日なし
入館料480ルピー(カメラを持ち込む場合は別途710ルピー)

圧倒的な存在感に感動「ヴィダーナ・サウダ」を見学

ベンガルール・パレスから、さらに市内中心部に向かって車で10分ほど走ると、一気に視界が開け、整然とした官庁街に入ります。目につくのは、4階建ての新ドラヴィダ様式(南インド・ヒンドゥー教の建築様式)の大建築。ベンガルールのあるカルナータカ州の政庁ビル「ヴィダーナ・サウダ」です。その圧倒的なたたずまいに、思わず足を止めてしまうことでしょう。土日の夜は美しくライトアップされ、また違った表情を楽しむことができます。

画像: 圧倒的な存在感に感動「ヴィダーナ・サウダ」を見学
Vidhana Soudha(政庁ビル)
住所Sampangi Rama Nagar (内部の見学は不可)

官庁街を抜け、市内を南下してみましょう。通りのあちこちでのんびり歩く牛を見かけるのはインドでは見慣れた光景ですが、ヒンドゥー教寺院、イスラム教モスク、キリスト教会が渾然一体となって同居しているベンガルールならではの光景が目に入ります。国民の8割がヒンドゥー教徒ではありますが、南インドは北インドに比べ、イスラム教徒やキリスト教徒の割合が高い傾向にあり、宗教を基礎とした文化、建築物、色彩における多様性を堪能することができるのが特徴です。

ここベンガルールにおいては、世界有数のIT企業が多く進出し、伝統的なインドとは異なる独特の共存関係が維持されているようです。

居心地の良い木造建築「ティプー・スルターン宮殿」でのんびり

次に、ベンガルール市内南部の立ち寄りスポットをご紹介します。

まず訪ねたいのは、ティプー・スルターン宮殿です。かつてこの一帯にあったヒンドゥー王朝「マイソール王国」の支配者ティプー・スルターンによって1791年に完成した宮殿で、石造りの建造物が多い中で、珍しい木造建築として知られています。

画像1: 居心地の良い木造建築「ティプー・スルターン宮殿」でのんびり

一歩中に入ると、木造ゆえの心地よい風が通りぬけ、居心地の良さに思わず顔がほころびます。2階建てのこぢんまりとした造りではありますが、その分、当時の暮らしぶりが身近に感じられて親しみがわくでしょう。宮殿前の庭もよく手入れされていて、お散歩に最適です。

画像2: 居心地の良い木造建築「ティプー・スルターン宮殿」でのんびり
Tipu Sultan's Palace(ティプー・スルターン宮殿)
住所Albert Victor Rd.
電話番号なし
開館時間午前8時30分から午後5時30分
定休日なし
入館料300ルピー

「ブル寺院」でヒンドゥー教徒のティラカをつけてもらおう

ティプー・スルターン宮殿からほど近い、ブル寺院もおすすめです。ケンペゴウダ王によって1537年に建てられたヒンドゥー寺院で、高さ4.5メートル、幅6メートルの一枚岩の牝牛が見もの。牝牛の周囲をぐるりと一周すると、おでこに赤いティラカをつけてもらえます。ティラカはお祈りのための神聖な印。これをつけてもらうとなんだかインドがグッと身近になったように感じるでしょう。

画像: 「ブル寺院」でヒンドゥー教徒のティラカをつけてもらおう
Bull Temple(ブル寺院)
住所Bull Temple Rd, NR Colony, Basavanagaudi
電話番号なし
開館時間午前6時30分から午後8時30分
定休日なし
入場料10ルピー

ベンガルールで美味しいコーヒーが飲めるカフェ

街歩きに欠かせないのは、ほっと一息つけるカフェの存在。ここでは、駐在員や帯同家族に人気がある、日本人の味覚に合った厳選カフェをご紹介していきます。南インドは、紅茶やチャイ、ラッシーではなく、古くからコーヒーを飲む習慣があることで知られています。

伝統的な「South Indian filter coffee」は、ミルクと砂糖がたっぷり入った甘いコーヒーです。特徴的なのはその淹れ方。金属の器をふたつ使い、高い位置から繰り返し注いで泡立てることで、まろやかな風味が作りだされます。シナモンやナツメグなどをトッピングすれば、香りはさらに豊かになります。

地元に愛されるカフェ「MTR」で地元民に混じってコーヒーを

ローカルのカフェやレストランに入れば、どこでも大抵この「South Indian filter coffee」が出てきます。中でも、地元の人に愛されているカフェは「MTR」。1924年創業で、現在は海外にも支店を持つ、南インド料理界を代表する老舗です。

このお店の「South Indian filter coffee」は午後3時30分以降限定。1杯38ルピーです。白いカップにたっぷり入って運ばれてくるコーヒーは、ふんわりと甘いけれど、ベースには苦味がしっかり。豆などをすりつぶしてドーナツ型に揚げたワダ(VADA)などのスナックと一緒に午後のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

画像1: 地元に愛されるカフェ「MTR」で地元民に混じってコーヒーを

同店は、常に行列ができるほどの混雑ぶりなので、大抵は地元の人と相席に。どの人も人懐っこい笑顔を向けてくれるので、たわいないおしゃべりを楽しむこともできます。

ランチタイムには、南インドのミールスが270ルピーで食べ放題。最初に甘いグレープジュースで乾杯すると、ココナッツカレー、ドーサ、豆とコリアンダーの炒め物、ヨーグルトでできたダヒ(Dahi)など約20種類近い料理がどんどんお皿に載せられていきます。

画像2: 地元に愛されるカフェ「MTR」で地元民に混じってコーヒーを

どれもスパイスと油控えめなので、私たち日本人にとっても食べやすく、何度でも通いたくなる味です。

コーヒーはもちろん、ランチも目当てにぜひ訪れてみてください。

MTR(エムティーアール)
住所Lal Bagh Main Road,Sudhama Nagar
電話番号+91 8022220022
営業時間午前6時30分から午前11時、12時30分から午後9時
定休日月曜

Wi-Fiも完備。「THIRD WAVE COFFEE ROASTERS」で丁寧な一杯

画像1: Wi-Fiも完備。「THIRD WAVE COFFEE ROASTERS」で丁寧な一杯

「南インドはコーヒー」である最大の理由は、コーヒー農園が数多くあることです。ベンガルールのあるカルナータカ州には、インドで初めてコーヒー栽培がおこなわれたというチクマガルールやクールグといった名産地があり、良質で新鮮な豆が直送されています。

最近の流行は、一杯ずつ丁寧に淹れたコーヒーを飲む「サードウェーブ系」。砂糖やミルクを入れずにブラックで飲むスタイルが、若い世代を中心に主流になりつつあります。

流行を牽引しているのは、ベンガルール発のコーヒー専門店、その名も「THIRD WAVE COFFEE ROASTERS」です。すっきりとしたインテリアの店内では、ノートパソコンを広げたり、読書したりしながら寛ぐ人たちでいつも満席です。

画像2: Wi-Fiも完備。「THIRD WAVE COFFEE ROASTERS」で丁寧な一杯

米国で本場のコーヒーを学んだオーナーが、ベンガルール市内に第一号店をオープンさせたのは2016年。以来わずか3年で、7店舗まで拡大。プネやハイデラバードなど南インドの他都市にも進出するなど、破竹の勢いです。

使用しているコーヒー豆はもちろん南インド産。PR担当のアンガナさんは「頻繁に農園に出向き、クオリティーチェックをしています。サードウェーブコーヒーは、世界的なムーブメント。それがベンガルールにも来ています」。とはいえ、ブラックよりも少しミルクを足す人が多いようで、カプチーノ(180ルピー)が人気だそう。これは、南インドならではかもしれません。

ケーキやサンドイッチなどの軽食も充実し、Wi-Fiも完備。ちょっとした休憩はもちろん、パソコンを使って仕事もできてしまうカフェとして、ビジネスマンにとっても使い勝手は最高です。

THIRD WAVE COFFEE ROASTERS(サードウェーブ・コーヒーロースターズ)
住所4th Block, 1, 984, 80 Feet Rd, Maharaja Signal, Koramangala(本店)
電話番号+91 7337684222
営業時間午前8時から午後11時
定休日なし
webhttps://www.thirdwavecoffeeroasters.com/

コーヒー名産地から上質な豆を入れる「coffee mechanics」

最近注目のコーヒーショップは「coffee mechanics」。共同創設者のパヴァンさんとガンガさんはともに、チクマガルール出身です。それぞれ、家族が経営するコーヒー農園を持っています。

画像1: コーヒー名産地から上質な豆を入れる「coffee mechanics」

チクマガルールは、ベンガルール市内から車で約5時間。標高1090メートルの高地で、一年を通して涼しく、コーヒーの栽培に適した場所です。パヴァンさんは「アフリカ産のコーヒー豆はフルーティーですが、チクマガルール産は、チョコレートのような甘みと酸味が絶妙なバランスで、とても深い味わいがします」とにっこり。そんなコーヒー豆だからこそ、幅広いメニューに対応できるようで、同店の人気はライム入りの「SIGNATURE MAZAGRAN」(170ルピー)。すっきりと飲みやすく、癖になる味です。

画像2: コーヒー名産地から上質な豆を入れる「coffee mechanics」
coffee mechanics(コーヒー・メカニクス)
住所3rd Main Rd, 1st Stage, HBR Layout
電話番号+91 9986093007
営業時間午後0時30分から午後10時30分(土日は午前9時から)
定休日火曜
webhttp://www.coffeemechanics.co.in

ホテルへのデリバリーもしてくれる「ジェイスワル珈琲」でお土産もゲット

画像1: ホテルへのデリバリーもしてくれる「ジェイスワル珈琲」でお土産もゲット

日本人女性が経営しているコーヒー豆のデリバリー専門店もあります。インドに渡って間もなく10年になる宮田恵子さんが、インド人のご主人とともにコーヒーへの深い愛情を込めて作ったお店「ジェイスワル珈琲」です。

オープンは2012年11月。「当時はスターバックスもなく、ブラックでコーヒーを飲む人がほとんどいなかった」と宮田さん。それでも「私自身コーヒーが大好き。紅茶しかないと思っていたインドでコーヒー豆が収穫できると知り、じゃあ自分で販売しようと思った」と振り返ります。

以来、チクマガルールの農園から仕入れた豆を丁寧に焙煎し、パッキング。こつこつと続けたお店は今ではすっかりベンガルールの有名店になっています。自宅やオフィスはもちろん、出張者や旅行者のために宿泊先のホテルまで商品を届けてくれます。かわいらしいギフトパッケージも人気です。

画像2: ホテルへのデリバリーもしてくれる「ジェイスワル珈琲」でお土産もゲット
画像: 参考写真(宮田恵子さん提供)いずれもチクマガルールのコーヒー農園で撮影

参考写真(宮田恵子さん提供)いずれもチクマガルールのコーヒー農園で撮影

JAISWAL COFFEE ROASTER(ジェイスワル珈琲) ※臨時休業中
住所10th Main Rd, 1st Cross, Begur Main Road, Hongasandra
電話+91 7204603616
定休日不定休

街歩きの合間に、昔ながらのSouth Indian filter coffeeと流行のサードウェーブ系コーヒーを飲み比べ。伝統と革新が交差するベンガルールをぜひ体感してください。

初回投稿日:2019年10月10日
※2024年12月4日に一部内容を更新いたしました

取材協力:STORYTELLING LLP
ライター:Mariko

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

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