ノスタルジックにひたるプラナカン散歩
カトン地区
最初にご紹介するカトン地区は、プラナカンの人々が多く住む地域。「プラナカン」とは、現地のマレー系女性と結婚した中華系移民の子孫のことを指し、彼らは中国系、マレー系、欧州系のカルチャーを融合させた独自の文化を構築しています。
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クーンセンロード沿いのプラナカン建築。エキゾチックな花が映える
カトン地区の「クーンセンロード」沿いには、歴史的建造物であるプラナカン建築が並びます。ピンクに水色、薄紫と、パステルカラーのかわいらしい建物で、1階は店舗になっていることが多く、「ショップハウス」とも呼ばれています。1階には中華式の窓、2階にはフランス式の大窓を配置するなど、さまざまな建築様式やデザインが混ざり合っているのも見所。
カトンを訪れたら絶対に訪れてほしいのが、プラナカン雑貨&菓子のお店「キムチュー」。
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色使いにはヨーロッパ、派手かわいい柄には中国の面影を感じる
中国風の花鳥が描かれた伝統食器は、クーンセンロードのショップハウス同様、パステルに色づけられています。また、ビーズ細工が施されたサンダルもずらり。ビーズ細工はヨーロッパからもたらされ、プラナカン女性が発展させた文化です。
Kim Choo Boutique Gallery(キムチュー ブティックギャラリー) | ||
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定休日 | : | なし |
営業時間 | : | 9:00〜21:00 |
web | : | https://www.kimchoo.com/ |
住所 | : | 109 East Coast Road, Singapore 428800, 111 East Coast Road, Singapore, 428801 |
伝統の味、ニョニャ料理&スイーツの魅力に触れる
キムチュー、ココナッツクラブ
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色とりどりの伝統菓子。ほんのりとした甘みはココナッツによるもの
プラナカン伝統料理と菓子は「ニョニャ料理」「ニョニャスイーツ」と呼ばれます。前出の「キムチュー」で販売されているニョニャスイーツは、すべて工房での手づくり。ドキッとする色合いですが、着色は植物によるものなので安心。なかでも鮮やかな緑色を出す植物、パンダンリーフを使うのがマレー流です。
新しい文化がどんどんもたらされる一方、昨今、ニョニャ料理・スイーツの存在も見直されつつあります。ムーブメントを代表するのが、2016年秋にオープンした「ココナッツクラブ」。
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「ココナッツクラブ」ローカル飯の店とは思えない、モダンな佇まい
ココナッツクラブは、「ナシレマ」を主役にしたおしゃれレストラン。ナシレマとは、ココナッツで炊いた米と、おかずが盛り合わせになったマレー半島の定番朝ごはんです。
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さまざまな食材をココナッツライスと合わせながらいただくナシレマ。20種以上のスパイスを使っているというオリジナルのチリソースも美味
「シンガポーリアンなら誰しもがナシレマを知ってる。でも昨今、外国の食べ物の魅力を知る現代の若者にとっては、遠い存在になってしまっていました」とは同店のオーナー。ナシレマに魅了された彼は、長い歳月をかけてレシピを研究、あらゆる種類の米と香りづけの方法を試行錯誤。最終的に、ココナッツに加え、エシャロットやニンニク、パンダンリーフを香らせることに落ち着いたとか。おかずのチキンは生姜やレモングラスに漬け込んで揚げたもので、ひと口かじればザクッジュワッと口いっぱいにおいしさが広がります。いまや、昼時には連日若者が列をなすほどの盛況ぶり。シンガポールの食シーンを感じるスポットとなっています。
The Coconut Club(ココナッツクラブ) | ||
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定休日 | : | 月 |
営業時間 | : | 11:00〜15:00、18:00〜21:30(日はランチのみ営業) |
web | : | http://www.thecoconutclub.sg/ |
住所 | : | 6 Ann Siang Hill, Singapore, 069787 |
ビビッドな色彩とスパイシーな香りあふれる小さなインド
リトルインディア
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多国籍国家を象徴するように、シンガポール内には民族タウンがいくつか存在します。リトルインディアもその1つ。プラナカンのパステルカラーとは一転、赤、緑、黄色と、原色にペインティングされた建物やヒンドゥー教の寺院が並び、気分は一気にインド!
街歩きは、電車の駅とバス停がある「テッカセンター」からスタートするのがおすすめ。近隣のインド雑貨店や食材店をのぞくうち、刺激的な香りに食欲が刺激されたら、インド料理レストラン「マスタード」で空腹を満たしましょう。
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マスタードの名物はココナッツの実を器にした、クリーミーな海老カレー
お土産探しは「ムスタファセンター」で。24時間営業で、置いていないものはないというくらいなんでも揃っています。アーユルヴェーダの美容アイテムも、見上げるほどの高さの棚にびっしり。自分用、おみやげ用と、宝探し気分でチェックしましょう。
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ムスタファセンター1階の美容コーナーで見つけた、パッケージも素敵なアーユルヴェーダ製品
ちなみに週末夜の同エリアは、なかなか前に進めないほど混み合うのでご注意を。
Mustard(マスタード) | ||
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定休日 | : | 月 |
営業時間 | : | 11:30〜15:00(土は16:00まで)、18:00〜22:45 |
web | : | http://www.mustardsingapore.com/ |
住所 | : | 32 Race Course Road, Singapore, 218552 |
Mustafa Centre(ムスタファセンター) | ||
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定休日 | : | なし |
営業時間 | : | 24時間営業 |
web | : | http://www.mustafa.com.sg/ |
住所 | : | 145 Syed Alwi Road, Singapore, 207704 |
※「テッカセンター」は、2017年7月31日までリニューアル工事中
アラビアンナイトの世界へ。お土産には美しい香水瓶とパフュームオイルを
アラブストリート
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リトルインディアの隣には、アラブストリートが広がります。このエリアの「ハジレーン」という通りには、カラフルなグラフィティアートや個性的なブティック、おしゃれなカフェやバーが集まっています。

メインの通り「アラブストリート」に出ると、ずらりと並ぶ商店の先に見えるのは、先の尖ったドーム状の屋根が美しい「サルタンモスク」。特に夕暮れ時がおすすめで、オレンジから紫へと移ろう空を背景に浮かびあがる寺院と、朗々と聞こえるアザーン(礼拝への呼びかけ)にはうっとりしてしまいます。
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このエリアで押さえるべきショップは、1933年創業の香水店「ジャマールカズラ アロマティクス」。
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エジプトの職人手づくりの、象やラクダなどを模した美しい香水瓶
所狭しと並ぶ香水瓶とパフュームオイルから、それぞれ好みをセレクトして。オレンジとイランイランを合わせた華やかでいて心落ち着く香り、リンゴの爽やかな香りなど、日本人にも馴染みやすい香りがたくさん。アルコールや水を使っていないので、香りが長持ちするのも嬉しいポイントです。
Jamal Kazura Aromatics(ジャマールカズラ アロマティクス) | ||
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定休日 | : | なし |
営業時間 | : | 10:00〜19:00(土日は18:30まで) |
住所 | : | 728 North Bridge Road, Singapore, 198696 |
カルチャー好きの若者に人気。話題のエリア、チョンバル
ブックスアクチュアリー
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最後にご紹介するのは、ローカルのあいだでいまホットなエリア、チョンバル。エリアの象徴は「ブックスアクチュアリー」という本屋です。
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チョンバルはもともと、HDBと呼ばれる公団住宅が多く建ち並び、静かでのどかな雰囲気のエリアでした。しかしそこにこの本屋がオープンして以来、フィクションと文学を中心とした選書が受けてカルチャー好きの若者が集まるようになり、周辺におしゃれなカフェやベーカリーが増えていきました。
オーナーのケニーさん曰く、「2005年にお店をオープンしたときは、周りには住宅しかなかったんだ。だから家賃が安かったのが、ここを選んだ理由(笑)」。冗談まじりに話すけれど、実際のところ、彼がエリアに与えた影響は大きい。
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店の奥ではケニーさんが集めたアンティーク雑貨も販売されている。掘り出しものが見つかるかも
界隈の住民の生活に根ざしつつも、休日にのんびり過ごそうと足を伸ばす人をも受け止めてくれる、ほっこりとした素敵な街です。
Books Actually(ブックスアクチュアリー) | ||
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定休日 | : | なし |
営業時間 | : | 10:00〜20:00(日月は18:00まで) |
公式HP | : | https://www.booksactuallyshop.com/ |
住所 | : | 9 Yong Siak Street, Singapore, 168645 |
中華系、マレー系、インド系、欧米系の文化が融合してきた歴史を持つシンガポール。多様な魅力が小さな国土にぎゅっと詰まっているので、時間がない働く女性の週末旅でも、満足感がたっぷり得られること間違いなしです。ここでしか見つからない素敵なものを探しに、シンガポールを訪れてみませんか?
T. Ayako
フリーランスライター&エディター。出版社にて情報誌、ファッション誌の編集を担当し、独立。2016年よりシンガポールへ移住。
JALパックで行くシンガポール
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