私は4年前にマニラに移住し、2歳の子どもを育てながらこの都市での暮らしを楽しんでいます。移住当時と比べると、スタイリッシュなビルや快適に過ごせるショッピングモールなどが増え、街なかを安全に移動できる環境も整ってきました。
今回はそんなマニラの魅力を、女性でも安心して楽しめるスポットを中心にご紹介します。
文・写真:Marina 編集:佐々木鋼平(CINRA. inc,)
進化を続ける最先端エリア、ボニファシオグローバルシティを歩く
Bonifacio Global City(ボニファシオグローバルシティ)
古いマニラのイメージを覆す最先端の再開発エリア、ボニファシオグローバルシティ(BGC)。
街中は清潔で緑があふれ、5つ星ホテル「シャングリラ・アット・ザ・フォート・マニラ(Shangri-La at the Fort, Manila)」や、高級コンドミニアム「セレンドラ(Serendra)」など、富裕層向けの施設も並びます。そんなBGCのメインストリートが「ボニファシオ ハイストリート(Bonifacio High Street)」。
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広場の両脇にお店が並ぶ
全長約500mのボニファシオ ハイストリートは歩行者専用で、道幅がとても広く、芝生広場や噴水が設置されるなど、まるで公園のように開放的なつくり。
道沿いには、BENCH/(ファストファッション)といったファッションブランドや、Healthy Optionsという健康食品やボディケア用品を扱うセレクトショップなど、フィリピンローカルのさまざまなお店が並び、ショッピングに最適です。
ボニファシオ ハイストリートは、バリアフリーに対応しているので車椅子やベビーカーでもスイスイ移動でき、子どもを遊ばせるにも最適。安全にゆっくりとお買い物を楽しむことができます。
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ヒールの靴でも快適に歩ける広々とした通り
BGCのもうひとつの魅力は、街なかにあふれる現代アート作品の数々。
ボニファシオ芸術振興財団(Bonifacio Art Foundation)によるプロジェクトにより、街全体に60以上のパブリックアート作品が散りばめられています。
なかには一見落書きのような、街角にさりげなく描かれた遊び心のある作品や、ビルの壁一面に描かれたインパクトのある作品なども。天気の良い日にお散歩をしながらお気に入りの作品を探すという楽しみ方もできます。
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BGCに点在する現代アート作品
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ボニファシオ ハイストリートの東端にある、マニラ最大規模の書店「Fully Booked BGC店」もおすすめ。5階建てのフロアには、雑誌、絵本など、英語の書籍がずらりと並びますが、なかには日本の漫画の英語版なども。
本を積み上げたデザインの巨大な壁など、意外性のある内装にも驚かされます。ゆったりくつろげるスペースを広くとっていて、ブックカフェもあるのでひと休みにも最適。見てまわるだけでも楽しめる書店です。
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Fully Booked BGC店
またBGCでは、ボニファシオ ハイストリートや、エリア内にいくつもある大小さまざまな広場で、不定期にマーケットが開催されています。
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Jesus Ovalで不定期開催されている『My Saturday Market』
Jesus Ovalという広場で土曜日に不定期開催されている『My Saturday Market』では、オーガニックコスメやヤシの木を使ったフィリピン伝統の小物などを扱うお店が15店ほど並び、国際色豊かな人々で賑わいます。
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新鮮な南国フルーツや野菜が並ぶ
甘いマンゴーやパイナップル、ドラゴンフルーツなどの色あざやかな南国の果物、日本では見かけない珍しい野菜もずらり。その場で新鮮な果物を絞ったレモネードやフルーツジュースもおすすめです。

暑い日は特に冷たいフルーツジュースが美味しい
ボニファシオ ハイストリートでも、さまざまなマーケットが週末に開催されています。取材で訪れたこの日は『Origin Market』というハンドメイドのバッグやアクセサリーを扱うお店が並ぶマーケットが開催されていました。
フィリピン人はビビッドな色合いをファッションに取り入れるのがとても上手。ここでも華やかな色合いのアイテムが並びます。日本人の好みに合うものも多くあり、ワンポイントで取り入れるだけで南国風の装いを楽しめます。
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ボニファシオ ハイストリートでもマーケットが不定期に開催されている。この日は『Origin Market』
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ハンドメイドの色鮮やかなバッグや小物
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フィリピン伝統の籐をアレンジしたアクセサリー
大胆にアレンジされたフィリピン料理は、日本人の口にもぴったり
Manam Comfort Filipino
フィリピン料理は、スペイン料理からの影響を受けつつ主食はお米で、少し濃い味付けの肉や魚介類がメイン。野菜は少なめという特徴があります。
ローカルの家庭内ではもちろん外食でも親しまれており、マニラの街なかにはいくつものフィリピン料理店が並びますが、そのなかでも特に人気のお店が「Manam Comfort Filipino」。平日でも行列が絶えません。
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Manam Comfort Filipinoの店内は天井が高く、開放的な雰囲気
このお店は、伝統的なフィリピン料理を大胆にアレンジしたメニューが特徴で、特に「スイカとビーフのシニガンスープ」が有名です。
シニガンスープとはフィリピンでとれる酸味のある果実「タマリンド」を使ったスープのこと。スイカのまろやかな甘味と牛肉の旨味、酸味のあるスープの組み合わせが日本人にも好評で、これ目当てのリピーターもいるほどです。
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スイカとビーフのシニガンスープ(Sinigang na Beef Short Rib & Watermelon)
また、フィリピンのお祝い料理のひとつ、パンシットもおすすめ。パンシットとは麺と野菜やシーフードなどを炒めた料理で、焼きそば風の「カントン」、細いお米の麺をつかった「ビーフン」など、いくつかテイストがあります。
Manam Comfort Filipinoではクリスピーな麺にシーフードソースをかけていただく「クリスピーパラボク」というタイプのパンシットが人気。あつあつのソースがとろりと麺になじみ、シーフードの香りが口に広がる一品です。
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シーフードソースをかけるタイプのパンシット「パラボク」(Crispy Pancit Palabok)
また、暑い日のデザートで外せないのが「ハロハロ」。フィリピン語で「ごちゃまぜ」という意味を持つこのスイーツは、かき氷、アイスクリーム、ゼリー、シロップ、フルーツなどをかき混ぜていただきます。
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ハロハロ(Halo Halo)
混ぜ合わせる内容はお店それぞれに個性があり、それも楽しみのひとつですが、Manam のハロハロは、ウベ(紫芋)のアイスクリームをメインにしたシンプルな仕上がり。サイズも小さめなので、甘いものが苦手な人も美味しくいただけます。
Manam Comfort Filipino(BGC店) | ||
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営業時間 | : | 7:00〜22:00 |
定休日 | : | なし |
所在地 | : | Ground Floor, Net Park, 4th Avenue, Bonifacio Global City, Taguig City |
SNS | : | https://www.facebook.com/ManamPH/ |
フォトジェニックな伝統建築に包まれてタイムスリップ
Intramuros(イントラムロス)
16世紀のスペイン統治時代の建築物が残る旧市街「イントラムロス」はメトロマニラ(マニラ首都圏)の中心にある代表的な観光地。城壁に囲まれたエリアに荘厳な教会や博物館、大学などが集まっています。
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カレッサ(馬車)とイントラムロスの街並み Photo by Rising sun
アジアのなかでも珍しい、キリスト教徒が主流派を占める国、フィリピン。イントラムロスでは、400年以上前の教会がいまも活用されており、この国におけるキリスト教信仰と文化を感じることができます。
そのなかでもマニラ大聖堂は、1571年に創設され、マニラカトリックの本拠地として最も重要とされる教会。
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マニラ大聖堂 イントラムロスを代表するキリスト教建築のひとつ
過去に何度も崩壊し修復が重ねられ、1958年に現在のネオロマネスク様式の大聖堂として再建されました。
なかは重厚な雰囲気のつくりになっており、美しいステンドグラスやアジア最大級とされる4,500本ものパイプからなるパイプオルガンは必見です。
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マニラ大聖堂 彫刻が美しい教会 Photo by Rising sun
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マニラ大聖堂 ミケランジェロの最高傑作のひとつ、ピエタのレプリカを間近に見ることができる
そしてイントラムロスのもうひとつのハイライト、サン・アグスティン教会は、石づくりの建築としてフィリピン最古の教会。
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ユネスコ世界遺産にも登録されているバロック様式の教会。
1571年に建てられたオリジナルの教会は、竹とニパと呼ばれるヤシの葉でつくられていたそうですが、何度かの再建を経て1607年、現在の石づくりのバロック建築が完成したとのこと。
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中庭を取り囲む回廊や小部屋に、さまざまな絵画や像が並ぶ
教会内部はメキシコの寺院をモチーフにつくられており、パリから持ち込まれたという華やかなシャンデリアや、掘られたように見える天井の装飾が見どころのひとつ。2階から荘厳な教会内部を見下ろすこともできます。
人の少ない平日に訪れると、当時の世界にタイムスリップしてしまったかのような不思議な感覚になります。
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サン・アグスティン教会は、フィリピン人あこがれの結婚式場としても有名 Photo by Rising sun
The Manila Cathedral | ||
---|---|---|
営業時間 | : | 7:00〜17:00 ※日によって時間変更の可能性あり |
定休日 | : | なし |
所在地 | : | Beaterio St, Cabildo St, Intramuros, Manila, 1002 Metro Manila |
web | : | http://manilacathedral.com.ph/home.aspx |
San Agustin Church | ||
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営業時間 | : | 火〜土曜9:00〜12:00、14:00〜18:00 日曜7:00〜12:00、14:00〜18:00 ※日によって時間変更の可能性あり ※ミサや結婚式のあるときは教会のみ拝観不可 |
定休日 | : | 月曜 |
所在地 | : | General Luna St, Manila, 1002 Metro Manila |
SNS | : | https://www.facebook.com/Church.SanAgustin/ |
都会の喧騒を離れ、フィリピンの民間療法「ヒロット」に癒やされる
Yk Spa
日本ではマッサージの一種としても知られている「ヒロット」は、フィリピンが本場。こちらでは体の不調と向き合うセラピーのような民間療法としても親しまれています。
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バナナの葉を使ったボディチェック。photo by Yk spa
マニラには、ヒロットのサロンがいくつもありますが、そのなかでも在住日本人に人気なのがMakati(マカティ)にある「Yk Spa」。
「TESDA」というフィリピン政府機関認定のヒロット国家資格を持つ日本人セラピストがいるため、言葉に不安のある人でも安心。日本語での丁寧なカウンセリングのあと、本格的なヒロットの施術を施してくれます。
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居心地のよい落ち着いた空間 Photo by Yk Spa
施術には、ココナッツオイルを使った全身トリートメントや、バナナの葉を使った体のバランスチェック、ダグダガイと呼ばれる竹の棒を使った足裏マッサージ、さらにはフェイシャルマッサージも。
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ダグダガイの足裏マッサージ photo by Yk spa
これらのさまざまな施術を組み合わせて全身のメンテナンスをしていきます。フェイシャルマッサージは眠ってしまうほどの心地よさ。終わった後は、お肌がつるつるになったことを実感できます。

丁寧な施術 Photo by Yk spa
Yk Spa ※現在は移転しています | ||
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連絡先 | : | ritual.hilot@gmail.comまたは Line ID ykmakati7527(日本語対応) |
SNS | : | https://www.facebook.com/yk.spa.9 |
笑顔が絶えない、フィリピンの人々も魅力的
ショッピング、リラックス、アフタヌーンティーなど、まだまだ語りきれないマニラの魅力。でもそんなマニラに私が感じている一番の魅力は「人」かもしれません。
笑顔が絶えず、いつでも明るく話しかけてくれるフィリピンの人々のおかげで、いまでは移住前の不安も吹き飛び、とても楽しく過ごすことができています。そんな南国のエネルギーを、旅をとおしてぜひ感じてみてください。
初回投稿日:2019年5月30日
※2024年12月4日に一部内容を更新いたしました
Marina
マニラ在住ライター・ブロガー。2歳男児の子育てをしながらマニラ生活を少し便利に楽しくすることを目指した情報を発信している。日本の看護師経験をもとに医療ボランティアに従事し、近年日本でフィリピン人医療者を受け入れる企業のサポートも行っている。
https://nonki-mom.com/
https://twitter.com/mifyu_manila/
掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。