アメリカ北部に広がる大自然の宝庫へ
北アメリカ大陸の北西端に位置し、アメリカ最大で日本の4倍の面積を誇るアラスカ州。最大の都市アンカレジや第二の都市フェアバンクスを中心におよそ70万人の人々が暮らすこの州は、アメリカでもっとも人口密度が低い場所。森林や氷河、フィヨルドが総面積の95%以上を占めると言われ、アメリカ大陸を代表する“大自然の楽園”として多くの人々に愛されています。
北アメリカの最高峰デナリ(マッキンリー)や、氷河が生み出した美しいフィヨルド、北極海やベーリング海に面して複雑な地形を描く海岸線、そしてグリズリーベアやムースなど多くの野生動物たち……。雪が溶け、大地が美しい緑に彩るこれからの季節は、気候も温暖な旅のベストシーズンのひとつ。アラスカの短い夏を楽しむなら、レンタカーやアラスカ鉄道を利用して、周囲360°に広がる壮大な自然を体感してください。
北アメリカ最高峰が描く山の絶景のなかへ
アラスカ州南部に位置し、およそ256kmにわたって大きな弧を描くアラスカ山脈を中心に、多くの山々が点在するアラスカ。なかでもとびきりの絶景を作り出しているのが、標高6168mの北アメリカ最高峰、デナリです。デナリとは先住民アサバスカンの言葉で「偉大なもの」を意味する言葉。その名のとおり、純白の雪を冠した名峰は、力強く荘厳な美しさを湛えています。
その偉容とゆっくり向き合うなら、ぜひデナリを中心に広がる「デナリ国立公園」へ。1917年にオープンした「デナリ国立公園」には、嶮峻な山肌を持つデナリを取り囲むように他の山々や大平原、ツンドラが広がっています。そのスケール感は、「これぞアラスカ!」と言いたくなるほど圧倒的。アラスカを象徴するかのような“山の絶景”が楽しめます。
また、四国よりも大きな面積を誇る「デナリ国立公園」は、数々の生き物たちが暮らす野生動物の楽園です。グリズリーベアやムース、カリブー、オオカミなど、アラスカならではの野生動物はもちろん、空にはイヌワシをはじめとする130種類もの鳥類が舞っています。「デナリ国立公園」には、アンカレジやフェアバンクスからアラスカ鉄道やバスでアクセスするのが一般的。国立公園内の道路は、自然保護のために一般車の通行が制限されているので、現地ではシャトルバスやワイルドライフツアーなどを利用するのがおすすめです。
海と氷河が織りなす水の絶景に出合う
大小あわせて10万もの氷河が点在するアラスカは、“世界で最も多くの氷河が存在する場所”とも称されています。アラスカには、青く澄んだ氷河が描くさまざまな風景が広がっていますが、なかでも海上から氷河を眺める「26氷河クルーズ」はおすすめの体験。海と氷河が織りなす“水の絶景”を楽しめるはずです。
「26氷河クルーズ」の起点となるのは、アンカレジの南東に位置する小さな港町・ウィッティア。プリンス・ウィリアム湾をめぐる約5時間のクルーズでは、文字通り26もの氷河を眺めることができます。カスケード氷河やバリー氷河、サプライズ氷河……など、氷河によって個性はさまざまですが、夏の陽射しにきらきらと輝く氷河や流氷は、溜め息が出るほどの美しさ。運が良ければ、ドドンという轟音とともに崩落する氷塊を眺められることもあります。クルーズ中には、ラッコやアザラシ、イルカなどの姿を眺められるのも魅力です。アンカレジからウィッティアへのアクセスは、バスかアラスカ鉄道が一般的。車窓からの風景も、ぜひゆっくりと楽しんでください。
大地が育む豊かな木々、森の絶景に出合う
どこまでも続く広大な原野と、大地に根を張る木々や草花。広く、美しい“森の絶景”も、夏のアラスカで楽しみたい風景のひとつ。森のスケールを全身で感じるなら、やっぱりハイキングなどのアクティビティを楽しむのがおすすめです。
例えばアンカレジから車で約20分でアクセスできる「チュガッチ州立公園」は、ハイキングにおすすめの場所。アラスカ最大の都市のすぐそばにありながら、そこにはチュガッチ山脈に抱かれた豊かな自然が待ち受けています。州立公園としては全米で第三の規模を誇る園内には、110ルートものトレイルがあり、その総延長は800kmにもおよぶそう。ツガやエゾマツなどの針葉樹林に覆われた深い森や、高山ツンドラ、エルクートナ湖など、見どころも多彩。ムースやドールシープ、オオヤマネコ、ブラウンベアなどの野生動物も数多く生息しています。アンカレジから気軽に“森の絶景”にアクセスできる「チュガッチ州立公園」は、一度は訪れたいとびきりのハイキングフィールド。また、アラスカ州の南部、州都ジュノーの近くに位置する「グレイシャーベイ国立公園」も、氷河や森、野生動物などを楽しめるおすすめの場所です。
ひとことコメント
5月~9月頃にかけてのアラスカは、旅のベストシーズン。特に、6月~8月はアンカレジの平均最高気温16℃~18℃となるおすすめの時期。日照時間も長いので、さまざまな旅のエッセンスを楽しめるはず。ただし、真夏とはいえ氷河や標高の高い場所に行く場合は、しっかりとした防寒対策が必要です。
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