また、カフェが多い理由の一つに、「雨」が関わっていると言われています。シアトルでは、爽やかな夏が終わると、秋は早足で過ぎ去り、すぐに冬がやってきます。冬は雨が多く、灰色の空が4月ごろまで続きます。そんな雨の多い街だからこそ、雨宿りのためにコーヒーショップがたくさん誕生したという説もあるのです。
今回は、そんなシアトルのなかでも、地元のコーヒー好きが集まる老舗&注目のカフェをご紹介します。美味しいコーヒー片手に、地元の人たちとのおしゃべりを楽しんでみてはいかがでしょう。
文:岩田リョウコ
ダウンタウンのビジネスマンを支える、老舗のカフェ
Monorail Espresso(モノレール・エスプレッソ)
シアトルのカフェの朝は早く、ほとんどのお店は午前6時にオープンします。1980年から続く、ここ「Monorail Espresso(モノレール・エスプレッソ)」も例外ではありません。
モノレール・エスプレッソは、ダウンタウンにあるビジネス街の真ん中にあるテイクアウト専門のカフェ。もともとはモノレールの駅の下で移動式エスプレッソ屋さんとしてオープンしたため、この名前がつけられました。朝は通勤途中にコーヒーを買う人で列ができていることも多い人気店です。
「モノレール・エスプレッソ」のメニューは、ラテやモカなどのエスプレッソ系ドリンクがメイン。ホワイトモカやアーモンドミルクラテ、さらにはラベンダーラテなど、日本ではあまり見かけないドリンクも多くあります。
ここでドリンクをテイクアウトして、徒歩9分ほどの場所にある、現存するマーケットでは全米で最も歴史の長い「Pike Place Market(パイク・プレイス・マーケット)」へ向かうのがおすすめの観光コース。
1907年創業の「パイク・プレイス・マーケット」には、新鮮な魚や野菜、果物などがところ狭しと置かれ、元気の良い売り子が呼び込みを行なっています。食品以外にも、アクセサリーやアンティークグッズ、バッグなどの小売店もあり、お土産の購入も可能。1971年に開店したスターバックスの1号店もあります。
2017年には、マーケットの海側にブルワリー、アートなどを販売するショップが入った「マーケットフロント」と呼ばれる建物が完成。古き良きシアトルと新しいシアトル、どちらも見ることができます。
Monorail Espresso(モノレール・エスプレッソ) | ||
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営業時間 | : | 6:00〜18:00 (月〜金曜)、8:00〜18:00(土曜)、9:00〜17:00(日曜) |
定休日 | : | なし |
SNS | : | https://www.facebook.com/Monorail-Espresso-117657621584837/ |
住所 | : | 510 Pike St, Seattle, WA 98101 |
Pike Place Market(パイク・プレイス・マーケット) | ||
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営業時間 | : | 各店舗によって頃なる |
定休日 | : | 11月の第4木曜日(感謝祭)、12/25(クリスマス) |
web | : | http://www.pikeplacemarket.org/ |
住所 | : | 1st Avenue & Pike Street, Seattle |
公園の散歩がてら味わう。体が喜ぶオーガニックな一杯
Volunteer Park Cafe(ボランティア・パーク・カフェ)
ダウンタウンの東側に隣接するキャピトル・ヒル(Capitol Hill)地区は、シアトルにおけるカルチャー発祥の地といっても過言ではありません。
1960年代以降、ジミ・ヘンドリックスをはじめ多くのミュージシャンやアーティストを輩出し、1990年に一斉を風靡した音楽ジャンル「グランジ・ロック」が生まれたのもこの土地。シアトルでは、音楽やアートに惹かれたさまざまなバックグラウンドを持つ人々が集まり、互いの個性を認め、尊重し合いながら生活しています。
ここには、地元の住民の憩いの公園「ボランティア・パーク」があります。園内には、美しい貯水池や熱帯植物やサボテンなどが展示された温室、学生時代シアトルに住んでいたブルース・リーのお墓がある「レイクビュー墓地」などがあります。
そんなボランティア・パークへの散歩がてら訪れたいのが、公園の東、閑静な住宅街のなかにある「Volunteer Park Cafe(ボランティア・パーク・カフェ)」。看板を出していない、知る人ぞ知るカフェです。
コーヒーメニューは、ラテやカプチーノなどエスプレッソ系のみ。食材は地元で採れたオーガニックなものにこだわり、とくに野菜やハーブ、産みたて卵は、このお店の裏庭で育てられ、収穫されています。
シアトルは、本社を置くAmazonの拡大や、同じくグローバル企業であるGoogle、Facebookの支社の進出により、人口は増加を続けています。それに伴って食文化も発達し、個人の食に対する安全面の意識も高まっているため、裏庭で採れた食材を提供しているボランティア・パーク・カフェのようなお店は、シアトルの人から特に人気を集めています。
私のお気に入りは、「本日のキッシュ」とラテのコンビネーション。卵がたっぷり使われたキッシュはボリューム満点で、新鮮野菜がたっぷり添えられているのも嬉しいポイント。毎回キッシュに使われている具材が違うので、それもここへ来る楽しみのひとつです。
Volunteer Park(ボランティア・パーク) | ||
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営業時間 | : | 10:00〜19:00(冬季は〜16:00) |
住所 | : | 1400 E. GalerSt. |
Volunteer Park Cafe(ボランティア・パーク・カフェ) | ||
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営業時間 | : | ランチ 7:00〜16:30(火〜金曜)、8:00〜16:30(土・日曜) / ディナー17:30〜21:00(火〜土曜) |
定休日 | : | 月曜 |
web | : | http://alwaysfreshgoodness.com/ |
住所 | : | 1511 17th Avenue East, Seattle, WA 98112 |
アットホームな雰囲気についつい長居。自分だけの時間が過ごせるカフェ
Zoka Coffee Roasters & Tea Company(ゾカ・コーヒーロースター & ティー・カンパニー)
シアトルには、地元の人の憩いの場となっている公園がたくさんあります。ダウンタウンから車で北へ15分ほどのところにある「グリーン・レイク公園」もその一つ。グリーンレイクと呼ばれる湖を4.5kmほどぐるりと囲んだ道では、地元の人たちがサイクリングやジョギングを楽しんでいます。
そこから、南に徒歩で約15分の住宅街へ少し入ったところに「Zoka Coffee Roasters & Tea Company(ゾカ・コーヒーロースター & ティー・カンパニー)」があります。
じつはこちら、1979年から15年にわたり、スターバックスの焙煎部門を担当した豆の焙煎のスペシャリストとその友人が1997年に創業したカフェ。
「経営を優先するのではなく、お客さんに美味しいコーヒーを飲んでほしいというスペシャリティコーヒーの原点に立ち返る」という信念のもとにオープンしたゾカは、スタッフの教育に力を入れていることでも有名。『ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ』を勝ち上がったバリスタなど、たしかな技術を持つスタッフがコーヒーを淹れてくれます。
ここではエスプレッソドリンク、ドリップコーヒー、紅茶のほか、抹茶ラテやパンプキン・スパイスラテなど変わり種ドリンクも提供しています。全部試したくなる種類豊富なメニューと、気持ちの良いスタッフの接客に、ついつい長居してしまうこと請け合いです。
Zoka Coffee Roasters & Tea Company(ゾカ・コーヒーロースター & ティー・カンパニー) | ||
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営業時間 | : | 6:00〜21:00(土〜木曜) / 7:00〜19:00(日曜) |
定休日 | : | なし |
web | : | https://www.zokacoffee.com/ |
住所 | : | 6204, 2200 N 56th St, Seattle, WA 98103 |
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