アメリカの北西部にある、ワシントン州最大の都市・シアトルは、コーヒーが大好きな街。スターバックスやタリーズコーヒーなどの「シアトル系コーヒー」を生み出し、2017年の調査(WalletHub調べ)によると、人口1人あたりのコーヒーショップの数は、ニューヨークやサンフランシスコに並んで1位に。道を歩けば、1ブロックごとにカフェが現れるほど、カフェが多い街です。
また、カフェが多い理由の一つに、「雨」が関わっていると言われています。シアトルでは、爽やかな夏が終わると、秋は早足で過ぎ去り、すぐに冬がやってきます。冬は雨が多く、灰色の空が4月ごろまで続きます。そんな雨の多い街だからこそ、雨宿りのためにコーヒーショップがたくさん誕生したという説もあるのです。
今回は、そんなシアトルのなかでも、地元のコーヒー好きが集まる老舗&注目のカフェをご紹介します。美味しいコーヒー片手に、地元の人たちとのおしゃべりを楽しんでみてはいかがでしょう。
文:岩田リョウコ

コーヒー好き激推し。焙煎の香り漂う店内で、絶品アメリカーノを味わう

Lighthouse Roasters(ライトハウス・ロースター)

グリーン・レイク公園から南に車で5分ほど。フリーモントの閑静な住宅街のなか、絶え間なく地元のお客さんが行き交う「Lighthouse Roasters(ライトハウス・ロースター)」があります。

シアトルのコーヒー好きに「美味しいコーヒーはどこ?」と聞くと、ほとんどの人がこのカフェの名前を挙げるほど、コーヒー好きのあいだでは有名なお店。シアトルにあるカフェやレストランの多くは、ここの豆を使っています。

画像: 店内にある大きな焙煎機からは、一日中焙煎のいい香りが漂う

店内にある大きな焙煎機からは、一日中焙煎のいい香りが漂う

ここは、Wi-Fiもなければテーブルも少ないカフェですが、人間味に溢れています。

以前、いつものようにここへコーヒーを買いに来た日のこと。お会計をしようとすると「今日はいらないよ!」と言われたことがあります。その日は開店20周年記念日だったらしく、カフェ側が無料でコーヒーを提供していたのです。

ふとチップのカゴを見ると、なかにはお札が溢れんばかりに入っていました。カフェに対してありがとうの気持ちを表す地元の人の姿勢から、カフェと地元の人との強いつながりが見えた日でした。

画像: Lighthouse Roasters(ライトハウス・ロースター)

Lighthouse Roasters(ライトハウス・ロースター)

さて、ライトハウス・ロースターに行ったら是非飲んでいただきたいのが、アメリカーノ。とくに、苦味と甘味が絶妙なバランスで混ざったクレマ(エスプレッソの液面に浮かぶ泡)が絶品! まるでチョコレートのような味わいが楽しめます。グリーン・レイク公園を訪れたら、ぜひついでに立ち寄ってその味を確かめてみてください。

Lighthouse Roasters(ライトハウス・ロースターズ)
営業時間6:00〜19:00(月〜金曜)、6:30〜19:00(土・日曜)
定休日https://lighthouseroasters.com/
webhttps://lighthouseroasters.com/
住所400 N 43rd St, Seattle, WA 98103

まるでコーヒーのセレクトショップ。自分だけの一杯が見つかるサードウェーブ系カフェ

Milstead & Co.(ミルステッド・アンド・コ)

現在、カフェシーンは作り手の顔が見えるクオリティーの高い豆と、その個性を引き出すために丁寧な淹れ方にこだわる「サードウェーブ」コーヒーブームの真っ盛りですが、その前のセカンドウェーブはシアトル系コーヒーが始まりと言われています。

19世紀後半から1960年代までのあいだ、アメリカでは、流通が発展したことで、インスタントコーヒーが広く一般家庭に普及しました。この波はファーストウェーブと呼ばれています。

1971年にシアトルにスターバックスが創業し、それまでのあっさりしたコーヒーとは対照的な、上質な豆を深煎りしたコーヒーの提供を開始しました。1990年前後よりチェーン展開を本格的に開始。気軽に美味しいエスプレッソコーヒーが飲めることから世界的に人気となり、セカンドウェーブを巻き起こすきっかけをつくりました。これにより、エスプレッソコーヒーは私たちにとって身近な飲み物となったのです。

そんなスターバックスで豆の買いつけを担当している友人に「すごいカフェを発見した。すぐに行ってみて」と勧められたのが、フリーモントの南側にある、2011年にオープンしたサードウェーブ系カフェ「Milstead(ミルステッド)」です。

画像: Milstead(ミルステッド)店内 写真提供:Dan Cole

Milstead(ミルステッド)店内 写真提供:Dan Cole

このお店は、U字の形をした湖、ユニオン・レイクのすぐそばに位置しています。ユニオン・レイクにはボートハウスが多くあり、トム・ハンクス主演映画『めぐり逢えたら』のロケに使われたボートハウスもあるそうです。

画像: ユニオン・レイクにあるボート小屋 写真提供:shutterstock

ユニオン・レイクにあるボート小屋 写真提供:shutterstock

ミルステッドの最大の特徴は、マルチロースターといって、世界中のロースター(焙煎工場)から豆を仕入れるセレクトショップのような形態をとっているところ。

シアトルでは、少数のロースターと契約する「シングルロースター」のカフェが多いですが、ここではシアトルとポーランドのロースターを中心に、約30種類以上の豆を取り寄せているので、きっと自分好みのコーヒーが見つかるはずです。

画像: カフェで使用している豆は購入することもできる

カフェで使用している豆は購入することもできる

ドリップコーヒーを楽しんだあとは、是非カフェモカもお試しあれ。シアトルの有名オーガニック・チョコレート店「THEO」のチョコを使っていて、コーヒーのほろ苦さとともに、スイートな香りとカカオ本来の力強い味わいを感じることができます。

ミルステッドに来たら、好みのコーヒーをテイクアウトして、美しいユニオン・レイクを臨みながら、のんびり湖辺を散歩してみてはいかがでしょう。きっと、特別な一杯になるはずです。

画像: シアトルの街。奥に見えるのがユニオン・レイク 写真提供:shutterstock

シアトルの街。奥に見えるのがユニオン・レイク 写真提供:shutterstock

Milstead & Co.(ミルステッド・アンド・コ)
営業時間6:00〜18:00(月〜金曜) / 7:00〜18:00(土・日曜)
定休日なし
webhttp://milsteadandco.com/
住所754 N 34th St, Seattle, WA 98103

シアトルには、今回ご紹介したようなカフェ以外にも、Amazonの本社見学ツアーや、自然豊かな公園や湖畔を散歩するなど、観光スポットが盛りだくさん。少し歩くだけで違った街の表情を楽しむことができます。ぜひ、美味しいコーヒー片手に、シアトルの街歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか?

岩田リョウコ

アメリカ在住13年のコラムニスト。元外務省専門調査員。コーヒーのイラストサイト「I Love Coffee」運営。著書に『シアトル発ちょっとブラックなコーヒーの教科書』などがある。
www.ryokoiwata.com

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