カナダ西海岸のブリティッシュコロンビア州の、そのまた西の端っこに位置するバンクーバー。「世界で最も住みやすい都市」で検索すればほぼ確実にヒットしますが、具体的なイメージとなるといまいちボンヤリ……という方も多いのではないでしょうか? じつはバンクーバーはハリウッド映画の「影の主役」、別名ハリウッド・ノースと呼ばれる街でもあります。映画やドラマのロケ地として、非常に多くの場所が使われているのです。今回はこの街に暮らす主人公になった気分で、バンクーバーを歩いてみましょう!
文:高野宣李

王道のヒーロードラマの世界へ。見て体験して楽しい、ダウンタウンのロケスポット

「ハリウッド・ノース」ことバンクーバー。ここで撮影された作品のなかで注目作といえば、アメリカのテレビドラマ『フラッシュ』(2014年~)。「地上最速の男」フラッシュを主人公にした、アメコミ原作のドラマです。ヒーローとして、一人の人間として成長していく主人公の姿は共感を呼び、息もつかせぬ展開、他のヒーロードラマとのクロスオーバーで広がる世界観の魅力で、瞬く間に人気シリーズとなりました。

画像: 『THE FLASH / フラッシュ<ファースト>』(DVD 前半セット・後半セット 各2,490 円+税、ブルーレイ コンプリート・セット 6,171 円+税 / ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント)

『THE FLASH / フラッシュ<ファースト>』(DVD 前半セット・後半セット 各2,490 円+税、ブルーレイ コンプリート・セット 6,171 円+税 / ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント)

『フラッシュ』は、バンクーバーの「ダウンタウン」と呼ばれる中心地で多くの撮影が行われています。今回は『フラッシュ』のロケポイントでもあり、また他にも多くの映画・ドラマ作品に登場する「常連」ともいえる2つのスポットをご紹介します。

ひとつ目は、バンクーバー中央図書館。ローマのコロッセオをモチーフにした外観は世界的に有名で、蔵書は130万冊を誇ります。1階のプロムナードにはカフェやギフトショップが並び、映画上映などのイベントも行われます。勉強の合間におしゃべりを楽しんだり、コーヒーを飲みながら読書に疲れた頭を休めたりと、それぞれが思い思いの過ごし方をする憩いの場になっています。

画像: 吹き抜けのプロムナードは、明るい光が降り注いでとても気持ちの良い空間

吹き抜けのプロムナードは、明るい光が降り注いでとても気持ちの良い空間

もうひとつのスポットは、オルフェウム劇場です。バンクーバー交響楽団の本拠地で、オーケストラの演奏はもちろん、他にもさまざまなコンサートが開催されています。クラシックな装飾、荘厳な天井画、豪華なシャンデリアなど、1927年にオープンした当時の内装がそのまま残されていて、まるでタイムスリップしたような気分に。タキシードやドレスでおしゃれして歩きたくなります。夏限定のバックステージツアーでは、普段は入れない劇場の裏側や天井裏を案内してくれるのでおすすめです。

画像: オルフェウム劇場。夜になるとパブやクラブで楽しむ人たちで賑わうナイトライフの中心地グランビル・ストリートに建つ

オルフェウム劇場。夜になるとパブやクラブで楽しむ人たちで賑わうナイトライフの中心地グランビル・ストリートに建つ

バンクーバー中央図書館
開館時間10:00~21:00(月~木)、10:00〜18:00(金・土)、11:00~18:00(日)
webhttp://www.vpl.ca/location/central-library
住所350 West Georgia St.
オルフェウム劇場
webhttps://vancouvercivictheatres.com/venues/orpheum/
住所601 Smithe St.

レトロな50's風ダイナーでひと休み。カリカリベーコンと濃厚な黄身の目玉焼きをトーストにオン

オルフェウム劇場の周辺スポットでおすすめしたいのが、徒歩5分の場所にある50’s風のダイナー「the Templeton(ザ・テンプルトン)」。一日中朝食メニューを提供する「All day Breakfast」のお店です。トーストに卵、ベーコンとポテト、そして無骨なマグカップに波々と注がれたコーヒーというダイナーの王道メニューの他、ボリュームたっぷりのサンドイッチやハンバーガーも。レトロな内装の店内は、ドラマの撮影にもしばしば使われています。

画像: カリカリのナチュラルスモークベーコンに、ハーブが香るローズマリーポテト。フリーラン(放し飼いした鶏)の新鮮な卵はぜひ、両面焼いたスタイルの目玉焼き「オーバーイージー」で、半熟の濃厚な黄身を味わって!

カリカリのナチュラルスモークベーコンに、ハーブが香るローズマリーポテト。フリーラン(放し飼いした鶏)の新鮮な卵はぜひ、両面焼いたスタイルの目玉焼き「オーバーイージー」で、半熟の濃厚な黄身を味わって!

ダウンタウンエリアは、2018年6月公開の映画『デッドプール2』でもロケ地として使われています。掟破りの規格外ヒーロー・デッドプールが、毒舌と過激なアクションを武器に愉快爽快痛快に大暴れする本作。笑って泣いて、また笑って、翻弄されたあとにはなぜか感動が残る……今年イチ押しのヒーロー映画です。

主演兼製作、脚本を務めているライアン・レイノルズは、なんと出身もバンクーバー。日本人の女優・忽那汐里さんも参加し、特殊能力を持つ暗殺者の役を演じています。

the Templeton(ザ・テンプルトン)
営業時間8:30~22:00(月~木・日)、8:30〜23:00(金・土)
定休日なし
webhttp://thetempleton.ca
住所1087 Granville St.

そこは魔法使いの大学院!? ブリティッシュコロンビア大学を学生気分で散歩

次にご紹介するのは、ダウンタウンからバスで20分ほどの場所にあるブリティッシュコロンビア大学(UBC)。キャンパス内では『マジシャンズ』(2015年~)というドラマが撮影されています。

画像: 『マジシャンズ』(DVD-BOX 6,800円+税 / NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン)(C) 2016 Universal Studios. All Rights Reserved.

『マジシャンズ』(DVD-BOX 6,800円+税 / NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン)(C) 2016 Universal Studios. All Rights Reserved.

全米ベストセラーに選ばれた小説が原作で、魔法使いを養成する大学院を舞台にしたダークファンタジー。「大人のハリーポッター」とも呼ばれ、謎が謎を呼ぶミステリアスな展開、緻密につくり上げられた世界観の魅力に、釘づけになること間違いなしの作品です。日本ではhuluの配信サービス他、DVDも発売中。

UBCは、カナダの誇る最高学府のひとつ。その敷地はなんとダウンタウンよりも広く、図書館や美術館、博物館のほか、飲食店やスーパー、さらには宿泊施設、病院、ゴルフ場、ホッケーリンクまで備え、さながらひとつの街のような様子が広がっています。

画像: UBCのランドマーク・時計塔と、大学図書館&学習センター。なんと開館時間は朝6時から夜中の1時まで!

UBCのランドマーク・時計塔と、大学図書館&学習センター。なんと開館時間は朝6時から夜中の1時まで!

誰でも自由に入れるうえ、あまりにも広すぎて、誰が学生で、誰が職員で、誰がゲストなのかさっぱりわからないため、UBCの学生気分は案外たやすく味わうことができそう。さらにキャンパス内には誰でも宿泊できるホテルがあり、すべてのお部屋がキッチンつきなので、スーパーで地元の食材を買って料理をつくってみるのも気分が上がります。

バンクーバーでは、農家直売の新鮮な野菜や果物、ジャムや自家製パン、パイなどを売るファーマーズマーケットがあちこちで開催されていますが、なんと6月から10月までの毎週土曜日にはUBCの構内でも行われます。好きなものを買ってのんびりピクニックするのも良いですね。

画像: 夏のバンクーバーは、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリーなどのベリー類が豊富で美味しい

夏のバンクーバーは、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリーなどのベリー類が豊富で美味しい

UBC Reservations Office(宿泊のお問い合わせ)
webhttps://suitesatubc.com/

『ミッション・インポッシブル』のシアトルは、じつはバンクーバー。気分爽快な水辺で乾杯

画像: 『ミッション・インポッシブル / ゴースト・プロトコル』(1,429円+税 / パラマウント・ジャパン合同会社)TM, (R) & Copyright (C) 2012 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

『ミッション・インポッシブル / ゴースト・プロトコル』(1,429円+税 / パラマウント・ジャパン合同会社)TM, (R) & Copyright (C) 2012 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

最後にご紹介したいのは、『ミッション・インポッシブル / ゴースト・プロトコル』(2011年)のラストシーンに登場する、グランビル・アイランド。すべてのミッションを完了した大団円、チームが一堂に介してビールを飲むシーンですが、映画のなかではシアトルという設定になっています。

グランビル・アイランドは、ローカルシーフードや地ビールのブリューワリー、パブリックマーケット、アーティストのギャラリーで有名な観光スポットです。

画像: フードコートでご飯を買い、外のベンチに座ってカモメに邪魔されながら食べるのがローカル流

フードコートでご飯を買い、外のベンチに座ってカモメに邪魔されながら食べるのがローカル流

アイランドとはいいますが実際は地続きになっているので、ダウンタウンからはグランビル橋を渡るバスで行くことができます。ですが、気候の良い季節は断然フェリーがおすすめ。運が良ければ、船からアザラシやカワウソに出会えるかも?

画像: フェリー乗り場。向こう岸にはダウンタウンのビルが見える

フェリー乗り場。向こう岸にはダウンタウンのビルが見える

また、グランビル・アイランドにはいろいろなお店が並んでいるので、お土産選びにもおすすめ。「Granville Island Soap Gallery(グランビル・アイランド・ソープ・ギャラリー)」では100%ハウスメイドの石鹸を扱っていて、どれもこれも欲しくなる可愛さです。

画像: 色とりどりの石鹸、スキンケア製品、キャンドルなどが並ぶ店内は、見てまわるだけでもワクワクします

色とりどりの石鹸、スキンケア製品、キャンドルなどが並ぶ店内は、見てまわるだけでもワクワクします

お店でいちばん人気という石鹸「Vancouver Rain」は、月下香、ジャスミンとヒヤシンスなどをブレンドした爽やかな香りで、雨上がりのバンクーバーの青空を思わせるブルーがとってもきれい!

画像: 店長さんのおすすめソープベスト3。右奥から手前へ、Vancouver Rain、Summer Garden、Canadian Soap

店長さんのおすすめソープベスト3。右奥から手前へ、Vancouver Rain、Summer Garden、Canadian Soap

そしてグランビル・アイランドに行ったらぜひ訪れてほしいのが、料理学校「Pacific Institute of Culinary Arts」の生徒たちによるレストラン「Bistro 101 Restaurant(ビストロ101レストラン)」。毎月第一金曜日のみ提供されるビュッフェはひと月前から予約が埋まってしまうこともある人気店です。併設のカフェ「Bakery 101 Café(ベーカリー101カフェ)」は、ベーカリーシェフの卵たちによるお店。リーズナブルなお値段で、プロ顔負けのケーキやサンドイッチが味わえます。

画像: Bakery 101 Caféのモンブラン。まろやかな味わいのマロンペーストに、甘さ控えめのふんわり生クリーム、そして真ん中には濃厚なマロングラッセ。ひとつで3つの味が楽しめます

Bakery 101 Caféのモンブラン。まろやかな味わいのマロンペーストに、甘さ控えめのふんわり生クリーム、そして真ん中には濃厚なマロングラッセ。ひとつで3つの味が楽しめます

Granville Island Soap Gallery(グランビル・アイランド・ソープ・ギャラリー)
営業時間10:00~17:00
定休日なし
webhttps://granvilleisland.com/directory/granville-island-soap-gallery
住所#104-1535 Johnston St.
Bistro 101 Restaurant(ビストロ101レストラン)
営業時間ランチ 11:30~13:15、ディナー 18:00~20:30
定休日土・日
webhttps://www.picachef.com/blue-hat-bistro
住所101-1505 West 2nd Ave.
その他毎月第一金曜日のビュッフェ「West Coast Buffet」は、ランチ 11:30 / 13:15、ディナー 18:00 / 20:00
Bakery 101 Café(ベーカリー101カフェ)
営業時間8:00〜17:00
定休日日・祝
webhttps://www.picachef.com/blue-hat-bakery
住所101 - 1505 West Second Ave.

夏のバンクーバーは、ほとんど毎日カラッと晴れた良い天気で、気温も30度以下の過ごしやすさ。日も長く、夜も21時過ぎまで明るいので、1日が2回楽しめるようでとってもお得な気分になります。映画やドラマの主人公になったつもりで、図書館でお気に入りの本を探すのも良し、ダイナーでブランチを楽しむのも良し、パブでビールを嗜むのも良し。時間はたっぷりあるので、気ままに、自由に、ゆったりと自分のペースで街歩きを楽しんでみませんか?

高野宣李(たかのせんり)

さすらいの旅がらすライター。ドラマ好きが高じて撮影地のバンクーバーに渡り、あげくに永住権を取得。好きなドラマは数知れず。面白ければ何でもござれの雑食系で、睡眠時間を削りつつ映画やドラマを追っかける日々。

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