協力してくれたのはJAL客室乗務員の二人
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メイクのコツを教わったのは、JALの客室乗務員である山本さん(写真左)と小山さん(写真右)。二人が愛用しているコスメやメイクで意識しているポイントなど、すぐに参考にできるメイク術を聞きました!
上品で控えめ。絶妙なバランスを保つ客室乗務員のメイクのポイント
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JAL客室乗務員の身だしなみのポイントについて、「控えめで品位があること」と教えてくれた小山さん。
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山本さんも「派手すぎず、かといって存在感のないメイクでもなく、お客さまに好感を持っていただける絶妙なバランスを意識しています」と続けます。
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さらに気を配っているのが、長時間のフライトでも崩れにくく、清潔感を保てるメイクであること。
では、実際どんなことを意識すれば、上品で控えめ、そして長時間キープをするメイクが叶えられるのか……。面接やビジネスシーンでも実践しやすい客室乗務員のメイク術を、スキンケアからポイントメイクまで、順を追って詳しくご紹介します。
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ポイント①まずは土台づくり! 崩れにくい&美肌をつくるメイク準備
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長いときは10時間以上メイクをして飛行機に乗っている客室乗務員。メイクを崩さずきれいに保つ秘訣について二人が重視しているというのが、メイク前のスキンケアです。特に念入りに行うのが保湿ケアだそう。
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山本さん
化粧水は2度付けが基本です。メイク前には必ずパックで肌をうるおいで満たします。
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小山さん
しっかり保湿された肌は、その後のベースメイクが薄づきでも美しく仕上がります。何より、メイクが崩れにくくなるんです。
気になるメイク崩れも、実は肌の保湿状態で大きく変わってくるとのこと。土台づくりをしっかり行うとメイクののりがよくなり、機内での乾燥対策にもなると話します。
ポイント②機能系下地で7割肌づくり
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ベースメイクは、下地→ファンデーション→パウダーの順で使用しているという二人。一見普通の流れですが、下地の段階で7割程度、肌を整えてしまうといいます。
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スポンジでトントンと叩き込むように塗ることで、下地の密着度が増して崩れにくさアップ!
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機内は乾燥するので、保湿成分や美容液成分などが入っているクリームタイプの下地を使用しています。さらに、顔色を明るく見せるトーンアップ効果があるものを選び、下地の段階でうるおいとツヤを仕込みます。
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私は下地の段階で保湿、日焼け止め、肌色調整を一度で担ってくれるCCクリームを使用しています。CCクリームを顔全体にたっぷり塗ってうるおいを与え、色ムラを整えたら、気になるシミをファンデーションでカバーします。
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厚く塗り重ねたペンキが、乾くとひび割れてしまうように、厚塗りしたファンデーションは崩れやすくなります。ここからもわかるように、崩れないメイクのコツは、ファンデーションを薄く塗ること。下地の段階で肌を整えることで、後に重ねるファンデーションが薄くて済みます。近年の下地は何役も兼ねているものが多いので、理想の肌に近付けるアイテムを探してみてください。
ポイント③眉毛はきちんと整えて信頼感アップ!
眉メイクは、顔の印象を大きく左右する重要な要素。「親しみやすさ」と「信頼感」を両立させた眉を心がけているのだそう。
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私はもともと困り眉で、眉尻が下がり気味。頼りない印象になってしまうので、眉の中間から眉尻にかけてペンシルで少し上げめに描くことで、自信のある表情に見せています。
一方の小山さんは、メリハリのある眉で好印象を意識しているとのこと。
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眉頭はしっかりと描き、眉尻に向かってシャープにすることで、きつくなりすぎないキリッとした印象に。制服の華やかさにあわせて、私服の時よりも気持ち太く濃く描くように意識しています。
また、髪色と眉の色みの調和をとるのもポイント。特に黒髪の場合、眉も真っ黒にしてしまうと表情が硬くなってしまうので、ブラウン系の眉マスカラで色みを少し明るめに整えることで、優しい雰囲気を演出しています。
ポイント④アイメイクは表情の明るさと上品さのバランスが重要
アイメイクは「表情の見えやすさ」と「上品さ」という2つのポイントを意識しています。
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瞼が厚い私の場合、アイシャドウを二重のラインの上まで入れないと色みが見えにくくなってしまいます。特に機内が暗いときでも表情がはっきりと伝わるよう、普段より少し濃いめのアイメイクを心がけています。
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私はアイラインにもこだわっています。目尻をしっかり描き、縁取りをくっきりさせることで知的な印象に。笑顔の時も目元がはっきり見えるよう意識しています。
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二人に共通していたのは、アイシャドウの色み。派手すぎないピンク系やベージュ系のマットなアイシャドウを使用することで、温かみのある柔らかい印象に。キラキラしたラメ入りのアイシャドウは普段用に使うなどして、プライベートとのメイクの違いを楽しんでいるといいます。また、アイラインもブラックではなくダークブラウンを選ぶと、優しい印象を保ちながらも、しっかりとした目元に仕上がります。
ポイント⑤チークの位置で印象が変わる!
客室乗務員にとって、チークは血色感と表情の印象を左右する重要なポイント。お客さまに明るく健康的な印象を与えられるよう、色みとチークを入れる位置にこだわりがありました。
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まず、チークがないと血色がなくて元気がなさそうに見えてしまうので、しっかりめに入れるようにしています。色はピンクすぎるとかわいらしくなってしまうため、ローズレッド系の少し濃いめの色を選んでいます。つける位置は、笑ったときの頬の高い位置から横に向かって自然に流すように入れています。
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長時間のフライトでの血色の変化も考慮して、温かみのあるピンクやオレンジ系の落ち着いた色を、頬の外側から入れるようにしています。
二人とも、パウダータイプのチークを愛用。チークを入れる位置は、黒目の下に丸くポンとつけるとかわいらしい印象になり、横長につけることで大人っぽい印象に変化します。また、頬の高い位置から入れることで血色感を高められるのだとか。
ポイント⑥リップは落ちにくいタイプで赤を基準に!
メイクの総仕上げともいえるリップ。どんなに丁寧にベースメイクやポイントメイクを施しても、リップが崩れてしまっては長時間の美しさを保てません。好印象を保つためには、色選びと落ちにくさの両立がポイントです。
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スカーフに使われている赤を基準に色を選んでいます。明るく、暗闇でも見える赤リップを使うことで、華やかさをプラス。まずリップライナーで輪郭をしっかりとってから、落ちにくいタイプのリップを重ねています。リップライナーを使うことで、保湿タイプのリップでもにじまず、輪郭がはっきりと保てるんです。
二人とも、リップはリップライナー→リップの2ステップを基本に。ブラシを使って丁寧に塗ることで、長時間くっきりとした唇を保てるそう。就活生の方は、明るめのローズレッドなど、柔らかな印象の赤リップがおすすめです。
これでメイクは完成! コスメの色みや、チークなどのポイントメイクを施す位置を少し工夫するだけでも、いつもの自分とは違う印象になるかもしれません。ぜひ客室乗務員メイクを参考にしてください。
ヘアアレンジにもひと手間が! 客室乗務員風アレンジ
面接や社会人になってからのビジネスシーンで、清潔感ときちんと感のある髪型は重要なポイント。いくらメイクが完璧でも、髪型が乱れていては台無しです。ここからは、誰でも簡単にできるロングヘアのまとめ髪と、ショートヘアのスタイリング方法を教えてもらいました。
【ロング編】誰でもきれいなまとめ髪ができるように!?
いつもきちっと髪をまとめている印象の強い、客室乗務員。まとめ髪にすると、動きやすいだけでなく、髪の毛が顔にかかるたびに触れる必要がなく、表情が隠れることもありません。実は、効率・衛生・コミュニケーションなど多方面に配慮した髪型なのです。まずは、清潔感があり凛とした雰囲気をまとえる、基本のアップヘア「シニヨン」のアレンジを教えてもらいました。
①ベースのポニーテールをつくる
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髪を結ぶ前に、オイルなどを髪全体に薄く伸ばし、浮いている毛を押さえて髪表面にツヤが出るように整えます。
耳下くらいの位置で髪をひとつに結び、シニヨンのベースをつくります。上位置になりすぎると、若々しく活発な印象になってしまうので耳下で結び、上品にまとめます。
②シニヨンネットの中にポニーテールを入れる
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きれいなまとめ髪がつくれるお役立ちアイテムが「シニヨンネット」。ネットを伸ばし、髪の毛をネットの中に包み込むようなイメージで入れていきます。山本さんは、ネットを2枚重ねて使用。毛量が多くてシニヨンが難しいと感じている方は参考にしてみてください。
③シニヨンをつくる
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次に、ネットと髪の毛を固定します。ネットがずれないように、お団子の中央上部分にUピンを刺したら、結び目に毛束を巻きつけていき、お団子をつくります。巻き終わりの毛先は見えないように結び目に入れ込み、Uピンで固定します。Uピンはお団子に対して上下左右4カ所留めると崩れにくくなります。
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シニヨンからはみ出している毛束などがないよう、ピンで固定したら完成! 360度どこから見てもまとまりのあるシニヨンが仕上がります。
【ショートヘア編】ポイントは毛流れとツヤ
続いては、ショートヘアのアレンジで気をつけているポイントを教えてもらいました。耳まわりと後頭部の仕上げ方で、第一印象が大きく変わります。
①コームで髪の毛を流し、サイドの髪を耳にかける
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小山さんのこだわりは、お辞儀をしたときも横の髪の毛が顔にかからないこと。髪の毛が落ちてこないように耳にかけたりピンで固定したりする必要がありますが、小山さんはピンを使わず、オイルとワックスを混ぜることでキープしているそうです。オイルでツヤを出しながらワックスでしっかり固めますが、その際も、ただ髪を耳にかければいいわけではなく、分け目からコームを通すのがポイントだといいます。このひと手間がきちんと感&好印象のコツだと教えてくれました。
②後頭部の髪の毛の丸みを出す
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後頭部はブラシでブロー、またはヘアアイロンで内側に巻いて丸みを出したら完了。スマートな印象を受けるショートヘアですが、後頭部の丸みを出すことで優しい印象をプラスします。
ヘアメイクだけじゃない!好印象のポイント
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メイクやヘアスタイルに加えて、身だしなみにもこまやかな気配りをしているという山本さんと小山さん。最後に、お客さまの目線に立った、ヘアメイク以外で気をつけていることも伺いました。
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私が必ず持ち歩いているのが、小さな靴磨きです。機内では、お客さまが座っていらっしゃるので、私たちの足元が意外によく目に入るんです。そのため、コンパクトな靴磨きで適宜お手入れをするようにしています。
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制服のシワには特に気を配っていて、ジャケットは必ずハンガーに掛けて持ち運び、シワを防いでいます。
このようなこまやかな身だしなみは、相手の目線で考えると、案外見落としていることに気が付くもの。「清潔感のある身だしなみは、自信にもつながります」と二人は話します。メイクやヘアスタイルとあわせて、こうした細部への心遣いも意識してみてはいかがでしょうか。
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