担当者が、徹底的にお客さまの忘れ物を探します
「各空港によって違いますが、羽田空港では空港でお客さまと接するグランドスタッフが、定期的に手荷物担当チームに配置されます。そのシフトは2カ月間と長いのですが、これは忘れ物だけでなく、破損や紛失など対応に時間がかかるケースを想定し、継続的にお客さまに対応できるようにするためです」
横川奈緒子は、今日も朝からお客さまのお手荷物に関するお問い合わせに対応していました。羽田空港で見つかったお忘れ物は、すぐにデータベースに詳細情報を登録。該当のお客さまからご連絡をいただいた場合には、お客さまのご都合を伺ったうえで、ご希望のご住所に着払いにて郵送もさせていただいております。また問い合わせをいただいたものの、すぐに見つからない場合には、お客さまがお忘れになった状況を注意深くお伺いし、可能性のある場所を全てお探しします。
「グランドスタッフの全員がこのスキルを持っているわけではありません。空港によっても違いますが、手荷物担当の業務は、通常のグランドスタッフ業務と違い、特殊な面も多いため、専門的な教育を受けています。メールや直接のお電話、予約センターからの転送などから入ったお電話など、お手荷物に関するさまざまなご相談を解決します」
機内やラウンジ内など、羽田空港のJAL管理エリア内で見つかったものは部署内にある保管庫に一定期間保管します。また全国の空港を網羅したデータベースも用意し、各地の担当者と情報を共有しています。
「機内や空港になかったとしても、ご搭乗の日付と便名などの詳細を伺い、機体の運航スケジュールを確認して探します。その機体が到着した羽田ではなく、到着後に飛び立った他の空港で見つかるかもしれませんから」
サイフからボールペンまで、すべてを一つひとつ大切に扱います
平日でも、1日100件ほどのお忘れ物があり、連休など混み合う時期は1日200件ほどにものぼります。ひとくちに忘れ物といっても、内容は多岐にわたります。JALでは、ボールペン1本、ハンカチ1枚でも大切に扱います。
「忘れ物一つひとつに込められたお客さまの想いに寄り添い、どのような物であっても一つひとつ丁寧に取り扱っています。また、数あるお忘れ物のなかでも通年で多いのが、お土産類です。また夏場に多いのはサングラスや帽子、水筒などで、冬場はマフラーや片手だけの手袋もあります。また充電ケーブルやイヤホンなど、よく似たものが多数存在するものは、メーカーや色などできる限り細かい特徴をデータベースに登録するようにしています」
なかにはサイフやパスポートといった貴重品が見つかるケースも少なくありません。このような場合には、お名前などから乗り継ぎ便などをすぐさま確認し、お客さまへ迅速にお返しできるよう対応しています。
お客さまの気持ちに寄り添い、誠意を尽くした対応を
「ときにはお忘れ物が見つからないケースもあります。お客さまからお忘れになった状況を丁寧にお伺いし、可能性のある場所は全て捜索いたします。また、空港ビルなどに上がっている可能性も考慮し、空港ビルの問い合わせ窓口を紹介させていただくこともあります」
なかでも横川にとって、こんなことが思い出に残っているといいます。
「あるとき、お客さまから新千歳空港のラウンジで社員証の入った定期入れを忘れたというお問合せをいただきました。すぐに千歳空港のラウンジに連絡をとり、捜索依頼をかけましたが、残念ながらラウンジで発見することができませんでした。しかしそれであきらめることなく、あらゆる可能性も考慮し、関係部署と協力し粘り強く捜索を続けました。その結果、何と伊丹空港に駐機中の飛行機の中から見つかったという連絡が入ったのです。座席の隙間に入り込むなど、恐らく通常の清掃では見つけることができない箇所にあったのだと思います。
早急に確認して、翌日にお客さまにご連絡差し上げました。お時間がかかったことをお詫びしたところ、わざわざ空港に取りに来てくださって! ちょうどGW中の混雑時でカウンター経由ですとお時間をいただくため、空港に到着後お電話をいただきたい旨お伝えし、直接お渡ししました。そうしたら、すごく感動していただいて……。その後、お手紙までいただき、JALを選んでよかったとおっしゃってくださったんです。お客さまの気持ちに寄り添い、誠意を尽くして仕事に臨みたいと、改めて強く思いました」
忘れ物から破損まで、もしものときにはベストを尽くします
業務内容はお忘れ物を探すだけではありません。お手荷物の破損や取り違えにも対応しています。
「ご連絡を下さるお客さまは、不安や心細さを感じていると思います。そんなお客さまに対し、どう接したらいいのか、そしてどんなことができるかを常に考えています」
お客さまの大切な荷物の“もしも”に向き合う立場だからこそ、丁寧に、わかりやすく。ご不安を取り除くためにベストを尽くすのが、手荷物担当のミッションです。そのチームの一人ひとりが、お客さまと向き合って、誠意を尽くしてお困りごとをサポートしています。
A350導入の裏話や機内食のメニュー開発など、JALの仕事の舞台裏を紹介します。
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