外出を控える生活が続くと、いつもと違う刺激が欲しくなるもの。そんな時に、世界のスイーツを食べてその国の文化を知ると、リフレッシュにもなり、少しだけ旅行気分も味わえます。あまいスイーツでお腹と心を満たして、つかの間の妄想トリップはいかがでしょう。ナビゲーターはスイーツで人を幸せにする芸人、スイーツなかのさんです。
画像1: スイーツで旅する世界。4つの国のチョコレートケーキ誕生ストーリー

スイーツなかの

東京生まれ。早稲田大学卒業後、吉本興業に所属。子どもの頃から好きだったお菓子を独学で勉強し、パンケーキハットをトレードマークに唯一無二のスイーツ芸人として活動。老舗からコンビニまで多ジャンルの和洋菓子を1万種類以上食べ歩き、その確かな知識と情報で「林先生の初耳学」「メレンゲの気持ち」など多数のテレビ番組に出演。西武渋谷店の催事企画、行政と取り組んだ監修商品の発売など、幅広いジャンルで活躍中。

よろスィーツ!
スイーツ芸人のスイーツなかのです!

画像2: スイーツで旅する世界。4つの国のチョコレートケーキ誕生ストーリー

もうすぐ、バレンタイン。日本でチョコレートが一番溢れる幸せな季節です。普段は手にしないちょっとオシャレなボンボンショコラを買う方も多いと思いますが、この季節だからこそ美味しいチョコレートケーキも食べてほしい! この記事では、世界のチョコレートケーキを4つセレクトして、そのケーキにまつわる歴史や味を解説してみました。

日本で食べることができるお店もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「甘い7年戦争」を経て今も愛され続ける、オーストリアの「ザッハトルテ」

ウィーンの代表的なスイーツ・ザッハトルテの起源は古く、1832年まで遡ります。料理人の見習いとして働いていた若きフランツ・ザッハー青年は、ある日、貴族たちに特別なケーキを作る大役を任されることに。そこで考案されたケーキが評判を呼び、彼の名前が付いた「ザッハトルテ」としてウィーンに広まります。

時は流れ、1876年。ザッハーの息子がホテルザッハーを開業し、順風満帆に思われましたが、世界恐慌の影響もあり経営難に。この時、ウィーン王室御用達のデメル菓子店から支援を受け、それをきっかけにデメルも「ザッハトルテ」を作ってもいいことになります。

画像: 「甘い7年戦争」を経て今も愛され続ける、オーストリアの「ザッハトルテ」

ホテルザッハーはスポンジの中間に杏ジャムを挟み、甘さは強め。デメルはチョコのコーティングの下にジャムを挟み、甘さは控えめ。両者のケーキは、現在でも食べることができますが、過去にはこの商標を争う「甘い7年戦争」と呼ばれた裁判もあり、その甘さの中には実は甘くない多くの物語があるのです。

東京でザッハトルテを食べることができるお店:
カフェ ラントマン 青山店

画像1: 東京でザッハトルテを食べることができるお店: カフェ ラントマン 青山店

青山通り沿いのビルに佇む、「カフェ ラントマン 青山店」。本店はウィーンから少し離れたリング通り沿いにあり“ウィーンで最もエレガントなカフェ”として知られています。1873年に誕生した老舗で、ヒラリー・クリントン、ポール・マッカートニーなど、社交界・政界の著名人が数多く訪れることでも有名。海外一号店となる青山店は、本店の装飾や雰囲気を忠実に再現し、接客も丁寧で、とても優雅な気持ちで時間を過ごすことができます。

画像2: 東京でザッハトルテを食べることができるお店: カフェ ラントマン 青山店

ザッハトルテ(1カット760円・税込)も本店と同じレシピで作られていて、甘さ控えめのチョコレートスポンジでアプリコットのジャムを挟んでいます。

画像3: 東京でザッハトルテを食べることができるお店: カフェ ラントマン 青山店

表面のチョコレートのコーティングからは、砂糖が再結晶化した時に現れる特有の心地良いシャリシャリ感。無糖のホイップクリームと一緒に食べると、食感や味わいに変化が楽しめるのも新鮮です。プライベートでも仕事の打ち合わせでも、昔からよく通っている、とっても素晴らスィーツなお店です。

カフェ ラントマン 青山店

住所東京都港区北青山3-11-7 AOビル4F
電話03-3498-2061
webhttps://www.giraud.co.jp/landtmann/

ナポレオン3世が命名?バスク地方で誕生した「ベレバスク」

ベレバスクは、フランスとスペインの両国にまたがるバスク地方で誕生したチョコレートケーキです。バスクとチョコレートの結びつきは古く、16世紀初頭にスペイン軍がアステカ王国(現在のメキシコ)を侵略した際に持ち帰ったチョコレートが、フランス・バスクの中心都市・バイヨンヌに伝わります。後に、この地でフランス初のチョコレート工場が誕生し、バスク地方からフランスのチョコレート文化がはじまりました。

画像: ナポレオン3世が命名?バスク地方で誕生した「ベレバスク」

フランス側のバスク地方のお菓子屋、パン屋に行けば、ほぼ並んでいるというベレバスクは、ベレー帽をモチーフにしたドーム状のケーキ。クリームやメレンゲで作られたり、フランボワーズを合わせたりと、バリエーションは豊富です。

なぜベレー帽?と思うかもしれませんが、実はベレー帽はバスクが発祥の地。民族衣装の帽子をナポレオン3世が「ベレーバスク」と呼んだのがきっかけだそう。まさか自分の発した言葉が、ケーキの名前になってるなんて、ナポレオンもびっくりでしょう。

東京でベレバスクを食べることができるお店:
メゾン・ダーニ

画像1: 東京でベレバスクを食べることができるお店: メゾン・ダーニ

東京・白金高輪にある「メゾン・ダーニ」の前を歩くと、バターの芳醇な香りに包まれ、思わず足が止まる。看板商品の焼き菓子ガトーバスクをはじめとした、バスク地方の伝統的な焼き菓子や生菓子を手がけるお店です。

画像2: 東京でベレバスクを食べることができるお店: メゾン・ダーニ

店主の戸谷尚弘シェフは、修業先のフランス・ビアリッツの老舗「ミルモン」で本場のバスク菓子を学び、バスク愛がとても強い方。メゾン・ダーニのベレバスク(600円・税込)は、見た目は本場のベレバスクと同じドーム状ですが、構成は戸谷シェフのオリジナルです。

画像3: 東京でベレバスクを食べることができるお店: メゾン・ダーニ

ヘーゼルナッツ風味のチョコレートムースで、ヘーゼルナッツのクリームを包む、香ばしく濃厚な味わい。ムースにはバスク地方の名産でもある、ダークチェリーの一種「スリーズノワール」を加え、奥深い味わいを演出しています。キャラメリゼしたスペイン産アーモンドも忍ばせ、カリッとした食感も心地良いアクセントです。フランスとスペインにまたがるバスク地方だからこそ、両国のいいところを取り入れたつくりがナイスィーツ!

MAISON D'AHNI(メゾン・ダーニ)

住所東京都港区白金1-11-15 1F
電話03-5449-6420
webhttps://sweets.ec.valuet.co.jp/

黒い森がイメージ。ドイツの「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ」

ドイツ発祥のチョコレートケーキ「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ」は、一度聞いただけでは覚えられない、なんとも長いネーミング。和訳すると、シュヴァルツヴァルトは「黒い森」という意味。ドイツ南西部にひろがる黒く鬱蒼とした森林地帯のことで、グリム童話の舞台としても知られています。キルシュはさくらんぼ、トルテはデコレーションケーキの意味。特産のさくらんぼと蒸留酒、チョコレート、生クリームなどから構成され、この地域をイメージして作られたのが「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ」です。

画像: 黒い森がイメージ。ドイツの「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ」

歴史は古く、1927年にバード・ゴーデスベルク出身の菓子職人のヨセフ・ケラーが作った記録があり、トリベルクにある「Café Schäfer」には、発案者のレシピと書かれた看板も出ています。ドイツ生まれのケーキですが、国境近くのアルザス地方からフランスに伝わり「フォレ・ノワール」と名前を変えて親しまれています。

東京でシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテを食べることができるお店:
ムッティスクーヘン

東京・三軒茶屋駅から茶沢通りを下北沢方面に上っていくと、住宅街の一軒家に小さなドイツ菓子のお店があります。

「ムッティスクーヘン」の店主・本郷はつきさんは、10年間過ごしたドイツで、7~8店舗のお店で修業を積まれました。ドイツ菓子のマイスターも取得し、帰国後の2009年に工房を立ち上げ、2012年からは自宅の庭で店舗をオープン。生地を作ることがとにかく好き、という本郷さんが手がける焼き菓子や生菓子は、初めて聞くような伝統菓子も多く、見てるだけでもワクワクしてきます。

シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(1カット480円・税込)は、ふわっとしたチョコレートのスポンジ生地に、軽やかなクリームが合わさり、さくらんぼの酸味と甘さもナイスィーツなアクセント! 本場はお酒が効いたものも多いのですが、お子様が食べることも考慮し、お酒はあまり使わずに作っているそう。

ムッティスクーヘンには、今までの積み重ねてきた経験から生み出される、堅実な美味しさが待ってます。

ムッティスクーヘン

住所東京都世田谷区太子堂5-29-17
電話03-3421-2798
webhttp://www.muttiskuchen.com/

キューブ型が特徴。オーストラリアの国民的スイーツ「ラミントン」

オーストラリア発祥のキューブ型のチョコレートケーキ、ラミントン。日本ではあまり馴染みがないのですが、オーストラリアでは「ラミー」の愛称で、家庭料理でも親しまれる伝統菓子です。

画像: キューブ型が特徴。オーストラリアの国民的スイーツ「ラミントン」

建国記念日にあたる、1月26日の「オーストラリア・デー」には、ラミントンを食べながら過ごす風習もあり、いかに国民的なスイーツであるかということが分かるエピソード。カステラのような四角いスポンジケーキに、チョコレートとココナッツをコーティングしたシンプルなつくり。近年では、ジャムやカスタードクリーム、ホイップクリームを挟むなど、さまざまなアレンジで作られています。

ラミントン誕生の歴史については諸説ありますが、有名なのは、クイーンズランド州の植民地の総督を務めていたイギリス人のラミントン卿に仕える料理人が作ったという話。1896年の新聞には、ラミントン卿がおもてなしとして、来客にラミントンを振る舞ったという記述もあるそうです。

東京でラミントンを食べることができるお店:
N2 Brunch club

画像1: 東京でラミントンを食べることができるお店: N2 Brunch club

日本橋高島屋S.C.新館にある「N2 Brunch club」は、オーストラリアを拠点に活躍するジェラート職人と、シドニーの人気シェフがコラボした、オーストラリア料理が楽しめるお店です。

画像2: 東京でラミントンを食べることができるお店: N2 Brunch club

デザートで人気が高いラミントン(780円・税込)は、約7cm四方の大きな立方体のシフォンケーキに、チョコレートとココナッツをコーティングしています。

シフォン生地をくり抜いた中には、たっぷりチョコレートクリームが詰まっていて、カットするとインパクト大!

画像3: 東京でラミントンを食べることができるお店: N2 Brunch club
画像4: 東京でラミントンを食べることができるお店: N2 Brunch club

クリームは甘さがほとんどなく、カカオの風味にほんのりと塩気を感じる爽やかな味わいで、ふわっとした生地との相性も抜群。チョコレートには、メルボルンで愛される「モークチョコレート」を使用しており、食材にも本場にこだわったつくりがナイスィーツ!

画像5: 東京でラミントンを食べることができるお店: N2 Brunch club

季節によって限定のフレーバーが登場するので、行く時はどんなラミントンに会えるのかも楽しみなところです。

N2 Brunch club(エヌツー ブランチ クラブ)

住所東京都中央区日本橋2-5-1
日本橋高島屋新館S.C.
電話03-6281-9806
webhttps://n2brunchclub.com

世界のチョコレートケーキ、いかがだったでしょうか?

チョコレートケーキは世界各地で作られていて、今回ご紹介したものは、ほんの一部。ぼくも知らないような、その土地の人たちだけで愛されているケーキもたくさんあるでしょう。

ぼくは、食べることも好きですが、お菓子ができた背景やストーリーにもすっごく興味があります。この記事を執筆しながら、歴史とお菓子の結びつきって面白い!と改めて思いました。

こんな時だからこそ、世界のお菓子を食べながら、旅をしてるような気持ちになってみてはいかがでしょうか。

画像6: 東京でラミントンを食べることができるお店: N2 Brunch club

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