日本で12番目に世界遺産登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」。和歌山県、奈良県、三重県にまたがる3つの霊場(熊野三山や高野山、熊野参詣道など)で構成される文化遺産です。太古より人々の信仰を集めた聖地の魅力と、編集部おすすめの見どころをご紹介。

「紀伊山地の霊場と参詣道」の地図

世界文化遺産の登録基準をおさらい。「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録年とアクセスについて

登録年:2004年
世界遺産の種類:文化遺産
登録基準:
●ある期間、あるいは世界のある文化圏において、建築物、技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展における人類の価値の重要な交流を示していること。
●現存する、あるいは既に消滅した文化的伝統や文明に関する独特な、あるいは稀な証拠を示していること。
●人類の歴史の重要な段階を物語る建築様式、あるいは建築的または技術的な集合体または景観に関する優れた見本であること。
●顕著で普遍的な価値を持つ出来事、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または明白な関連があること(ただし、この基準はほかの基準とあわせて用いられることが望ましい)。
アクセス/高野山へは、関西国際空港より約60.7㎞、車で約1時間40分

「紀伊山地の霊場と参詣道」とは?様々な宗教の聖地として長い歴史を持つ神聖な土地

画像: 「紀伊山地の霊場と参詣道」とは?様々な宗教の聖地として長い歴史を持つ神聖な土地

標高1,000m〜2,000mの山々が連なる紀伊山地は、太古より自然崇拝の聖地として敬われてきた場所。時代の流れとともに、神道や仏教、修験道などさまざまな信仰の対象となってきました。2004年に世界文化遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」は、紀伊山地に位置する3つの霊場(熊野三山、高野山、吉野・大峯)と、霊場へと続く参詣道で構成されています。

「紀伊山地の霊場と参詣道」の魅力

雄大な山々と美しい森に包まれた「紀伊山地の霊場と参詣道」には、さまざまな見どころが点在しています。その代表格ともいえるのが、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)へと続く参詣道として古くから多くの旅人が歩いた熊野古道です。熊野古道にはいくつものルートがありますが、特に田辺から熊野本宮へと続く中辺路は、かつて後鳥羽院や藤原定家、和泉式部も歩いた巡礼路。石畳の道や杉木立などの歩くルートには、巡礼路ならではの静謐な空気が満ちています。

もちろん「紀伊山地の霊場と参詣道」には、熊野古道以外にも魅力が数多くあります。広大な範囲に広がる世界遺産を楽しむなら、じっくり時間をかけて巡るか、何回かの旅に分けて訪れるのがおすすめです。熊野三山、高野山、吉野・大峯……。それぞれの霊場に宿る神秘的な雰囲気をゆっくりと味わってください。

まるで「天空の聖地」、高野山の見どころ

画像1: まるで「天空の聖地」、高野山の見どころ

3つの霊場を中心に構成される「紀伊山地の霊場と参詣道」のなかでも、俗世とかけ離れた聖地の雰囲気が強く感じられるのが、高野山です。周囲を1,000m級の山々に囲まれた山中に開かれた宗教都市は、まさに「天空の聖地」と形容したくなる場所です。

画像2: まるで「天空の聖地」、高野山の見どころ

平安時代のはじめに弘法大師空海によって開かれ、2015年に創建1200年を迎えた高野山は、山内全体が高野山真言宗の総本山金剛峯寺というひとつの聖域となっています。広大な山内には100を超える寺院が点在していますが、その中心となる2つの聖地が、壇上伽藍と奥の院。壇上伽藍には、高野山の総本堂となる金堂や高さ48.5mに及ぶ根本大塔、弘法大師が住んでいたとされる御影堂などの見どころがあります。
また、弘法大師入定の地である奥の院には、杉木立に囲まれた美しい参道や御廟橋などが点在する聖地です。

このほか高野山には、大門や中門、徳川家霊台、金剛峯寺(こちらは高野山全域ではなく、ひとつの寺院)などの見どころがあるほか、宿坊や飲食店、土産物店なども数多く点在。信仰を中心としたひとつの都市として広がっています。

画像3: まるで「天空の聖地」、高野山の見どころ

高野山の主な見どころを余すところなく見て回るなら、山内の宿坊などに宿泊するのがおすすめです。ただ、日帰りでも主な見どころを見学することは可能なので、旅のスケジュールにあわせて計画を。下界とは隔絶された宗教都市の魅力をゆっくりと楽しんでください。

「阿字観」体験で、高野山の文化に触れる

画像: 「阿字観」体験で、高野山の文化に触れる

古くから祈りの場であった「天空の聖地」の魅力を楽しむなら、阿字観や写経、授戒などの修行体験を通じて、聖地に息づく文化にふれるのがおすすめです。阿字観とは、真言宗に伝わる瞑想法のことで、金剛峯寺で体験することが可能。「阿」という梵字を観ながら瞑想を行うことで、悟りに近づくことを目指します。阿字観は、金剛峯寺や宿坊などで体験可能。高野山らしい旅の思い出となるはずです。

高野山には約50もの宿坊寺院があり、それぞれに異なる個性を持っています。精進料理を楽しんだり、美しい庭園を眺めたり、写経をしたり……。夜の静かな高野山を感じられることも、大きな魅力のひとつです。このほかにも、高野山の森を歩く森林セラピーや華道教室をはじめ、多彩な体験プログラムがあります。より深く、楽しく「天空の聖地」の魅力を感じられるでしょう。

高野山観光のベストシーズンは、10~11月

暑さも和らぐこれからの時期は高野山のベストシーズン。また、10月〜11月には高野山を美しい紅葉が彩ります。ぜひ「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産のひとつ、高野山の旅を楽しんでください。

画像: 文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の魅力

旅ライター/吉原徹

3つの霊場を中心に、幾つもの参詣道が張り巡らされた「紀伊山地の霊場と参詣道」。高野山で巡礼路歩きを体験するなら、高野山麓の慈尊院から大門を通って、高野山の根本大塔を目指す高野山町石道がおすすめ。太古から巡礼の地として大切に守られてきた聖地の空気を感じられるはず!

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※2019年9月17日に一部内容を更新しました。

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

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