「オホーツク流氷館」で大スケールの流氷の世界を体感
最初にやって来たのは、女満別空港から車で約20分のところにあるオホーツク流氷館です。
ここは、1年を通じて雄大な流氷の世界を体感できる施設。流氷というと「海」をイメージするため、施設も海沿いにあるかと思いきや、こちらは市街やオホーツク海を見渡せる天都山の山頂に建っています。
館内では、流氷のメカニズムや特徴がわかる展示物が多数展示されています。「オホーツク海はなぜ凍る?」「オホーツク海の流氷はどこから来る?」などの素朴な疑問も、ここに来ればすっきり解決。スタッフの説明でより理解が深まります。
中央・上下左右の5面スクリーンを備えた流氷幻想シアター。流氷の映像が立体的に見えて、まるで実際に海の中にいるよう。床から振動も感じられて臨場感たっぷり! 流氷同士がぶつかってきしむ音、風の音、生き物たちの声。大迫力の流氷ワールドに引き込まれていきます。
流氷が次第に海面を覆っていく様子、網走流氷観光砕氷船「おーろら」が流氷帯を突き進む様子も。地形や気候、海の構造などいくつもの条件が重なることで生まれる流氷は、息を呑むほど美しく幻想的です。8分の映像から流氷の奥深さを感じました。
「生き物の楽園」と呼ばれているオホーツク海。植物プランクトンを育むのに重要な鉄分が豊富であることが起因しているのだそうです。流氷館ではその生き物たちの姿を見ることができます。
大人気なのは、「流氷の天使」ことクリオネ。透明な体の中央で光っている赤色の部分は消化器官。オスとメスの器官を持つ雌雄同体で、知れば知るほど不思議な生き物です。
こちらは寒冷の海の代表的な魚・オオカミウオ。北海道とオホーツク海、ベーリング海に分布し、水深50~100mの海底の岩場に棲んでいます。オホーツク流氷館では、人工孵化に成功し幼魚を展示飼育しています。オオカミウオの幼魚を見られるのは、国内ではここだけ。他にも、さまざまな珍しい魚との出合いがあります。
次は-15℃の世界が味わえる「流氷体感テラス」へ。
足を踏み入れた先は、思わず「寒い!」と声が出てしまうほどの極寒エリア。空気がさっきまでとは全く違う質感を纏い、毛穴が一気にキュッと締まったような感覚です。約100トンもの本物の流氷を展示していて触れることもでき、流氷を間近に感じられます。
展示している流氷は時間の経過とともに次第に痩せてくるので、毎年3月にすべて入れ替えるのだそう。タグボートで流氷を採取して港まで曳航し流氷を引き上げます。2年前に引き上げた流氷は何と水面下9mもあったといいます。例年、重機で割って陸揚げし、港で1週間くらい水切りをしてから館内に運び入れているそう。
濡れたタオルを30回ほど振り回すと、凍ってタオルの端がピンと立ったままに。流氷テラスでのこの「しばれ体験」は同館で人気ナンバーワンだそう。
オホーツク流氷館に来たら外せないものがもうひとつ。それが流氷館1階の「カフェ・ド・クリオネ」だけで食べられる流氷ソフトクリーム(350円・税込)。オホーツク海をイメージしたソフトクリームで、SNSなどでも「おいしい!」と評判です。
これが流氷ソフトクリーム。普通の白いソフトクリームと思いきや、よく見ると、ソフトクリームの中にブルーの粒がちりばめられています。
このブルーの粒はオホーツク海の塩で、海藻由来の天然色素で着色しているそう。キャラメル風味のソフトクリームは、滑らかな口あたり。絶妙な甘さのクリームにキャラメルの香り、そこに塩のしょっぱさがアクセントになっていて、「ここに来て良かった」と実感する絶品スイーツです。
360度美しい!オホーツクの景色をまるごと楽しむ「天都山展望台」
オホーツク流氷館3階の展望テラスにある展望台へ。そこから見えるのは絶景の大パノラマ! 「天の都にいるような心地にさせるほど美しい」と称えられている天都山ならではの景色です。オホーツク海を挟んで知床岳や硫黄山、羅臼岳、斜里岳などの山並みが一望でき、東には藻琴湖(もことこ)や濤沸湖(とうふつこ)、西に網走湖、北に能取湖といった湖も視界に飛び込みます。
山の色彩はもちろん、流氷館のガーデンに植えられている植物も、四季それぞれに見どころがあります。朝早く訪れると、知床半島沖から昇る美しい日の出が目前に。年末年始も開放しているため、初日の出を拝むのに絶好のポイントです。
オホーツク流氷館は現在館内を改修工事中で、リニューアルオープンは2023年1月20日の予定。非日常の流氷の世界をよりダイナミックに体感できる、さらに魅力的な施設に生まれ変わります。
オホーツク流氷館・天都山展望台
住所 | : | 北海道網走市天都山244-3 |
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電話 | : | 0152-43-5951 |
開館時間 | : | 夏季(5~10月)8:30~18:00、冬季(11月~4月)9:00~16:30 年末年始(12月29日~1月5日)10:00~15:00 ※最終入館は閉館時間の30分前まで。 |
料金 | : | 大人770円、高校生660円、小中学生550円 |
web | : | https://www.ryuhyokan.com/ |
心にも環境にも優しい、オホーツクの自然を体現した「流氷硝子館」
次に訪れたのは、海沿いに建つ「流氷硝子館」。落ち着いた紺色の外壁、屋根と窓を縁取る赤色のフレームが印象的です。
館内に並んでいる「流氷硝子」の製品はすべて、廃棄された蛍光灯から生まれたリサイクルガラス「エコピリカ」を原料にしています。通常、ガラス加工には大量の燃料が必要ですが、廃蛍光灯は融点が低いため、「環境にやさしいガラス作りができる」と考えたそう。原料の処理場が地元にあることも後押しになったといいます。地球温暖化で流氷が減少している中、自然が生み出す美しい形がいつまでもここにあってほしいという願いが作品ひとつひとつに込められています。
流氷をイメージした「幻氷(げんぴょう)シリーズ」のロックグラスは、味わい深いザラザラした手ざわりが魅力です。ヒビ模様はホタテ貝の貝殻を使って表現したそう。ヒビの入り方がそれぞれ異なり、広大な海の上で同じ形が存在しない流氷の存在と重なります。飲み物を注ぐと模様がくっきり浮かび上がり、さらに流氷らしさを感じます。
キラキラ光る氷をそのまま運んできたような氷刻皿。フルーツやお菓子をのせると清らかなガラスに映え、よりおいしそうに見えます。筋模様を光に透かして眺めたり、そっと指でさわったり、オブジェとしても楽しめそうです。
館内にある「シーニック・カフェ 帽子岩」には、目と舌の両方で流氷を体感できるメニュも。流氷硝子のグラスに入って登場したのは「流氷ソーダ」。オホーツク海を思わせるブルーのソーダと、降り積もった雪にも海面に突き刺さった氷のようにも見えるバニラアイス。窓際の席から流氷が見られることもあり、温かい店内で流氷を眺めるのは、冬の時期限定の楽しみ方です。
流氷硝子館
住所 | : | 北海道網走市南4条東6丁目2-1 |
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電話 | : | 0152-43-3480 |
営業時間 | : | 10:00~17:00 |
定休⽇ | : | 水曜 ※臨時休業はHP、Facebookなどでお知らせしています |
web | : | https://www.ryuhyo-glass.com/ |
この感動を大切な人にも伝えたい。「北の道の駅 流氷街道網走」でお土産選び
流氷硝子館のすぐそばにある「北の道の駅 流氷街道網走」。建物内にはお土産品がずらりと並びます。
こちらでも流氷にちなんだ商品を発見。ラベルのデザインにも流氷の世界が表れた、その名も「流氷DRAFT」です。
グラスに注ぐと、ビールなのに鮮やかなブルー! オホーツク海をイメージし、天然色素クチナシでその色合いを表現したのだそう。屋外に出て太陽に透かしてみるとブルーがより美しく映え、白い泡までとてもおいしそう。流氷を仕込水に使用したというこのビールは、ライトですっきりとした飽きのこない味。フルーティーな香りと爽やかで軽い喉ごしは、ビールが苦手な人でも飲みやすく、発売当初からずっと人気があるというのも納得です。
“オホーツクブルー”色をした飲み物はお酒だけではありません。網走に来たらぜひ「あばしりサイダー」も手に取ってみてください。見ているだけで心が洗われるような透き通ったブルーと、レトロで温かみのあるラベルデザイン。子どもから年配の方までどの世代にも喜ばれること間違いなしです。お土産としてはもちろん、自分用の1本もお忘れなく!
売店で見つけた木彫りの人形「ニポポ」も北海道らしいアイテム。「ニポポ」は、樺太方面に居住していたアイヌの言葉で「ニィ・ポポ=小さな子ども」を意味します。北の地に暮らす人たちは、けがや病気から身を守るお守りとして、木彫りの人形を大切にしていたそう。全体の佇まいや表情がちょっぴり「こけし」にも似ています。流氷の思い出とともに、持ち帰ってお部屋に飾っておきたくなります。
北の道の駅 流氷街道網走
住所 | : | 北海道網走市南3条東4丁目5-1 |
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電話 | : | 0152-67-5007 |
営業時間 | : | (4~9月)9:00~18:30、(10~3月)9:00~18:00 観光案内所9:00~18:00、地域特産品販売コーナー9:00~18:00 テイクアウトコーナー10:00~17:30、休憩・飲食コーナー11:00~15:30 |
定休⽇ | : | 年末年始(12月31日~1月1日) |
web | : | https://www.hokkaido-michinoeki.jp/michinoeki/2986/ |
海、車窓、上空……さまざまな角度から楽しむ流氷
いろいろな角度から流氷に触れ、さらに流氷への興味が高まったのではないでしょうか。ここからは、流氷をより身近に体感できるアクティビティ情報をお伝えします。
自然が生み出す造形を間近に見られる網走流氷観光砕氷船「おーろら」
北の道の駅「流氷街道網走」と能取岬の間を運航する網走流氷観光砕氷船「おーろら」は、観光を目的とした世界初の砕氷船で、今シーズンは2023年1月20日から3月31日まで運航予定。
流氷というと「大きな氷の塊」といった漠然としたイメージを持っている人が多いかもしれませんが、本物の流氷は時期によって姿が変化し、印象も大きく異なります。最初は蓮の葉のような形をしていて、それが互いに凍結して次第に大きな氷盤となり、やがて海を埋め尽くしていきます。どの時期の流氷を見ても、自然の神秘と威力を感じずにいられません。
辺り一面に敷き詰められた真っ白な流氷。自分の乗った砕氷船がその中を割り進んでいく様子は圧巻です。青い空の下、バリバリと音を立てて進む船は想像以上の迫力。アザラシなどの海獣類や鳥類などが流氷の上に佇む姿を見られることもあるそう。
流氷はオホーツク海の北部で誕生し、南下するにつれて大きく成長します。1月下旬ごろ、白く幻想的な姿で現れた流氷は、太陽の光によって見え方が次々と変化。2月から運航予定のサンセットクルーズでは、夕陽と流氷の贅沢なコラボレーションを見ることができます。
網走流氷観光砕氷船 おーろら(道東観光開発株式会社)
住所 | : | 北海道網走市南3条東4丁目5-1(道の駅 流氷街道網走1階) |
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電話 | : | 0152-43-6000(受付時間9:00~17:00) |
運航期間 | : | 2023年1月20日~3月31日 |
料金 | : | [沖合航路(流氷あり)]中学生以上(個人)4,000円、小学生(個人)2,000円 [特別席]400円 |
web | : | https://www.ms-aurora.com/abashiri/ |
観光列車「流氷物語号」でオホーツクの芸術を車窓から楽しむ
流氷の楽しみ方は海からだけではなく、陸から楽しむ方法もあります。JR北海道が運行している「流氷物語号」は、流氷の時期だけ特別に運行している臨時観光列車。運転を終了した「流氷ノロッコ号」の後を継ぐ形で2017年に運行開始したところ人気となり、2018年以降も運行されています。
網走駅と知床斜里駅を結ぶ、例年1日2往復の運行スケジュール。雪煙を上げながらトンネルをくぐり抜けると、窓の向こうにオホーツク海が広がります。その日に流氷が見られるかどうかは、気候や流氷のご機嫌次第。遠くの海上に点々と浮かび上がる日もあれば、すぐそばの海面までびっしり覆い尽くしている日も。毎日表情を変える流氷を車窓からたっぷり堪能しましょう。
例年、北海道の自然をイメージしたラッピング車両が用いられているので、白銀の世界に鮮やかに映える車両のデザインも見どころのひとつ。網走から知床斜里へ向かう下りで、約10分間の停車時間がある北浜駅は絶好の撮影スポット。展望台から望むオホーツク海や知床連山、海をバックにした車両など、ベストショットを狙いましょう。上りの浜小清水駅では20分間の停車時間があるので、隣接する道の駅「はなやか(葉菜野花)小清水」でお土産を買うこともできます。
車窓のフレームから覗く、流氷の芸術。自分だけの秘密の世界に入り込んだような感覚に包まれます。「今年こそ絶対に見てみたい」という流氷初心者から、「毎年の恒例行事」というリピーターまで、多くの人から継続運行が期待されています。
JR北海道 観光列車「流氷物語号」
「遊覧飛行」で上空へ!眼下に広がる流氷を一望
流氷を上空から眺める遊覧飛行という特別な楽しみ方も。
流氷チャーターは、オホーツク海に埋め尽くされた広大な流氷を真上から望むことができる、冬限定の人気のツアー。
流氷スポットにあわせて高度を下げて飛行しているため、大きな氷の塊から細かく砕けた氷までさまざまな形を見ることができ、その表情は刻一刻と変わります。
眼下に広がる白銀の世界と空と海の青が相まった光景はまるで芸術作品のよう。上空から見るひと味違った自然の造形美を楽しめることでしょう。
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まだまだたくさんの魅力と謎が詰まっている網走の流氷。同じ緯度にあるアイスランドやヨーロッパ、アメリカの海は凍らないのに、オホーツク海は毎年凍り、流氷がやってくる。その貴重なシーンを目に焼き付けに、ぜひこの冬は網走に足を運んでみませんか?
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