本州の最西端に位置する山口県は、日本海、瀬戸内海、響灘の3つの海に面しており、中央には中国山地が横断しています。日本屈指の規模をほこる秋吉台のカルスト台地を筆頭に、豊かな自然と人々が紡いできた歴史が共存する、美しい場所です。そんな観光スポットの宝庫である山口県を、今回は少しだけローカルな視点からご紹介。山口県の隠れた魅力に迫っていきます。

歩いて渡れる海底トンネル。県境は記念撮影スポット

関門海峡

画像: 写真提供:rolling rock / Shutterstock.com

写真提供:rolling rock / Shutterstock.com

本州と九州のあいだに位置する関門海峡。その昔、平家が滅んだ「壇ノ浦の戦い」や、宮本武蔵と佐々木小次郎が決闘したと伝わる「巌流島」など、歴史の舞台となっています。本州側は山口県下関市、九州側はJALも就航している北九州空港がある福岡県北九州市を、関門橋、関門トンネルがつないでいます。

画像: 海底トンネルを歩いて通過できる、山口県と福岡県の県境(写真提供:北九州観光コンベンション協会)

海底トンネルを歩いて通過できる、山口県と福岡県の県境(写真提供:北九州観光コンベンション協会)

この関門トンネル、じつは歩いて渡ることができることをご存知でしょうか? トンネルは二重構造になっており、上が車道、下が人道となっているのですが、海峡を歩いて渡れるのは世界でも珍しいといいます。トンネルの全長は約780m、徒歩15分ほどで渡ることができ、観光客をはじめ、ウォーキングやジョギング、通勤や買い物の地元民などたくさんの人が利用しています。また、見所の一つとなっているのが山口県と福岡県の県境。記念撮影をする人も多く、隠れた人気スポットです。

関門トンネル人道
通行可能時間6:00〜22:00
料金歩行者無料、自転車・原付20円
住所山口県下関市みもすそ川町(本州側)、福岡県北九州市門司区門司(九州側)

関門海峡の絶景を眺めながら、下関の新鮮な海の幸に舌鼓

唐戸市場

画像1: 唐戸市場

関門トンネルを本州側に出て下関市に入ったら、JR下関駅方面へ海峡沿いを歩くこと約15分。下関市の観光拠点「唐戸市場」では、下関ならではの新鮮な海の幸が味わえます。金・土・日・祝日のみ開催されるイベント『活きいき馬関街』では、寿司や海鮮丼、ふぐ雑炊や汁物、揚げ物などが各店にずらりと並べられ、寿司屋台には大勢の人波が群がりまさに圧巻。

画像2: 唐戸市場

唐戸市場の屋上は、知る人ぞ知る穴場スポット。一面に芝生が敷き詰められた広場となっています。高台から関門海峡を眺めながら海の幸を堪能でき、開放感とともになんとも贅沢な気分を味わえます。ここ数年は中国や韓国など海外からの観光客も多く見られ、いまも昔も多くの人に愛されています。

画像: 芝生の屋上にて、関門海峡を眺めながらいただくお寿司は極上(写真提供:唐戸市場管理事務所)

芝生の屋上にて、関門海峡を眺めながらいただくお寿司は極上(写真提供:唐戸市場管理事務所)

唐戸市場
定休日なし
営業時間【市場】5:00〜15:00(月〜土)、8:00〜15:00(日・祝)【活きいき馬関街】10:00〜15:00(金・土)、8:00〜15:00(日・祝)※店舗により異なる
webhttp://www.karatoichiba.com
住所山口県下関市唐戸町5-50

星空も美しい。地下には400もの鍾乳洞が眠る広大なカルスト台地

秋吉台

画像: 秋吉台

下関市と隣り合い、山口県西部のほぼ中央部に位置する美祢市。その美祢市の中心に横たわるのが、秋吉台です。秋吉台ははるか昔、遠い海でサンゴ礁として誕生し、それから約3億5千万年の時を経て、石灰岩でできたカルスト台地となりました。じつに400を超える数の鍾乳洞や、カルスト台地特有のすり鉢型の窪地「ドリーネ」が発達しており、四季折々の豊かな自然を感じることができます。なかでもおすすめしたいのが、秋吉台カルスト展望台。2階展望部は円形となっており、360度のパノラマで素晴らしい絶景を堪能できます。

画像: 秋吉台の中央を貫く県道「秋吉台カルストロード」。壮大な眺めが広がる

秋吉台の中央を貫く県道「秋吉台カルストロード」。壮大な眺めが広がる

そして、山口県といえば日本でも有数の星空の聖地。山や海に囲まれた大自然のなか、開けた土地が多く光害もほとんどないため、綺麗な星空を見ることができるのです。秋吉台は県内ナンバーワンの天体観測スポットとしても有名で、夏場には天の川も肉眼で確認できるほど。天体観測なら、秋吉台を貫く県道「秋吉台カルストロード」沿いにある、長者ヶ森駐車場がいちばんの人気スポットです。各流星群が観測できる空気が澄んだ冬場には、広い敷地の駐車場が車でいっぱいになることも。昼間の秋吉台も素敵ですが、癒しを求めて星空ドライブもおすすめです。

秋吉台
住所山口県美祢市秋芳町秋吉台

里山を背景にした、圧巻の巨大パラボラアンテナ群

KDDIパラボラ館

画像: 大自然を背景に、直径最大34m、24基のパラボラアンテナ群が広がる(写真提供:KDDI)

大自然を背景に、直径最大34m、24基のパラボラアンテナ群が広がる(写真提供:KDDI)

星空の美しい山口県には、日本最大の衛星通信所もあります。その通信所に隣接するのが、KDDIパラボラ館。四季折々の風景が楽しめる里山のなか、あちこちに顔を向けた巨大なパラボラアンテナ群は、赤道の上空約3万6千kmの彼方にある通信衛星を利用して、諸国との電話、テレビ、船舶や航空機との通信を行っています。

画像: 毎年4月上旬には、桜が見頃になる。ほか、ツツジや藤、サザンカなど四季折々の花や景色が楽しめる(写真提供:KDDI)

毎年4月上旬には、桜が見頃になる。ほか、ツツジや藤、サザンカなど四季折々の花や景色が楽しめる(写真提供:KDDI)

パラボラアンテナや通信の仕組みを詳しく解説している館内には、アンテナ群が一望できる展望室、大画面シアター、パソコンゲーム、国際電話の体験コーナー、通信衛星や海底ケーブルについて楽しく学べるコーナーなどがあり、子どもから大人まで、見て触れて楽しめる内容となっています。直径は最大34m、24基からなる巨大なパラボラアンテナ群は、一見の価値があります。

KDDIパラボラ館
休館日月(月曜日が祝日の場合は翌日)、年末年始(12/19〜1/3)
開館時間9:30〜16:30(入館は16:15まで)
入館料無料
住所山口県山口市仁保中郷123 KDDI 山口衛星通信所

夜は幻想的な雰囲気を醸し出す、宇部の工場風景

宇部市の工場群

画像: 写真提供:KIKO / PIXTA

写真提供:KIKO / PIXTA

最後にご紹介するのは、いまや全国的ブームから定番化しつつある工場夜景。石炭産業によって飛躍的な発展を遂げた宇部市は、山口県南西部の拠点都市の一つでもあります。宇部興産をはじめとする工場群のすぐそばまで近づけるのも、宇部の魅力。道路上に張り巡らされるパイプや大型タンク、きらびやかに輝く照明など、見所も豊富です。

画像: 宇部市の工場群

夜だけでなく、昼間もモクモクと煙の上がる煙突風景が印象的。また、工場地帯のすぐそばにかかる「宇部湾岸道路(スカイロード)」や「宇部興産専用道路」は映画やCMのロケ地としても有名です。昼と夜、違った顔を併せ持つ宇部の工場風景、ぜひ一度ご覧ください。

宇部興産
住所山口県宇部市大字小串1978-96

いかがでしたでしょうか。山口県には沢山の観光スポットがありますが、今回は少し違った角度から、山口県の新たな魅力をご紹介しました。山口県には四季折々、さまざまな表情があり、隠れた魅力がまだまだたくさんあります。関門、瀬戸内エリアへは山口宇部空港や北九州空港からのアクセスも便利ですので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

大林直行

山口県出身、在住のフォトグラファー。イチマルイチデザイン所属。ウェブサイト「SPIBE」にて、宇部を中心とした山口の魅力を紹介している。
http://spibe.jp/
Instagram:naoyuki_obayashi

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