今、ベトナムを旅先に選ぶ人が増えています。ハノイやホーチミンなどの都市部も人気ですが、注目すべきは世界遺産に登録された歴史ある建築物や、美しい自然が織りなす絶景の数々。
ベトナムには、船でクルージングしながら楽しめるハロン湾や、約2億4000万年前にできたカルスト地形の景勝地チャンアン、ホイアンの古い街並みなど、全部で8カ所の世界遺産があります。
そこで、8つの世界遺産の魅力を「自然」「街並み」「遺跡」という3つのカテゴリーに分けて、紹介していきます。

ベトナム8つの世界遺産

日本から直行便で5〜6時間で行くことができるベトナムには、計8つの世界遺産があり、その数は、東南アジアの中ではインドネシアの9つに続き2番目です。

ベトナムの世界遺産
 ・ハロン湾(自然遺産)
 ・フォンニャ−ケバン国立公園(自然遺産)
 ・チャン・アン複合景観(複合遺産)
 ・フエの建造物群(文化遺産)
 ・古都ホイアン(文化遺産)
 ・ミーソン聖域(文化遺産)
 ・ホー王朝の城塞(文化遺産)
 ・ハノイ-タンロン王城遺跡中心地区(文化遺産)

ベトナムには独特の地形が織りなす自然遺産、古い街並みや王朝時代の遺跡などの文化遺産、そして両方の要素を持つ複合遺産があり、その多様さも人気の理由です。

拠点は首都・ハノイがおすすめ

ベトナムと言えば、南にある国内最大の都市・ホーチミンと、北にある首都・ハノイが有名ですが、一度の旅行でより多くの世界遺産を見て回りたいならハノイを拠点にするのがおすすめです。

ベトナムの北部には4つの世界遺産(ハロン湾・チャンアン・タンロン・ホー王朝の城塞)があり、ハノイから鉄道やバスを使って移動すると効率的に回れます。

またハノイの街は、ビルが立ち並ぶ都会とベトナム文化のエキゾチックな雰囲気を感じられる郊外部の両面の魅力があり、街歩きだけでも十分に楽しめます。

【自然】石灰岩の台地が織りなす絶景の宝庫

まずは、ベトナムを代表するハロン湾など、【自然】の世界遺産からご紹介します。

ベトナムの自然の魅力は、カルスト台地という石灰岩地帯が作り出す景観美。海に大小の奇石が並ぶ様や何万年という時を経て形成された広大な洞窟など、雄大で神秘的な絶景には、何度も感動を覚えることでしょう。

大小2000以上の奇岩が浮かぶハロン湾(自然遺産:1994年~)

そのベトナムの世界遺産の中でも特に有名な場所といえば、エメラルド色の海に無数の奇岩や島が浮かぶ、ハロン湾でしょう。

石灰岩の台地が雨風によって浸食されてできたその景色は、まるで山水画の世界のよう。日本の瀬戸内海のイメージにも近いかもしれません。見る角度や時間、天候によってまったく違う表情を見せてくれるのも魅力です。

ハロンとはベトナム語で「龍が降り立つ」という意味で、その昔、天から降りてきた龍が侵略者からこの地を守ったという伝説に基づいて名付けられました。無数の奇岩や島は、龍の攻撃の衝撃によってできたものと伝えられているのだとか。

アクセス・過ごし方

ハロン湾へは、ハノイから路線バスで4時間ほど。ハノイ発着の日帰りツアーや、1~2泊のツアーもあります。

1日満喫するなら、クルーズツアーがおすすめです。島に上陸して鍾乳洞を探検したり、船上でのランチやシーカヤックをしたり、いろいろな楽しみ方ができます。

世界一美しい洞窟があるフォンニャケバン国立公園(自然遺産:2003年~)

画像1: 写真提供:PIXTA

写真提供:PIXTA

フォンニャケバン国立公園は、約2億5000万年以上前に形成されたという、アジア最古にして世界最大級の洞窟群です。広大なエリアには大小300以上の洞窟があり、中にはまだ調査が済んでいないところも。立ち入りが許されている場所はわずかしかない、ミステリアスな場所です。

園内で一番有名な洞窟は、2003年に世界遺産に登録された「フォンニャ洞窟」。約8km続く長い洞窟に地底川が流れていて、そのうちの1kmほどをボートと徒歩で探検することができます。

さらに、フォンニャケバン国立公園から車で30分ほどのところには「天国の洞窟」と呼ばれる全長31kmの巨大洞窟があります。こちらは世界遺産ではありませんが、世界一の長さを誇ると共に、「世界一美しい洞窟」ともいわれる場所。スケールの大きさと美しい鍾乳石が生み出す幻想的な世界が天国と称される所以です。

アクセス・過ごし方

ハノイかホーチミンから飛行機で1時間30分ほどの都市、ドンホイから車で1時間程度。ドンホイのほか、中部の都市フエからのツアーもあります。フォンニャ洞窟と天国の洞窟を両方訪れる場合はドンホイを拠点とするのがおすすめです。

また、ハノイから直接フォンニャケバン国立公園へ行くツアーバスもあります。

自然・文化の両面を楽しめる“陸のハロン湾”、チャン・アン複合景観(複合遺産:2014年~)

2014年に世界遺産に登録されたのが、「チャン・アン複合景観」です。

ハロン湾と同じく石灰岩の台地が織りなす奇岩と、その間を縫うように流れる川。そしてそこには約3万年前の人類の生活跡が残された洞窟や古都ホアルーなどがあり、その自然の景観美と文化的価値が認められ、ベトナムで唯一の複合遺産となりました。

特にホアルーはベトナムの歴史を知るうえでは欠かせない歴史遺産です。968年にベトナム初の独立王朝が都を置いた地で、1010年に現在のハノイに遷都するまではここがベトナムの中心でした。

ホアルー 写真提供:PIXTA

アクセス・過ごし方

最寄りの街・ニンビンからタクシーやレンタサイクルなどで向かうことができます。ニンビンへはハノイから鉄道やバスを利用して向かい、所要時間は交通手段によって1時間半~2時間半程度です。

手漕ぎボートのクルーズ観光ができ、今も残るベトナムの原風景を眺めながら、のんびりとした時間を過ごすことができます。

【街並み】歴史をひもとくエキゾチックな旅

ベトナムは、発展した大都市と、昔ながらの姿を残しているエリアのコントラストが魅力的な国でもあります。

ベトナムの京都と呼ばれるフエ、日本人街もあったホイアンなどでは、長い歴史の中でさまざまな国の影響を受けながら育んできた独自の文化がエキゾチックな街並みを作り出しています。

ベトナム最後の王朝の建造物群、フエ(文化遺産:1993年~)

19世紀から20世紀にかけて全13代の皇帝にわたって続いたグエン朝。その王朝があったのが古都フエです。グエン朝の王宮やトゥドゥック帝陵をはじめとする歴代皇帝のお墓、フォーン川に面して建てられたティエンムー寺院など、多くの建物が残されており、その建物群がベトナム初の世界遺産として1993年に登録されました。

一番の見どころは、約600m四方の城壁に囲まれた王宮です。かつて政治の中心として栄えたこの場所は、その歴史を今に伝える重要な場所。1000年もの間、中国を君主としてきたこともあり、その影響を色濃く受けた重厚な装飾が独特の雰囲気を醸し出しています。

また、歴史を感じる建物の内外装にも注目。例えばフランス統治時代のカイディン帝陵は西欧風ですがミンマン帝陵は中国式の装飾です。他国に支配されながらも、それらを独自の文化として昇華してきたベトナムの歴史が今日の街の魅力を作り出しているのです。

アクセス・過ごし方

フエへの所要時間は、ハノイ、ホーチミンから飛行機でそれぞれ1時間強。ただし便数が少ないため、ダナンの国際空港から車やバスで移動する方法もあります。その場合の所要時間は3時間ほど。

敷地がとても広いので、1日かけて見て回るのがおすすめです。短時間しかいられない場合は行きたい場所を絞ってから行くと良いでしょう。

日・仏・中の文化が融合する古都ホイアン(文化遺産:1999年~)

日本からの直行便が運行するダナンからアクセスしやすいのがホイアン。都会的な発展を遂げているダナンとは対照的に、古き良きベトナムの姿を残しているのが特徴的です。

先述した通り、ベトナムは中国やフランス、また日本による支配下にあったため、それぞれの建築様式が混ざり合っていて、エキゾチックかつノスタルジックな雰囲気を作り出しています。

海に面したホイアンは古くから貿易港として栄えた街で、日本人街や中国人街があったこともよく知られています。世界遺産のエリアである旧市街や川辺を散策するのも良いのですが、おすすめのスポットはチャンフー通りの西側にある「来遠橋(らいおんばし)」。日本橋とも呼ばれるこの橋は1593年に日本人によって架けられたとされ、街のランドマークとして愛されています。

毎月旧暦14日の満月の夜には、旧市街の建物の軒先に無数のランタンが掲げられるランタン祭りも開催されるので、このタイミングを狙って訪れてみてはいかがでしょうか。

アクセス・過ごし方

ホイアンへはダナン国際空港から車で40分ほど。タクシーを利用するほか、観光ツアーに参加して向かうこともできます。

ハノイから向かう場合は、飛行機では1時間15分~30分ほど、鉄道やバスで移動する場合は15時間以上かかります。

【遺跡】王朝の栄枯盛衰に思いを馳せる

紀元前から10世紀頃に至るまで中国に支配されていたベトナムですが、それ以降ベトナムが独自に歩んできた近代王朝の足跡は、この国を知るうえで欠かせない歴史として現代に語り継がれています。

さまざまな場所に点在する遺跡を巡れば、ベトナムという国を違った視点から見ることができ、新たな魅力に気付くきっかけとなるかもしれません。

まるでゲームの世界。謎多きミーソン聖域(文化遺産:1999年~)

ベトナムには時代ごとにいくつもの王朝が栄えましたが、中でも17世紀頃まで存続したチャンパ王国が残したミーソンの遺跡群は、まるでゲームの世界に迷い込んだような気分が味わえると話題です。

ミーソンはジャングルの中に佇むレンガ造りの遺跡で、ホイアンから南西へ40kmほど離れた場所にあります。まだ研究中の場所が多く、例えば壁に彫られた彫刻などは、どのようにして彫ったのか未だに解明されていないのだそう。緑の中に広がる遺跡はとても神秘的。その異世界感をぜひ体感してみてください。

アクセス・過ごし方

ホイアンから約40km、ダナンから約70km離れているミーソンは、車で1〜2時間ほど。ツアーやタクシーを利用して向かいます。ダナン発・ホイアン経由の観光ツアーもあるので、利用すると世界遺産を効率的に見て回れるかもしれません。

滞在時間は、遺跡をじっくり見るなら3〜4時間ほど確保することをおすすめします。

田園風景の中に佇むホー王朝の城塞(文化遺産:2011年〜)

写真提供:PIXTA

15世紀になると、衰退していた当時の陳朝に代わり、胡 季犛(こ きり)によってホー(胡)王朝が成立します。そのホー王朝によって建てられたこの城塞ですが、ベトナムに8つある世界遺産のうち、最もマイナーな存在といってもいいかもしれません。というのも広大な田園の中にぽつんと佇むこの城塞は、他と比べてツアーが少なく、アクセスもあまり良くないのです。

地味な印象ではありますが、かつて栄えていた当時の姿に思いを馳せてみると興味が湧いてくるもの。ホー王朝はとても短命な王朝として知られており、1400年~1407年という短期間で滅びてしまいます。それでも一直線に整備された道と水田、そして城塞自体も高さ約7m、南北に約900m、東西に約700mも続いていたというから、力の大きさも想像できるでしょう。

ホー王朝が滅びた理由は中国(明)の侵攻によるものですが、胡 季犛(こ きり)の度重なる粛正と簒奪(さんだつ)によって多くの人の反感を買ってしまったことも、衰退した理由のひとつといわれています。

アクセス・過ごし方

ホー王朝の城塞は、ハノイから南に140kmほど離れた場所にあり、車で3時間ほど。バスなどのローカルな交通機関であれば最寄りの都市タインホアを経由して、現地ツアーを利用するのも良いでしょう。

ベトナム王朝時代の歴史が交錯するハノイ-タンロン王城遺跡中心地区(文化遺産:2010年~)

これまでに紹介した世界遺産は、ほとんどが都市から離れていましたが、タンロンはハノイの市内にある一番アクセスしやすい世界遺産です。ちなみに、タンロンとはハノイの旧称です。

1010年から1804年までの各王朝のほとんどが都を置いていた場所であり、そのため、各時代の遺跡が重なっているのが特徴です。

シンボルは皇帝の住む敬天殿へと通じる「端門(ドアン・モン)」。ただ、かつての敬天殿は石段と龍の形をした手すりが残されているだけ。現在はフランスの植民地だった時代に建てられた軍の司令部、通称「龍の家」があります。

アクセス・過ごし方

ハノイ駅からは徒歩約15分、ハノイ観光の中心地となっている旧市街から2km強ほど。
近隣には、初代国家主席ホーチミン氏の遺体が安置されている「ホーチミン廟」など、観光スポットも点在しているので、市内を巡るだけでも充実した1日が過ごせそうです。

8つの世界遺産を中心にご紹介しましたが、雄大な自然、歴史を感じる遺跡、古くからの街並みと、あらゆる要素が混在するのがベトナムの魅力。どの場所を選んでも、忘れられない体験になるはず。ぜひ訪れてみてください。

初回投稿日:2018年5月17 日

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

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