〈2日目〉
雲の上の楽園から、自然の芸術と地獄谷を望む
この日は少し早起きをして、旭川市の中心部から車で1時間ほど移動。北海道一の高さを誇る旭岳へ向かいます。
大雪山旭岳ロープウェイで約10分間の空中散歩。標高1,100mから標高1,600mを結ぶロープウェイの車窓から、雄大な旭岳の自然を一望できます。森林限界を超えた高山帯まで運行している国内でも珍しいロープウェイ。“自然が織りなす芸術”を堪能できる貴重な時間です。
ロープウェイを降りると、すっかり別世界。姿見駅から散策路を歩いていくと3つの展望台があり、最後の第3展望台までは約15分。原風景の中にエゾツガザクラやコケモモなどの花が点在し、さらに進むとキバナシャクナゲやチングルマの群落も。高山植物の多様さも見どころの1つです。
第3展望台を過ぎると摺鉢池と鏡池(通称夫婦池)があり、さらに進むと「姿見の池」にたどり着きます。視線を上げれば、多数の噴気孔から激しく立ちのぼる噴煙。まさに地獄谷の景観を間近に見られます。散策路のすぐそばでも岩の間からもくもくと白煙が上がっていました。
よく晴れた日の「姿見の池」。太陽の光を浴びて輝く池の水面に旭岳が映り、「逆さ旭岳」が見られる大人気のスポットで、空と池の青、山の緑、噴煙の白。色彩が鮮やかでとてもきれいです。秋の景色もとても美しいのだそう。
本格的な登山に挑戦したい人は、姿見の池から続く登山道を進みましょう。頂上までは片道約2km。標高2,291m、北海道一の山から見える景観は荘厳。同じ大雪山系のトムラウシ山や白雲岳の輪郭が青空にくっきりと浮かび上がり、お天気がいいと十勝岳も望める大パノラマ。
自然の美しさと険しさが同時に視界に飛び込んでくる絶景に、言葉をなくし立ち尽くす人も多いそう。登山の際は本格的な装備をして出かけましょう。
大雪山旭岳ロープウェイ ワカサリゾート
住所 | : | 北海道上川郡東川町旭岳温泉 |
---|---|---|
電話 | : | 0166-68-9111 |
運行時間 | : | 季節により異なる。トップシーズン(6/1~10/20)、シーズン(10/21~5/31) |
料金 | : | 季節により異なる。大人(中学生以上)往復券3,200円・片道券2,000円(トップシーズン)、往復券2,200円・片道券1,300円(シーズン)など。 |
web | : | https://asahidake.hokkaido.jp/ja/ |
〈山と湖、どちらを選ぶ?士別市の自然スポット〉
旭川から車で約1時間のところにある士別市。サフォーク(羊の一種)が有名で、市内では約1,380頭の羊が飼われているそう。この士別市にもおすすめのスポットがあります。
登山好きな人は天塩岳へ。標高1,557.6m、天塩岳を中心とした約9,348ヘクタールが天塩岳道立自然公園として北海道の指定を受けています。深緑の絨毯、凛とした山々の連なり。頂上に立った瞬間、言葉で表せないほどの爽快感に包まれます。
水辺の景色を楽しみたい人には岩尾内湖がおすすめ。天塩川を堰き止めるダムの建設により形成された人造湖で、自然と人工が調和して絶景を生み出しています。湖面には周囲の山並みや岩尾内大橋が映え、静かな空間でゆっくりと時間が流れています。
ひっそりと繁る森の中で、生命の泉を汲む
車で約15分下り、忠別湖の手前に位置する大雪山旭岳源水公園へ。ここには観光客だけでなく、地元の人たちも新鮮でおいしい水を求めてやってきます。
整備された木道をゆっくり歩いていきます。旭岳の豊かな水の恵みを受けている東川町では、なんと町内の全家庭が地下水を生活水として利用。全家庭地下水のまちは全国でも数カ所といわれ、道内では東川町だけです。
300mほど歩いて、滝のように水が噴き出ている場所にたどり着きました。大雪旭岳源水取水場です。持参したボトルに水を注ぎます。
水は筒を通って勢いよく流れ落ち、ザーという水音も心地よく響きます。水は日々こんこんと湧き出ていて、その量は1分間に約4,600リットルも。
汲んだばかりの水を早速ひと口。「冷たくてとってもおいしい」と加藤さん。この水にはカルシウムやマグネシウム、ナトリウムなどのミネラルがバランスよく含まれているそう。長い年月をかけて自然の中を浸透してきた、神秘と生命の味です。
大雪旭岳源水公園
住所 | : | 北海道上川郡東川町ノカナン |
---|---|---|
電話 | : | 0166-82-2111(東川町都市建設課) |
web | : | http://www.welcome-higashikawa.jp/water/ |
厳選食材で丁寧につくられた東川フレンチを記憶に刻む
大自然を満喫した後は、東川町市街へと移動。そろそろお腹がすいてきました。
ランチにやってきたのは、ぬくもりある木の建物が目印のレストラン「ヴレ」です。
ナチュラルで明るい雰囲気でありながら、日常風景とは違った優雅さも漂います。オーナーシェフの村上智章さんは神戸の高級グランメゾンで料理長を務めた後、もっと身近なフレンチをと奥様のあいさんと札幌でビストロを開業。4年前に東川町に拠点を移し、ヴレを開業したそうです。
オーダーしたのは「ヴレランチ」(2,860円~)。この日の前菜は道産豚の田舎パテです。涼しげなガラスのお皿に盛り付けられ、見た目も華やか。「とってもおいしいです」。加藤さんの声がはずみます。
メインは「仔羊肩肉のロティ 有機野菜のグリル添え」。道産小麦のパンとともにいただきます。ナイフを入れる前からわかる、お肉のやわらかさ。口に運ぶと一気に香ばしさが広がります。ランチにはビーツに白ナス、ズッキーニ、カブ、トマト、プルピエなどたくさんの道産野菜が使われていて、その野菜たちのあまりのおいしさに感激。
デザートは特製ココナツのブランマンジェとエスプレッソ。白い器に美しくおさまっているブランマンジェはテーブルに置かれた途端にぷるんと揺れて、そのなめらかさは一目瞭然。口の中に入れるとすっととろけて、何ともいえない上品な味です。
ヴレはディナーもおすすめ。心に響くものだけを集めてコースを作りたいと食材を探し続けてきた村上夫妻が、5年かけて完成させたのが「季節のおまかせコース」(8,800円。2名様から)。
ワインを飲みながら季節のお皿やスープ、メイン料理をいただき、締めは東川米の土鍋ごはん。「東川の湧水はフレンチととても相性がよく、出汁の味も決まります。重くならないので、締めのごはんにぴたりと合うんです」とおいしさの秘密を教えてもらいました。
ヴレ(完全予約制)
住所 | : | 北海道上川郡東川町南町1丁目4-11 |
---|---|---|
電話 | : | 0166-85-7530 |
営業時間 | : | ランチ11:30~14:00、ディナー2部制(第1部 17:30~、第2部18:30~) |
定休⽇ | : | 月曜日・火曜日 ※不定期の店休日あり |
web | : | https://vraie-hokkaido.com/ |
次世代型エコモビリティで、自然の中を駆け抜ける
次に向かったのは、観光アクティビティ提供専門ショップHAC(Higashikawa Activity Center)。ここではカヌーやSUP、乗馬、陶芸などさまざまなアクティビティが体験できます。
ロードバイクやクロスバイクなど、乗り物のレンタルメニューも。初めての人もスタッフの皆さんが丁寧に操作方法を説明してくださるので安心です。
注目は電動キックボード(1時間1,000円~)。「車だと駐車場を見つけるのが大変」「徒歩や自転車は体力に自信がない」という人にもぴったり。環境にやさしいのも魅力です。公道で最高速度30kmまで、走行距離は満充電で30km以上と予想以上のスピード・距離を走行できるので、一度乗るとハマってしまう人が多いというのもうなずけます。公道走行の際には原付免許または普通自動車運転免許の携帯が必要です。
町内の移動手段としてはもちろん、田んぼや畑を眺めながらの観光も疾走感たっぷりに楽しめます。大自然の中を颯爽と駆け抜ける気持ちよさは格別。電動キックボードは「立ち乗り」「座り乗り」の2タイプから選べます。
HAC(Higashikawa Activity Center)
住所 | : | 北海道上川郡東川町西町2丁目2-17 |
---|---|---|
電話 | : | 0166-82-0800 |
営業時間 | : | 10:00~17:00 ※新型コロナ感染拡大予防対策として、当面土日祝日は事前予約者のみの受付。 |
web | : | http://www.agtec.co.jp/ |
大自然に初挑戦のアクティビティに、感動しっぱなしの2日間。ここでしか食べられない味も旅の大切な思い出になりました。初めてづくしの旅は、とても満足度の高い旅になるでしょう。
掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。