秋冬を代表する味覚のひとつ、焼きいも。多くはトラックなどで販売される「石焼きいも」や、スーパーなどでおなじみの電気式が一般的でしょう。今、そんな焼きいもの常識をくつがえす「つぼ焼き」の専門店が登場し大行列になるほどの注目を集めています。
画像: この日は開店1時間前からお客さんが。オープンの12時にはあっという間に長蛇の列に

この日は開店1時間前からお客さんが。オープンの12時にはあっという間に長蛇の列に

その名も「銀座つぼやきいも」。今回は、このユニークなお店の誕生秘話や商品づくりにまつわるこだわりストーリーを開発者にインタビュー。「銀座で焼きいもって、なぜ?」なんて旅のお土産話にもなりそうなほっこりする記事をお届けします。

あの素晴らしいつぼ焼きいもをもう一度

オープンしたのは2018年の6月。約2年の構想・開発期間を経て誕生したお店のキーパーソンが、博報堂クリエイティブ・ヴォックスのアートディレクター・中島可奈子さん。誕生秘話から聞いてみました。

画像: 中島可奈子さん

中島可奈子さん

「発想の原点は富山の企業『第一レンタル株式会社』の釋永(しゃくなが)一男社長が、50年以上前に銀座で見かけた焼きいもの屋台です。釋永さんが若い頃に銀座に遊びに来たときに、屋台のまわりでおいしそうに焼きいもを食べている人たちがいたそうです。その時の光景が忘れられず、お客さんの笑顔がとても印象的だったそう。それから半世紀が経ち、釋永さんがその光景をよみがえらせたいと、70歳が近づいたことを機にプロジェクトが動きはじめました」

調べてみると、銀座出身の国文学者である池田弥三郎が大正後期に書いたエッセイに、銀座でつぼを使った焼きいも店があったとの記述があったとか。石焼きいもに比べて調理に時間がかかり、移動販売が難しいつぼ焼きいもは、時代の流れとともに数が少なくなってしまったのかもしれません。では、つぼ焼きにはどんなメリットがあるのでしょう?

「間接的な熱源でじわじわゆっくり、つぼの中で焼くことで生まれる、濃密な甘さとしっとりとした食感です。また、さつまいもの中から溶け出た蜜が加熱されて香ばしさを醸すことにより、キャラメルのような風味を楽しめることも特徴ですね」

画像: あの素晴らしいつぼ焼きいもをもう一度

つぼは愛知県、常滑焼の職人による完全ハンドメイド。ひとつぼで一度に最大15本のさつまいもを焼くことができ、専門の“いも焼き師”が焼き加減などを確認しながら丁寧に仕上げていきます。

熱源も、炭火、ガス、電気など試行錯誤を繰り返し、一番おいしくなるのはどれかを模索したとか。そうしてたどり着いたのが、扱いこそ難しいものの香ばしく焼き上がる炭。なかでも高温になり安定性にも優れた高級品の「備長炭」を採用し、ワンランク上のおいしさを実現しています。

「さつまいもの選定にも苦労しました。たくさんの品種を試した中、ねっとり系のおいしさが特徴の『紅はるか』を採用。さらにこれを低温で長期熟成させることで、うまみを凝縮させた『熟成芋』を使用しています」

画像: この日は宮崎産を使用

この日は宮崎産を使用

“手土産にできる焼きいも”がコンセプト

さつまいもにも時季により地域差があるため、旬に合わせて茨城産だったり宮崎産だったりと、そのときに最もおいしい産地や品種を使用しているとのこと。多いときは1日で500本以上売れるという同店の焼きいも。サイズ別に3種類がある、その商品を見せてもらいました。

画像: 左から、1/4の「ちいさいの」(270/275円・税込)、「はんぶん」(378/385円・税込)、「1本まるごと」(756/770円・税込)

左から、1/4の「ちいさいの」(270/275円・税込)、「はんぶん」(378/385円・税込)、「1本まるごと」(756/770円・税込)

商品名やパッケージデザインなどは普段から様々な企業を相手に提案している博報堂クリエイティブ・ヴォックスですが、「銀座つぼやきいも」に関しては、ネーミングやデザインだけでなくコンセプトから提供形態まで、そのすべてを委託されたのだとか。

「ある意味自由だったのでその分、責任は重大でしたが、初めての経験が多くて勉強になりましたし、ポジティブな悩みしかありませんでした。店舗にも週3日ぐらい行っているのですが、メディアでの反響がお客様を通してダイレクトにすぐわかるという点が醍醐味ですね」

国内外からあらゆる一流が集まる銀座。この街へ出店するにあたって、掲げたことのひとつが“手土産にできる焼きいも”というコンセプト。そのため単品販売のほかに玉手箱をモチーフにしたセットもあり、東京土産や差し入れなどに活用できるようになっているのがポイントです。

画像: 箱は小が55円、大が110円。お重箱は一段330円で+一段110円

箱は小が55円、大が110円。お重箱は一段330円で+一段110円

営業時間が平日は22時までと、焼きいも専門店としては長め。また、近隣には出前が可能なこともあって、高級クラブで働く女性にも重宝されているそうです。

濃厚ながら上品な「つぼやきいも」にはアイスもある

いよいよ試食させてもらうことに。「1本まるごと」をオーダーして中を割ってみると、ふわっと広がる湯気とともに甘やかなさつまいもの香りが。

画像: 直接炭火に当てないため皮が焦げ付かず、色味がきれいなのもつぼ焼きの特徴です

直接炭火に当てないため皮が焦げ付かず、色味がきれいなのもつぼ焼きの特徴です

ファーストタッチはぽってりと。噛んでいくと口の中でねっとりとした食感に変化し、同時にほろっと香ばしい濃厚な甘味が広がります。それでいてベタっとしない上品なおいしさ。冷めてもおいしく食べられるそうで、味わい的にも手土産に適しているのですね。

「オープンしたのが6月と暑い時季だったため、冷たい『アイスやきいも』も用意したのですが、こちらも好調で、通年を通して召し上がっていただけます。一度焼いたあと、冷蔵ではなく冷凍しているのがほかにない特徴。蜜をたっぷり含んでいるのでカチカチにならず、アイスクリームのようなミルキーな口どけが楽しめるようになっています」

画像: 購入する場合は、通常の「つぼやきいも」と同価格で買えます

購入する場合は、通常の「つぼやきいも」と同価格で買えます

こちらも、口の中でまろやかに溶けていく新感覚の舌触りが印象的。素材感の豊かないもようかんや、さつまいもの和菓子を食べているような、未体験のおいしさです。さつまいも好きな人は、通常のタイプと両方買って食べ比べるといいかもしれません。

画像: 店内にはイートインスペースがあり、築地の「うおがし銘茶(焙じ茶)」が無料で提供されています

店内にはイートインスペースがあり、築地の「うおがし銘茶(焙じ茶)」が無料で提供されています

行列や売り切れによる早仕舞いもあるという大人気の「銀座つぼやきいも」。狙い目の時間帯を聞くと、開店直後であれば並んで購入できるそうです。一方で夕方は焼き待ち時間が発生することがあり、土曜日は混雑しがちとのことで、もしお店に行く際は、参考にしてみてください。

文・写真:中山秀明

銀座つぼやきいも
住所東京都中央区銀座7-6-4 GINZA7ビル1階
電話03-6263-8773
営業月〜金12:00〜22:00、土12:00〜18:00
定休日日・祝・年末年始
webhttps://www.imo-tsubo.com/

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