リモートワークの導入や副業の容認など、都市部の企業を中心に“働き方改革”がますます進んでいます。働き方の自由度が増すことで注目されているのが「2地域居住」。都市に住む人が地方にも住居を構えて、2つの地域で生活するそのスタイルは、都会だけでなく自然溢れる環境での暮らしも手に入れたいと考える層から支持を得ています。

とはいえ、生活を大きく変える決断には不安がつきもの。まずは気軽に現地を訪れたり、経験者の話を聞いたりして、イメージを具体化するのが一番です。今、自治体では2地域居住体験ツアーを運営し、地域の魅力や暮らしのリアリティを感じることができる機会を提供しています。

OnTrip JALでは、そんな各地の「2地域居住」の魅力を、体験ツアーを通じて紹介。さまざまなエリアの情報を、連載記事で紹介しています。

2地域居住についてもっと知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
https://ontrip.jal.co.jp/_tags/2地域居住

画像1: 旅が暮らしに変わる。注目の「2地域居住」体験ツアー 青森・弘前市編

今回ご紹介するのは、青森県・弘前市。青森県の西部に位置しており、人口は約17万人。青森市、八戸市に次いで県内で3番目に人口の多い町です。古くから津軽藩の城下町として発展し、近代以降は外国人教師を積極的に招き英語教育に力を入れたことから、レトロな建物が多いのも特徴です。

また、日本三大桜の名所としても有名な「弘前城(弘前公園)」や「弘前ねぷた」など四季を彩るコンテンツも豊富。そして、なんといっても日本一の生産量を誇る「りんご」は、今なお弘前の基幹産業となっています。

そんな弘前市での暮らしはどんなものなのでしょう。移住して、りんご農家と経営者の二つの顔で活動する永井温子さんのインタビューと、弘前市で注目したいスポット情報とを併せてご紹介します。

コンテンツの宝庫・弘前で、人生を変えた「りんご」との出会い

りんご農家にして起業家・永井温子さんインタビュー

画像1: りんご農家にして起業家・永井温子さんインタビュー

2019年から弘前に移住した永井温子さんは福島県のご出身。大学時代を過ごしたことをきっかけに、弘前が第二の故郷になったそうです。大学卒業後は上京し、首都圏で広告会社に勤務していましたが、「東北で地域に関わる仕事がしたい」という思いから地域おこし協力隊の活動に興味を持つように。

永井さん「ちょうど弘前のローカルベンチャー育成事業の募集を見つけたんです。育成事業の中にはいくつかのプロジェクトがあって、『りんご』に関わるプロジェクトに強く惹かれました。りんご農家の担い手を増やすというミッションに対して、地域の魅力を発掘し発信することで成果を出していくというスキームは、広告業界で培ったスキルが活かせると思いました」

画像2: りんご農家にして起業家・永井温子さんインタビュー

「ひろさきローカルベンチャー育成事業」は、都市部の人材によるローカルベンチャー(地方での起業)を推進するもの。地域おこし協力隊制度を活用して、りんご、シードル、ワイン、ゲストハウス、アート、教育といった地域資源を活用したさまざまな起業プロジェクトに取り組んでいます。

弘前市における地域おこし協力隊の雇用形態は、いわゆる「委託型」でメンバーは個人事業主。そのため働き方の自由度が高く、起業したい人や地域でチャレンジしたい人には魅力的な制度といえます。

永井さんは2019年4月から、りんご産業の持続化への仕組み作りを担う「就農ディレクター」として着任。りんご農家の後継者減少という課題に取り組むことになったものの、りんご作りの知識がなく肩書と実態が伴っていないことに悩んでいたといいます。

画像3: りんご農家にして起業家・永井温子さんインタビュー

永井さん「実際にりんご作りを経験してみようと思い、最初の1年間は協力隊のパートナー企業であるkimoriさんのりんご畑を手伝わせてもらいました。剪定から収穫、りんごを使った商品開発も経験させてもらって、りんごの基礎から勉強しながら人脈も築けた1年でした」

大きな転機。畑仕事のダイバーシティを探る

そうして迎えた2年目、永井さんは大胆な行動に出ます。市内のりんご農園を承継し農家としてのキャリアをスタート。翌年にはさらに2カ所のりんご農園を継承しました。「りんごに関わる人」から「りんご農家」へ転身を遂げたのです。

画像1: 大きな転機。畑仕事のダイバーシティを探る

永井さん「思いがけずりんご農家になっていました(笑)。でも、実際に就農することでいろんな発見もありました。まず畑仕事は『どう働くか』を自分で決められるということです。草が生い茂っていても『まぁいっか』と思えばそれはそれで何とかなるもので(笑)。りんご農家はこうあるべきといった固定観念が先行しがちですが、自分の生き方やライフスタイルに照らし合わせた多様性があってもいいんじゃないかなと思うようになりました」

一方で「青森のりんごとは何か」を説明できる人があまりいないという永井さん。目指すものが曖昧でふわふわしている印象を持っていたそう。移住者であり、りんご農家としてはまだまだ駆け出しの自分だから見えてくるものもあると感じたそうです。

画像2: 大きな転機。畑仕事のダイバーシティを探る

さらに翌年の2021年、株式会社Ridun(リズン)を設立し、経営者としての経歴もスタートさせた永井さん。社名の「Ridun」は、りんごの頭文字「R」と、北欧神話に登場するりんごの女神「idun(イズン)」を掛け合わせ女性らしい響きを意識したものに。

永井さん「Ridunは一言で言うと、りんごを面白がる会社です(笑)。りんごは食べたり栽培したりする以外にも魅力はたくさんあると思っていて、りんご畑でのんびり過ごす時間だったり、品種の多さとそれぞれの歴史だったり、りんごの魅力を今までにないアプローチで楽しく伝えられたらと思っています」

現在走らせている事業は、りんご農園の運営をメインとして、ジュースの加工、イベント・誘客、りんご文化の掘り起こし、輸出、今までにないりんご商品開発の6つ。その中でも特に力を入れているのが「りんごジュース」の製造と販売だそう。

画像3: 大きな転機。畑仕事のダイバーシティを探る

永井さん「最初は千雪という品種しか作ってなかったのもあって、千雪の良さを活かせる加工の仕方は何かと考えたときにジュースが思いつきました。実際に飲んでみると香りがバナナっぽく、桃のような風味があり、まるでミックスジュースみたいな雰囲気になりました。一つの品種で作ることで、こんなにりんごの特徴が出るんだということに気づき、今はいろんな品種で試行錯誤中です」

画像4: 大きな転機。畑仕事のダイバーシティを探る

すでに自社ECサイトでの販売もスタートさせ、販路拡大へ向けて着々と動いている永井さん。ゆくゆくはジュースのパッケージに、昭和40年代に使用されていた「刷版(すりばん)」風の文字を使いたいそう。刷版とはりんごを木箱に収めて出荷する際、木箱にステンシルの要領で文字を転写するための版のことで、りんご文化のアーカイブにもなればと意欲的に収集されています。

弘前は帰ってきたい場所

画像1: 弘前は帰ってきたい場所

永井さん「弘前では雪が毎年ものすごく降るのに、みんな平然としていることに驚愕していました(笑)。でも、ご飯もお酒も美味しいし、県外から弘前に戻ったときの安心感はすごいですよ。そういう場所が地元以外にできたというのは幸せです」

大学時代、県外から弘前へ来た友人は「青森って何もないよね」と離れていく人も多かったと回想する永井さん。でも永井さん自身は地域活動への参加を通して青森県や弘前への見方が変わったと言います。

画像2: 弘前は帰ってきたい場所

永井さん「大学の地域プロジェクトへの参加は私にとって新しい価値観を与えてくれるものでした。いろんな関わりを通して、弘前は面白いものが多いと感じたし、欲しいものがあれば自分で作っちゃおうみたいな志向が生まれました。その気持ちは今も変わらず、地域が私の大きな原動力になっています」

歴史や文化など弘前ほどいろんなコンテンツにあふれた場所もないという永井さん。それだけに自分たちの文化に誇りを持つ津軽人の気質も魅力だと語ります。

画像3: 弘前は帰ってきたい場所

永井さん「移住して4年目に入りますが、少なからず支えてくれた人によってここまでこられました。新しいものをどんどん入れるのではなく、もともとあったものに対するリスペクトを大事にして今後も努力していきたいと思います」

株式会社Ridun

住所青森県弘前市石川寺山86-4
webhttps://jp-ridun.com/

ヒビノス林檎園

移住を成功させる最大のポイントは、実際に移住を考えている土地へ足を運ぶことです。永井さんのお話にもあったように、弘前市は多種多様なコンテンツにあふれています。

ここからは、弘前市での生活やワークスタイルをより具体的にイメージできるような、おすすめのスポットを紹介します。地域おこし協力隊の活動拠点やワークスペース、暮らしに近い情報も含めてピックアップしました。

青森県・弘前市の2地域居住ツアー モデルコース

弘前市では、2地域居住を検討している方向けにジャルパックの体験ツアーを開催しています。2地域居住担当者が「住んでこそわかる弘前市の魅力」をお伝えします。この地での暮らしを具体的にイメージできる機会を、ぜひ活用してください。

日程内容
1日目青森空港から移動(レンタカーまたはバス)して弘前市内へ
弘前公園から津軽平野と岩木山の絶景を観賞
2日目移住担当者訪問(コワーキングスペースや市内施設など、ご希望に合わせてアテンドいたします)
3日目二つの世界遺産めぐり
午前:日本で最初の世界自然遺産「白神山地」を散策
午後:世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一つ、大森勝山遺跡へ
4日目アート&アップルパイ
午前:弘前れんが倉庫美術館でアート鑑賞。レトロな喫茶店に立ち寄ってアップルパイと珈琲で一服
午後:市民の台所「虹のマート」で地元の名産をお買い物(りんご、いがめんち、筋子など)→青森空港へ移動
※上記はモデルコースです。ツアー行程は自由に組むことができます。

弘前市の2地域居住体験ツアー
https://www.jal.co.jp/domtour/jaldp/new_journey/2chiiki/hirosaki/index.html

さまざまなアプローチで移住を推進する青森県弘前市

画像: さまざまなアプローチで移住を推進する青森県弘前市

現在、弘前市では「起業型」「地域配属型」「農業型」といったさまざまなタイプの地域おこし協力隊が地域活性化に取り組んでいます。また、首都圏の窓口「ひろさき移住サポートセンター東京事務所」でのイベントやセミナー開催、移住ポータルサイト「弘前ぐらし」での情報発信、移住支援金の交付(※詳細な要件があります)など、移住を支援する事業が行われています。

弘前ぐらし

歴史や文化、グルメなど魅力的なコンテンツにあふれ、移住のサポート体制も整っている青森県・弘前市。自分たちの町を愛してやまない津軽人たちと触れ合えば、きっとこの町が好きになることでしょう。現地を訪れてこそわかるその良さを体感してみませんか。

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画像2: 旅が暮らしに変わる。注目の「2地域居住」体験ツアー 青森・弘前市編

2つの街で暮らす新しい生活スタイル「2地域居住」をはじめる旅

2つの拠点をもつ新しいライフスタイル、2地域居住。地域担当者との橋渡しや下見ツアーのモデルコースをご紹介!

青森県 弘前市
http://www.city.hirosaki.aomori.jp/

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画像3: 旅が暮らしに変わる。注目の「2地域居住」体験ツアー 青森・弘前市編

旅が暮らしに変わる -2地域居住の魅力-

平日は都市部で仕事をし、週末は地方で豊かな自然に触れながら静かに暮らす。そんな魅力あふれる2地域居住を通じて、地域の魅力をお伝えします。

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