日本一広い面積を持つ県、岩手県。それゆえ、魅力が点在していてどのように観光したらいいかイメージがつかみづらいという方も多いかもしれません。そんなお悩みに応えるため、好みや興味関心に合わせて選びやすい「6つのテーマ」でめぐるモデルコースを用意しました。

この記事では、花巻を拠点に八幡平、盛岡、久慈といった岩手県の北側を中心とした3コースを紹介します。南側の3コースを案内する「発酵・アート・ローカルグルメ。3つのテーマでめぐる岩手の旅 ~南編~」と併せてご覧ください。

※新型コロナウイルスの感染状況などにより、各施設の営業日・営業時間は変動する可能性がございます

宮沢賢治の世界観にふれる。9000万年前から続く歴史・自然・ジオの旅

岩手県花巻市は、詩人で童話作家である宮沢賢治の故郷です。さまざまな分野への造詣が深く、作品中には鉱石や地層、宇宙になぞらえた独特の美しい描写が数多く登場します。「石っこ賢さん」と呼ばれた宮沢賢治の世界を追体験しながら壮大な歴史と圧倒的な自然を学ぶ、岩手ならではの「歴史・自然・ジオの旅」はいかがでしょう。

〈1日目〉

物語に引き込む宮沢賢治記念館の鉱石資料

画像: 宮沢賢治記念館 内部

宮沢賢治記念館 内部

「宮沢賢治記念館」は、岩手の空の玄関口・いわて花巻空港から10分ほど、JR新花巻駅からも近い小高い山の上にあります。記念館からは花巻の田園風景が一望でき、近くの宮沢賢治イーハトーブ館や宮沢賢治の設計を復元した南斜花壇とともに、賢治のいろはを知るにはぴったりのスポットです。

誰もが知る「雨ニモマケズ」「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」などの、文学作品の数々。それらが、地学・天文学・音楽などの知識をベースとする宮沢賢治のフィールドの広さと強烈な結びつきがあることを実感することでしょう。この岩手の旅にとても大きな意味をもたらすはずです。

宮沢賢治記念館

住所岩手県花巻市矢沢1-1-36
電話0198-31-2319
営業時間8:30~17:00
休館日12/28~1/1
webhttps://www.city.hanamaki.iwate.jp/miyazawakenji/kinenkan/

宿泊は岩手の奥座敷花巻温泉でゆったり

画像1: 花巻温泉

花巻温泉

宿泊は、花巻温泉へ。緑豊かな自然環境に囲まれた広さ5,000坪の敷地内にあるバラ園は、5月下旬から10月下旬には約450種6,000株を超えるバラが鮮やかな彩りをそえます。なかでも奥座敷「佳松園」は、洗面・内風呂付きが嬉しい、落ち着いた雰囲気の和室をはじめリビング付きの和室などもあり、いずれも広々とした空間が魅力。旅の疲れを癒し、語らいの時を楽しく演出します。

しっとりと滑らかな自家源泉でph9.0を誇る湯は、「美肌の湯」と称される高濃度アルカリ性。自然と一体化できるひのきの露天風呂に身を預け、明日からの旅へ期待感がますます膨らみます。

花巻温泉

住所岩手県花巻市湯本1-125
電話0198-37-2111
webhttps://www.hanamakionsen.co.jp/

〈2日目〉

大迫力の岩手山と荒涼とした熔岩流

画像: 焼走り熔岩流

焼走り熔岩流

花巻温泉を後にし、東北自動車道で一路北へ。国の天然記念物にも指定されている八幡平市の「焼走り熔岩流」に向かいます。そこは、宮沢賢治の作品『グスコーブドリの伝記』に登場する「火山局」を思わせる荒涼とした溶岩原が広がる世界。

岩手山はその昔「岩鷲山(いわわしやま/がんじゅさん)」とも称され、今日も「南部片富士」と人々に親しく呼ばれる奥羽山系の活火山です。江戸時代の噴火で、山の東側中腹から大量の熔岩が流れ出し、急激に冷えて固まったことにより、長さ3km最大幅1kmほどの独特の景観が形成されました。

晴天時には迫力ある岩手山を背景に素晴らしい景観を見せる一方、雲が低く立ちこめるような日は、なんだか異世界に誘われそうな錯覚に陥ってしまうミステリアスなスポット。展望台近くに設置された宮沢賢治の詩碑(「春と修羅」からの一節「鎔岩流」)とともに、大地のエネルギーを感じてみてください。

熔岩流のエリアから少し北側に入り込むと、牧歌的な風景の中にペンションやホテルなどが姿を見せ、景色はゆったりとした高原リゾートの佇まいへと変わります。

画像: FABIO

FABIO

この一帯では、岩手山から湧き出る清水を利用し、八幡平トラウトサーモン(ニジマス)の養殖が盛んに行われてきました。淡水の養殖魚であることから、臭みもなく、アニサキスの心配もないため、ぜひともお刺身で楽しみたい食材です。

当地の清水川養鱒場が経営する焼肉店「FABIO」では、ランチタイムにも「八幡平トラウトサーモン」の丼ぶりや「八幡平マッシュルーム」と合わせたカルパッチョなどが楽しめます。

焼肉FABIO

住所岩手県八幡平市松尾寄木第28-52
電話0195-78-8829
営業時間11:00~18:00/土日曜 11:00~20:30
定休⽇水曜
webhttps://www.facebook.com/焼肉fabio-ファビオ-682773888789977/
画像: 安比高原「中のまきば」1000年草原とブナ林

安比高原「中のまきば」1000年草原とブナ林

八幡平市ののどかな風景としてもう一つおすすめなのが、安比高原「中のまきば」です。安比といえばウィンタースポーツやゴルフなどアクティビティリゾートとして知られていますが、実は1000年続く芝の草原やブナ二次林などの景観と環境を後世に残すための取り組みが行われています。

中のまきばではススキによる草原の侵食を防ぐため、馬が放牧されています。初夏から秋にかけて行われ、6月には満開の色鮮やかなレンゲツツジとともに草をはむ馬たちの姿が見られます。

旅は北へ 一戸町で暮らしの営みを知る

画像: 旧朴舘家住宅

旧朴舘家住宅

八幡平市から一戸町の御所野縄文公園方面に向かう道中で立ち寄りたいのが、岩手県内最大級の茅葺き家屋「旧朴舘家住宅」。縄文時代と現代をつなぐタイムトラベルの一つ目の入り口です。あまりの大きさに写真に収めるのもひと苦労。江戸時代末期創建といわれる建物で、大きな屋根の下に入ってみると梁も柱も桁違いに大きく、なおさら建物の規模に驚きます。

画像: 根反の大珪化木

根反の大珪化木

珪化木(けいかぼく)は、樹木が長い時間をかけて石になった、いわば木の化石です。宮沢賢治の童話『ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記』にも「瑪瑙(めのう)木(珪化木)」が登場します。

根反(ねそり)の大珪化木は約1700万年前の噴火泥流により地中に埋没し、時を経て再び姿を現したもの。御所野の縄文人たちも、根反川沿いに豊富に見られた珪化木を道具作りの材料に使っていたそうです。

縄文人が豊かに暮らすことができた背景にふれ、「御所野縄文公園・御所野縄文博物館」へと旅を続けましょう。

画像: 御所野縄文公園・御所野縄文博物館

御所野縄文公園・御所野縄文博物館

2021年、「北海道・北東北の縄文遺跡群」としてユネスコの世界文化遺産に登録された御所野縄文遺跡は縄文時代中期の大規模な集落跡です。「きききのつりはし」を通り、縄文の森に囲まれた谷を越えてエントランスに向かううちに、気持ちは縄文時代へと入り込んでいきます。

公園内には、土屋根の竪穴建物がムラごと復元され、緑に覆われた建物が目に飛び込んできます。そして、鳥たちのさえずりや川のせせらぎを耳にした瞬間、太古の時代にも確かに幸福感に満ちた暮らしの営みがあったことを感じることでしょう。

画像: 御所野縄文公園・御所野縄文博物館(竪穴建物内)

御所野縄文公園・御所野縄文博物館(竪穴建物内)

公園内の博物館では、実際に遺跡から出土した土器や石器、竪穴建物の構造などについて詳しく紹介されています。植物や自然をモチーフにしたといわれている縄文土器は第一級の芸術作品としても価値があり、時には祭礼に使われ、時には機能性のある生活用具として活躍したと考えられるものです。

こうした縄文時代の文化に触れられる体験としては、土器作りや勾玉作り、樹皮ストラップ作りなどがあります。体験アクティビティで縄文人になりきるも良し。ミュージアムショップでかわいらしい縄文グッズを手にするも良し。遠い遠い縄文時代がぐっと近くなる。そんなひとときを過ごしてみませんか。

御所野縄文公園・御所野縄文博物館

住所岩手県二戸郡一戸町岩舘字御所野2
電話0195-32-2652
営業時間9:00~17:00
休館⽇月曜(ただし月曜日が祝日の場合、その翌日)・祝日の翌日(土日をのぞく)・年末年始
webhttps://goshono-iseki.com/index.html

金田一温泉

2泊目のおすすめは二戸市の金田一温泉。昭和レトロな旅館や座敷わらしの伝説が残る旅館緑風荘・亀麿神社などが並びます。2022年3月にはプールやサウナ、宿泊施設を備えた新施設「カダルテラス金田一」がオープンしました。

二戸市は岩手県北エリア随一のりんごの産地としても有名で、近くには観光りんご園もあります。アルカリ単純泉と疲れを癒すりんご、そして座敷わらしのパワーをいただいて、旅は続きます。

〈3日目〉

久慈琥珀博物館で太古の昔へタイムスリップ

画像1: 久慈琥珀博物館・琥珀採掘体験

久慈琥珀博物館・琥珀採掘体験

金田一温泉から、久慈渓流沿いに東へ進み、旅はいよいよ久慈市へ。時代は9000万年前、恐竜の時代まで遡ります。

久慈産の琥珀の歴史は非常に古く、大和朝廷にまで運びこまれていたとされます。琥珀もまた、太古の昔の樹木に由来する化石で樹液が変化してできたもので、時には昆虫や植物、鳥の羽毛などが閉じ込められたまま採掘されることもあり、高価なアクセサリーとして珍重されるだけでなく、学術的にも貴重な資料として研究者の注目を集めています。

古代ギリシャ神話では「太陽の石」といわれる琥珀。宮沢賢治は作品中、実に37カ所も「琥珀」の表現を用いていたそうです。『銀河鉄道の夜』『オッベルと象』などに見られる琥珀の輝き。その魅力は鉱石や鉱物、地質学を知り尽くした賢治にとっても特別な存在だったに違いありません。

久慈琥珀博物館・琥珀採掘体験

「久慈琥珀博物館」では、琥珀の謎を解明しながら、その美しさの秘密を詳しく紹介しています。また、博物館の敷地内では、60分の琥珀採掘体験も行っています。こちらは9000万年前の古い地層から自ら採掘できるとあって、子どもから大人まで人気のプログラム。もしかしたら古代の虫が入った琥珀が見つかるかも! 世紀の新発見があるかも! そんな夢とロマンがいっぱいの楽しい時間をぜひお過ごしください。

久慈琥珀博物館・琥珀採掘体験

住所岩手県久慈市小久慈町19-156-133
電話0194-59-3821
営業時間9:00~17:00(入館16:30まで)
休館⽇年末年始・2月末
webhttp://www.kuji.co.jp/
画像: つりがね洞 小袖海岸

つりがね洞 小袖海岸

久慈の市街地を抜け、花巻からの旅はいよいよ太平洋へ。久慈といえばやはりNHKの朝ドラ『あまちゃん』を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

ロケ地でもある小袖海岸の海女センターでは北限の海女について詳しく紹介しています。また、途中の海岸線にはつりがね洞もあり、絶好のフォトスポットとなっています。

画像: マリンローズパーク野田玉川

マリンローズパーク野田玉川

せっかくここまで来たら、「マリンローズパーク野田玉川」へも足を運んでみてください。ここは宮沢賢治が生きた時代には非常に貴重な鉱物資源だったマンガンを採掘していた国内有数の鉱山跡地で、現在は観光坑道として営業しています。

時代とともにマンガンは活用されなくなりましたが、当時はマンガンとともに採掘されながら価値が低かったバラ輝石(ローズパール)が現在は価値が見直され、アクセサリーなどに使われています。そして、やはりバラ輝石も賢治の作品に登場しています。坑道内には鉱物標本も多く展示され、地質マニア、ジオ好きの方にはぜひ一度見学してもらいたい施設です。

マリンローズパーク野田玉川

住所岩手県九戸郡野田村大字玉川5-104-13
電話0194-66-7200(てしごと屋 マリンローズパーク野田玉川店)
営業時間4月~10月 9:30~17:00(最終入館16:00)
11月~3月 9:30~16:00(最終入館15:00)
webhttps://www.jplan-iwate.com/
画像: 普代浜

普代浜

花巻温泉から「石っこ賢さん」とともにたどった岩手の歴史と自然とジオの旅は、ほんの一部。リアス式海岸の景勝地が多い南へ向かったり、北上山系のなだらかな高原地帯へ向かったり、あるいは八戸方面へ北上したり、このあともさまざまなルートが楽しめます。

普代浜ののどかな景色を眺め、海産物などのお買い物を楽しみながら、旅を続けてみてはいかがでしょうか。

岩手を楽しむオンラインツアー実施中

「宮沢賢治」「酒と食」「工芸」という3テーマを切り口に岩手県をめぐるモデルコース。その充実した旅程を見て、旅気分が高まったのではないでしょうか。

復興庁では今、岩手観光の支援事業を行っています。その一環として復興庁がおすすめする観光コースがオンラインで紹介されていますので、ぜひ参加してみてください。

岩手を楽しむオンラインツアー
次回は、2022年5月以降に開催予定。内容・日時が決まり次第復興庁webサイトなどで告知されます。

※2022年5月12日に一部内容を更新しました

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