秋田県南に位置する湯沢市は、火山にまつわる見どころがたくさんあります。その一つとして火山の恵みを受けた豊かな湯量を誇る温泉が数多く存在しています。源泉が流れ込んだ美しい渓谷から湯気が立ち上り、すぐそばには火山岩に覆われた雄大な火山の景色が広がっています。
ここは、人里離れた静かな環境で、大自然の活力を感じられる場所。自然からのエネルギーを身体いっぱいに受け取る旅に出かけてみました。
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火山が育んだ絶景に息をのむ。秋田の自然をめぐる旅 -県南・湯沢編-

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秋田空港から車で1時間ほど。内陸に深く進んでいくと、栗駒山がある一帯に辿り着きます。ここは、今も地下深くに溶岩がたぎる火山地帯、湯沢。温泉もさることながら、火山が生み出した景勝地も見どころです。他に類を見ない絶景が広がる「川原毛地獄」と「小安峡」の魅力を、ゆざわジオパークガイドのお2人に教えていただきました。

火山が形成した、この世のものとは思えない不思議な景観の山「川原毛地獄」

画像: 火山が形成した、この世のものとは思えない不思議な景観の山「川原毛地獄」

眼下に広がるゴツゴツとした不毛な山肌はまるで雪景色のようですが、実は灰白色の火山岩なのです。

「もともとは高松岳のマグマが流れ出て形成された山です。蒸気とともに吹き出す硫黄ガスによる白化現象で、白い山肌になったのです」

そう教えてくれたのは、ゆざわジオパークガイドの三浦敏男さん。

ここは、この世のものとは思えない景観から「川原毛地獄(かわらげじごく)」と呼ばれる場所だそうで、今でもガスが勢いよく吹き出しています。その迫力に、思わず息を吞みます。

一種異様な空間ではありますが、これも自然の営み。雄大な森の木々と双璧を成すような川原毛地獄は、表情豊かな秋田の魅力のひとつです。

標高800mの山頂にある入り口からの道は、トレッキングコースのように整備されています。「染谷地獄」「祭門地獄」などの名前がつけられた硫黄の噴出口や、印象的な地形の場所を下っていきます。

足元に転がる大小の石に足を取られないよう、一歩ずつゆっくり歩いていると、木々や高山植物の凜とした姿に気づきます。こんな極限の環境の中でも力強く根を張っている自然のたくましさを感じました。

霊験あらたかなパワースポットでもあり、知る人ぞ知る秘湯という側面も

中の沢と呼ばれる巨大なくぼみを右手に望んで歩いていると、左手に小高くなった小さな峰が見えてきました。ここには腕の先ほどの小ぶりなお地蔵さまが並んでいます。
  
「この場所は浄土長嶺(じょうどながみね)と呼ばれている、地獄のなかの極楽です。今から1200年前に天台宗の僧・月窓和尚が建てたといわれるお地蔵さまの坐像が今も残っています」

画像: ゆざわジオパークガイド 三浦敏男さん

ゆざわジオパークガイド 三浦敏男さん

画像: 霊験あらたかなパワースポットでもあり、知る人ぞ知る秘湯という側面も

浄土長嶺からさらに15分ほど下ると、中腹に「川原毛大菩薩像」という高さ10mのお地蔵さまが見えてきます。

「三途の河原でさまよう水子の霊を救うお地蔵さんなんです。月窓和尚さんが住んで修行されていた霊通山前湯寺という庵の跡地に、平成元年に建立されました。硫黄鉱山で亡くなった人々を供養する法要が毎年営まれています。

この場所では、良質な硫黄が採れることから江戸時代から鉱山として栄えました。またここには施餓鬼台という場所があり、かつて毎年お盆に施餓鬼踊りを踊っていました。これが盆踊りの発祥になったという説もあるんですよ」

画像: 大湯滝の源泉

大湯滝の源泉

菩薩像の傍らの渓流には、強酸性の源泉が湧き出ています。沢水と混ざり合った下流には、滝そのものが温泉という全国でも珍しい滝の湯、「川原毛大湯滝」があります。約20mの高の滝があり、そこから温水が流れ落ちる様は圧巻のひと言。

通常、5月下旬〜10月いっぱいは、大湯滝のすぐそばまで近づくことができます(11月〜5月上旬は積雪のため通行止め)。夏場には滝つぼから渓流まですべて露天風呂として入湯でき、地元の人に親しまれているのだとか。季節が変わったら、もう一度来たくなる場所です。

※入浴適期は7月上旬から9月中旬です。 シーズン中は簡易脱衣所が設置されていますので、入浴の際は水着を着用してください。

悠久のときをかけて水が温泉を掘り当てた、小安峡の「大噴湯」

画像1: 悠久のときをかけて水が温泉を掘り当てた、小安峡の「大噴湯」

川原毛地獄と並んでこの土地で見逃せない絶景スポットが、「小安峡」です。北日本有数の景勝地として知られる小安峡の見どころは、木々が深く生い茂る山だけではありません。皆瀬川の急流が何万年の長きにわたって両岸を深く浸食してできた小安峡谷の絶景「大噴湯(だいふんとう)」へ向かいます。

画像2: 悠久のときをかけて水が温泉を掘り当てた、小安峡の「大噴湯」
画像: ゆざわジオパークガイド 吉田昌平さん(右)

ゆざわジオパークガイド 吉田昌平さん(右)

「小安峡は700万年前のカルデラ湖が隆起してできた場所です。長年にわたって川が浸食してできたのですが、温泉のケイ素成分で硬く変質した岩盤で浸食が止まったんですよ」

こう教えてくれたのは、ゆざわジオパークガイドの吉田昌平さん。案内にしたがって遊歩道を進み、岩づたいに約400段の階段を降りていくと、ごうごうとうなりを上げて蒸気とお湯が噴き出す岩場がありました。これが「大噴湯」と呼ばれる、小安峡を代表する名所のひとつです。

「急流が地層を削って、温泉が流れる岩盤層を掘り抜いたことで、横の岩肌から熱湯が噴き出しているんです」

画像3: 悠久のときをかけて水が温泉を掘り当てた、小安峡の「大噴湯」

斜面からお湯が噴き出す源泉は珍しいのだそうです。頭上には真っ赤な河原湯橋を望みます。たちのぼる湯気と夕日とのコントラストは、息を吞む絶景。10月中旬〜11月上旬の紅葉の時期が一番の見頃なのだそう。耳に心地いい源泉と水流のストリングスに、しばし心を委ねて下さい。

ゆざわジオパークガイド

電話0183-56-6226(湯沢駅観光案内所内)
料金ガイド1人につき1,000円/1時間(要予約)
webhttp://www.yuzawageopark.com/

湯沢の自然と一緒に楽しみたいスポット

地熱による長期低温殺菌で生乳の風味を残す「牛乳やさん」のソフトクリーム

画像1: 地熱による長期低温殺菌で生乳の風味を残す「牛乳やさん」のソフトクリーム

名所をめぐった後は、この土地ならではの爽やかなスイーツを食べてひと休み。小安峡からすぐの場所にある栗駒フーズ直売店では、ミルクの風味をしっかり残したヨーグルトやソフトクリームが人気です。温泉の地熱を利用して生乳を長時間殺菌加工することで、風味豊かな味になるのだとか。

画像2: 地熱による長期低温殺菌で生乳の風味を残す「牛乳やさん」のソフトクリーム

ソフトクリーム(350円・税込)には近くの牧場で搾った自社の生乳だけが使用されていて、安定剤、乳化剤、香料といった添加物は一切使われていません。濃厚なコクがありながら、後味がスッキリしていてフレッシュそのものです。

栗駒フーズ 工場直売店

住所秋田県湯沢市皆瀬字桂沢81-1
電話0183-47-5859
営業時間9:00~17:00
webhttp://www.kurikoma.co.jp/index.html

泉質と地元の食材を堪能する温泉宿「旅館 多郎兵衛」

さて、旅の締めくくりはやはり温泉に入りたいところ。湯沢には「泥湯温泉」「秋の宮温泉」などのいで湯がいくつもあります。そのうちの一つ、「小安峡温泉」にある「旅館 多郎兵衛」は趣きの異なる4つの温泉を有する、落ち着いた佇まいの温泉旅館です。

画像: 泉質と地元の食材を堪能する温泉宿「旅館 多郎兵衛」

大浴場の「薬師の湯」には樹齢100年の秋田杉の梁が使われているそう。筋肉痛や関節痛にも効能があるというお湯に、歩き疲れた身体が癒されます。

食事も絶品で、女将が腕を振るって地元の食材で手づくりしてくれます。秋田の方言とすばらしい泉質、地元の食材に舌鼓を打ちながら、旅の一日をゆっくり振り返ります。

旅館 多郎兵衛

住所田県湯沢市皆瀬字湯元121-5
電話0183-47-5016
webhttp://www.tarobee.com/

湯巡りと火山巡りにはぜひ「こまちシャトル」を

画像10: 火山が育んだ絶景に息をのむ。秋田の自然をめぐる旅 -県南・湯沢編-

ご紹介したスポットはどれも山の奥地にあり、かつては車がないと行くことが難しい場所でした。現在は、湯沢駅と各温泉地を繋ぐタクシーを使った乗り合い交通サービス「こまちシャトル」を利用することができます。

こまちシャトルを使えば、2019年5月にリニューアルした、原画所蔵数日本一を誇る「増田まんが美術館」と、内蔵が現存する国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「増田の町並み」にも気軽に足を運べるので旅のバリュエーションが広がります。

こまちシャトル(湯沢市産業振興部 観光・ジオパーク推進課)

利用可能時間:月〜金 8:30〜17:15
電話:0183-55-8180
web:https://komachi-shuttle.com/

秋田県南は四季折々に美しく、力強い場所です

画像: 秋田県南は四季折々に美しく、力強い場所です

火山による恵みを存分に感じた、秋田県南の自然を巡る旅。もちろん、四季折々の魅力も備わっています。秋が深まれば木々は赤く色づき、一面の紅葉が訪れる人を出迎えてくれます。雪深い季節には、凜とした趣が待っています。
ここで過ごす時間は、大地が溶岩の力を蓄えるように、訪れる人に活力を与えてくれるのです。

■秋田の自然をめぐる旅 -県北・藤里編-

■秋田の自然をめぐる旅 -県央・男鹿編-

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