新潟には、芸妓(げいぎ)の文化が残ります。祇園、新橋、金沢などと並び称された約200年の歴史を誇る「古町芸妓」は、新潟の大きな魅力のひとつです。観光PR活動を行う第12代「にいがた観光親善大使」をつとめる風間仁華(かざまにか)さんと市野瀬衿花(いちのせえりか)さんとともに、芸妓文化が色濃く残る花街の旅に出かけました。
画像: (手前から)第12代「にいがた観光親善大使」の風間仁華さん、市野瀬衿花さん

(手前から)第12代「にいがた観光親善大使」の風間仁華さん、市野瀬衿花さん

※撮影時のみマスクを外しております

薄曇りの新潟市に降り立つと、吐く息は白く、木枯らしに揺れる街路樹のざわめきに冬の足音を感じます。先だって新米の季節を迎え、新酒が出揃う頃合いに訪れたとあらば、食の魅力を感じてしまいますが、伝統文化に親しんでみるのも素晴らしい旅になることでしょう。新潟市には江戸時代から栄えた「古町芸妓」があり、お座敷遊びのみならず、芸妓さんとふれあえる施設があるのです。

画像1: 提供:公益財団法人 新潟観光コンベンション協会

提供:公益財団法人 新潟観光コンベンション協会

芸妓(げいぎ)さんとはお座敷における歓待のプロ。芸者さんや舞妓さんと同義です。現在は30人ほどいらっしゃって、着ている着物によって若手芸妓を「振袖(ふりそで)さん」、ある程度経験を積んだら「留袖(とめそで)さん」と呼ぶそうです。これは新潟ならではの呼び方なのだとか。

芸妓さんに出会えるかもしれない歴史ある繁華街「古町通り」

画像: 芸妓さんに出会えるかもしれない歴史ある繁華街「古町通り」

新潟駅から萬代橋を越えて10分ほど歩くと、信濃川と日本海の中間に横たわるようにアーケード街が。その隙間を縫うように風情ある街並みが姿を現します。

ここは「古町」。その名の通り、古くからの繁華街です。かつては花街として栄えたとされますが、今もその面影を色濃く残すことがおわかりいただけるはずです。街の歴史を見守ってきた老舗がある一方、近年は新しいコンセプトのお店も生まれており、そのコントラストは街歩きを豊かな時間にしてくれるはずです。

街歩きをすれば、もしかしたら華やかな出で立ちの芸妓さんの姿を見ることができるかもしれません。

古町通り

住所新潟県新潟市中央区古町通

「新潟古町まちみなと情報館」を、街歩きの拠点に

街歩きの拠点には、古町の情報発信の場である「新潟古町まちみなと情報館」を利用しましょう。歴史と魅力をわかりやすく伝えるコンセプトの同館に立ち寄れば、旅にアカデミックな魅力を与えてくれるはずです。

また2階は「要」という多目的スペースになっており、音楽イベントやシンポジウムなどに利用されているのだとか。さらに農産物直売所「わくわくマルシェ」を併設。お買い物も楽しめます。

新潟古町まちみなと情報館

住所新潟県新潟市中央区古町通七番町995番地7
電話025-378-4101
営業時間10:00~17:00、わくわくマルシェは10:00~19:00
定休日水曜・年末年始・ほか不定休、わくわくマルシェは年中無休
webhttps://machiminato.jp

約300年の歴史を誇る料亭「日本料理 行形亭」

画像: 約300年の歴史を誇る料亭「日本料理 行形亭」

花街に芸妓さんと来れば、料亭は欠かせません。

舟が物流の中心だった時代、日本海に面し、信濃川と阿賀野川を有する新潟は要所として栄えました。新田開発も盛んに行われ、多くの人が往来したのです。そして商談の場として、料亭で料理と芸妓の宴を楽しむようになりました。

新潟の芸妓文化において、料亭では一見さんお断りという堅苦しさはありません。誰もが気軽にもてなされる文化であり、それは今も健在です。

江戸時代中期に創業し、約300年の歴史を誇る「日本料理 行形亭(いきなりや)」は、老舗の料亭のひとつです。樹齢数百年を数える黒松が生える2,000坪もの広大な庭園のそこかしこに、大小さまざまな個室が用意され、圧巻の140畳敷きという大広間も。四季折々の料理と景色が楽しめます。

芸妓さんは、1時間ひとりにつき12,000円ほどで招くことができます。8人集まれば2時間付けても割り勘で3,000円。「樽拳(たるけん)」「行事拳(ぎょうじけん)」などといった負けると罰ゲームで杯を飲み干す手遊びをしたり、芸妓さんの舞を楽しんだりといったフルセットのお座敷遊びのための費用は、他の地域に比べて比較的リーズナブルなのだとか。お客さまに楽しんでいただくことを最優先とするプロですから、雅な料亭のおもてなしとあわせて、満足度は折り紙付きです。

日本料理 行形亭(いきなりや)

住所新潟市中央区西大畑町573
電話025-223-1188
営業時間11:30~14:00、17:00~21:30
定休日日曜・祝日
webhttps://www.ikinariya.co.jp

「古町柳都カフェ」なら、気軽に芸妓さんとふれあえます

画像1: 「古町柳都カフェ」なら、気軽に芸妓さんとふれあえます

新潟なら、料亭で芸妓さんを呼ばなくても会う方法があります。「古町柳都カフェ」では芸妓さんが接客を行っており、お茶をしながらふれあいを楽しむことができるのです。芸妓さんは午前中に稽古をし、夜からのお座敷というのが日々のサイクル。午後の時間を有効に活用した新しい試みとして、待合の一角をカフェにしたのだとか。

廊下を挟んで坪庭を望む座敷がカフェスペース。抹茶セット(800円)、雪室珈琲(600円)、紅茶(600円)のいずれかを頼めば、芸妓さんが給仕をしてくれます。また、毎週土曜日の13時からは芸妓さん2名による舞の披露も楽しめます(2日前までに要予約。おひとりさま1,000円)。

画像2: 「古町柳都カフェ」なら、気軽に芸妓さんとふれあえます

「菊と栗のお干菓子をご用意しました」と、きれいな所作で出してくれたのが、ひろ佳さん。新潟出身の3年目になる振袖さんです。お話しすることもでき、芸妓さんのことについて教えてくれます。風間さんと市野瀬さんが「なぜこの道に?」と訪ねました。

画像3: 「古町柳都カフェ」なら、気軽に芸妓さんとふれあえます

「大学を出てから芸妓になりました。在学中は英語を専攻していて、留学したときに現地の人が、新潟をほめてくれたんです。そこで新潟のことをあまり詳しくないことが悔しくて。同年代の女の子が輝いていることに驚いて、私もなりたいと思ってこの世界に入りました。着物は1.5〜2kgくらいの重さがあって、最初は慣れませんでした。留袖さんが着ているものはもっと重いんですよ」

画像4: 「古町柳都カフェ」なら、気軽に芸妓さんとふれあえます

すっかり和やかにしてくれるのは、さすがプロの話術。と同時に、一般企業と同じように選べる職業だという事実に驚かされるのも、新潟ならでは。かつて減少傾向にあった人材確保のために、地元経済界が一念発起して事業化。芸妓さんを“魅力ある職業”に押し上げたのだとか。花街の主役とふれあうからこその感動に出合えます。

古町柳都カフェ

住所新潟市中央区古町通九番町1462
電話025-222-2237
営業時間13:00~15:00
定休日日曜
webhttps://furumachi-sangyou.jp/cafe/

世界的に評価される蔵元「今代司酒造」で、大人の酒蔵見学

画像1: 世界的に評価される蔵元「今代司酒造」で、大人の酒蔵見学

料亭で饗されるお酒は、やはり酒どころ新潟のものが好まれます。「今代司酒造(いまよつかさしゅぞう)」はさかのぼると250年以上の歴史を誇る老舗の酒蔵ですが、観光客向けに広く門戸が開かれていることが魅力のひとつです。気軽に訪れることができ、酒蔵の見学もできます。120年の歴史を誇る建物は近年リノベーションされ、明るくモダンな内装が出迎えますが、その奥には昔ながらの酒蔵施設が続きます。

「10月後半から酒造りが始まります。浸水させたお米を蒸したものに麹菌をふりかけ、温度管理をして『麹米』を造っていきます」と、作り方を丁寧に教えてくれたのが広報の中島恵美子さん。醸造アルコールを添加しない純米酒だけを造る酒蔵は、全国的にも珍しいもの。真摯で斬新なアプローチは世界的にも評価が高いのだとか。

画像2: 世界的に評価される蔵元「今代司酒造」で、大人の酒蔵見学

酒蔵のエントランスには物販スペースがありますが、ユニークなのは「日本酒ブティック」と銘打っていること。ワークショップなど多目的に活用できるそうです。酒蔵見学のあとはテイスティング(甘酒2種と季節のお酒1種は無料。全種試飲できるプレミアムは1,000円)を楽しんでみましょう。

試しにひとくち。ノンアルコール甘酒を選んだ未成年の市野瀬さんは「すごく甘くて、お米の優しい味がして飲みやすい! ツブ感も楽しいですね」と絶賛。お酒を覚え始めたという風間さんは、大吟醸のお酒を選択。「スッキリしていて飲みやすいです。のどごしもよくて好みです」と気に入ったご様子。

芸妓文化を楽しむ旅のお土産なら「花柳界 甘口 純米吟醸」(300ml 770円~)はいかがでしょう。日本酒が苦手な方も楽しめるライトなお酒。口に含むと鮮やかな甘みが広がります。カクテルベースとしても人気だとか。

今代司酒造

住所新潟県新潟市中央区鏡が岡1番1号
電話025-245-0325
営業時間平日13:00~17:00、土日祝9:00~17:00
定休日年中無休(年末年始除く)
webhttp://imayotsukasa.co.jp

贅を尽くした質実剛健。「旧小澤家住宅」が伝える町屋の佇まい

画像: 贅を尽くした質実剛健。「旧小澤家住宅」が伝える町屋の佇まい

本州と北海道を結ぶ流通網として盛んに往来していた北前船の拠点のひとつが、港町・新潟です。商業都市には名家あり。小澤家は、明治期以降に回船業・回船問屋業を営んで急成長を遂げました。今も残るその屋敷からは、商家の歴史を垣間見ることができます。

町並みに調和するようにつつましく仕立てられた外装から一歩なかに足を踏み入れると、上質な木材を贅沢に使った豪華な日本建築だとわかります。新潟町屋の代表的な様式で作られており、高さのある天井で明るさと快適性を保っていたのだとか。柔らかな光が差し込む座敷(新座敷)は、すべて柾目の銘木ばかり。これらは応接に用いられたものです。

台所の奥にはいくつもの蔵があり、明治13年に起きた大火事にも耐えたのだと伝わります。ほかにもいくつもの部屋が連なります。

松島の借景を模した庭には、全国各地から集められた無数の庭石や石灯籠、よく手入れをされた見事な松がバランスよく配置され、美しい佇まいに情緒が香ります。

旧小澤家住宅

住所新潟市中央区上大川前通12番町2733番地
電話025-222-0300
営業時間9:30~17:00
定休日月曜(休日の場合は翌日)、休日の翌日(土・日の場合は火曜日)、年末年始(12月28日から翌年1月3日まで)など
入館料一般200円、小中学生100円
webhttp://www.nchm.jp/ozawake/

カステラがオススメの老舗菓子店「はり糸」

画像: カステラがオススメの老舗菓子店「はり糸」

甘いものをお求めなら、古くから新潟市民と芸妓さんに愛されるこちらへどうぞ。「はり糸」の名前の由来は、播磨屋の糸蔵さんが始めたことからだとか。創業は明治6年。新潟で初めてカステラを提供した老舗は、ひっきりなしにお客さんが訪れる地元の人気店です。工房を併設しており、ほのかに甘い香りが漂います。

なかでも「地酒カステラ」(1,100円)は1本におちょこ5杯分も日本酒が入っているのだそう。濃厚そのもので、お酒好きへのお土産にもきっと喜ばれるはず。

またプレーンな「カステラ」(850円)も外せません。新鮮な卵を軽やかに焼き上げていて、しっとりとした生地の質感は実にシンプルでごまかしが利きません。上質さと奥ゆかしさを感じられ、全国のカステラコンクールで最優秀賞を獲得し、看板商品になったことにも納得です。

はり糸

住所新潟市中央区古町通5番町618
電話025-228-4471
営業時間9:30~18:30
定休日年中無休
webhttp://ful-5.net/hariito/

「鈴木コーヒー」のオリジナルブレンド「新潟古町芸妓」

画像1: 「鈴木コーヒー」のオリジナルブレンド「新潟古町芸妓」

もう少しお土産を買い足したいなら、新潟の人気コーヒーブランド「鈴木コーヒー」のギフトを。今回の旅でぜひ見つけていただきたいのが、「新潟古町芸妓」というブレンド。

画像2: 「鈴木コーヒー」のオリジナルブレンド「新潟古町芸妓」

エチオピア産のなかでも幻のコーヒーとも呼ばれる、その名も「ゲイシャ」という豆を使い、フルーティで華やかな風味が特徴です。注目すべきは、いずれも古町芸妓さん自らがブレンドしたということ。コクと深みのある「とめそでさん」を選ぶか、少し酸味を感じる爽やかな「ふりそでさん」(各200円)を選ぶか、お好みでどうぞ。旅の思い出にも、誰かへのお土産にもぴったりな商品です。

NIIGATA COFFEE DONYA BAY STANDARD

住所新潟県新潟市中央区万代島2-8(ピアBandai内)
電話025-244-7500
営業時間10:00~18:30
※冬季(1~3月・平日)は10:00~18:00
定休日不定休
webhttps://suzukicoffee.co.jp

UNLIMITED by SUZUKI COFFEE

住所新潟県新潟市中央区八千代1丁目6-1 新潟伊勢丹地下1階
電話025-384-8861
営業時間新潟伊勢丹に準ずる
定休日新潟伊勢丹に準ずる
webhttps://suzukicoffee.co.jp

誰もが伝統のおもてなしを受けられる、気さくな街

画像2: 提供:公益財団法人 新潟観光コンベンション協会

提供:公益財団法人 新潟観光コンベンション協会

新潟は料亭を中心とした芸妓の文化が今も残ります。庭園を含めた多くの“和の総合芸術”が現役で存在しているのです。

また日本海に面し、米どころ、酒どころとしても知られる食の魅力も欠かせない文脈。交通の要衝として旬のものは当たり前のように揃い、料亭で会席として育まれたのです。そして花街はこれらの文化の一大集積地。一見さんにも寛容なところが、新潟の懐の深さといえるでしょう。気軽に楽しめる体験でありながら、得られる感動はことのほか大きなものにちがいありません。

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