沖縄の中でも、特に自然がいっぱいの北部エリア。映画『糸』のロケ地にもなった「備瀬のフクギ並木」や、オーシャンビューのハンモックカフェなど、オープンエアーなスポットが揃っています。例年なら多くの人が訪れる人気の場所も、コロナ禍で大きな影響を受けました。緊急事態宣言が解除され、過ごしやすい季節となった9月はどんな状況だったのでしょうか。全国の観光地を応援する取り組みをしている情報誌「Harumari TOKYO( https://harumari.tokyo/ )」の協力の下、沖縄本島北部の「今」をお伝えします。
画像1: 穏やかな秋風の季節には沖縄本島北部へ。コロナ禍でも営業を続ける各地の取り組みをレポート

静かな時間が流れる「備瀬のフクギ並木」

画像: 静かな時間が流れる「備瀬のフクギ並木」

本部町の北東部、備瀬(びせ)集落にある「備瀬のフクギ並木」。ここには約2万本ものフクギが立ち並び、防風・防潮の役目を果たしています。キラキラと木漏れ日が差し込む緑のトンネルでは、レンタサイクルや水牛車による並木ツアーを楽しむことができます。

実はこちら、映画『糸』(配給:東宝)のロケ地にもなった場所。ますます知名度がアップした、沖縄本島北部を代表するスポットのひとつです。

取材をしたのは9月11日の10時頃。平日だったからか、並木を歩く人は3~4組ほどと、それほど多くはありませんでした。フクギ並木の通りに住む地元の女性に話を伺うと、「いつもなら、午前中から家族連れとか訪れる人をたくさん見るけど、まだ観光客は戻ってきてないねぇ」とのこと。

さらに、「落ちた実が多くて、毎日の掃き掃除が欠かせない」とも。というのも、フクギ並木はこの時期になるとコウモリがやってきて、フクギの実を食べにくるのです。コロナで慌ただしい中でも、季節が巡っているのを感じた瞬間でした。

備瀬のフクギ並木

住所沖縄県国頭郡本部町字備瀬389
webhttps://www.motobu-ka.com/tourist_info/tourist_info-post-687/

全国ナンバーワンの道の駅、「許田」の今

画像1: 全国ナンバーワンの道の駅、「許田」の今

那覇市内から沖縄自動車道経由で約1時間、終点の許田インターチェンジからすぐの場所にあるのが、道の駅「許田(きょだ)」。

1994年に沖縄県初の道の駅としてオープン以来、旅行情報サイトの全国道の駅ランキングで2020年を含め何度もナンバーワンを獲得している、大人気の道の駅です。

人気の理由は豊富な土産物。お菓子などの加工品だけでなく、生産者直送の農産物も充実しているのです。沖縄本島北部や周辺離島で採れる新鮮な南国フルーツや野菜は、旅の記念にもぴったりで、購入する人も多いといいます。

画像2: 全国ナンバーワンの道の駅、「許田」の今

取材日は施設の改修中でしたが、駐車場にはレンタカーが多く見られ、賑わいも戻っているように思えました。とはいえ、スタッフの渡具知夏也さんは、売り上げはまだ例年の3~4割ほどしか戻っていないと話します。

「観光客が多い施設なので、どうしてもその影響は大きかったのですが、最近では地元の方の姿も多く見かけるようになりました。『商品を購入することで生産者の方たちを救いたい』という思いがあるのかもしれませんね」(渡具知さん)

現在は、お客さんへのマスク着用のお願いのほか、消毒液やビニールカーテンの設置といった、基本的な感染防止対策をして営業中の同店。状況が落ち着いたらまた多くの観光客に来てもらえるようにと、InstagramやFacebookなど、SNSでの情報発信も積極的に行っています。

「お客さまに来ていただいてこその私たちだと思います。観光の方はもちろんですが、地元の人に恩返しできるようにがんばっていきたいですね」(渡具知さん)

お土産選びは旅の醍醐味の一つ。これから沖縄に行く際には、「道の駅 許田」で沖縄の大自然で育ったフルーツや野菜を購入してみてはいかがでしょうか。

道の駅「許田」やんばる物産センター

住所沖縄県名護市許田17-1
電話0980-54-0880
営業時間8:30~19:00
webhttps://www.yanbaru-b.co.jp/

恋のパワースポット「ティーヌ浜」には、多くの若者が

画像1: 恋のパワースポット「ティーヌ浜」には、多くの若者が

今帰仁村・古宇利島にある小さなビーチ「ティーヌ浜」。JALのCMロケ地として、一躍有名となった場所です。

画像2: 恋のパワースポット「ティーヌ浜」には、多くの若者が

古宇利島はアダムとイブのエピソードにも似た恋島(くいじま)伝説が残ることから“恋の島”とも呼ばれていますが、恋愛のパワースポットとして知られるようになった理由が、こちらのハート岩。長年の波の浸食で形作られた2つの岩を重ねるとハートの形に見えることから、恋人たちの人気を集めています。

画像3: 恋のパワースポット「ティーヌ浜」には、多くの若者が

取材した日は平日の昼過ぎでしたが、若者を中心に観光客の姿が多く見られ、ティーヌ浜へと向かう小道もスムーズに歩けないほど。

以前と比べればその数は少ないのですが、オープンエアが推奨される今、この場所を選ぶ人は多いのでしょう。コロナ禍で停滞した気持ちを高めるという意味でも、パワースポットとされるこの場所は、最適な観光スポットなのかもしれません。

ティーヌ浜

住所沖縄県今帰仁村古宇利

テイクアウトで地元ファンが増加中。ハンモックの店「ガジュマルロック」

画像1: テイクアウトで地元ファンが増加中。ハンモックの店「ガジュマルロック」

沖縄本島北部の今帰仁村から橋で渡れる離島、古宇利島。この島にある「ガジュマルロック」は、2018年のオープン以来、オーシャンビューカフェとして人気を集めています。

この店の目玉は、ハンモック付きのテラス席。沖縄県産のアグー豚のハンバーグや、軟骨ソーキカレーといった名物料理を楽しんだあと、ハンモックに揺られながらのんびりと景色を眺めることができるのです。フォトスポットとしても絶好のこの場所、過去にはJALが手がけるプロモーションビデオのロケ地として採用されたこともあります。

画像2: テイクアウトで地元ファンが増加中。ハンモックの店「ガジュマルロック」

コロナ禍においては4月から約2カ月間休業したガジュマルロック。一時はそのまま閉店することも考えたそうですが、6月下旬から営業時間を短縮して再開しました。

今は、消毒液やレジ前のビニールカーテンを設置し、入店組数の制限、お客さんの退店後にはテーブルや椅子を消毒するなど、基本的な感染防止対策を徹底しています。

また、人気メニューのテイクアウトもスタート。テイクアウトはドリンク1杯がサービスされるので、イートインよりもお得となっています。こうしたサービスのおかげか、地元のお客さんが増え、それがとても励みになったと、オーナーの高田さん。

画像: オーナー高田さん(右)とスタッフ樋口さん(左)

オーナー高田さん(右)とスタッフ樋口さん(左)

「Go To トラベルキャンペーンがきっかけというよりは、沖縄県の緊急事態宣言が解除された9月から徐々に来店が増えてきている状況です。一度来ていただくとまた通いたくなる落ち着く空間なので、県外からも、地元の方も気兼ねなく遊びに来てほしいですね」(オーナー 高田さん)

沖縄本島北部を旅するなら、一度は訪れてほしいガジュマルロック。ハンモックに揺られながら海を眺めるという贅沢な体験は、コロナ禍の今こそ、極上のひとときになるはずです。

ガジュマルロック

住所沖縄県国頭郡今帰仁村古宇利1933-1
電話080-6492-6945
営業時間12:00~17:00(L.O)※当面短縮営業となります。
webhttps://gajurock.com/

琉球ガラスで沖縄を届ける、「グラスアート藍」

鮮やかな色合いや、気泡が特徴の琉球ガラス。沖縄土産としても人気の琉球ガラスの中で、今特に注目されているのが、名護市の郊外にある琉球ガラス工房「グラスアート藍」の作品です。

画像1: 琉球ガラスで沖縄を届ける、「グラスアート藍」

琉球ガラスが流通し始めたのは、沖縄の米軍統治時代から。米軍関係者が沖縄本島内のガラス工房に海外の製品のような洋風のガラス工芸品をオーダーするようになったのがきっかけでした。

当時の米軍関係者がカラフルな色を好んだこと、また、日本人観光客に土産品として広まるようになってからも南国らしさを表現するために鮮やかな色使いが多かった琉球ガラス。ですが「グラスアート藍」では透明感のある淡い色合いや柄を取り入れており、その繊細な作風が見る人の心を掴んでいます。

この「グラスアート藍」を立ち上げたのは、沖縄に魅せられ、母親とともに県外から移住した寿 紗代さん。「沖縄の風景や自然を、ガラスに写し取りたい」という思いで、1998年に創業し、2010年、この地に工房をオープンしました。

画像: 「グラスアート藍」寿 紗代さん

「グラスアート藍」寿 紗代さん

作品の購入だけでなく琉球ガラス作りも体験できる工房は、観光客に人気のスポット。そのため、コロナ禍の影響は大きかったと、寿さんは語ります。

「4月頃からお客さまの数がかなり減りました。感染が落ち着いた7月前半は前年に比べて7割というところまで回復していましたが、再拡大の影響で体験予約のキャンセルが多く、8月は前年比3割まで減ってしまいました。もともと来店するお客さまはほとんどが県外からの方だったので、その影響は大きかったです」

画像2: 琉球ガラスで沖縄を届ける、「グラスアート藍」

厳しい状況の中で助けになったのは、沖縄県内で6月に実施された観光キャンペーン。これにより、地元客の来店が増えたといいます。「地元の方に琉球ガラスの良さを感じてもらうことができたのはありがたく、嬉しかったですね」(寿さん)

観光でも地元でも、利用してくれるお客さんには、心から楽しんでほしい。そんな思いから、工房では、検温の実施やマスク着用のお願い、消毒液の設置といった基本的な対策はしっかり行っています。また、熱いガラスに息を吹きかけて膨らませる「吹きガラス体験」ならではの気遣いも。

「お客さまは吹くところを一番気にされるので、吹き筒にはマウスピースをつけています。体験が終わると完全消毒して、また新しいマウスピースをつけています。こうした対応をし始めてから、お客さまの不安は少なくなったと思います」

さらに体験人数の制限や、感染防止対策についての事前説明を行うなど、安心・安全への気遣いを徹底。こうした対応により、訪れた人は笑顔で体験をしてくれるそうで、それが工房の支えになっていると寿さん。また、直接お店に来られない人とも、オンラインショップを通じて交流しているそう。

「なかなか沖縄に来られない方が、オンラインで作品を購入してくださって、『沖縄の風を感じた』『自宅が沖縄にあるようだ』と感想をいただきました。それも今の励みになっていますね」

美しい沖縄の自然を感じてもらいたいという一心で、作品を作り続ける寿さん。まだ沖縄に行けないという人も、魂のこもった作品を手にとってみてはいかがでしょうか。

グラスアート藍

住所沖縄県名護市中山211-1
電話0980-53-2110
営業時間9:30~18:00 ガラス体験10:00~12:00 / 13:00~16:30 最終受付
※現在は営業時間を短縮しています。事前にWEBで確認をお願いします。
定休日火曜日(祝日は営業)
webhttps://www.glassart-ai.jp/

どんな人気店も厳しい状況にある今ですが、沖縄北部の取材は「地元の人の支えがあって、ここまで乗り越えてきた」ことを強く感じさせるものでした。これから旅行を計画される方は、沖縄の大自然とともに、お店の人との会話を通して、このような地元の皆さんの想いも感じてみましょう。大好きな観光地・沖縄がまたひとつ身近な存在になっていくのではないでしょうか。

※2020年11月20日に一部内容を更新いたしました

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