沖縄県の八重山諸島に属する与那国島は、日本の最西端に位置する島。年に数回水平線には台湾島が望めます。しかも石垣島からは日帰りで訪れることができるロケーションなので、沖縄の離島を巡る観光プランに組み込みやすいでしょう。

与那国島には、与那国町の天然記念物に指定されている「与那国馬」が自由に暮らすのどかな風景や、謎に包まれたミステリアスな海底遺跡など、観光客をわくわくさせる魅力がギュッと詰まっています。そんな魅力を一日で体感するならサイクリングがおすすめ。空港で自転車を借りて島の風を感じながらさまざまな観光スポットを楽しむ日帰りの旅。今回は、親子で楽しめる与那国サイクリングツアーを紹介します。

文・写真:河野哲昌/こずえ(monobox)

画像: 親子で楽しむ離島アクティビティ。日本最西端の地「与那国島」の島巡りサイクリングツアー

コース1:日本最西端の碑を目指す!与那国の魅力をたっぷり楽しむ「島内半周」コース

まずは3~4時間程度で楽しめる「島内半周」コースをご紹介。日本最西端の石碑や大人気ドラマのロケ地、島のグルメなどをゆっくり巡ります。初めての与那国島で押さえておきたいポイントはすべて網羅しています。

①与那国空港⇒②ダンヌ浜⇒③最西端の碑⇒④南牧場(馬がいる)⇒⑤比川⇒⑥与那国空港

1.まずは空港で自転車をレンタル!

画像: 1.まずは空港で自転車をレンタル!

与那国空港のJALカウンターではレンタルサイクルのサービス(要予約)があります。費用は1100円(税込)から。まず自転車がおしゃれで乗りやすい。キラキラと光り輝く海の色をイメージした「与那国ブルー」と、与那国島に沈む“日本最後”の夕日のオレンジをイメージした「アコークロー」というオリジナルカラーの自転車は、南の島の青空の下を走るのにふさわしい爽やかさ。実はこのカラー、東京都内でそのデザイン性と乗り心地で人気を博している「tokyo bike」の別注カラーリングモデルなんです。

サイズは大人用と子供用(小学校高学年から対象)から選べます。ドリンクホルダーやスマホホルダーも装備。さらに8段ギア付きなので、ちょっとした坂道もスイスイ進めます。

ご予約はこちらから(レンタルサイクルは前日15時までの予約が必要です)。

2.地元でも人気の隠れ家ビーチ「ダンヌ浜」へ

画像1: 2.地元でも人気の隠れ家ビーチ「ダンヌ浜」へ

空港を右手に見ながらサイクリングスタート。青々と生い茂った牧草地を貫く県道216号線は、潮風が心地良くそよぐ長い長い一本道です。子どものペースに合わせてゆっくり漕いでいき、ほんのりと汗ばんできた頃に現れるのが「ダンヌ浜」。美しい「隠れ家ビーチ」として地元の人々にも人気のスポットです。まずはここで与那国島の澄み切った青い空とどこまでも続く海の美しさを堪能してください。

画像2: 2.地元でも人気の隠れ家ビーチ「ダンヌ浜」へ

ダンヌ浜には、ちょっと珍しい建築物があります。実はこちら、公衆トイレ。中央に空いた丸い穴が特徴的ですが、ここで写真を一枚。青い海が丸く切り取られたようなユニークな写真を撮ることができます。

3.いざ、日本の最西端、「西崎(いりざき)」へ

画像: 3.いざ、日本の最西端、「西崎(いりざき)」へ

次に向かうのは与那国島の西にある岬「西崎(いりざき)」です。西崎灯台のふもとに鎮座している碑には「日本最西端の地」と記されています。西側に広がる海を眺めると、運が良ければ向こう側に台湾を見ることができます。岬の周辺は断崖となっていて、見下ろすと波しぶきが迫力満点です。

また、近くの展望台に上って島全体をぐるりと見渡すこともできます。お子さまとの思い出のためにも日本の最西端に来た証を残しておきましょう。与那国町観光協会事務所や空港案内所などで「日本最西端の証」を発行(500円の発行料がかかります)してもらえます。

4.人なつっこい与那国馬たちとたわむれて

画像: 4.人なつっこい与那国馬たちとたわむれて

日本の最西端への到達を終え、興奮さめやらぬまま南へ走っていると、道路を区切るように切り込まれた複数の溝が現れます。「テキサスゲート」と呼ばれるこちらは、馬が牧場外に出ないための柵を設置するための溝。ここを越えた先にある広大な敷地が「南牧場」です。与那国町の天然記念物に指定された与那国馬たちが自由に過ごす場所です。

与那国馬は日本の在来種で、孤島という立地から他の馬と交雑することなく、血統が守られてきました。大人しい性格で人なつっこく、そばに寄ってくる馬もいるのできっとこどもたちも大喜びのはず。広大な敷地で出会えるチャンスも多くはないので、海沿いの道をゆっくり時間をかけて走りましょう。

5.ドラマのロケ地にもなった比川エリアで、ソウルフードに舌鼓

画像: 5.ドラマのロケ地にもなった比川エリアで、ソウルフードに舌鼓

いよいよサイクリングも終盤、東に向かっていくとテレビドラマ『Dr.コトー診療所』のロケ地がある比川エリアに到着しました。この作品で与那国島を知った方も多いのではないでしょうか。今も当時の雰囲気を残す診療所のセットや町の雰囲気に、ドラマファンにはたまらない感動を覚えるはず。

そろそろお腹もすいてきたかな……、というタイミングで「わかなそば」へ。地元で愛される島グルメを味わってみましょう。店名にもなっているわかなそばは、豚の骨やてびち(豚足)などを使った乳白色のスープが絶品。見た目を裏切るあっさりした味わいは、お子さんでも食べやすそう。島内で作られた麺との相性も完璧です。さらに具の豚肉は煮込んでから焼いて仕上げるので、口のなかで香ばしさが広がります。

地域やお店によってそれぞれ個性的な味わいがある沖縄そば。与那国島でしか味わえない、一期一会のソウルフードに舌鼓を打ってみてはいかがでしょうか。

わかなそば
住所沖縄県八重山郡与那国町字与那国3083
電話0980-87-3338
営業11:30~14:00
定休日火曜日

ここから県道216号線の坂道を上っていくと、ゴールの与那国空港へ到着。途中で海を眺めたり馬と戯れたりと、半日旅でも親子の思い出をたくさん作れるコースです。

コース2:さらに気軽にサイクリング! 東崎灯台を目指す「ショートコース」

脚力に自信がなく、あまり時間がない方でも大丈夫です。コース1とは反対側の東の岬を目指すショートコースは、1時間~1.5時間程度のペースで楽しめるライトなサイクリングコースです。

与那国空港→①浦野墓地群→②東牧場→③東崎灯台→④祖納(そない)のティンダバナ→与那国空港

1.突如として現れる、ちょっと不思議な墓地密集地帯

画像: 1.突如として現れる、ちょっと不思議な墓地密集地帯

空港をスタートして東へ走っていくと、突如として道の両側に現れる不思議な形をした大きなお墓たち。その佇まいに圧倒されつつも、静寂に包まれるエリアをゆっくりと進んでいきます。これは祖納(そない)エリアに広がる墓地群。亀の甲羅のような形状をした「亀甲墓(かめこうばか)」をはじめ、大きさやカタチもさまざまなお墓たちが、カーブの続く道に並んでいます。沖縄の人たちにとって、ご先祖さまはとても近い存在。毎年春先の旧正月には、大きなお墓の前に集まって泡盛やご馳走をいただくといった、沖縄ならではの風習があります。

2.与那国馬だけでなく牛たちも間近で見られる東牧場

画像: 2.与那国馬だけでなく牛たちも間近で見られる東牧場

岬に向かっていくと、コース1で紹介した「テキサスゲート」が道路に現れます。反対側の「東牧場」にも、与那国馬が放牧されていますが、ここには馬だけでなく、牛も放牧されています。与那国の馬や牛たちは、牧草地や道路を自由に歩いています。ゆったりと横たわって時の流れに身を任せている馬がいれば、無心に草を食べつづけている牛もいるなど、自由な様子に思わずほっこりとした気分になります。通行の邪魔だからといって、大声を出したり脅かしたりせず、彼らがゆっくり移動するのを待つのも、サイクリングをするときに守りたいマナーのひとつです。

3.遠くに西表島が望める東崎灯台

画像: 3.遠くに西表島が望める東崎灯台

「東崎(あがりざき)」の「あがり」とは、太陽が昇ることを表しています。先端からの眺望では、晴れていれば西表島が見えることも。灯台までのエリアが牧場となっているので、ここでも与那国馬たちが悠々と食事を楽しむ姿が目に入ります。波風の影響から断崖が形成され、島の固有種「ヨナグニイソギク」のが根付いているこの地域は、沖縄県が指定する「自然環境保全地域」。離島ならではの雄大な自然に触れてみてください。

4.祖納エリアを見渡せる迫力のある岩場の展望台「ティンダバナ」

画像1: 4.祖納エリアを見渡せる迫力のある岩場の展望台「ティンダバナ」

東崎灯台を後にして、島風を身体に受けながら下り坂を駆けると、再び祖納エリアに入り、「ティンダバナ」という展望台に辿り着きます。標高85m、切り立った岩場にあり、祖納の集落やナンタ浜、東シナ海を一望することができます。ティンダバナでは、年の初めに湧き水を汲む旧暦行事が行われており、与那国島における神聖な場所とされています。

画像2: 4.祖納エリアを見渡せる迫力のある岩場の展望台「ティンダバナ」

ティンダバナからの眺めを堪能したら、ゴールの空港までもう一漕ぎです。およそ90分間、起伏のあるコースをエクササイズ感覚で親子サイクリング。景色はもちろん動物たちとの触れ合いも楽しめ、親も子も与那国の魅力を十分に堪能できるコースです。

画像3: 4.祖納エリアを見渡せる迫力のある岩場の展望台「ティンダバナ」

抜けるような青い空とどこまでも広がる青い海。日本最西端の場所や、与那国の馬たち、岬から眺める絶景。ずっと記憶にとどめたくなる美しい景色のなかで触れられる、島の暮らしや島の味。なにより島をサイクリングしながら、南国情緒に身を置くことで、親子の絆はきっと深まるはずです。日常とは少し違う“島時間”が流れるアクティビティを堪能してみてはいかがでしょうか。

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

This article is a sponsored article by
''.