古くから紀伊山地に連なる山々や森には、神々が宿ると考えられてきました。世界遺産に登録されている熊野古道は、熊野本宮大社(本宮)、熊野那智大社(那智)、熊野速玉大社(新宮)の「熊野三山」を詣でる道です。生きる力をもう一度いただきたいと希望を持って、貴族から平民まであらゆる身分の人々が熊野古道を歩き、熊野を詣でてきました。熊野が「甦りの聖地」と呼ばれる所以です。

新年を迎え、一年の活力を養いたい時期。あらゆる人を受け入れ、癒し、浄化してきた熊野の地を歩いてエネルギーをもらいながら、周辺の注目スポットに立ち寄る旅はいかがでしょうか。

古式ゆかしい「熊野本宮大社」を起点にスタート

和歌山・熊野の旅は、南紀白浜空港から車で1時間半、本宮の街から始めましょう。山深い本宮の朝は霧が立ちこめ、神秘的な雰囲気が増しています。

画像1: 古式ゆかしい「熊野本宮大社」を起点にスタート

杉木立のなかの石段を登ること158段、檜皮葺きの「熊野本宮大社」の社殿が姿を現します。

画像2: 古式ゆかしい「熊野本宮大社」を起点にスタート

ここは何百キロもの山道を歩いた人々の最初の到達点。後鳥羽上皇のお供で訪れた藤原定家はその心境を「感涙禁じ難し」と記しています。道のりがいかに厳しいものであったか想像できます。

熊野本宮大社の主祭神は「家都美御子大神(けつみこのおおかみ=スサノオノミコト)」。かつては「大斎原(おおゆのはら)」と呼ばれる3つの川の中州に鎮座していましたが、明治時代の水害の後、現在地に再建されました。現在「大斎原」には高さ34メートルもの日本一大きな鳥居がそびえており、古の人々が訪れた祈りの地を見守っています。

画像3: 古式ゆかしい「熊野本宮大社」を起点にスタート

こちらを訪れた記念に、『ジョジョの奇妙な冒険』で知られる漫画家の荒木飛呂彦さんがデザインした「和のお守り」はいかがでしょうか。

画像4: 古式ゆかしい「熊野本宮大社」を起点にスタート

世界の「和合」を祈念して、熊野古道と八咫烏(やたがらす)、友好関係にあるスペインのサンディアゴ巡礼路が描かれています。

大斎原の鳥居前で栽培されたもち米「やたのもち」を使った「熊野本宮 釜餅」(4個入り750円)は、熊野本宮大社前の食料品店「石原商店」で販売されています。

画像5: 古式ゆかしい「熊野本宮大社」を起点にスタート

昔から門外不出の「内緒餅」として受け継がれてきた製法が生み出す素朴な味わいのお餅をぜひ堪能してください。

熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)

住所和歌山県田辺市本宮町本宮1110
電話0735-42-0009
webhttp://www.hongutaisha.jp/

【立ち寄り】人気洋菓子店「choux(シュー)」の上品な正統派シュークリームに舌鼓

小腹がすいたら、熊野本宮大社のほど近く、人気洋菓子店「choux(シュー)」に立ち寄って看板メニューの「シュークリーム」(350円)をテイクアウト。美味しいもの、納得いくものを作るため、作り置きはせず、限られた数のみ製造販売されています。

画像1: 【立ち寄り】人気洋菓子店「choux(シュー)」の上品な正統派シュークリームに舌鼓

当日販売は11時からと15時からで、それぞれ1時間前から販売整理券が配布されます。ただし、店頭販売は一人で購入できる個数に制限があるのでご注意を。事前予約ができるため、訪問日が決まれば早めの予約をおすすめします。予約や営業日はInstagramで発信されています。

画像2: 【立ち寄り】人気洋菓子店「choux(シュー)」の上品な正統派シュークリームに舌鼓

シュークリームは、少しかためのクリームとクッキーシューの生地で食べ応え満点。濃厚でありながらくどさのない後口は、良質の素材をふんだんに使っているがゆえです。

東京で修業したオーナーシェフの矢倉実咲さんは、和歌山に帰郷してお店を開店するにあたり、テレビ番組で「開業ガール」として取り上げられて一躍有名に。洋菓子店のなかった本宮にお店を出したのは「生活の中のお菓子」を提供していきたいという想いからだそうです。

旅は始まったばかり。甘い余韻に浸りながら次なる目的地、那智へ向かいます。

choux(シュー)

住所和歌山県田辺市本宮町本宮1571-15
電話0735-30-0801
営業時間11:00〜17:00
定休⽇月曜・火曜
webhttps://www.instagram.com/choux.kumano/

平安衣装に袖を通し、古の人々の旅路に思いを馳せる

那智では、古代の人々の巡礼を追体験するべく、平安衣装を着て散策してみましょう。着付けをしてくれるのは、苔むした石段の参詣道が印象的な「大門坂」近くにある「大門坂茶屋」です。

画像1: 平安衣装に袖を通し、古の人々の旅路に思いを馳せる

衣装は、熊野古道の緑に映える鮮やかな朱色をはじめ、白色や青色系まで80着以上が揃っています。

画像2: 平安衣装に袖を通し、古の人々の旅路に思いを馳せる

こまやかで優しいスタッフが手早く着付けてくれ、あっという間に平安時代の旅人に。

画像3: 平安衣装に袖を通し、古の人々の旅路に思いを馳せる

衣装は上下式になっており、襦袢(じゅばん)や袴の紐はあるものの帯がないので着心地も楽です。

仕上げには顔を隠すように薄い布を垂らした市女笠(いちめがさ)、胸元には魔除けに用いた「掛け帯」と、お守りや薬を入れた「掛け守」。

当時の人々の旅路を偲ぶよすがとなるでしょう。

大門坂茶屋(だいもんざかちゃや)

住所和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山392-4
電話0735-55-0244
営業時間9:00~16:00(15:00最終受付〈1時間コースの場合〉)
定休⽇年中無休

千年の昔の面影を残す森の中の巡礼路「大門坂」

平安衣装の草履は歩きやすい現代風のもの。しかし、やはり江戸時代からあるといわれる石畳の階段などは、杖を頼りに足元を見ながらゆっくり歩くことになるでしょう。

画像1: 千年の昔の面影を残す森の中の巡礼路「大門坂」

自然とうつむきがちで楚々とした風情になり、すれ違う観光客からは記念撮影を頼まれることも。

大門坂茶屋から歩いてすぐのところにある「大門坂」。

画像2: 千年の昔の面影を残す森の中の巡礼路「大門坂」

苔むした石段に、樹齢800年を超す杉の大木からの木漏れ日がちらちらと届きます。往古の面影を特に美しく残している熊野古道の代表的な景観です。

大門坂(だいもんざか)

住所和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山
電話0735-52-5311(那智勝浦町観光案内所)
webhttps://nachikan.jp/spot/

500段の階段を上った先の神々の庭「熊野那智大社」

土産物店を見ながら長い石段を登ること約500段、「熊野那智大社」に到着します。

画像1: 500段の階段を上った先の神々の庭「熊野那智大社」

2019年に改修を終えたばかりの美しい朱塗りの社殿を前にすると、これまで歩いてきた疲れも流されていくようです。こちらは万物の生成・育成を司る「熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ=イザナミノミコト)」を主祭神としています。隣には「西国三十三所」の一番札所である「那智山青岸渡寺(せいがんとじ)」が並び立ちます。

画像2: 500段の階段を上った先の神々の庭「熊野那智大社」

参拝を済ませたら、筒の長さ約130センチメートルの「大きなおみくじ」(100円)をひいて運勢を占うのもおすすめです。

画像3: 500段の階段を上った先の神々の庭「熊野那智大社」

境内を北へ進むと三重塔があり、彼方に那智大滝の全景を望むビューポイントとなっています。絵葉書のようなベストショットが期待できそうです。

熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)

住所和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
電話0735-55-0321
webhttps://kumanonachitaisha.or.jp/

【立ち寄り】「那智の大滝」で天から降り注ぐ水に生命の起源を感じる

「那智の大滝」は、熊野那智大社の別宮「飛瀧神社(ひろうじんじゃ)」のご神体。高さ133メートル、銚子口の幅13メートル、滝つぼの深さは10メートル以上、落差は日本一の名瀑です。

画像1: 【立ち寄り】「那智の大滝」で天から降り注ぐ水に生命の起源を感じる

まるで天から降り注ぐかのように、どうどうと水音をたてて絶え間なく落ちる滝は、水が生命の母であることを象徴しているかのようです。水しぶきと轟音の中に身をおくと、日ごろの雑念が流れて心が潤い蘇っていくのを感じます。

画像2: 【立ち寄り】「那智の大滝」で天から降り注ぐ水に生命の起源を感じる

那智の大滝(なちのおおたき)

住所和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
電話0735-55-0321(熊野那智大社)
webhttps://kumanonachitaisha.or.jp/

熊野川を背に鎮座する夫婦神「熊野速玉大社」

熊野三山を巡る旅、最後は新宮市の「熊野速玉大社」に向かいましょう。

画像1: 熊野川を背に鎮座する夫婦神「熊野速玉大社」

熊野川の河口に鎮座し、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ=イザナギノミコト)と熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ=イザナミノミコト)の夫婦神を主祭神としています。

画像2: 熊野川を背に鎮座する夫婦神「熊野速玉大社」

境内には平重盛お手植えの樹齢1000年を超える御神木ナギの木が。

画像3: 熊野川を背に鎮座する夫婦神「熊野速玉大社」

ナギは「凪ぐ」「穏やか」に通じ平和の祈念樹として、また葉脈が強く葉が切れにくいことから、大切な想いを繋ぐ「絆」の木としても有名。縁結びにもあやかっています。

画像4: 熊野川を背に鎮座する夫婦神「熊野速玉大社」

夫婦神を祀る速玉大社なので、「梛(なぎ)みくじ」(200円)で恋模様を占ってみるのもいいかもしれません。

画像5: 熊野川を背に鎮座する夫婦神「熊野速玉大社」

新宮市の神倉山の中腹に、巨岩の御神体「ゴトビキ岩」があります。遥か古の原始の時代、熊野の神々はこの霊石に降臨されました。その後神々は熊野神邑(みわのむら)(=現新宮市)に鎮座し、128年に最終的に鎮まる処として現社地を選び定め、熊野速玉大社の創建に至ります。熊野三山の「元宮(神倉山)」に対し、「新宮」と称したことから、町の名の由来にもなっています。

熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)

住所和歌山県新宮市新宮1
電話0735-22-2533
webhttps://kumanohayatama.jp/

【立ち寄り】神域からの帰還を優しく迎えてくれるオーガニックカフェ「ニカイノマド」

熊野速玉大社参拝の後は、カフェ「ニカイノマド」へ。スイーツもドリンクも無添加で化学調味料不使用、なるべくオーガニックな素材を使うことにこだわっています(現在、ランチは休業中)。

画像1: 【立ち寄り】神域からの帰還を優しく迎えてくれるオーガニックカフェ「ニカイノマド」

定番の「バスクチーズケーキ」(450円)は、白砂糖ではなく粗糖を使用し丸みのある甘さ。シナモンとジンジャーが香る「豆乳スパイスチャイ」(500円)と一緒にいただくと、優しい甘さとスパイスが体にゆっくりとしみわたっていきます。

画像2: 【立ち寄り】神域からの帰還を優しく迎えてくれるオーガニックカフェ「ニカイノマド」

戦後の木造建築をセルフリノベーションした店内は、セレクトショップ「ティピパオ」を併設。天然素材の衣類や世界の雑貨が、“二階の窓”から入る光に照らされています。

甦りの旅を経てまっさらになった心身にしっくりと馴染むナチュラルな空間で、旅を振り返りましょう。

ニカイノマド/ティピパオ

住所和歌山県新宮市上本町2-1-2 2F
電話0735-22-2992
営業時間10:00~17:00
定休⽇月曜・火曜
webhttps://www.instagram.com/tipipaoshop/

雄大な自然の中に神々が住まう土地、熊野三山。神々の気配と共に大自然の中を歩き続けることで、生命のダイナミズムを改めて感じられました。神域のエネルギーに触れ、自分のなかの大切なものが揺り起こされる、「甦りの旅」となるでしょう。これからの活力を養いに、あなたも熊野を旅してみませんか。

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