言わずと知れた芸術の街、パリ。パブロ・ピカソ、ポール・セザンヌ、クロード・モネを筆頭に、この街で芸術家たちは切磋琢磨し、時代に名を残してきました。彼らが築いたアートの歴史と伝統は、いまでも街のそこかしこに漂っています。それゆえ、パリには選ぶのが難しいほど多くの美術館やギャラリーがあるのです。伝統的なアートスポットのみならず、アップデートを続けるパリのアート・カルチャースポット。そのなかから、いまのパリの空気を感じられる、現地のアート通も足を運ぶスポットを厳選して紹介します。

世界的建築家による設計にも注目。2014年オープンの、20世紀美術史の一大拠点

Fondation Louis Vuitton(フォンダシオン ルイ・ヴィトン)

パリ市中心部から西に5kmほどの地域に位置する、森林公園「ブローニュの森」。その公園内に、船が重なったような形をした美術館、Fondation Louis Vuitton(フォンダシオン ルイ・ヴィトン)があります。2014年に、ルイ・ヴィトン財団によるコレクションを一堂に集めてオープンしたこの美術館は、鬼才と呼ばれる世界的建築家フランク・O・ゲーリーによる設計。19世紀のパリの温室建築からインスピレーションを得てデザインされた美術館では、趣向を凝らした展示空間に注目です。オラファー・エリアソンの光と鏡、水の反射を利用したサイトスペシフィック(飾る場所、置く場所や環境を活かした作品展示の方法)な作品は、ここでしか見られないもの。そんなアートな体験にどっぷり浸かってみてはいかがでしょう。

画像: Fondation Louis Vuitton(フォンダシオン ルイ・ヴィトン)Iwan Baan for Fondation Louis Vuitton © Iwan Baan 2014

Fondation Louis Vuitton(フォンダシオン ルイ・ヴィトン)Iwan Baan for Fondation Louis Vuitton © Iwan Baan 2014

コレクションは、エドヴァルド・ムンク、フランシス・ベーコン、アルベルト・ジャコメッティ、カジミール・マレーヴィチをはじめとした20世紀の美術史を代表するアーティストの作品が揃います。

Fondation Louis Vuitton(フォンダシオン ルイ・ヴィトン
開館時間12:00~19:00(月・水・木)、12:00~23:00(金)、11:00~20:00(土・日)
休館日火曜日、1月1日、12月25日
webhttp://www.fondationlouisvuitton.fr/ja.html
住所8, Avenue du Mahatma Gandhi 75116
メトロ最寄り駅Les Sablons(レ・サブロン)駅より徒歩10〜15分

フランスの歴史とモダンが融合する、写真と映像の美術館

Jeu de Paume(ジュ・ド・ポーム)

パリにある最古の公園であるチュイルリー公園の西側に位置する、写真と映像に特化した美術館Jeu de Paume(ジュ・ド・ポーム)。見た目はパリ市内でも数多く見かける建築様式・オスマン調の重厚な外観をしていますが、内部は開放的でモダンな印象です。

画像1: Jeu de Paume(ジュ・ド・ポーム)

Jeu de Paume(ジュ・ド・ポーム)

新進気鋭のアーティストの作品を意欲的にキュレーションしているのがJeu de Paume(ジュ・ド・ポーム)の特徴。時期によってはワークショップや企画展が行われていたり、空間を巧みに利用した実験的な展示がされていたりと、訪れるたびに新しいアートとの出会いが待っています。

画像2: Jeu de Paume(ジュ・ド・ポーム)
Jeu de Paume(ジュ・ド・ポーム)
開館時間11:00~21:00(火)、11:00~19:00(水〜日)
休館日月曜日
webhttp://www.jeudepaume.org
住所1 place de la Concorde 75008 Paris
メトロ最寄り駅Concorde(コンコルド)駅より徒歩3分

アーティストも一目置く、ギャラリースペース併設の本屋

Ofr.(オーエフアール)

パリ市内を流れるセーヌ川右岸に位置する地域・北マレ地区にあるOfr. Librairie(オーエフアール)。ここは、国内外のアーティストやクリエイティブ関係者にもファンが多い本屋さんとして有名です。世界中のアートブックや写真集、デザイン雑誌を中心に、Tシャツなどのファッションアイテムや小物までもが揃います。パリのカルチャーシーンを引っ張ってきた本屋による抜群のセンスは、その品揃えにも反映されているようです。

画像: Ofr.(オーエフアール)

Ofr.(オーエフアール)

店内には奥側にギャラリースペースがあり、定期的に展示やコンサートなどのイベントが行われています。店名にもあるOfr.(オーエフアール)は、「Open free & ready」の頭文字に由来しており、その名の通り、開かれた自由さが多くのアーティストに愛されているのです。

Ofr.(オーエフアール)
開館時間10:00~20:00(月~土)、14:00~19:00(日)
休館日不定休
webhttps://www.facebook.com/0fr-238409536196250/
住所20 Rue Dupetit-Thouars, 75003 Paris
メトロ最寄り駅Temple(タンプル)駅より徒歩2分

世界に村上隆を紹介した、目利きのギャラリーでアート探索

Galerie Perrotin(ギャラリー・ペロタン)

アート業界で影響力を持つギャラリー・ペロタンは、マウリツィオ・カテランやライアン・マッギンレー、JRなど、人気の現代アーティストを多数抱えているほか、村上隆の海外初の個展を開催したギャラリーとしても著名です。ギャラリーの入り口は、にぎやかなパリ・マレ地区の大通りに面していますが、一歩入るとその喧騒から離れてアートに集中できる空間になっています。

画像1: Galerie Perrotin(ギャラリー・ペロタン)

Galerie Perrotin(ギャラリー・ペロタン)

ギャラリーに併設するショップも、過去の展覧会のカタログや、所属アーティストの作品集などを含む美術書といった貴重な書籍も多く並んでおり、かなりの充実ぶり。アート愛好家がパリを訪れたら、必ずチェックすべき場所とも言えるでしょう。

画像2: Galerie Perrotin(ギャラリー・ペロタン)

Galerie Perrotin(ギャラリー・ペロタン)

Galerie Perrotin(ギャラリー・ペロタン)
開館時間11:00~19:00
休館日日・月曜日
webhttps://www.perrotin.com/
住所76 Rue de Turenne 75003 Paris
メトロ最寄り駅Saint-Sébastien-Froissart(サン・セバスチャン・フロワサール)駅より徒歩3分

若き日のゴダールも愛した場所で、フランスの映画文化の真髄に触れる

Cinémathèque Française(シネマテーク・フランセーズ)

Fondation Louis Vuitton(フォンダシオン ルイ・ヴィトン)と同じ建築家フランク・O・ゲーリー設計による、Cinémathèque Française(シネマテーク・フランセーズ)。ここは映画遺産の保存、修復、配給を目的として、パリの文化財団によって運営されている複合施設です。ここの歴史は1935年より始まっており、若き日のジャン・リュック=ゴダールやフランソワ・トリュフォーが通い詰め、ヌーヴェル・ヴァーグが生まれるきっかけになった場所としても知られています。

画像: Cinémathèque Française(シネマテーク・フランセーズ)© Paris Tourist Office - Photographe : Daniel Thierry - Architecte : Frank Gehry

Cinémathèque Française(シネマテーク・フランセーズ)© Paris Tourist Office - Photographe : Daniel Thierry - Architecte : Frank Gehry

展示スペースでは、映画の歴史の解説資料、撮影で使用した衣装や小道具、ポスターや台本などが展示されており、そのラインナップは映画通から初心者までが満足できる内容です。また、施設内のホールでは、過去の映画が上映されており、マニアにも人気のコーナーになっています。

画像: © Paris Tourist Office - Photographe : Amélie Dupont

© Paris Tourist Office - Photographe : Amélie Dupont

Cinémathèque Française(シネマテーク・フランセーズ)
開館時間12:00~19:00
休館日火曜日、5月1日
webhttp://www.cinematheque.fr
住所51 rue de Bercy 75012 Paris
メトロ最寄り駅Bercy(ベルシー)駅より徒歩7分

川人 わかな(かわひとわかな)

フランス在住ライター&コーディネイター。雑誌やウェブサイトの編集者を経て、2011年に渡仏。ライフスタイルや食、オーガニックやソーシャルをテーマに、ヨーロッパ全体を取材領域とする。
wakana.kawahito@gmail.com

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