四国の東端に位置し、本州からの玄関口にあたる徳島県。瀬戸内海や四国山地といった自然だけでなく、歴史文化遺産も豊富な徳島には、数多くの魅力的なスポットが点在しています。
今回はそんな徳島県の中心地、徳島市の魅力をお届け。一年を通じて阿波おどりを楽しむことができる「阿波おどり会館」や、恋愛のパワースポットとして知られる「姫宮神社」といった定番スポットから、LEDのライトアップが美しい「新町川水際公園」、豊かな食材を一度に堪能できる「阿波横丁」といった、新しい名所をご紹介します。
文・写真:重藤貴志 編集:佐々木鋼平(CINRA. inc,)

一年中、いつでも憧れの阿波おどりを体感できる「阿波おどり会館」

阿波おどり会館

徳島を代表する伝統芸能として400有余年の歴史を持ち、海外でも「AWA ODORI」や「AWA DANCE」などの呼称で知られる阿波おどり。

なかでも最大の盛り上がりを見せるのが、毎年8月12日からの4日間にわたって開催される「徳島市の阿波おどり」です。お盆期間中は国内外から100万人以上が訪れ、祭りの喧騒が支配するまったくの別世界に変貌します。

「やっぱり、一度は本場の阿波おどりを体験してみたい……」と思った方、ジリジリしながらお盆の時期まで待つ必要はありません。徳島市には一年中いつでも阿波おどりを楽しむことができる「阿波おどり会館」という観光施設があるんです。

画像: 踊り手の持つ高張り提灯を模したデザインが印象的な阿波おどり会館

踊り手の持つ高張り提灯を模したデザインが印象的な阿波おどり会館

徳島市のシンボルである眉山の麓に建つ「阿波おどり会館」は、阿波おどりの魅力を広く伝えることを目的として1990年にオープンしました。2018年4月から12月までの来場者数は約27万5千人!

熟練の踊り手たちによる阿波おどり公演をはじめ、歴史や文化を学ぶことができるミュージアム、ワークショップや体験型イベントが開催されるメディアスクエア、眉山の山頂へと向かう「眉山ロープウェイ山麓駅」などがあります。

「阿波おどり会館」の目玉は、何といっても2階の阿波おどりホールで開催される阿波おどり公演です。

画像: 阿波おどり会館専属連による美しい「昼のおどり」

阿波おどり会館専属連による美しい「昼のおどり」

1日に4回行われる「昼のおどり」を担当するのは「阿波おどり会館」の専属連(※連=グループ)。踊り手はもちろん、鉦や太鼓、三味線や笛などの鳴り物も有名連で経験を積んだベテランで構成され、見応えのあるステージを展開します。

最初は阿波おどりの歴史や変遷を丁寧に紹介するところから。鳴り物の解説もあるため、初心者でも心配ありません。また、海外からの観光客向けに、英語や中国語、韓国語による説明文をステージのバックスクリーンへ投影。こちらも大変わかりやすいと評判を呼んでいます。

阿波おどりの紹介が終わると、次は踊り方のレクチャーがスタート。ただ座席に座って観覧するだけではなく、本場の踊り手たちと一緒に楽しむ参加型の舞台は盛り上がること間違いなし。

演舞の後は観客もステージの上へと誘われます。ここで踊り手の目に留まった方には特別なプレゼントがあるそう。上手、下手は関係ありません。阿波おどりに対する熱い思いをぶつけてみてください。

画像: 有名連による「夜のおどり」でも多くの観光客が「踊る阿呆」に

有名連による「夜のおどり」でも多くの観光客が「踊る阿呆」に

「夜のおどり」を担当するのは、阿波おどり振興協会や徳島県阿波踊り協会に加盟する33の有名連。独自のスタイルと卓越した技量で徳島を代表する彼らが日替わりでステージを務めています。それぞれ踊り方から鳴り物、衣装や雰囲気まで異なるため、お気に入りの有名連を探してみるのもいいでしょう。

阿波おどり会館のウェブサイトには各連の詳しい特徴の説明のほか、実際の演舞を撮影した動画も公開されています。ここで予習をしてからお目当ての連が出演する日に訪れるという楽しみ方もおすすめ。どの有名連の公演でも、最後はステージで全員が「踊る阿呆」になるエキサイティングな展開が待っています。

阿波おどり会館
休館日12月28日〜1月1日、2月、6月、10月の第2水曜日
営業時間9:00〜21:00(昼のおどり11:00~、14:00~、15:00〜、16:00〜
 夜のおどり20:00~)
webhttps://awaodori-kaikan.jp
住所徳島県徳島市新町橋2-20

学問の神様の隣にある、強力な恋愛のパワースポット

姫宮神社

「阿波おどり会館」の隣にある眉山天神社は、学問の神様・菅原道真を祀っていることから、多くの学生が合格祈願に訪れますが、その境内には、恋愛のパワースポットとして全国から注目される「姫宮神社」もあります。

画像: 鳥居の中心に取りつけられたピンクのハートが目印の姫宮神社

鳥居の中心に取りつけられたピンクのハートが目印の姫宮神社

縄文時代から伝わるともいわれる巨大な奇石が鎮座しており、由緒書(ゆいしょがき)によれば「絶妙なる形成の自然石は国内有数の奇石・陰石として霊験あらたかなり」とのこと。特に縁結び・安産・子宝・夫婦円満などにご利益があるそうです。

鳥居や賽銭箱、石畳などにもハートがあしらわれている「姫宮神社」。ここでは可愛らしいデザインで人気の「姫みくじ」を引いてみましょう。通常の運勢のほか「貴女の姫度」や「運命の殿方」といったユニークな項目も忘れずに確認を。友人同士でお互いの結果を見せ合っても、きっと盛り上がるはずです。

画像: 美しい振り袖を象った姫宮神社の「姫みくじ」

美しい振り袖を象った姫宮神社の「姫みくじ」

一枚いちまい、心を込めて書かれる御朱印は、月ごとに添え印のデザインが変わるこだわりよう。毎月、愛知県や岡山県などから足を運ぶ女性もいるといいます。

画像: 四季折々の植物などが添え印として描かれる美しい御朱印

四季折々の植物などが添え印として描かれる美しい御朱印

取材を行った12月には「柊」をデザインした添え印が押されていました。御朱印帳の見開き2ページを使って眉山天神社と姫宮神社の両方の御朱印を書いてもらえる特別バージョンのデザインもありますので、御朱印を集めている方は要チェックです。古くから地元の人々に「姫宮さん」の名で親しまれてきた姫宮神社。ぜひ参拝してみてください。

姫宮神社
webhttps://www.bizan-tenjinsha.org/
住所徳島県徳島市眉山町天神山1(ナビゲーションをご利用の際は「徳島市新町橋2-21阿波踊り会館横」を設定してください)

徳島の新しいシンボル、夜の公園で幻想的なLEDの光に包まれる

新町川水際公園

四国一の大河である吉野川が紀伊水道へと流れ込む河口にある徳島市は、大小合わせて138もの河川が流れる水都でもあります。

そんな「心おどる水都・とくしま」のシンボルでもある「新町川水際公園」は、夜の徳島市で必ず訪れてほしい注目のナイトスポットです。

画像: 昼と夜で「新町川水際公園」はまったく異なる顔を見せる

昼と夜で「新町川水際公園」はまったく異なる顔を見せる

新町川にはいくつもの橋がかかっていますが、その一つ「ふれあい橋」につくられたパブリックアート作品が『虹のラクーン』。

画像: 徳島と縁が深いタヌキを光の絵文字で表現している『虹のラクーン』

徳島と縁が深いタヌキを光の絵文字で表現している『虹のラクーン』

古くから徳島に伝わる民話『阿波狸合戦』の主人公「金長たぬき」をモチーフに『徳島LEDアートフェスティバル2010』の作品として制作されたものです。

少しずつ動いていく光の絵文字が新町川の水面に映り込み、おとぎ話の世界のような幻想的な雰囲気を演出しています。

両国橋に設置された作品『SORAとMIZU』も『徳島LEDアートフェスティバル2010』のときに制作されたもの。

画像: 『SORAとMIZU』は周囲の環境の変化をLEDの輝きに変換していく

『SORAとMIZU』は周囲の環境の変化をLEDの輝きに変換していく

気温の変化をはじめ、街のざわめきや車両の通過などによる振動、そして宇宙の彼方から飛来する宇宙線などをセンサーでキャッチ。さまざまな光の色彩や動きへと変換しています。時間の経過とともに変化するLEDの輝きは、ずっと見ていても飽きません。

新町川水際公園
点灯時間日没~22:00
住所徳島県徳島市南内町2-4

徳島の豊かな「食」を一度に6つの店で堪能できる「阿波横丁」

阿波横丁

朝から晩まで徳島市内を楽しんだ後は、美味しいお酒と一緒に地産料理の数々を味わいたいもの。それならば、徳島の建築家チームがつくりあげた、外観から気持ちが盛り上がるスポット「阿波横丁」はいかがでしょうか。

画像: いくつもの提灯が下げられた木枠が美しい「阿波横丁」の外観

いくつもの提灯が下げられた木枠が美しい「阿波横丁」の外観

名だたる料亭や居酒屋が集まる鷹匠町エリアに、2018年10月にオープンした「阿波横丁」は、約250平方メートルの巨大フロアに、個性的な料理を提供する6つのお店が出店。

11月末には早くも来場者数が1万人を突破する賑わいぶりで、地元の人々はもちろん、徳島を訪れる国内外の観光客からも人気を集めています。

画像: 多くの客が酒飯を楽しむ「阿波横丁」の店内

多くの客が酒飯を楽しむ「阿波横丁」の店内

フロアに入っているのは、「鳴門鯛専門店 おひるね」、徳島イタリアン「エガヲニナル」、徳島創作和食・天ぷら「わさわさ」、焼き鳥「鳥料理むげん」、「ホルモン炭火焼 Roast」、四川中華「香香厨房」の6店。

徳島の食文化を発信する思いや熱意が出店の基準となっているだけあって、いずれのお店にも気合十分のメニューが揃っています。

画像: 人気のメニューの一つ「阿波牛上タン炙りねぎ塩まみれ」

人気のメニューの一つ「阿波牛上タン炙りねぎ塩まみれ」

席の場所はお店に関係なく自由に選ぶことが可能で、注文は手元のタブレット端末から6つの店舗それぞれに行うスタイル。

すべてのメニューは英語や中国語に対応しており、海外からの観光客も安心して徳島の味覚を楽しむことが可能です。

画像: 焼きたてが最高!「窯焼きピッツァとこ丸さんの釜揚げシラスとすだち」

焼きたてが最高!「窯焼きピッツァとこ丸さんの釜揚げシラスとすだち」

和・伊・中に創作料理など、メニューに載っている料理は常時約100点。ときにはお店同士がタッグを組んだコラボレーションメニューが登場することもあるとか。いままで食べたことのない「新しい美味しさ」に出会えるかもしれません。

阿波牛や阿波尾鶏をはじめ、鳴門鯛に代表される新鮮な海鮮、豊富な野菜を用いた素晴らしい料理の数々を心ゆくまで堪能してください。

画像: 「阿波鮮魚お造り盛り合わせ~極~」は朝獲れの海の幸を凝縮した一皿

「阿波鮮魚お造り盛り合わせ~極~」は朝獲れの海の幸を凝縮した一皿

ハロウィンやクリスマス、大晦日など、時期に応じたイベントをはじめ、月に一度は何らかの企画を実施しているという「阿波横丁」。

料理人や隣の人との距離が近い点も「阿波横丁」の大きな特徴で、カウンター越しに「今日のおつまみ」が試食として振る舞われたり、いつの間にか隣に座った人たちと会話が弾んだり、訪れるたびに新たな楽しみ方を発見することができます。

徳島に滞在中、毎晩のように通っても、きっと満足できるはず。徳島の食材の良さを多彩な調理法で堪能できる人気のお店です。

阿波横丁
定休日火曜日
営業時間月、水、木、日曜、祝日17:00〜24:00(L.O. 23:30) 金、土曜、祝前日17:00~25:00(L.O.24:30)
webhttps://awayokocho.owst.jp
住所徳島県徳島市鷹匠町1-52-1

いかがだったでしょうか。今回は徳島市の中心部にある4つのスポットをご紹介しました。

年間を通じて温暖な気候に恵まれている徳島市は、日照時間が全国の県庁所在地47地点の中で6位、四国4県の県庁所在地のなかでも最低平均気温がもっとも高いといわれています。

「阿波おどり会館」をはじめ、「姫宮神社」や「新町川水際公園」、そして「阿波横丁」は、いつ訪れても楽しめるはず。「心おどる水都・とくしま」へ、ぜひお越しください。

重藤貴志

東京出身・徳島在住のインタヴュアー / ライター / コピーライター。
屋号は“Signature”。グラフィックデザインやイラストレーションを軸に幅広い分野で執筆。主な仕事に誠文堂新光社『デザインノート』『イラストノート』シリーズ、玄光社『創作人』シリーズなど。全国各地からの依頼を受けて取材をする合間に、読書や料理、散歩や焚き火を楽しむ日々。

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

This article is a sponsored article by
''.