下準備なしが面白い。モンベル創業者が教える意外な「旅」の流儀

INTERVIEW

辰野 勇

Isamu Tatsuno

  • 国内

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起業家にして冒険家・辰野勇が語る

下準備なしが面白い。モンベル創業者が教える意外な「旅」の流儀

2017.09.21

日本を代表するアウトドアメーカー「モンベル」。1975年、28歳の誕生日の翌日にたったひとりで起業した辰野勇さんは、モンベルを大きく育てるとともに、世界各地の山や川を踏破・漕破してきた、起業家にして冒険家です。70歳となった現在もモンベル会長として第一線で活躍する辰野さんにとって、旅とはどんなものなのでしょうか。下調べをあまりしないという意外な旅の楽しみ方や、自然のなかへの旅についてお話を聞きました。
 
文:竹内厚 写真:倉科直弘

旅は仕事や遊びと地続き。下調べはあまりせず、とにかく現地へ

 

OnTrip JAL編集部(以下、JAL):日本国内から海外まで、辰野さんは仕事でもプライベートでも各地を訪ねていらっしゃる印象があります。

 

辰野勇さん

辰野勇さん

 
辰野:仕事と旅、もしくは遊びの線引きがまったくないんです。昨日も天理大学の授業の一環で、奈良の吉野川で学生にカヌーを教えてきました。これも仕事のうちですが、実際にいちばん楽しんだのはぼくでしたね(笑)。10年くらい前までは、アメリカを中心とした海外での仕事も多かったので、月に1度は2週間ほどの旅に出ていました。でも、これも仕事の合間にヨセミテ(カリフォルニア州にある国立公園)で岩登りをしたり、カヌーをやったりというような感じで。
 
ぼくにとっての「旅」というのは、あくまでも目的を達成するための手段であって、旅自体が目的になることはあまりないかな。仕事だったり、友人を訪ねることだったり、下ったことのない川を下りたいということだったり、何らかの理由や目的があってする旅がほとんどです。だから、いわゆる観光地を訪ねることが目的になる旅は、ほとんどやったことがないかもしれない。

 

JAL:では、旅の下調べというのもあまりしないほうでしょうか。

 

辰野:しないね。まあ、絶対にやらないと決めているわけじゃないんだけど、たいていは、みなさんのほうがもっとしっかり調べられていると思います。ラフティングの世界大会の審判を依頼されて、コスタリカへ初めて行くことになったときも、本屋さんで調べてはみたんですが、「コスタリカの首都はサンホセ」という程度しか情報が見つけられなくて。インターネットで調べたりすれば、いろいろと出てくるんでしょうけど、そういうのが苦手なのでね。

 

行き当たりばったりの旅のほうが面白い。空港で行き先を決めることも

 
JAL:とにかく現地へ行ってしまうんですね。

モンベルでは、アウトドアウェアからバックパックやテントなどの道具、さらには自転車や山関連の書籍まで幅広く扱う

モンベルでは、アウトドアウェアからバックパックやテントなどの道具、さらには自転車や山関連の書籍まで幅広く扱う

 

辰野:そうなりますね。地図にしても、現地で広げてみないとあまりピンとこないでしょう。モンベルブックスでガイドブックを出しておきながら、言うことじゃないんだけど(笑)。自分には計画性がないんです。わかりやすい例をもうひとつ話しましょう。娘が結婚する前に家族旅行をしようというので、日程は先に確保したのですが、当日まで行き先も何も決めてなかったんです。どうしたかというと、家族みんなでとりあえず空港まで行って、行き先と空席の表示を見ながら、「じゃあ青森にしようか」って。

 

JAL:大事な家族旅行なのに、当日に空港で行き先を決める!

 

辰野:そう、帰りの便のことも確認してから、その場で飛行機の切符を買って。向こうに着いたらレンタカーを借りて、あとは、地元の人に話を聞くのがいちばん早いんですよ。ぼくの場合、どこへ行ってもモンベルの取引先や知り合いの方がいますから、そこで泊まる場所を紹介してもらって。地図を見ながら宿へ行ってみたら、とんでもない山奥だったりしてね。じゃあ、今度はこの近くで行ける場所は……って、そういう風に点々としながら、行き当たりばったり。ぼくにとってはこんな旅のほうが絶対に面白いですね。

 

JAL:その日の宿が見つからないとか、大変なことも結構あるのではないですか。

 

辰野:夜になっても宿が決まらなくて、海外で不安な思いをしたことも何回もあります。若い頃はそれでもよかったけど、ある程度の歳になってからは、たいてい大きめの車を借りて、テントも一応持っていきます。宿が見つからなければ、車でもテントでも寝られますから。

 

JAL:空港から先は点をつないでいくような旅、一度は実践してみたくなってきました。

 

辰野:JALって「当日シニア割引」があるでしょう。満65歳以上で、出発当日に空席があれば国内どこでも運賃が1万円程度になるというチケットが。これを使えば、空港で行き先を決める旅を実践できますよ。シニアの方は、時間の余裕もあると思うのでぜひやってみてほしい。ぼくもJALのシニア割引は、非常に重宝しています。

「忘れ物をしてもなんとでもなる。気楽にいけばいい」

 

JAL:そんな辰野さんの旅支度も気になります。たとえば、旅の荷物は多いほうでしょうか。

 

辰野:山の道具もあったりするから、決して少なくはないですよ。ただ、ぼくはどんな旅でも、出発する日の朝にぱっぱっと用意して、それで出発してしまうんです。家には、壁一面に旅の道具を集めたワークルームがあって、ザックはこれ、雨具はこれって、順々に取っていけばいいようになっているから。先週もスイスへ10日間行ってきましたけど、当日の朝に支度して出発しました。

 

JAL:出発の朝の支度だと、何か持っていくものを忘れたりしませんか。

 

辰野:いくつか忘れ物はありますよ。でも、まあ、忘れたってなんとでもなるから。

 

JAL:なんとでもなる、その精神ですね。

 

辰野:逆に聞きたいよ、なんともならないことって何があるの(笑)。飛行機に乗り遅れて、この世の終わりのように嘆く人もいるけど、次の便に乗ったらいいよ。予定していたことができなくなってしまったという焦りなんでしょうけど、心の持ち方ひとつだと思いますよ。

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

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