演出振付家MIKIKOが語る、私を育ててくれたニューヨーク

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MIKIKO

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日本人が輝ける表現を求めて

演出振付家MIKIKOが語る、私を育ててくれたニューヨーク

2018.03.08

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テクノポップユニットPerfumeの振り付けやライブ演出をはじめ、近年では星野源の楽曲に振り付けた「恋ダンス」が社会現象となるなど、当代随一の演出振付家として知られるMIKIKO。その彼女が、今日のような活躍を見せる前夜には、ひとりニューヨークで過ごした約1年半の体験があったという。エンターテインメントの本場であるかの地で、彼女は何を見て、何を感じたのか。そしてその経験は、いまの彼女にどんな影響をもたらしたのだろうか。
 
椎名林檎らとともに、東京 2020 開会式・閉会式 4式典総合プランニングチームの一員にも選出されるなど、今後ますますの活躍が期待されるMIKIKOに話を聞いた。
 
文:麦倉正樹 写真:中村ナリコ

恩師の助言で単身ニューヨークへ。ブロードウェイはなぜ刺激的?

 

OnTrip JAL編集部(以下、JAL):MIKIKOさんは、20代の最後に1年半ほどニューヨークで生活をされていたんですよね。

 

MIKIKO:はい。向こうで30歳の誕生日を迎えました。

 

MIKIKO

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JAL:それは、どういういきさつだったのでしょう?

 

MIKIKO:私は生まれは東京なんですが、父の転勤で幼稚園に入る前に広島に移って。広島の空気のなかで育って、ダンスもそこで始めました。広島ってけっこう地元意識が強くて、「東京に行かないと成功できない」みたいな考え方を持っている人が少ないんです。だから私も自然と、広島から出なくても、東京や世界で活躍することはできるだろうと思っていました。
 
でも20代の終わりに、ダンサーから演出家に転身したいと思ったとき、当時からお世話になっていたアミューズの会長にアドバイスをいただいたんです。「どんな舞台をつくりたいか、演出家としてのビジョンを持ちたいなら、一度ニューヨークに行ってみたほうがいいんじゃないか?」と。

 

JAL:それまでもニューヨークは、旅行で訪れていたのですか?

 

MIKIKO:はい。1、2年に1回くらい、刺激を受けに行く場所といえばニューヨークでしたね。刺激的な街だなとは、以前から思っていました。

 

JAL:具体的には、どのような点が刺激的なのでしょうか。

 

MIKIKO:私は演出家として作品をつくるなら、ブロードウェイのミュージカルのようなシアター系ではないダンスをやりたいと思っていたんです。そこでむしろ、自分のやりたいジャンルのダンスや音楽に、ニューヨークの古き良きブロードウェイのノウハウを入れたら面白くなるんじゃないか、ということを、以前から思っていて。その意味で、ニューヨークで舞台を見ることは、すごく刺激になったんです。

夢がある人しかいない、ニューヨークという街の強烈さ

 

JAL:ニューヨークでは、日々どのように過ごされていたのですか?

 

MIKIKO:学生ビザで行ったので、午前中は語学学校に通いながら英語の勉強をして、午後はダンスのレッスンに行ったり、小さい劇場から大きい劇場までいろいろな舞台を観たり……。また、オリジナルの脚本を1本書いてから日本に帰ることをひとつのテーマにしていたので、空いた時間があれば脚本のことを考えていました。忙しい毎日でしたね。

JAL:旅で訪れるのと住むのとでは、印象に違いはありましたか?

 

MIKIKO:こんなにも見えるものが違うのかと、しばらく愕然としました。日本の基準と比べてしまうと、やっぱり不便も多いし、清潔でもないし。「ああ、私はなんて便利な国で生きていたんだろう!」と、思い知りました。あとは言葉の壁も感じましたね。単純に英語が上手く話せるかどうかという以前に、「自分が表現したいことは何なのか」がまとまっていないと言語化のしようがなく、最初は戸惑いました。

 

JAL:日本にいるとき以上に、「自分の意志」について深く考える必要があるのですね。

 

MIKIKO:ニューヨークではまず自分から発信しない限り、誰かが気づいて何かをしてくれるということは絶対にないんです。踊りたいから踊るとか、歌いたいから歌うとか、個人としての意志がないと誰も振り向いてくれない。だから、自分の夢を持っている人しかいないんです。
 
自分が何をやりたいかが明確にわかるのって、本当はすごく難しいことだと思います。でも、ニューヨークには、やりたいことや夢がはっきりある人しかいない。そして、それが叶った人、叶わなかった人の振れ幅もすごく大きい、という特殊な環境で、とても強烈な体験でした。私自身、「自分は本当にダンスをやりたいのか、演出をやりたいのか」と、常に問われている感じがありました。

飛行機を降りた瞬間の空気から違う。体験しないとわからない「旅」の価値

 

JAL:いまの若い人たちは、昔ほど海外旅行に興味を持たないという話もありますが、MIKIKOさんにとって海外に行くことの意味はどんなところにありますか?

 

MIKIKO:私がダンスを始めたころは、いまみたいにYouTubeもなかったし、SNSにレッスン動画が上がるようなこともなく、とにかく情報源がなかったんです。それこそニューヨークに行って、そのレッスンで学んだことを、日本に帰って1年間かけて練習するみたいなことが普通にあって。でも、いまはインターネットでなんでも見られる時代なので、昔ほど、何かをつかむために海外に行くみたいなことはないのかもしれないですね。

 

MIKIKO:もちろんそれはそれで、いまの時代のひとつのやり方だとは思います。でも、やっぱり実際に行くと空気が違う。空港に着いて、飛行機を降りた瞬間の空気からして、もう違うんです。

 

JAL:動画ではわからないものがあるんですね。

 

MIKIKO:特に、私のようにライブや舞台を演出している者は、そもそもそういった、言葉では説明できない体験を提供することで、わざわざライブハウスや劇場に足を運んでもらっているわけです。そういうものをつくるには、やっぱり自分自身が、空気が変わるような体験しないとわからないですよね。逆のことでいえば、写真ではあんなに綺麗だったのに、実際行ってみたらそれほどでもなかったとか(笑)。それはそれで、行って体験する価値があることだと思います。

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