モデル・前田エマに聞く「旅は出かけるより帰るためにある」

INTERVIEW

前田 エマ

Ema Maeda

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21

旅に出ると、本当の自分を思い出す

モデル・前田エマに聞く「旅は出かけるより帰るためにある」

2018.08.07

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モデルのほか、エッセイや写真、ペインティング、朗読、ナレーションにいたるまで、ジャンルやかたちにとらわれない表現活動を行う前田エマさん。最近では2018年3月に個展を開いたり、芸術祭『山形ビエンナーレ2018』のポスターに登場したりと、話題にこと欠くことがありません。旅するときは「自分の足で歩く」こと、あえてアナログに「手を動かす」ことを意識していると語る前田さん。創作の礎となっている感性に、「旅」はどんなインスピレーションを与えているのでしょうか?

取材・文:栗本千尋 撮影:TAKAMURADAISUKE

「何歳になっても学んでいい」。ウィーンでの留学体験

 
 
OnTrip JAL編集部(以下、JAL):前田さんは大学生の頃、オーストリア留学を経験されたそうですね。

前田エマ(以下、前田):はい。東京造形大学に在学中、交換留学で半年弱くらい「ウィーン芸術アカデミー」に通いました。

前田エマさん

前田エマさん

JAL:なぜ、留学に行こうと思ったのですか?

前田:両親が美術関係の仕事をしていまして。よく海外出張に行っていたし、世界中に友達がいるような人たちなので、外国というのは幼い頃から身近なものでした。ウィーンに留学したときは美術が学びたいというよりも、自分と同じくらいの歳の人たちがどういう生活をしているのかに興味がありました。

JAL:実際に留学してみて、特に日本と違った点はありましたか?

前田:ヨーロッパ諸国は陸続きなので、隣の国との距離が近い。私の通った学校にも、近隣の外国出身者が多かったです。30歳を過ぎているような学生もたくさんいました。日本の美大では、同じ年代の日本人がほとんどだったので新鮮でした。毎日夜に、市民にも開放されているヌードデッサン教室があったんですが、そこにはおじいさんやおばあさんも参加していて、「何歳になっても学んでいていいんだな」と思いました。

JAL:ウィーンではどんな生活を送っていましたか。

前田:学校へ通うほかは、ギャラリーのオープニングイベントに行ったり、そのあとみんなでお酒を飲んだり。ヨーロッパの人はアルコールの分解能力が高いみたいで、同じペースで飲んで痛い目を見たこともありました……。ある朝起きたら体が動かなくて、1週間くらいベッドから出られずに過ごしたのもいい思い出です。

紙の地図を見ながら歩くと、平面図が立体的になってくる

 
 
JAL:ウィーンに留学中、観光はされましたか?

前田:春休み期間中に2週間ほどかけて、ヨーロッパを7か国くらいまわりました。お金がないのでバックパックひとつ。格安の夜行バスで移動したり、ユースホステルに泊まったり。電車賃ももったいなくて、観光では歩き回ってばかりいましたね。

JAL:でも、自分の足で街を歩くことで、電車に乗ったときとは違う景色が見られたりして、発見もありそうです。

前田:そうですね。私、地図を読むのが得意なんです。旅行へ出かけるときはかならず『地球の歩き方』を買って持っていくのですが、地図を見て、自分の通った道をマーカーで書き込みながら歩くのが好き。地図はただの平面図だけど、自分の足で歩くと、そのときに見た景色と重なって、地図も立体的になっていくような感覚があります。もちろん道に迷ったらGoogleマップも使うけど、紙の地図は、あとから見返すとそのときの光景が蘇ってくるところがいいですね。

JAL:当時は、2週間でどんなところを巡ったのですか。

バックパッカーをしていたとき、ドイツの美術館で食べた素朴な昼食(撮影:前田エマ)

バックパッカーをしていたとき、ドイツの美術館で食べた素朴な昼食(撮影:前田エマ)

前田:私が旅をする目的はいつも、誰かに会いにいくか、アートを見に行くかのどちらかなんです。そのときはたくさんの美術館を巡りました。母の友人にも会いに行きました。パリはさすが芸術の都で、展示の内容が面白かったし、歴史ある美術館をたくさん見ることができました。一方でドイツは新しい美術館や、若手アーティストの展示が充実していましたね。スイスのパウル・クレーの美術館にも行きました。

私、旅に行く飛行機のなかでは、自分が旅先でやりたいことに関連する本を読んで気持ちを高めるんです。そのときは、母に「人生で一度は読みなさい」と言われていた、アウシュヴィッツ強制収容所についての本を読みました。旅行中、3か所の収容所を実際に見に行きました。

かならず持って行く、アナログなアイテムたち。「手を動かすことで、旅が自分に定着する」

 
 
JAL:『地球の歩き方』のほかに、旅に欠かせないものはありますか?

前田:ノートを持っていきますね。電車の時間や行きたい場所など、旅のプランをメモしたり、たまには旅先で見た風景をスケッチしてみたり。これにはモレスキンの赤いノートをずっと使っていて、万年筆はラミー。下手な字も味がある風に見えるから好きですね。あとはフィルムカメラと、C.O.Bigelow(シー・オー・ビゲロウ)のリップバーム。顔も手も、保湿はこれ1個ですむので、荷物が少なくてすみます。

フランスのロンシャン礼拝堂を訪れた際のスケッチ(左)と、前田さんの旅の必需品(右)

フランスのロンシャン礼拝堂を訪れた際のスケッチ(左)と、前田さんの旅の必需品(右)

JAL:写真もメモもマップも、スマホひとつあれば済んでしまう時代に、あえてアナログなものを持って行くんですね。

前田:だいたいのことはスマホでもできるけど、手を動かすのが私には合っています。書いたり、ページをめくったり、シャッターを切ったり……そうすることで、旅が感覚として自分に定着していくような気がします。見るだけ、聞くだけ、というのが苦手なんですよね。

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