食マニアの現地編集者が語る「メルボルンを100%味わう」コツ
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地元の食文化を体験してこその「旅」

食マニアの現地編集者が語る「メルボルンを100%味わう」コツ

2017.07.06

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オーストラリア第二の都市メルボルンで、世界中の街の魅力を紹介するシティガイド「The City Lane(シティレーン)」を運営するポール・クリストフさんは、大の旅好き。「清潔で安全な部屋とベッド、そして簡易的な調理設備さえあればいい」と語るポールさんの旅のルールは、滞在が2週間以内なら毎日外食し、地元の人と食卓を囲むこと。2週間以上なら、その土地の地元料理をつくったり、現地で見たもの、食べたものにインスピレーションを受けて新しいレシピを生み出したりしながら、街での体験を自分の一部として取り込んでいくことです。

「The City Lane」にも「レシピ」の項目を設け、食こそがすべての文化にとっての心臓であると考えるポールさん。彼が愛してやまない、自由で刺激的な街メルボルンの食文化や、いまのトレンド、おすすめのレストランやバーについて聞きました。

街や人を知るにはまず「食べること」

ぼくはずっと前から、旅するアメリカ人シェフ、アンソニー・ボーディンのファンだ。彼が出演した最初のテレビシリーズ『あるシェフの周遊記(A Cook’s Tour)』(2002〜2003)を見たときからね。

アンソニーは番組のなかでいろいろな都市に行き、地元の人と一緒になって、彼らが仲間同士で訪れるような店についていく。その様子が大好きなんだ。訪れた街で、リアルな実感をともなった経験をして、その場所や出会った人たちについての物語を人々にシェアしていくこと。これがまさにぼくの理想の生き方で、だからシティガイド「The City Lane」を始めたんだ。

「The City Lane」には、レシピを紹介するコーナーがある。よく「シティガイドにレシピなんてめずらしい」って言われるけれど、ぼくは世代を超えてその土地に受け継がれてきたレシピこそ、すべての文化にとって重要なものだと思っている。ひとりの個人の人生史だって、コミュニティーの民族性だって、その根本にあるのは食文化だったりするものだ。

だからこそ旅行中、街とそこに住む人々を知るには、何を置いても一緒に食卓を囲むのがいちばん。ガイドブックには決して載っていない、その土地の横顔を見ることができる。体験しておくべきことや、食べてみるべきものなど、新しいヒントが得られることもあるよ。

抹茶も流行中。新しいものにオープンな街

メルボルンでは、世界中の料理が楽しめる。オーストラリアは移民国家で、まだ歴史も浅いから、つくる側も食べる側も、新しいものを試してみることに対してとてもオープンなんだ。ギリシャ料理、イタリア料理、中華料理、ベトナム料理、エチオピア料理、インド料理……。例をあげればきりがないけど、どれも本格的な味わいだよ。

彩りが美しい、ギリシャ料理専門店「Bahari」の料理

彩りが美しい、ギリシャ料理専門店「Bahari」の料理

意外かもしれないけれど、メルボルンではコーヒーも有名だ。コーヒー店のレベルがこれほど総じて高い街は、世界でもめずらしいよ。こだわりの豆だけを取りそろえた東京の専門店「Koffee Mameya」(http://www.koffee-mameya.com/)でも、メルボルンで焙煎された豆を扱っているんだ。

いまのトレンドは、アメリカンバーベキューとハンバーガー。毎日新しいバーガーショップがオープンしているような気がする。コクがあるからか、キユーピーマヨネーズを使っている店が多いんだ。また、去年あたりから、抹茶も流行っている。抹茶のラテやデザートを置いているカフェも多いよ。

気取らないレストランがたくさん。ポールのおすすめ

気取らずに楽しめるレストランがたくさんあるメルボルン。いろいろな場所に行くけど、気に入った場所はついついリピートしてしまう。

友人と一緒に行くなら、ワインバーの「Bar Liberty(バーリバティー)」。地元産と外国産、どちらも選び抜かれた最高のワインを、おいしい料理とともに楽しめる。ここのオーナーたちは皆それぞれ、シェフやソムリエ、ギャルソンとして高級レストランでの経験があるけれど、そこで得たものをうまくカジュアルでリラックスした雰囲気に仕上げているところがすばらしい。

Bar Liberty(バーリバティー)のおつまみセット

Bar Liberty(バーリバティー)のおつまみセット

朝食によくひとりで行くのが、Carlton(カールトン)にある小さなカフェ「Vertue of the Coffee Drink(バーチューオブコーヒードリンク)」。食事もおいしいし、コーヒーもその場で豆から挽いてくれる。ガソリンスタンド裏の小道に隠れていて、じつは昔、馬小屋だった場所なんだ。邪魔されずにひとりで食事するのにはぴったりだ。

家族と行くなら、「Hellenic Republic(ヘレニックリパブリック)」で決まり。地元の有名シェフ、ジョージ・コロンバリスがオーナーで、本物の伝統的なギリシャ料理が楽しめる。モダンな雰囲気の楽しい店だ。

食事をするときは、こんなふうにお気に入りの店に行くか、新しい場所にはだいたい下調べしてから行く。日本ではふらっと入ってもハズレが少ないけど、これは世界的に見るとかなり貴重なことなんだ。とはいえ旅行に行くと、調べていた店が満員だったり、観光のコースを変えたり、急な予定変更もあるだろう。

そんなときは、なるべく混んでいる店に入ろう。また、看板やサインがいくつもあったり、道で呼び込みをしていたり、がんばりすぎている店はダメ。入る前にメニューを確認して、本場の味をつくっているのか、地元の好みに合わせているのか、見てみるのも役に立つ。最後にいちばんのポイントは、その店が専門とする地域のお客さんが入っていること。例えばベトナム料理店が、欧米人の客でいっぱいだったら……ぼくならパスするな。

旅行中に料理をつくる。体験をからだのなかに取り入れる

ぼくは旅行中、料理をするのが好きだ。2週間以上の滞在なら、かならず基本的な調理設備が整った場所を探す。外食だとなかなか食べにくい、シンプルで健康的なものを食べられるだけでなく、その街で食べたもの、発見したものにインスパイアされた料理を、新鮮な食材でつくることができるから。

外国の都市にいるあいだに、その土地の料理をつくったり、新しいフュージョンレシピを開発したりするのはすばらしいことだよ。ぼくはいつもメルボルンの家に帰ってからもつくれるように、旅行先ではスーパーに行って、地元の材料や調味料をスーツケースいっぱいに詰めて帰るんだ。

ダンデノン(Dandenong)のマーケット。新鮮な食材が手に入る。

ダンデノン(Dandenong)のマーケット。新鮮な食材が手に入る。

メルボルン周辺でも、毎週土曜日には多くのファーマーズマーケットが開かれている。ぼくがいちばんよく行くのは、Coburg(コーブルク)とFlemington(フレミントン)、Carlton(カールトン)のマーケット。たくさんの個人生産者と農家が街にやってきて、最高品質の果物、野菜、肉などを直接販売するんだ。街の中心からは少し離れるけれど、Preston(プレストン)、Footscray(フッツクレイ)、Dandenong(ダンデノン)のマーケットも思いきって訪れてみると、ここでしか味わえない、ユニークな経験ができると思うよ。

ビールは人と人とをつなげてくれる。おすすめのバーとパブ

ぼくは「Brunswick Beer Collective(ブランズウィックビアーコレクティブ)」という、ビールに関するPodcastとInstagramも共同運営している。ある休日、友人たちとバルコニーで飲みながら、いつものようにビールについてあれこれ話していたときに、ひとりがこう言ったんだ。「ぼくたちのこんな会話って、もしかしてラジオになるんじゃないかな」って。

ビールについてのPodcastやウェブサイトはたくさんあるけど、例えばホップの品種についての深い議論は、ぼくたちの専門外。扱うのは、バーやパブだったり、ビール業界のなかの人たちだったり。ビールをはじめとして、お酒には単なる飲みものにとどまらない、人と人とをつなげる力がある。ぼくたちはそこに光を当てたいんだ。

旅のなかでも「飲み」の場は、ともすると食事以上に、その地を知り、溶け込むチャンス。ぼくは旅行中ひとりでバーに座って、地元の人と話したり、新しい友達をつくったりするのが好きだ。いちばん最近の旅行、東京での1日目もそうだったな。両国のビアバー「ポパイ」のカウンターで、ちょうど仕事を終えたばかりのサラリーマンと、飲みながら話し込んだりして。

琥珀色が美しい、Alehouse Project(エールハウスプロジェクト)のクラフトビール

琥珀色が美しい、Alehouse Project(エールハウスプロジェクト)のクラフトビール

メルボルンで好きなビールの店は、Alehouse Project(エールハウスプロジェクト)。めずらしいクラフトビールが常にドラフトで12種類も置いてあり、定期的に入れ替わるから、何回行っても飽きない。ビールが苦手な人も、すばらしいワインやスピリッツが楽しめるよ。これぞ真の地元のバーだと思ってる。

街の中心に近い場所だと、Boilermaker House(ボイラーメーカーハウス)もお気に入り。ビールはもちろん、ウィスキーのセレクションはオーストラリアでも最高レベルだ。店員も客もフレンドリーな、気のおけない昔ながらのスタイルのバーだよ。カクテルなら、Collingwood(コリングウッド)にあるAbove Board(アバブボード)。バーテンダーとの会話と質の高い飲み物がポイントの、小さな隠れ家のような空間だ。

Above Boardにて、ウィスキーベースのカクテル「The Gentleman Caller(ジェントルマンコーラー)」

Above Boardにて、ウィスキーベースのカクテル「The Gentleman Caller(ジェントルマンコーラー)」

イギリスの雑誌『エコノミスト』が調査する「世界で最も住みやすい街」では、昨年2016年まで、メルボルンが6年連続ナンバーワン。別名「ガーデンシティ」と呼ばれるほど緑が豊かで、治安もよく、交通網も発達している。とても自由で居心地のいい、それでいて刺激的な、ぼくの大好きな都市だ。世界中のどこからやって来ても、まるで家に帰ってきたような気分で、のびのび滞在できるんじゃないかな。

DATA

Bar Liberty(バーリバティー)

営業時間 7:00〜22:00(月〜木)、17:00〜0:00(金・土)、12:00〜22:00(日)
公式HP https://barliberty.com/
住所 234 Johnston Street, Fitzroy, Victoria 3065

DATA

Vertue of the Coffee Drink(バーチューオブコーヒードリンク)

営業時間 7:00〜16:00(月〜金)、7:30〜16:00(土・日・祝)
公式HP http://vertuecoffee.com.au/
住所 8 Raffa Place, Carlton, Victoria 3053

DATA

Hellenic Republic(ヘレニックリパブリック)

営業時間 12:00〜16:00(金〜日)、17:30〜22:00(月〜日)
公式HP http://hellenicrepublic.com.au/
住所 434 Lygon Street, Brunswick East, Victoria 3057

DATA

Alehouse Project(エールハウスプロジェクト)

営業時間 15:00〜(月〜金)、12:00〜(土)、12:00〜23:00(日)
公式HP http://www.thealehouseproject.com.au/
住所 98-100 Lygon Street, Brunswick East, Victoria 3057

DATA

Boilermaker House(ボイラーメーカーハウス)

営業時間 16:00〜27:00(月〜木)、15:00〜27:00(金〜日)
公式HP http://boilermakerhouse.com.au/
住所 209-211 Lonsdale Street, Melbourne, Victoria 3000

DATA

Above Board(アバブボード)

公式HP http://aboveboardbar.com/

Paul Kristoff(ポール・クリストフ)

メルボルンをはじめとした世界8都市のシティガイド「The City Lane」(https://thecitylane.com/)の創設者・編集長。友人のクリス、ジェフとともに、「Brunswick Beer Collective(ブランズウィックビアーコレクティブ)」としてビールに関するPodcast、Instagramも主宰している。

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