1773年のボストン茶会事件や1775年のレキシントン・コンコードの戦いやバンカーヒルの戦いなど、アメリカ独立革命の舞台となったボストン。アメリカの独立において重要な役割を果たしたこの街は、“アメリカはじまりの地”とも言える場所。今回は、アメリカ建国の足跡を辿る美しき散策路「フリーダムトレイル」の魅力をご紹介します。

ボストン中心部に描かれた 赤い線に導かれて アメリカ建国の歴史を辿る

ボストン市中心部に位置する公園「ボストンコモン」から、市北東部のチャールズタウンにある「バンカーヒル記念塔」へ。全長およそ4kmに渡って続く「フリーダムトレイル」は、ボストンの歴史を楽しむ上で欠かせない楽しみのひとつです。今から半世紀以上前に地元出身のジャーナリスト、ウィリアム・スコフィールド氏によって考案されたこのトレイルには、アメリカ独立にまつわる16カ所の歴史的な名所が点在。ルート上には赤い線が描かれており、はじめてボストンを訪れる人でも、迷うことなく半日ほどで史跡をめぐることができるのです。アメリカ国内はもちろん、世界各国から多くの旅人が訪れ、アメリカ建国の歴史にふれる場所。「フリーダムトレイル」は、ボストン観光を象徴する美しいトレイルなのです。今回の特集では、「フリーダムトレイル」に点在する16の史跡を3つのパートに分けてご紹介します。

アメリカ最古の公園「ボストンコモン」を起点に 「フリーダムトレイル」散策をスタート

画像1: アメリカ最古の公園「ボストンコモン」を起点に 「フリーダムトレイル」散策をスタート

「フリーダムトレイル」散策の起点となるのは、ボストンのダウンタウンに位置し、アメリカ最古の都市公園としても知られる「ボストンコモン」。現在ではボストニアンたちの憩いの場として愛される公園ですが、ここはレキシントン・コンコードの戦いの際にイギリス兵のキャンプ地となったことでも有名。園内のビジターセンターがトレイルのスタート地点。「ボストンコモン」周辺には、数々の名所が点在しているので、まずはビジターセンターから赤い線を辿って歩きましょう。

画像2: アメリカ最古の公園「ボストンコモン」を起点に 「フリーダムトレイル」散策をスタート

「ボストンコモン」を出発し、最初に現れる史跡が「マサチューセッツ州会議事堂」です。1798年に完成し、その後幾度も改築が行われた建物は、金色に輝くドームが目印。内部を見学できる無料のガイドツアーも実施されているので、時間に余裕があればぜひ参加してください。さらに1829年の独立記念日にウィリアム・ロイド・ギャリソンがアメリカ初の奴隷制度反対演説を行った場所として知られる「パークストリート教会」やサミュエル・アダムスやポール・リビア、建国の英雄たちが眠る「グラナリー墓地」など、「ボストンコモン」周辺には「フリーダムトレイル」を代表する見どころが点在。さらにトレイルを進むと「キングス・チャペル」や「キングス・チャペル墓地」、アメリカ合衆国建国の父として敬われ、現在の100ドル紙幣にも肖像が描かれる「ベンジャミン・フランクリンの銅像」などが次々と現れます。

1713年に建設されたボストン最古の公共建築 「旧マサチューセッツ州会議事堂」へ

画像: 1713年に建設されたボストン最古の公共建築 「旧マサチューセッツ州会議事堂」へ

「フリーダムトレイル」を進むと、19世紀半ばにエマーソンやホーソンなど当時のアメリカを代表する文学者たちが集った「オールドコーナー書店」や植民地時代のボストンで最大の建物だった「オールドサウス集会所」へと辿り着きます。さらに、ワシントン・ストリートとステート・ストリートの交差点には、ボストンでもっとも歴史のある公共建築物である「旧マサチューセッツ州会議事堂」の姿が。1713年に建造されたこの建物のバルコニーは、1776年7月18日にアメリカ独立宣言が読み上げられたことでも有名。まさに“アメリカはじまりの場所”ともいえる建物で、「フリーダムトレイル」を象徴する見どころのひとつなので、ぜひともゆっくりと見学しましょう。また、近くには独立戦争の引き金となった「ボストン虐殺事件跡地」や、サミュエル・アダムスなどが演説を行った「ファニュエル・ホール」も。ファニュエル・ホールに隣接するクインシー・マーケットは、歴史的建造物とショッピング施設が融合した観光地として人気の場所なので、この辺りでランチを取るのもおすすめです。

ノースエンドから、チャールズタウンへ。 「フリーダムトレイル」の終点を目指して

「ボストンコモン」を起点にボストン市中心部の史跡を巡った後は、ダウンタウンからノースエンドへ。ダウンタウンの北側に位置するノースエンドには、アメリカ建国の英雄ゆかりの「ポール・リビアの家」やボストン最古の教会「オールドノース教会」などの史跡があります。「ポール・リビアの家」は、17世紀末の建物で、現存する木造建築としては市内最古のもの。レキシントン・コンコードの戦いで伝令として活躍したポール・リビアが暮らした場所で、現在は展示館として公開されています。また、1723年に創設された「オールドノース教会」は、レンガ造りの重厚な佇まいと白い尖塔が目印。こちらも礼拝中以外は内部を見学することができるので、ぜひチェックを。また、ノースエンド地区は“リトルイタリー”と呼ばれるほど、イタリアの伝統文化が息づくエリア。周囲には美味しいエスプレッソを味わえるカフェなども多いので、ひと休みするのもおすすめです。

ノースエンドからチャールズ川を渡ってチャールズタウンへと進むと、いよいよ「フリーダムトレイル」の歴史散策も大詰め。世界最古の木造軍船で1812年のイギリスとの戦いでも活躍した「USSコンスティテューション号」が係留された国立歴史公園や、「USSコンスティテューション号博物館」も、ボストンの歴史にふれる上で欠かせないスポットです。そして、チャールズタウンを見下ろす小高い丘の上にあるのが「フリーダムトレイル」の終着地点「バンカーヒル記念塔」。ここは、独立戦争を象徴する熾烈な戦闘となったバンカーヒルの戦いの舞台となった場所。現在は、高さ約67mのオベリスク(記念碑)が建てられており、アメリカ独立への軌跡を今に伝えています。塔の内部には階段が設けられており、頂上の展望台まで登ることができます。

「ボストンコモン」を起点に「フリーダムトレイル」を歩いた1日。「バンカーヒル記念塔」の展望台から見渡すボストンの街並みは、一層深みを持った美しさを湛えているはずです。

ひとことコメント

夏のボストンは日中30℃を超えることも珍しくないですが、9月、10月になると一気に冷え込みが激しくなります。最低気温がひとケタ台になることも多いので、防寒対策は万全に。また、「フリーダムトレイル」散策を快適に楽しむなら、スニーカーやトレッキングシューズなど、運動に適した靴を用意するのもおすすめです!

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