国際線に乗務する客室乗務員は、到着地でのステイが必要なほか、ときには昼夜が逆転してしまうこともあります。健康マネジメントも、大切な仕事のひとつ。そこで、少ない時間でもよりリラックスできるものや、時差があるなかでもしっかりと休める方法を客室乗務員がアドバイスします。旅に出かけにくいこの時期、旅先でなくとも役立つリラックスメソッドをぜひお試しください。

睡眠時間のコントロールは、客室乗務員の必須スキルです

佐藤歩実「とくに深夜便に乗務する際は、睡眠時間が不規則になりがちです。その日の乗務に合わせて、時間を逆算し睡眠を取るように心がけております。深夜便に乗務する際も、平均7~9時間ほどは睡眠時間を確保できるように努めます」

画像: 客室乗務員・佐藤

客室乗務員・佐藤

山本麻鈴「アメリカ、ヨーロッパなどの長距離線では、乗務中に2時間ほど休憩をいただきますが、睡眠の質としては深い睡眠ではなく仮眠です」

画像: 客室乗務員・山本

客室乗務員・山本

こう語るのが、JALの国際線に乗務するふたりの客室乗務員です。現在、JALでは米州、欧州、オセアニア線といった長距離路線は、エリアごとに乗務路線が固定されています。そのため、以前に比べて睡眠時間の調整がしやすくなりましたが、いずれのステイ先でも日本とは時差があります。

画像1: 睡眠時間のコントロールは、客室乗務員の必須スキルです

山本「たとえば、アメリカ本土へのフライト時間は約12時間です。日本では夜でも、現地には朝~昼ごろの到着です。身体は疲れていても、ぐっすり寝てしまうと夜に寝られなくなり、睡眠のリズムが崩れた場合は復路の乗務にも影響が出る可能性もあります。そこで、到着後にとる仮眠はなるべく2時間程度にしています。起きる際は辛いのですが、ちょっと我慢することで夜はぐっすり眠れ、体内時計を現地仕様にすることができます。平均して8時間、長いときには12時間ほど眠ることもあります」

このように、眠るタイミングと睡眠時間のコントロールは、客室乗務員の必須スキルといえます。そして、それぞれの客室乗務員が独自に編み出したメソッドは数多くあります。まずは今からでも始められるものを5つご紹介しましょう。

画像2: 睡眠時間のコントロールは、客室乗務員の必須スキルです

睡眠テクニック(1)
カフェインの摂取は現地時間の15時まで

山本「コーヒーや紅茶、エナジードリンク類が大好きなのですが、カフェインに敏感なので摂取すると眠れなくなってしまうことが多いのです。夕方以降はなるべく摂取しないように気を付けています。家族や友人は寝る前に摂取しても眠ることができるそうです。個人差はあると思いますので、ご自身の体質に合った適量とタイミングを意識されるといいと思います」

睡眠テクニック(2)
寝る前には温かい飲み物を飲む

佐藤「温かい飲み物を飲むことで、就寝前に身体が温まり、とても落ち着くことができます。私は、機内でも温かい飲み物を飲んでから休憩に入るようにしております。そこで選ぶのは、カフェインの入っていないもの。白湯やホットミルクがオススメです。とくに旅先などでミルクが用意できないときは、簡単に準備できる白湯を飲むようにしております」

睡眠テクニック(3)
寝る1時間ほど前から、スマホやPC画面の明るさを下げる

山本「脳を興奮させないために、寝る1時間ほど前からスマホやPCを見ないことがいいそうなのですが、なかなか実行できずにいました。せめて画面の明るさだけでも暗くしようと試したら、目への負担が減ったような感覚があり、布団に入って眠りに落ちるスピードが速くなったのです。また、せっかく実行しても寝る際に携帯電話が手元にあるとどうしても触ってしまうことがありました。携帯電話を立ち上がらないと手に取れない場所に置くこともポイントです」

睡眠テクニック(4)
くつろげる音楽でリラックス空間を演出する

佐藤「自宅での睡眠環境に近づけることが大事だと思います。普段から就寝用の音楽をかけるようにすれば、寝しなに聴くことで心を“就寝モード”にすることができます。就寝前の自分に合ったリラックスタイムを過ごすことが、質のいい睡眠につながると思います」

睡眠テクニック(5)
それでも眠れないときは、いっそ思い切って諦める

山本「こういったテクニックを駆使しても、眠れないときは眠れません。ただ、眠れなかったとしても、『○○時間“しか”寝られなかった』ではなく『○○時間“も”寝られた』とポジティブに思うことにしています。無理に『眠らなきゃいけない』と思って眠れなくなるスパイラルも防ぐことができると思います」

画像: 睡眠テクニック(5) それでも眠れないときは、いっそ思い切って諦める

さて、より効果的に睡眠を得るために、客室乗務員はこだわりのアイテムを活用しているケースも少なくありません。続いては、旅先に気軽に持っていけて、自宅でも簡単に用意できるグッズをご紹介します。

睡眠アイテム(1)
肌触りのいい長袖、長ズボンのパジャマ

山本「滞在先ではシーツや布団カバーが硬かったり薄かったりするなど、自分の身体にうまく合わないこともあります。また、海外ではエアコンの調整が難しいこともあるため、パジャマは必ず長袖、長ズボンです。普段から着用していれば、旅先でも違和感なく肌に馴染むため、着用する習慣を身につけておくといいと思います」

睡眠アイテム(2)
お気に入りの香りのボディクリームやフレグランス

佐藤「お気に入りの香りを漂わせることで身体の緊張がほぐれ、とてもリラックスした状態で眠りにつくことができます。ルームフレグランスやボディクリームがオススメです。どんな香りがリラックスできるのかを想像しながら、お気に入りの香りを探してみるのも楽しいと思います」

睡眠アイテム(3)
肩にかけることができる長さのマイタオル

山本「自分のお気に入りの柔軟剤を使用したタオルを首からかけて寝ると、まるで自宅のベッドで寝ているかのような気分になり、リラックスできます。寒さ対策にもなり、とても便利です。仲のいい同僚が実践していると聞いて試したのですが、効果抜群でした。ご自宅でも、普段からリラックスできるお気に入りの柔軟剤でシーツなどを洗濯しておけば、睡眠の質が向上するかもしれません」

睡眠アイテム(4)
目元を温かく包んでくれる蒸気が出るホットアイマスク

佐藤「目元をじんわりと温かく包んでくれるホットアイマスクはとても効果的です。なかでも蒸気が出るタイプのものを愛用しています。疲れ目にもいいですし、すごく気持ちが落ち着くのです。また日本に比べて空気が乾燥していることも多い海外では、うるおいが得られるアイテムはすごく重宝します」

睡眠アイテム(5)
自分の耳にぴったり合うソフトタイプの耳栓

山本「滞在先のホテルでは、自分が眠りたいタイミングで廊下から話し声が聞こえたり、騒音が聞こえやすい位置の部屋になってしまったりということが少なからずありますので、耳栓は私の必需品です。個人的には、柔らかいタイプを使用しております。プラスチック製だと寝ている間に外れて、起きてしまうという残念な出来事がありました。ご自宅でのお昼寝などにも使えますので、常備しておくと便利だと思います」

画像: 睡眠アイテム(5) 自分の耳にぴったり合うソフトタイプの耳栓

機内でお休みいただく際のおすすめアイテム

これらは滞在先やご自宅でご活用いただけるメソッドですが、たとえば長距離の国際線など、機内でお休みいただくときにも効果的です。

山本「お客さまに快適にお過ごしいただけるよう、常に機内の温度に気を付けておりますが、体感温度は人それぞれです。私どももいざ休憩に入ると“寒い”と感じることがあります。客室乗務員は制服のまま休憩に入るのですが、いつも薄手のダウンジャケットを持ち込んで羽織っています。カーディガンだと少し寒く、分厚いダウンだと暑いので、上着の下に着込めるようなインナータイプのダウンはぴったりです。腕まくりなどをしながら、温度調整しています。使わないときにはクッション代わりにもなって便利なので、プライベートの旅行にも重宝します」

画像: 機内でお休みいただく際のおすすめアイテム

旅先や機内での睡眠の質は、心おきなく旅を満喫するための大事な要素です。とはいえ、飛行機で自由に旅に出かけられるのはもうしばらく先のこと。これらのメソッドを参考に、今はご自宅でゆっくりと再び旅に出かけられる日を夢見て、快適な“眠りの旅”をお過ごしください。

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

This article is a sponsored article by
''.